石碑
八月十五日喜田は平井村長の依頼を受け清明村の入り口に立っていた。清明村の入り口には石碑が立っている。
『森を荒らす愚か者は橘炎帝の餌食となり地に落ちる。』
喜田はこの石碑の意味が分からなかった。彼は村まで歩いていった。清明村は森で覆われている。五分歩くと村役場が見えてきた。喜田は早速平井にコンタクトを取った。村役場は静かで人が少なかった。受付に平井に会いに来たことを伝えるとすぐに村長は来た。
「喜田さん。よく来ましたね。」
「少し気になることがあったので千間刑事部長に話したら休暇をくれました。」
「気になることとは。」
「東京で起きた殺人事件です。」
喜田は写真を見せた。その写真には五十歳前半の女性が写っている。
「あなたが電話で依頼した日にこの女性が撲殺されました。名前は篠宮澪。篠宮不動産の社長です。この篠宮不動産について調べました。この村にある森を破壊してレジャー施設を作る計画があったことが分かりました。」
平井は名前しか知らない篠宮が殺されたことに驚いた。
「そうです。この村は再開発問題で村民が分裂している状態なのです。賛成派のリーダーは三浦建設会社社長の三浦辰夫。レジャー施設建設への投資をしている村の大富豪。レジャー施設のオーナーになって金儲けをすることが目的だと思います。反対派のリーダーは塚本八重子。神社の巫女です。現在賛成派と反対派は対立関係にあります。この前なんて対立が過激化して私の息子が重傷を負いましたよ。今も入院中です。」