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時空超越派遣軍

2018年10月1日午前9時59分

神奈川県横須賀市横須賀基地上空


新生日本海軍連合艦隊の母港となっている横須賀基地は静粛に包まれていた。配備されている第1打撃艦隊(旧第1護衛隊群)は出港して、タイムスリップに巻き込まれないようにして待機していた。これは横須賀に限っての事では無く、呉・舞鶴・佐世保でも同じような事が行われていた。海軍艦艇に限らず漁船からタンカー・輸送船全てが、海上保安庁の巡視船の先導で待避していた。



黒子の話によるとあちらの世界の大日本帝國連邦は海軍連合艦隊の全てをタイムスリップさせるとの事であった。それだけに留まらず、陸軍・空軍・揚陸隊もタイムスリップさせる大盤振る舞いとなった。揚陸隊は海軍連合艦隊の強襲揚陸艦に搭載してのタイムスリップなので問題ないが、陸軍・空軍のタイムスリップも行われる為、全国の陸軍基地・空軍基地も出来る限りのスペース造りに励んだ。それでも足りない為、旧在日米軍基地もタイムスリップ地点に選ばれた。それら全てが国民には極秘で行われていたが、今日のタイムスリップを目撃してもらおうと柏木総理が記者会見で公表した為、横須賀基地のみならず全国の日本軍基地にテレビ局が押し掛けていた。



UH−60JA機内


「総理、約束の時間まで後1分です。」


大河内官房長官の言葉に柏木総理は黙って頷いた。正直言って柏木総理は不安であった。黒子の言うように本当に別の世界の大日本帝國連邦軍がタイムスリップしてくるのかは分からない。黒子を閣僚に合わせ奪還作戦を決定させたあの日、その次の日から柏木総理は国内に点在する東南亜細亜諸国の亡命政府に奪還作戦を伝えに言った。黒子にも登場してもらい、亡命政府関係者は涙を流しながら柏木総理に礼を述べた。韓国亡命政府も此迄の反日活動に謝罪し、祖国奪還を涙ながらに感謝した。亡命政府にとって日本が最後の希望であり、その日本に別の世界の大日本帝國連邦軍がタイムスリップして協力してくれる事実に、ただただ感謝の意を述べるしか無かった。各国の国軍は大中華帝国の侵攻時に果敢に反撃を行い、全滅している。国軍無き亡命政府は協力して奪還作戦に参加出来ない事を口々に謝った。しかし無い袖は振れない。柏木総理もそれは仕方ない事だと言い、日本軍と大日本帝國連邦軍での奪還作戦を明言した。

その希望とも言える大日本帝國連邦軍がもうすぐタイムスリップしてくる。柏木総理は頭を大きく振り、不安を払拭しようとした。彼女黒子を信用出来なければ、日本は大中華帝国に併合されてしまう。今は黒子を信じるしかない。



「!?総理!!海面を!!」


パイロットの声に柏木総理は、窓際に近づいた。柏木総理、実は高所恐怖症であるが今はそんな事は言ってられない。海面を垣間見た柏木総理の目は、明らかな異変を捉えた。


「……これは、一体。」


大河内官房長官は震える口を開きながら呟いた。



海面には白い霧のような物が立ち込め、東京湾一帯を包み込んでいた。ドックや港湾設備も例外では無く、あちらの大日本帝國連邦海軍連合艦隊を受け入れ為のものと思われた。



その永遠とも感じる時間が過ぎると、海面には見たこともない軍艦が停泊していた。


「そ、総理。」

「えぇ。……これは凄いわ。」


大河内官房長官の言葉に柏木総理は声を振り絞りながら答えた。


眼下に君臨する巨艦の獰猛達は威風堂々としており、まさに海の覇者といった風格を漂わせていた。空母だけでも4隻は停泊しており、巡洋艦・駆逐艦も大量に停泊していた。そして何より目を引いたのが。


「総理!!あれは戦艦です!!」


大河内官房長官は興奮したように叫んだ。

柏木総理は瞬きしてその巨艦を見つめた。



3連装の主砲が前後に2基ごと配備され、一際目立つ風格を漂わせていた。柏木総理は昔読んだ本の内容を思い出した。

現代に大和を復活させればそれはまさに不沈戦艦として復活出来る。そう書かれていた。対艦ミサイルでは戦艦の分厚い装甲を破壊する事は出来ないと言うのである。ともすれば世界各国の保有する軍艦の主砲はまさに豆鉄砲でしかなく、大和は傷一つつかないと言うのである。


それを別の世界の大日本帝國連邦は成し遂げたのである。しかも未来世界である為、何かしらの新装備を備え不沈戦艦を実現しているかもしれない。


「艦首をご覧ください!!」



パイロットの声に2人は艦首に目を向けた。


「あれは!!」

「織田帝國って事ね。」


艦首には菊花紋章ではなく織田木瓜が颯爽と輝いていた。




「連絡です。呉・佐世保・舞鶴のみならず、全国の陸軍空軍基地でタイムスリップを確認したとの事です。」

「此れで日本は救われた。」



パイロットの言葉に柏木総理は安堵の溜め息を吐いた。





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