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2016年〜2018年

長らくお待たせいたしました。

2016年4月1日


中国のバブル経済がついに崩壊した。




『後に解明した事であるが、バブル崩壊は当時の中国人民銀行・中国政府が行った自殺行為であった。否、こう書けば誤解を招こう。わざとバブルを崩壊させたのである。アメリカ合衆国を抜き去り世界一の経済大国となった中国は、尋常成らざる異常な経済成長から[安定成長]へと中国政府は舵を切った。中国政府も闇雲にバブル経済を崩壊させた訳ではない。我が祖国日本のバブル経済・バブル崩壊・失われた20年、この一連の流れを国家政策として調べあげた。バブル崩壊は日銀や大蔵省による政策転換が原因となり、更にその後の政府による景気刺激策が中途半端であった事。大きく分ければこの2つが理由であると、中国政府は結論付けた。そこで中国政府はバブル経済を崩壊させる前提で、景気刺激策を計画し特別枠で予算を計上した。まさに共産主義国家ならではの経済政策であった。しかしバブル経済からバブル崩壊への流れは、(バブル)が一瞬で割れるように一瞬にして経済が崩壊する訳ではない。事実、日本では東京で地価が下がり始めても大阪では、地価は上昇・横這いで[時差]があった。バブル経済の崩壊が始まった出発点はバブル崩壊後に、遡って漸く決められた。バブル崩壊は一瞬では無く、数年間を有して崩れさって行くものなのだ。だが中国は先に述べた通り、共産主義国家である。共産党の意思で経済は決められる。GDPでアメリカ合衆国を抜き世界一の経済大国となった中国に、世界経済は動かされていた。その中国が経済を壊滅させた理由は、今になれば良く分かる。[世界征服]がその答えであった。』

津田悦子著

『国家経済』より抜粋





一瞬で巻き起こった『世界経済壊滅の嵐』は、対中貿易で経済を建て直した日本を直撃した。漸く2年前に政権与党へ返り咲いた民自党は、連立政権を組む光明党と対策に追われた。野党は早期の経済対策を行うべきだと追及した。その急先鋒にたったのはやはり民政党であった。しかし日本政治の欠点である選挙ばかりを見据えた短期的な対策しか行われなかった。この対策に当然ながら国民は不満の声をあげた。中国のバブル崩壊から半年後、10月1日には内閣支持率は30%を割った。この事態に遂に民自党は大きな決断を下した。

民政党との大連立政権樹立であった。







2016年11月8日


後の歴史研究家はこの日を『日本政治転換日』と名付けた。それもそうだろう。日本の2大政党である民自党と民政党が大連立政権を樹立したからである。



『大連立政権樹立は民自党の大きな決断であった。民自党は民政党に財務大臣や経済産業大臣・厚生労働大臣の重要ポストを提示した。そしてさらに民政党の考える法案をできる限り成立させる、との事であった。これほどの厚遇に民政党が無関心な訳が無い。民政党は党役員会議で議論を交わし、大連立政権樹立への道を選んだ。そして2016年11月5日。正式に民自党へ大連立参加を発表。光明党もそれを支持し、[大連立プラス光明党による与党支援]と言う青写真が描かれた。その青写真が遂に11月8日に、実現した。衆議院・参議院で過半数を遥かに凌ぎ、憲法改正のハードルである[3分の2]へは若干数足りない(民政党はその点で先手を打った。数名に離党勧告を突き付けたのである。愛人スキャンダルを民政党本部が女性を送り込んで、わざわざ作り上げたのだ。)が、それでも最大級の人員を誇る大連立政権の誕生であった。』

