橘炎帝の呪い
神社では祭りの準備が行われている。中川はトラックから太鼓の搬入をしていた。両サイドには大蛇の山車が飾ってある。その山車を見ていると巫女のおばあさんが近づいてきた。
「村長の連れか。接待は大変だね。」
「接待ではありません。知り合いの刑事さんです。」
そのおばあさんは首を傾げた。
「はて。この村で事件が起きたのかね。」
「村外れにある研究所でガス爆発が起きて、焼死体が発見されました。」
喜田の答えに村民たちはざわついた。やがて一人の村民が叫ぶ。
「呪いだ。橘炎帝の呪いだ。」
そこへ一人の男が現れた。
「何が呪いだ。くだらない。」
その男の発言に村民は敵意を表した。
「三浦辰夫。何をしに来た。」
「見学だ。」
三浦は大蛇の山車を見つけるとライターを取り出した。
「いい出来じゃないか。どうせ明日には燃やす。今燃やしてやるよ。」
そう言うと彼はライターで大蛇の山車に火を付けた。全て燃えつくす前に中川が火を消した。中川は三浦の頬を殴った。
「村の伝統行事を無茶苦茶にした罰だ。橘炎帝の呪いで死ねばいい。そう思うでしょう。巫女の塚本八重子さん。」
「いいや。そうは思わない。人を呪えば穴二つ。奴の呪いで彼が死ぬとしたらこの村に災いが起きるだろう。」
中川は塚本のまさかの答えに舌打ちをした。
そして三浦は神社を後にした。
喜田は塚本に聞いてみた。
「気になることがあるのですが。橘炎帝の呪いとはなんでしょう。」
「詳しいことはわしの家で話す。」