行方不明
それから一時間が経った二十時。アクシデントが発生した。送り火祭りの実行委員会の一人が塚本に話しかけた。
「村長の姿がありません」
「いないだと。家にもいないのか」
「はい。家にも村役場にもいません」
「なにかあったのかも」
塚本はある決断をした。その決断を実行委員会に伝えた。そして司会は彼女の決断を発表する。
「最後に村長が挨拶をする予定でしたが諸事情により省略します。」
このアナウンスに喜田は違和感を覚えた。彼は実行委員長に質問する。
「警察です。平井村長は行方不明になったのではありませんか」
「はい。村長がここにいないのです。何か事故にあったのかもしれません」
喜田の脳裏に最悪なケースが浮かんだ。そして彼は実行委員長に指示を出した。
「村人総出で捜索した方がいいでしょう」
「すぐ有線放送で村人に呼びかけます」
五分後その有線放送は流れた。
『平井青兵衛村長が行方不明になりました。村長を目撃した人は交番に来てください。協力出来る方は一緒に村長を捜索しましょう』
この呼びかけに多くの村民は賛同した。村民たちは村中を捜索した。しかし彼の姿はどこにもなかった。




