心中事件の関係者
喜田はこの報告を研究所の中で受けた。研究所で起きたガス爆発の現場検証をするためだ。研究所はまだガスや薬品の匂いがする。研究所を見て回ると防火金庫があった。数字のパスワードで開けることが出来るものだ。喜田は身元不明の遺体が発見された場所を思い出した。その場所はこの金庫のある部屋の隣だ。その部屋には紙が貼ってあったと調書には書いてある。その紙は焦げているため解読不能だった。
研究所を後にすると宮川がいた。
「宮川さん。ここで何をしているのですか」
「お供えにきました。十年前の心中事件で弟子が被害に遭いましたから」
喜田は宮川の言葉に驚く
「お弟子さんですか」
「馬場家の次女。馬場美紀です。彼女にバイオリンを教えていました。彼女は才能があったので残念です」
喜田はさらに質問を重ねる。
「他に心中事件の関係者にご存じはありますか」
「長女の馬場麻衣と田辺彩花は親友です。父親の馬場大輔と平井青兵衛は幼馴染です。後は馬場家の生き残り。馬場茜は事件後塚本八重子と暮らしていました。今は東京で仕事をしているそうですが」
喜田は人差し指を立てて聞いた。
「十時三浦さんの遺体が発見されました。死亡推定時刻は六時頃だそうです。最後に六時頃あなたは何をしていましたか」
「神社で太鼓の修理をしていましたよ。証人は塚本八重子や他の巫女さんです」
「ありがとうございます」