吉村智恵美著

『大連立!!日本政治を再建せよ』より抜粋






2016年11月9日


大連立政権誕生から一夜明けた。新内閣も皇居で任命式を終え、成立した。



『大連立政権は国民に冷ややかに迎えられた。[招かれざる客]と書けば分かりやすいだろう。マスメディアは[大政翼賛会の復活]と報じ、光明党の支持母体である創新学会名誉会長は[戦争内閣]と言い切った。内閣支持率も僅か35%で、発足当初から最悪の数字を叩き出した。この事態に民自党・民政党・光明党は焦った。国家多難の時期にこの支持率を出した大連立政権の行く末を暗示するかのような事態である。野党第一党となった国家新党は、[政権の方向性が見えない]と一刀両断した。確かに大連立政権は一夜明けても、未だに明確な公約を表明していなかった。しかも景気はドン底のままである。其処で大連立政権は、大規模な景気刺激策を立案し始めた。その内容は過去最大のものであった……』

大橋恵美著

『日本の歴史〜混迷編〜』より抜粋






『大連立政権が発表した景気刺激策は、余りにも壮大な内容であった。参考にしたのはアメリカ合衆国の[ニューディール政策]であり、方針は大体似たり寄ったりだったが規模が日本の歴史で最大となった。まず最大の目玉政策が、[耕作放棄地40万ヘクタールで国営のオーランチオキトリウム栽培施設を建設する]であった。オーランチオキトリウムとは一言で言えば、[石油を作る藻]である。2万ヘクタールで日本の年間石油消費量を賄えるほどの石油が精製出来る。もともと筑波大学の教授が2010年に発表したものであるが、その時日本政府は全く相手にしなかった。しかし国民の心が離れている現状で、大連立政権は国民を引き付ける魅力が欲しかった。その魅力にオーランチオキトリウムは十分過ぎた。2万ヘクタールで日本の年間石油消費量を賄えるのである。耕作放棄地40万ヘクタール全てでオーランチオキトリウムを栽培すれば、日本は[石油輸入国]から[石油輸出国]に変貌出来る。魅力過ぎた。日本の技術力からすれば栽培から精製は容易であった。このオーランチオキトリウム栽培の他に、軍備増強・公共事業増大・農業発展大まかに言えばこの3つも同時に行われる。軍備増強はこう書けば物々しいが、[国産戦闘機開発]と[空母建造]の2つである。国産戦闘機開発は細々と続けられている実証検証機[心神]を実用機にする内容となる。空母建造は22DDHやましろ級の後継艦として、そして中国の空母建造に対抗して建造される。中国は通常空母を既に4隻保有し、原子力空母を2隻建造中である。亜細亜の軍事バランスを均衡にする為に2年の予定で2隻を建造する。しかも心神を艦上機とする予定である。所謂海空共有機として実用しようとの考えであり、早期実用化が求められた。公共事業増大は軍備増強と平行して行われる。軍備増強は公共事業として軍需産業に発注され、建造を開始する。その他に高速道路建設や全国的な都市近代化、かつて中田栄角総理が行った[日本列島改造]の現代版と言える。狂乱物価対策も行いつつ、根本的な日本の発展を行う決断をした。農業発展は基礎から叩き直し、農地統一による大規模農場へ集約する事を考えた。一種の会社として農業を変えるのである。日本の根本的な改革を行う景気刺激策であった。』

中崎由美恵著

『日本維新』より抜粋







2017年1月


大連立政権の提出した景気刺激策は、賛成多数で可決。そして今年になり、漸く動き始めた。


『[根本的に日本が変わった。]日本人の誰もが口を揃え、こう言った。耕作放棄地には経済産業省主催の入札を行い、建設業界はその大半がオーランチオキトリウム栽培施設建設…それに先立つ経済産業省会議室を利用した実験では精製に成功した…に関わった。だが耕作放棄地は一ヶ所に集まっている訳では無い。その為耕作放棄地を利用したオーランチオキトリウム栽培施設は、大きさがバラバラの物となった。しかし石油が生産出来る事に変わりは無く、半年後には輸出の目処が経った。此れにより埋蔵量を気にする事が無い、油田が日本に出現した事になる。国内は俄かに活気に満ち溢れた。政府は将来的な消費税やガソリン税の廃止・所得税や法人税等々の大幅引き下げ・高速道路無料化・年金支給額の3割増・公立私立小中高校大学の無料化・医療費の無料化・JR再国有化による鉄道の無料化を発表。此迄の国民が危惧していた問題が一気に解決した事になる。学校機関は教職員はそのままに私立も公立化させ、幼稚園や保育園も国立として建設する。こうする事で待機児童の問題も無くそうというのである。この財源の裏付けは、藻から作られる石油が売れる前提で進められた。』

