前編
拙宅の長編、中編に登場したカップルの、攻めキャラたちによる座談会です。
前後編です。
受けキャラによる座談会『男心と秋の空?そしてみんな集まれ!』もあります。
こちら⇒http://ncode.syosetu.com/n0817bv/
ここはとあるホテルのスイート。
にゃあ主催による、攻め様の会がしめやかに行われようとしていた。
すいません、嘘をつきました。
にゃあ主催ですが、場所提供は室伏財閥の常務様でいらっしゃる、室伏毅彦さんです。
彼がこの超高級ホテルのスイートをおさえてくださいました。
室伏さん、ありがとうございます。
「えー、というわけで。前回はみなさんのパートナーである受け子さんたちにお集まりいただいたわけですが。今回はいよいよ攻め様にお集まりいただきました。みなさん、お忙しい中わざわざお越しいただきまして、ありがとうございます」
「こないだはうちの夏輝が世話になった。なんでも、友達がたくさんできたと喜んでいたよ」
「夏輝君は素直で可愛らしいから、誰とでもすぐに仲良くなっちゃうのよね」
「まあ、それが心配の種でもあるんだがな」
室伏さんの過保護と心配性は相変わらずのようだわ。
今回の面々もなかなかどうして、色男が勢ぞろいだわねぇ。
「では、まずは自己紹介からお願いしましょうかね。今回この素敵なスイートルームを取ってくださった室伏さんからどうぞ」
「えー、室伏毅彦です。何人か知り合いがいるかと思ったんだが・・・あれ、日下の姿が見えないような・・・」
あらら、またしても鋭いツッコミが(^_^;)
今頃日下さん、くしゃみしてるんだろうなぁ・・・
「えっと、日下さんはですね、先日の受けの会にいらっしゃって・・」
「ええっ、受け?!あいつがっ??」
驚きのあまり男前な顔がちょっとコメディーのような崩れ方をしている。
受け・・・受け・・・あいつが受け・・・と、うわ言のように口をパクパクさせる室伏さん。
まあねー。
そりゃ驚くよね、あの強面が受けだなんて。
でもしょうがないじゃん、事実なんだから。
他の面々はパートナーから聞いてたのかして、特に反応はない。
室伏さんだけが知らなかったってわけね。
夏輝君から聞いてなかったのか。
まあ、夏輝君は直接日下さんと親しいわけでもないし、話題にしなかったんだろうな。
とりあえず、ここはサラッと流しましょうかね。
「えっと、みなさんもご存知かと思いますが、室伏さんは室伏商事の常務取締役でいらっしゃいます。でもって、夏輝君という可愛らしい子とラブラブ同棲中です」
「同棲中というのは語弊があるな。夏輝とはもう養子縁組しているから事実上の夫婦だ」
「は・・そ、そうでしたね。えっと、それじゃあ次は、東堂さんお願いします」
日下さんが受けだってこと、東堂さんは雪ちゃんから聞いて知ってるのね。
室伏さんとは違って顔色一つ変えない。
しかし、相変わらずイイ男だなぁ、この人も。
以前にもまして貫禄が出てきたね。
「初めまして、でもないか。すでに見知った人もいるが・・・東堂龍一だ。よろしく頼む」
「ええと、東堂さんはですね、その・・・」
「竜仁会の幹部だ。東堂コーポレーションという会社も経営している」
竜仁会の幹部と聞いて、えっと一瞬顔を引きつらせたのは真澄先生だ。
無理もないよねー。
まあ、普通は驚いちゃうよね。
泣く子も黙る天下の竜仁会、日本最大の広域暴力団の幹部を目の前にしたらそりゃ誰だってビビるって。
でも真澄さんは前回も千春ちゃんに同伴してたから、雪ちゃんのパートナーが竜仁会の若頭だってことは知ってるはずなんだけどね。
たとえ知ってたとしても、やっぱ実際に目の前にして見るのはまた別なのかな。
話で聞くのと、リアルに会うのとは衝撃が違うのかも。
やっぱり怖いよねぇ、普通は。
「ちなみに、東堂さんのパートナーは、あの歌手の藤咲雪弥君です。二人は幼なじみなのよね」
「ああ、雪と俺は同じ児童養護施設で育った」
「児童養護施設・・・」
そう言って感慨深げにため息を吐いたのは、これまた真澄先生。
愛しい千春ちゃんも孤児院出身だからね、他人事とは思えないんだろうな。
さっきは暴力団と聞いてかなり引いてた真澄さんも、今はどことなく優しい顔つきになってる。
きっとシンパシーを感じているのね。
「運命の出会いだったのよね。一度は悲しい別れ方をしたけれど、雪ちゃんが有名になったことで再び巡りあって・・・紆余曲折があってこうしてパートナーとして結ばれたのよね」
その場のみんなが、運命という言葉に反応してる。
自分の身の上に置き換えてるのかもしれない。
ほっとくと別世界に旅立ってしまいそうだ、いけない、いけない、司会進行役として手綱を引かなくちゃ。
「では、次にまいりましょう。えっと、じゃあルカちゃん」
「ルカです。よろしく」
ルカが言葉を発した瞬間、ホゥ~というようなため息が広いスイートルームにこだまする。
しみじみ、人間離れした美貌だよ。
なんていうか、CGなんじゃねえの、とかって思ってしまう。
三次元なんだからCGなわけないんだけどね。
それほどまでに、ルカの美しさは現実離れしているのだ。
「ルカちゃんは、日下さんのパートナーなんだよ」
そう言った瞬間、ざわめきが起こった。
まったくもう、みんな素直なんだから。
これが日下を組み敷いている奴か・・・という顔になってるよ。
