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後編

「えー、それではですね、顔合わせも一通り終わったところで、これから質問タ~イム!といきたいと思います。まずは、私の方からみなさんに質問です。パートナーのどこが好きですか?どういうところに惹かれましたか。教えてください」


「そんなの、ひと言では語りつくせないよ」


すかさずそう言ったのはルカちゃんだ。

そっかそっか、日下さんへの愛は簡単には語りつくせないと。

よく見ると、周りのみんなも頷いている。

まあねぇ、そりゃそうだとは思うけどさ、だけどそんなこと言い出したら座談会にならないじゃんよ。


「そうだとは思うけど、そこをなんとか。こういうところが好きだとか、ちょっとしたことでもいいからさ。思いつくままに言ってみてよ」


「思いつくままにねぇ・・・」


「俺が光と出会ったのは、殺人事件の被害者と担当刑事としてだった」


おっ、透が語り始めたぞ。

彼もほぼ一目惚れだったもんね。


「光は東堂さんの組の下部組織だったかな、そこが経営するホストクラブで働いてて、ナンバーワンだったんだ。だけど、一見してホストだなんて思えないくらいに清楚で。例えて言うなら、日本人形みたいな美しさっていうのかな」


「うんうん、光君は黒髪がさらさらつやつやで、お人形さんみたいだよね」


「一目見て好きになっちゃって・・・この人を守ってやりたい、守らなきゃって思ったんだよね」


「光君からすれば、透君は危ないところを救ってくれた王子様みたいな存在なんじゃない?」


「お、王子って・・・そんなガラじゃないよ、俺」


「いやいや、ご謙遜を。実は良いところのお坊ちゃんなの、知ってるんだよ~」


「そりゃそうでしょうよ、あなた作者なんだから」


クッ・・・

可愛くないなぁ、もう。

ま、透にしてみればさすがにちょっと照れくさいのかもね。


「うちの雪弥があんたのところの店に入り浸ってて申し訳ない」


「や、申し訳ないだなんて・・・雪弥君には贔屓にしてもらってありがたいですよ」


そういや、雪ちゃんはブリランテの常連なんだよね。

あ、ブリランテっていうのは、光君がオーナーシェフやってるビストロなんだけどね。

元は親戚の持ち物だった家を透君が譲り受けて、改装してカフェにしたってわけ。

それもこれも、愛する光のためだというから、透の愛の深さが知れるというもの。

たまたま場所が青山で、東堂さんのマンションの近所ということもあって、雪ちゃんもよく顔を出しているらしい。


「そういう東堂さんは、雪ちゃんのどこが一番好き?」


「雪の好きなところ・・・難しいな、考えたこともないからな」


「小さい時からずっと一緒で、兄弟みたいに育ったんだもんね」


「雪は幼いころから可愛かった。名は体を表すとは言うが、雪のように白い肌で、そんじょそこらの女より綺麗なんだ。だけど中身は案外男っぽいところもあって、意外と酒も強いしな」


「うちのワインをたくさん飲んでいただいているようで、光がいつも感謝してますよ」


「それに、あいつは抜群に歌が上手い、小さい頃から耳で聞いた音楽はそのまますぐ歌える才能の持ち主だった。歌うべくして生まれてきたんだと思う」


「東堂さんもジャズピアノが得意でしょ、たまにセッションとかしたりしてるの?」


「まあ、そうだな。ごくたま~にな」


そう言いながらコーヒーを飲む横顔は、まるで往年の映画スターのような凛々しさだ。

まさに美男美女・・・じゃない、美男美男のカップルだわね、ここも。


「ええと、じゃあ次は・・・そうだ、真澄さん。さっきからずっと黙ってるけど、どうかしら。千春ちゃんのこと、少し話してもらえない?」


「はい。千春は・・・千春も東堂さんたちと同じで児童保護施設にいたんです、北海道の」


「ほう・・・」


コーヒーカップをテーブルに置くと、東堂さんが真剣な目線を真澄さんに向ける。


「ある事件に巻き込まれていて・・・ここではあまり詳しくは言えないんですけど。私が警察関係者とちょっとコネがあって、それで保護してほしいと頼まれました。松崎さんと日下さんが千春を連れてきて・・・」


「それも、運命の出会いだわね」


「ええ。その時はただ気の毒な子供だとしか思っていませんでした。天使のように清らかでまるで少女のような見た目に驚きはしましたが」


「千春君もハーフかクォーターなのよね」


「まだ十五にもなっていなくて。なのに人生の辛酸を舐めてきたんです。今はだいぶ治りましたが、言語にも障害が出ていて・・・小さな体で必死に生きている千春が愛おしくて、気付いたらこの子を守るためならなんだってしようと思うようになっていました」


そう語る真澄さんの顔には、強い決心が見える。

どこかのモデルじゃないかと思うような美貌は、お医者さんとは思えないくらいに目立ちすぎるほど目立つ。


「それと、さっきから気になってたんですが、ルカさん。一度お会いしてますよね」


「え、俺?」


「ええ、伊勢丹の屋上庭園で」


「ああ、覚えてたんだ」


クスッと笑うルカちゃん。

そりゃ忘れるわけなかろうて、あなたみたいな美形外人のことを。


「ものすごく目立ってたんで、忘れませんよ。あの時は千春がお世話になりました」


「世話だなんて、何もしてないよ。可愛い子だなぁと思ってちょっと仲良くさせてもらっただけで」


「じゃあ、そういうルカちゃん、日下さんの好きなところを教えてちょうだい」


「う~ん、そうだね。いっぱいあるけど・・・やっぱり、正義感の強いところかな。不器用なまでに自分の信念を曲げないところっていうかね。そういう生き方って損することも多いじゃない?」


ルカの言葉に、みんながうんうんと頷いている。

確かに、正直者が泣きを見る世の中だもんね、特に今の日本は。


「それでも彼は、自分をごまかすことはしない。周りに追従したりもしない。ひたすら、真実を追求するため前に進むんだ。そういう猪突猛進なところが好きだね」


「日下さんは熱血漢だもんね」


「あと、人間関係や恋愛に関しては、実はとても繊細でシャイなところ。そういう部分全てひっくるめて、何もかもが愛しい」


言うね~~~。

いやいや、気のせいかこの広いスイートルームの室内の気温がちょっと上昇したような。

湿度も上がってないか?