大道ユエミ著

『日本革命』より抜粋





『自衛隊の強化も、同時に進められた。だが自衛隊の装備を語る前に、中国軍の説明をしよう。中国軍はもはや自衛隊を抜き去り、亜細亜最強の軍備を保有している。陸軍は主力の99改式戦車を筆頭に、強大な機甲師団が編成されている。かつて人海戦術を得意とした軍とは思えないほどの近代化・強大化を成し遂げた。空軍も第5世代戦闘機をアメリカ合衆国・ロシア連邦に次いで取得。F−22・T−50・J−20は第5世代戦闘機の代名詞となった。しかも中国空軍のJ−20は米露の第5世代戦闘機よりも桁違いに多かった。そして何より、海軍が厄介である。通常空母を既に4隻保有する中国海軍は、原子力空母の建造まで開始した。通常空母は満載排水量6万トンと7万3000の2隻ずつでロシア海軍のアドミラルクズネツォフを凌ぐ規模を誇る。そして中華イージスを12隻保有しており、海軍戦力に於いても日本を凌駕した。

この中国軍に対抗する必要が自衛隊に生じた。その為大連立政権は、景気刺激策の一環として軍備増強を発表した。勿論憲法は変わらなかったが……。しかし自衛隊の規模は大きく様変わりした。陸上自衛隊はゲリコマ対策を主眼に置きながらも、機甲車輌の増大が行われた。中国軍は海軍の揚陸艦を増産しており、上陸してこないと言い切れない。戦車を主力に開発が進められた。航空自衛隊は実証検証機心神で得られた技術を取り入れ、第5世代戦闘機開発を進めた。これは海上自衛隊の空母にも搭載される事が決まった。更に輸送機と給油機の増産が決定した。海上自衛隊は22DDHやましろ級の後継艦として、本格的な6万トン級空母の建造が決まった。此れはアングルドデッキと蒸気カタパルトを装備した純粋空母である。この2つはアメリカ合衆国海軍に技術提供を求めた。アメリカとしては出すのを渋ったが、世界的に空母が建造されている中で日本の提案を無視する訳にはいかない。原子力空母はアメリカを筆頭にフランス・ロシアが保有しており、中国・インド・イギリスが建造中である。通常空母はイギリス・フランス・ロシア・インド・スペイン・イタリア・オーストラリア・タイ・ブラジルが保有しており、オランダ・カナダそして日本が建造中である。海上自衛隊初の本格的空母と言われた22DDHやましろ級は、結局は[ヘリコプター空母揚陸艦]とでも言うべき代物となった。しかし此れでは駄目だと言う事、6万トン級の本格的空母が建造されたのである。そして自衛隊の装備強化は順調に推し進められた。』

細内楓著

『自衛隊装備年鑑を解りやすく解説』より抜粋








2017年11月5日


この日は世界にとって忘れられない日となった。中国が[大中華帝國]宣言を行ったのである。国民の不満を外に向ける口実とは言え、帝國主義を復活させるとは世界中の誰もが驚いた。しかし世界は大中華帝國の行動に、再び驚かせた。






11月28日


大中華帝國は突如として、北朝鮮への侵攻を開始した。この行動に世界は凍り付いた。何が起きたのか理解出来なかった。アメリカは事実関係をCIAに調べさせた。世界がただ事実関係を調べているだけに終わった3日間で、北朝鮮は大中華帝國に占領された。ここで大中華帝國は世界に[領土回復計画]を発表。世界は再び凍り付いた……




