放浪
答えを探して喜田は村を歩いた。すると三度喜田の前に黒服の男達と宮本栞が現れた。宮本は明るい声で聞いた。
「どうしましたか。暗い顔をして」
宮本はかつてあの男と正義を掛けて戦ったことがある。そのようなことを思い出し喜田は宮本に聞いた。
「ウリエル。一か月前の通り魔事件であなたは負けました。その時あなたはどう思いましたか。」
「正義について改めて考えました。彼の正義は正しかったのかは分かりませんが、彼は強かったです。どんな権力にも組織にも彼は負けないでしょう」
「そうですか。ではどのようにしたら彼のようになれますか」
喜田の問いに宮本はうれしそうだった。
「彼の正義を支持する方が上層部にもいたのですね。まずは自分の正義を支持する仲間を持つことでしょうか。でも彼はあの事件以来行方不明。噂では新メンバーを一緒に特命捜査をしているそうです。自分の正義を突き通すためにはそれなりの覚悟が必要です」
喜田は宮本のこの言葉からあることを連想した。
「ありがとうございます。おかげで一つ謎が解けました」
宮本は聞き返す。
「つまり東京に帰る日も近いということでしょうか」
「はい。明日には帰ることができるでしょう。もっとも謎はまだありますが」




