派遣軍兵力
第1機動打撃艦隊司令長官上杉梨華少将は説明を始めた。
「皆様が驚かれたと思いますが、我が連邦海軍は戦艦を再び建造しました。『歴史は繰り返す』この言葉通り、私達は戦艦の威力を見直し、建造したのが『超弩級電磁網原子力戦艦尾張級』です。」
「質問良いかしら?」
「はい、閣下。」
柏木総理の言葉に、上杉長官は頷きながら答えた。
「『電磁網』は何かしら?それと原子力の動力は?」「電磁網とは…」
「皆様の世界で言うイージスシステムです。」
突然の声に全員が振り向くと、黒子が立っていた。
「双方の違いについては私が説明します。世界に冠たる超大国ですので大日本帝國連邦は独自の防空装置を開発しました。更には英語を受け付けませんので、大日本帝國連邦にはカタカナはあっても、俗に横文字と呼ばれる物は全くありません。」
「なるほど。」
「原子力は連邦海軍の有する原子力艦は全て核融合炉です。」
黒子の言葉に、日本政府側は驚いた。未だに平成世界では開発段階で、実用化はまだまだ先と言われている。それが大日本帝國連邦では既に実用化され、全艦に搭載されている。
「と、まあそんな感じでしょうか。」
黒子は全員を見回しながらそう言った。
「では違いは黒子さんに説明してもらうとして、話に戻ります。」
上杉長官はそう言うと再び口を開いた。
「超弩級電磁網原子力戦艦尾張級は全長480間……」
「間?」
「これもですか?」
森下国防大臣の質問に上杉長官は黒子に聞いた。
「私が説明致します。大日本帝國連邦は先程も申し上げた通り、欧米の文化は入って来ていません。逆に大日本帝國連邦の文化を欧米が受け入れました。そこで大日本帝國連邦は世界共通の単位を生み出しました。それが先程の間です。間は皆様の言う所の、メートルになります。他を説明すると丈がセンチ、寸がミリ、石がトン、両がキロ、尺ノットになります。」
「何とまあ……」
「現場で混乱しそうね。」
黒子の説明に森下国防大臣と柏木総理は呟いた。
「それでは続きを、全長は先程も申し上げた通り480間です。
以下、
最大幅90間
速力40尺
武装48丈電磁投射砲3連装4基12門
火龍対艦誘導弾10連装発射機65基
轟龍巡航誘導弾10連装発射機65基
垂直発射式天龍対空誘導弾350門
雷龍対空誘導弾10連装発射機30基
鬼龍近接対空誘導弾8連装発射機30基
海龍対潜誘導弾10連装発射筒10基
30寸極龍自動機関砲24基
搭載機天風黒影垂直離艦戦闘攻撃機14機
水風哨戒回転翼機14機
満載排水量219700石同型艦近江・播磨・越後・駿河・三河・佐渡・蝦夷
以上です。」
「皆様が質問する前に、発射筒はランチャーです。黒影はステルスです。」
「黒子さん、ありがとうございます。尾張級は連邦海軍の主力艦であり、世界戦略を支える重要な役目を持ちます。尾張級は全艦が機動打撃艦隊の旗艦であります。機動打撃艦隊は戦艦1、空母2、巡洋艦4、駆逐艦6、潜水艦4、揚陸艦2、補給艦2から成り立っております。」
上杉長官はここで再び一息吐いた。
「では続きまして超弩級電磁網原子力空母妙高級の説明を致します。」
「……以上が我が帝國連邦の兵力です。」
上杉長官は言い終わるとコップに入った水を飲んだ。1時間に及ぶ説明で喉はカラカラであった。
尾張級以外の説明は恒例の紹介小説で。
「それほど迄に強力な軍事力とは……」
森下国防大臣は資料を見つめつつ呟いた。
「けどこんなに強力ですと、私達はおんぶに抱っこ状態では?」
「確かに……」
高橋外務大臣の言葉に藤咲財務大臣は大きく頷いた。
「それは言わない。私達に出来ないから時空を越えて、大日本帝國連邦軍が助けてくれたんだから。協力してくれるんだから、私達は素直に協力してもらいましょう。」
柏木総理は凛とした声で言った。出来るなら自分達の手だけで東南亜細亜を解放したいとは日本政府の統一見解である。これまでの内閣は憲法を守り続け、軍備増強を行わなかった。大連立内閣で漸く大規模な軍備増強が行われたが、憲法は守り通し真の国家として自立出来なかった。それから自衛隊軍事内閣が組織され柏木内閣となったが、兵器がパッと出てくる訳がない。
……まあ黒子によってパッと出てきたが。
しかし黒子以外はそのような事が出来る訳が無い。時間はある程度掛かるが、確実な軍備増強が必要なのである。
「何はともあれ、宜しくお願いします。」
「こちらこそ。」
柏木総理と篠田司令長官は固い握手を交わした。