『領土回復計画。一言で言えば領土を阿片戦争以前の規模に戻すと言うものである。朝鮮半島は実力を見せ付ける為に侵攻したと言われている。ここで驚くべき事に、アメリカは在韓米軍の総引き揚げを行った。後に分かった事だが、大中華帝國はアメリカを恐喝したのである。[世界の警察]と言う看板を下ろせ、米軍基地を引き揚げろ、もし反対すれば核攻撃を行う、核戦争になろうが我が国は人口が減ってちょうど良い。アメリカはこの恐喝に折れたのである。誰も他国を助ける為に、自国が核攻撃を受けるのを許す訳が無い。それにアメリカ史上初の女性大統領となったクレアは、モンロー主義の復活を明言していた。クレア大統領は海外に展開する米軍基地の総引き揚げを命令した。それは在日米軍も例外では無く、日米安保条約も破棄されたのである。』

小道幸子著

『第二次大東亜戦争』より抜粋





2018年3月7日


大連立政権は窮地に陥っていた。反政府デモが発生してから1週間が経過した。



『大中華帝國は領土回復計画を宣言してから東亜細亜各国に宣戦布告を行った。2018年1月には大中華帝國は韓国・シベリア地方・インドシナ半島・マレー半島・インド半島へ侵攻。陸海空の三軍は協同で驚異的な速度で領土を回復させた。占領された国の統治者達は、日本やオーストラリアへ亡命した。そして2月20日には大中華帝國は尖閣諸島と琉球列島へ、その牙を向けた。空母4隻を主力とする海軍に海上保安庁の巡視船は粉砕された。しかし日本政府は自衛隊に防衛出動を命じなかった。日本政府にも大中華帝國は核攻撃の恐喝を行った。尖閣諸島と琉球列島を占領させてくれれば何もしない、だが自衛隊を出動させれば主要都市全てに核攻撃を行う。この恐喝に政府はおとなしくするしかなかった。核兵器を保有しない日本としては手も足も出なかった。だがそんな理由で国民が納得する訳が無い。国民は地方から反政府の声を上げた。それは日数が経過するに連れて激しさを増した。そして遂に3月1日には反政府デモが全国規模で発生した。そして不満を溜め込んでいた自衛隊が国民側に付き、反政府行動を開始した。それは自衛隊クーデターの序章でもあった』

吉永貴美子著

『領土回復計画』より抜粋





2018年3月12日


遂に自衛隊がクーデターを決行。首都東京は陸上自衛隊・航空自衛隊が制圧。海上自衛隊は東京湾に停泊、砲の照準を国会議事堂へ向けた。各都道府県に点在する自衛隊基地からも、庁舎を制圧する為に出動した。この事態に大連立政権は何も打つ手が無かった。国内最強の武力を有する自衛隊がクーデターを起こしたのだから当然だろう。






『国会議事堂・首相官邸等々を占領した自衛隊は首相官邸で記者会見を行った。会見は陸海空幕僚長と統合幕僚長の4人で行われた。統合幕僚長はまずクーデター決行理由を語ると、3つの宣言を行った。1つは憲法停止であった。憲法を停止し、日本人の手で作り直すと統合幕僚長は言った。2つ目は自衛隊の軍昇格であった。本来の有るべき姿に自衛隊を戻すと言うのである。そして最後が国会議員を全員クビにする。この3つを宣言した。最後の国会議員を全員クビにする、これを行うことで国政に大きな穴が空く。此れに対処する為、半年間は軍事政権を樹立すると統合幕僚長は宣言した。かつてエジプト軍が行った期限付きの軍事政権を再現したのである。』

岡宮椿著

『自衛隊クーデター』より抜粋






2018年9月20日


政権は新しく誕生した『日本政治指導会』へと引き継がれ、政党政治は完全に廃止された。新政権の目標は尖閣諸島と琉球列島の奪還であった。






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