プロローグ-prologue-
俺は中川楓太。17歳の高校2年生。
都内でも上の方の学校に入っているものの、全くモテないので損している。
ついさっきまでこんな俺にも春が来たと勘違いしていた。
俺の手には1つの赤い手鏡が握られていた。
さっきのことはあまり鮮明には覚えていない。
俺はある女子に放課後屋上に来るよう呼び出されたんだ。
黒髪清楚形で容姿端麗といった感じで、俺の好みそのものだった。
なので、授業が終わると俺はすぐに屋上へと向かった。
そこには2つの手鏡を持った彼女の姿があった。
「えっと、こんなところに呼び出してどうしたの?」と爽やかスマイルで俺がきくと、彼女は一歩引いて困ったような顔をしたのですぐに普通の顔に戻した。
少し間が空き、彼女はようやく口を開いた。
「しっかり聞いてほしい。この手鏡は誰にも渡ってはいけないとても大切なものなの。なぜかは言えないけど、手鏡をあなたに託すわ。誰にも見られない所でこの手鏡を開き、『コネクト』と唱えて。そうすると仮想空間に飛ぶ。そこで事情は説明するわ。出来るだけ早くお願い。」とだけ言い、彼女は去って行った。
言ってることはむちゃくちゃだが、彼女の言い方にはなぜか説得力があった。
手鏡を開いて『コネクト』と唱えると、仮想空間に飛ぶ。なんか夢があるな。
いろいろ考えて、俺は手鏡をバッグにしまいとりあえず帰ることにした。
家に着き、早速試してみようと思いバッグから手鏡を取り出した。
特に変わったところもない普通の赤い手鏡だ。
一息つき、俺は手鏡を開いた。その瞬間、あたりが少し暗くなった、気がした。
冗談はさておき、俺は鏡へと目を移した。そこにはとんでもないものがあった。
禍々しい光をはなった鏡だった。すぐに閉じようとして止めた。ものすごく興味がわいたのだ。
そしてすかさず俺は唱えた。『コネクト』と。
鏡がまばゆいほど光りだしたかと思うと、俺はその鏡に吸い込まれていった。
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目が覚めると俺の背中に草のような感触があり、脳内に【アタファルト草原】という文字が浮かび上がった。俺は即時に仮想空間に来たと理解し、ここはその中の【アタファルト草原】という場所なんだろうと思った。
そして俺を覗き込んでいる一人の男に気付いた。
「ようこそ、鏡の世界【バーチャルワールド】へ!」
地球では使われていないであろう言語を、なぜか俺は理解できた。
男は続けて「私の名前はヘルネス。君が楓太くんだね?」ときいてきたので、俺はうなづいた。
ヘルネスは銀色の鎧のようなものを着ていた。金髪に青い瞳をもったイケメンで、モテるだろう。
そんなことを考えていると、ヘルメスが不思議そうな顔してみてきて「ちょっと場所を移そうか。」といって歩き始めたので俺もそれについていった。
歩きながらヘルメスにいろいろと質問してみた。
分かったことは、ここでは剣士、魔法使いといった職業があり、普通なら能力的に決められてしまうが、俺の場合は自分で決められるんだそうだ。
他にも、スキルや特技という職業にあった技が存在するんだとか。
そうこうしているうちに、公園に着き、ヘルメスがベンチに腰掛けたので、俺もその横に座った。
またしても俺の脳内に【オルシスト公園】という文字が浮かび上がった。
ヘルメスは、周りに誰もいないのを確認し、「よし、お前の職業を決めるか。」といった。
俺の伝説が始まる…のか?