各国対応
大中華帝國の躍進に世界の対応……
ある種の世界大戦になりそうです。
午後2時
大中華帝國帝都北京中南海『総裁』官邸1階執務室
ここは今や世界一の軍事国家となった、大中華帝國の支配者が指示を下す場所である。日本政府柏木内閣が9月20日に黒子と接触した時、大中華帝國はその触手を更に伸ばしていた。東南亜細亜へ大中華帝國陸海軍は侵攻し、フィリピン・ボルネオ島・スマトラ島・ジャワ島を占領し、オーストラリアとパプアニューギニアの国境までその支配地は広がった。更に触手は西にも伸び、カザフスタン・ウズベキスタン・トルクメニスタン・イラン・アフガニスタン・パキスタン・タジキスタン・キルギスが占領された。北にも侵攻しモンゴルも占領、ロシア連邦に至ってはウラル山脈以東を占領される事態となった。大日本帝國連邦軍が派遣される今日、10月1日までに大中華帝國は強大な帝國に発展していたのである。そんな大中華帝國にとって柏木総理の発表は狂人の戯れ言としか受け取っておらず、偵察衛星で明らかに日本軍のものとは違う兵器が写っていてもそれはハリボテだと結論付けた。
「国家の規模が違う。それに比例して軍事力にも大きな差が開く。第二次大戦じゃあるまいし、あんな大規模なハリボテを作るとは。日本人の考える事は解らない。」
将近平総裁(国家首席・総書記・中央軍事委員長を纏めた呼称)は秘書官に言った。
30分前、日本に起きた兵器出現についての会議を終えたばかりである。これからの大中華帝國の脅威になるかを、見定める会議であったが将総裁が脅威では無いと断言した為、それにより『欧州・中東侵攻作戦』が詳しく話し合われた。将総裁にしてみれば日本はもう眼中に無く、自国の領土拡大が最優先であった。細長いもやしみたいな国を占領するより、ユーラシア大陸にまたがる国家を目指していたのである。
「所謂、世界帝國を目指す訳ですね。」
「そうだ。かつてローマ帝國等、数多くの国が世界制覇を目指して坂を登って行った。しかしそのすべては頂上へ辿り着く前に、坂を転げ落ちていった。」
「ですが今回は。」
「そう。今回は確実にユーラシア大陸を占領し、世界制覇を成し遂げる。」
将総裁は不敵な笑みを浮かべながら、煙草に火を着けた。
同時刻
アメリカ合衆国首都ワシントンDCホワイトハウスオーバルオフィス
クレア大統領は椅子に座り、お気に入りのワインを飲んでいた。つい先程、緊急会議を終えたばかりである。その議題は当然ながら大中華帝國と同じく、日本に出現した兵器についてである。
「黄色い猿に何が出来る。」
クレア大統領はそう言いながら再びワインを飲んだ。アメリカ合衆国史上初の女性大統領となったクレアは、モンロー主義者であったが極度の人種差別主義者でもあった。その為アメリカ合衆国はある意味での鎖国状態になっている。経済も内需中心となり、海外派遣軍も本土に引き揚げた為、アメリカ合衆国は強大な要塞国家にもなった。最大の軍事力を誇った空母打撃群も本土に集結しており、大中華帝國でも核を使う以外にこの要塞国家に通常戦力では太刀打ち出来ない。しかし大中華帝國も通常戦力の大量産を行っており、その戦力差が引っ繰り返るのは時間の問題であった。
「猿は猿同士で戦ってれば良いのよ。」
アメリカ合衆国はクレア大統領が就任して以来全ての国際機関から脱退し、国際条約を破棄した。NATOも国際連合をも脱退した。全ての国際機関から『アメリカ合衆国』の名は消えた。そうアメリカ合衆国は世界との繋がりを自分から断ち切ったのである。
「この国に何も起こらない限り、ほっておけば良い。」
クレア大統領は笑みを絶やさず、ワインを嗜んでいた。
午後11時
NATO加盟国の全軍が準戦時体制に突入した。更に欧州各国、中東・アフリカ各国の軍も準戦時体制に突入した。日本も準戦時体制に突入しており、大中華帝國包囲網が完成した。しかし日本軍は大日本帝國連邦軍との共同訓練を行う為、1ヶ月は作戦行動がとれない。
その為欧州・中東・アフリカ連合軍は大中華帝國と対峙しなければならない。南北アメリカ大陸以外に位置する国は共通の敵、大中華帝國と戦う事となったのである。