「ルカちゃんは、日下さんにベタ惚れなのね」


「でも、たぶん日下さんも同じだと思いますよ。ルカさんにベタ惚れですよ、あの人も」


透の言葉に、ルカが嬉しそうに微笑む。

なんとまあ、極上の笑みだこと。


「じゃあ、最後に室伏さん。夏輝君の好きなところ、良いところを上げてください」


「夏輝は決して恵まれた生い立ちではないんだが、スレた所がなくいつも真直ぐで可愛い」


「そうだね、夏輝君は本当に素直だよね」


「最初出会ったときは、まるで捨てられた仔猫のようで・・・庇護欲をそそられた。絶対に自分が保護して愛して幸せにするんだと、瞬間的にそう思ったんだ」


「やっぱり、運命の出会いだね~」


またしても運命という言葉に、みんなが遠い目をしている。

いかんいかん、これはここではNGワードかもしれん。


「夏輝は自分は室伏の家に相応しくないと、身を引こうとした。そんな奥ゆかしい彼だが、俺が全身全霊を掛けて彼を守っていくと誓ったんだ」


「養子縁組もしたし、もう事実上の夫婦ですもんね。で、どうです?ベッドでの彼は♪」


「もちろん可愛いさ。今は大学受験に向けて勉強が忙しくて、なかなか相手をしてくれないんだが。それでも無理やりベッドに連れて行って愛してやると、可愛い声で応えてくるんだ」


「ほう・・・」


「なんと言っても、あの吸いつくようなしっとりとした肌・・・それがじんわりと汗ばんで、桜色に上気した頬なんてもう・・・」


「あっ、あのっ・・・あのですね、そういう話題はちょっとっ・・」


「何ですか真澄さん、今日は千春君はいないんだからいいでしょ」


「でもっ・・」


「真澄さん、顔が真っ赤よ」


「私はその手の話題は苦手でして」


そう言いながら、ハンカチで額の汗を拭っている。

なんとも、今どき珍しい真面目でウブな青年だわ~(○´艸`)

こりゃあ、心配しなくても千春ちゃんは大切にしてもらえるわね。

だけど、二人がそういう意味で結ばれる日は、まだまだ先かもしれないなぁ・・・


「じゃあ、最後にみなさんに質問です。エッチの回数と好きな体位を教えてください」


「だから、そういう話はっ・・」


「真澄さんは答えなくていいですよ、どうせ千春ちゃんとはまだなんだし」


「・・・・・・・・」


「うちは毎日だな。もっとも、忙しくて会えない時は除くが」


しれっと答えるのは東堂さん。


「どういう体位がお好みですか(○´艸`) ?」


「体勢的には後ろからのほうが楽なんだろうが、あいつは顔が見える方がいいって言うんだ」


「ほう・・・」


「だからまあ、普通にやるか、あとこう・・・なんだ、座って向きあう感じの・・」


「対面座位?」


「ああ、それ。それだな」


なるほど、龍一&雪弥カップルは対面座位がお好み・・・と。

メモメモ。


「俺も、ほぼ毎日ですかね。あんまりしつこいと光に嫌がられることもあるんで、様子見ながらですけど」


「みんなが羨ましい。うちは夏輝が勉強にかまけてなかなか相手してくれなくて・・・三日にいっぺんくらいだ」


いやいや、勉強にかまけて、ってのはおかしいでしょう。

学生は勉強が本分なんだから(笑)

それに、三日に一回なら十分じゃないですか。


「お二人の好きな体位は?」


「好きっていうか、光が苦しくない体勢がいちばんだから」


「うちもそうだな。あんまりアクロバティックなのはどうも・・」


アクロバティックって、室伏さんあなた・・どんなすごいのを想像してるんですか。

普通の体位でいいんですよ、普通で。


「日下さんは俺が迫れば最初はちょっと抵抗するふりをするけど、結局は受け入れてくれますね。抵抗って言ったってあくまでも“ふり”だし(笑)」


おお~~~っと、これまたみんながルカのほうを見遣る。

そうか、日下さんはツンデレなんだね、と何やらみんなが納得した様子だ。


「それに、求めたらどんな体位でも付き合ってくれますね。彼は鍛えてるから大抵のことならオーケーだし」


またしてもみんなが「ほぉ~~~」と感心の声を上げている。

どんな体位もOKなカップルかぁ・・・凄いなぁ・・・


「なるほど、なるほど。いやはやみなさんお熱いことで・・・にゃあも何だか暑くなってきちゃったよ」


「すいませんねぇ、にゃあさん。一人で寂しいにゃあさんの前でノロケ話なんかしちゃって」


「あんたも早く良い人見つけろよ」


「きっと見つかりますよ、選り好みさえしなければ」


「がんばってくださいね」


「みんなで応援してますよ」


なにこれ・・・

なんで、いつの間にか私が同情されちゃってるの?

一応、作者なんだよ、これでも。


あ~あ、もうなんだかやってられないよ!

もう、みんな好きにしたらいいよ!

あたしゃ帰らせてもらいますっ。


というわけで、座談会はお終い。

ここでお開きにしますっヽ(#`Д´)ノ



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