改めてルカをまじまじ見ると、いろいろ想像しちゃうんだろうね。
さっきまでクールだった東堂さんまでもが、ちょっと口の端上がってる。
どうにもこうにも、好奇心を押さえられないという感じだよ、露骨すぎるよみんな。
「さてと、じゃあ、次は・・・透君かな」
「あ、松崎透です。日下さんの相棒やってます、よろしく」
「透君はね、すごいスナイパーなんだよ~」
「それは知ってる。うちの舎弟から聞いた」
「東堂さんの舎弟って、あ、高須さんね。そういえば光君と輝君が拉致された時、その場にいたのよね」
「あの距離で動いている人間に向かって発砲してナイフに命中させるなんざ、神業だと言っていた」
「透君はオリンピックの射撃の銀メダリストだからね~」
へぇ~すごい、とか、ほぉ~と言う声に、透がちょっと照れている。
彼はまさに好青年って感じだなぁ。
「じゃあ、最後は・・・真澄さん」
「惣領真澄です。内科医です。松崎さん、千春のことでお世話になっています」
「や、まあそれは職務として当然のことをしているまでで・・・」
「これからも引き続きよろしくお願いします」
「はい、一刻も早く事件を解決させますから!」
「というわけで、これで一応一通りお互いを紹介しあったと思うんだけど・・・」
「質問があるんだけど、いいですか」
「なに、透君」
「日下さんのことなんだけど・・・」
まただ。
もう、どうしてもこの好奇心には抗えないのね。
みんなよくぞ聞いてくれた、という感じで透に期待の目線を送っている。
はいはい、もう、後で知ったら日下さんがむくれるだろうけどしょうがないよね、なんでも聞いておくれよ。
「ルカさんに質問です。日下さんとはいつどこで、なにがきっかけで知り合ったんですか」
さすがは現役の刑事だ。
口調がちょっと尋問臭い(笑)
「答えなきゃなんない?」
思わずルカも苦笑い。
「や、ルカちゃん、答えられる範囲内でいいからさ。みんなも多分知りたいと思ってるんじゃないかな。東堂さんにしても室伏さんにしても、日下さんとはそれなりの付き合いなわけで・・・」
なんてフォローすると、室伏さんがブンブンと首を縦に振っている。
聞きたくてしょうがないんだな(苦笑)
「できれば本人に直接聞いてほしいんですけど」
「本人に聞いて、まともに答えると思います?」
「まぁ・・・答えないか」
困惑した笑いを浮かべながらも、ルカの瞳は優しげだ。
どことなく慈愛に満ちた感じもする。
日下さんのことを思い浮かべてるのかな。
「えっと、日下さんとは偶然出会ったの。たまたま新宿の裏通りを歩いてたら、ちょっとした事件に遭遇してね。まあ、俺はどうってことなかったんだけど、通りがかった彼が助けてくれて。で、その時に俺が彼に一目惚れしちゃってね。以来、猛アタックの末、ゲットしました」
「ゲットって・・・」
「彼は堅物と言うか、同性には興味なさげだったから俺も必死だったよ。今じゃラブラブだけどね」
「なんか、意外だなぁ」
透の言葉に、東堂さんも室伏さんも大きく頷いている。
「日下さんはね、ルカちゃんの深~い愛に陥落しちゃったのよ。彼、雰囲気変わったでしょう?」
「そう、それは俺もすごく思ってて。ルカさんと知り合ってからの日下さんはどこか優しくなったっていうか。あんだけヘビースモーカーだったのに、煙草も止めたし」
「ほう、日下は煙草も止めたのか」
意外だと言わんばかりの顔をしたのは、東堂さんだ。
彼も確かスモーカーだったわね。
シンガーの雪ちゃんの前では、なるだけ吸わないようにしているって聞いたけど。
みんな、恋人にはメロメロなのね。
「ええ、俺が知る限り今は吸ってませんね」
「すごいね、ルカちゃん。チェーンスモーカーだった日下さんがあなたのために煙草を止めたんだから。愛ゆえだよね~」
「別に俺は止めろと言った覚えはないんですけどね」
改めてみんながホォ~っとため息を吐く。
この美貌の外国人のために、案外日下は尽くしているのかもしれない。
そんな表情だ。
「俺からも質問があるんだが」
「おや、室伏さん。どうぞどうぞ、何でも聞いてくださいな」
「東堂さんが次期竜仁会の会長になるという噂は本当かい?」
一瞬、場が凍りつく。
室伏さん、なんでこの場に相応しくないこと言っちゃってくれてんのよ~
一応透は警察官なんだからね。
この手の話題は、オフレコでお願いしますよ~
「まあ、まだ先の話だ」
顔色一つ変えずに答える東堂さん。
さすがと言おうか、なんと言おうか・・・
「俺はまだ若いからな、周りが許さないだろう」
「じゃあ、時期を待ってということか」
「どうだろうな。俺は別にどうでもいいんだが」
まずい・・・
このままだと、話がどんどんそっち方面に行きそうだわ。
ここはひとまず・・・
「じゃあですね、そろそろみなさんに次の質問をしたいと思うのですが・・・おっと、残念、時間切れです」
「えっ、もう?」
「まだ全然大丈夫だよ」
「そうなんですけど、こっちにも都合っちゅうもんがあるのでねっ。ええと、座談会は後半に持ち越されます~。すいません、いつも中途半端で」
「まあ、今に始まったことじゃないがな」
「東堂さんは黙っててください!」
「私は別に構いませんよ、次回で」
「ありがとうございます、真澄先生。あなたは本当に良い人です~。ではみなさま、また後半でお会いしましょう!」