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清明村への招待
それから一週間後喜田輝義はその村の入り口に立っていた。三日前喜田は刑事部長室で一本の私用の電話を受けた。相手はこの村の村長平井青兵衛。平井と喜田は大学の同期だ。
「喜田君。村外れの研究所でガス爆発が発生して身元不明の焼死体が発見された。警察の調べだと人為的にガスボンベに穴が開けられていたそうだ。この事件について調べてくれよ。」
「それは殺人事件でしょう。犯人が男を研究所に呼び出し事故に見せかせて殺したということでしょう。しかしこの事件の管轄は群馬県警でしょう。」
無理難題を聞かせられた喜田はたじたじとなった。その時大野警部補が刑事部長室に入室した。
「喜田参事官。昨日発生した不動産会社社長殺人事件についての報告です。被害者の篠宮澪の会社は群馬県の清明村の再開発をしようとしていたそうです。そこが今回の事件の動機ではないでしょうか。」
喜田は耳を疑った。
「どこの村のですか。」
「群馬県の清明村です。」
喜田は平井に折り返して電話する。
「喜田です。少々気になることがあります。その依頼受けましょう。」