亜細亜の旭日作戦
2018年10月21日午前6時
台湾島北東10キロ海域
この海域には日本海軍連合艦隊が集結していた。沖縄解放を成功させた次は、亜細亜解放作戦である。その中で『亜細亜の旭日作戦』の第一歩は日本軍の台湾解放と大日本帝國連邦軍のフィリピン・朝鮮半島・香港空襲である。
台湾解放は沖縄解放と違い日本軍が主力となり大日本帝國連邦空軍が支援する形となる。大日本帝國連邦海軍連合艦隊は3地点同時空襲作戦の為台湾解放作戦には参加しない。打撃力不足の日本海軍連合艦隊単独で上陸作戦が成功出来るか分からないが、大日本帝國連邦空軍が支援してくれる為問題ないと国防省は結論付けた。
同時刻
日本首都東京市ヶ谷国防省地下2階国防戦闘指揮室
ここは日本軍の全てを指揮・命令する謂わば大本営と呼べる場所である。そこに柏木総理と森下国防大臣がいた。
「陸軍上陸部隊、上陸を開始しました。」
オペレーターの声に柏木総理は大きく頷いた。
「大丈夫でしょうか?」
「国防大臣がそんなに心配しないの。信じなさい。」「……そうですね。」
柏木総理に励まされた森下国防大臣であったが、内心は心配で堪らなかった。
日本軍、旧自衛隊は先の第一次大東亜戦争の敗戦から、専守防衛を第一としてきた。自衛隊は専守防衛を固持し兵力は防衛兵器しか有しておらず、上陸作戦と言う事態は想定していなかった。かつて2012年の尖閣諸島国有化に関して反日デモが起きた時、当時の自衛隊及び政府は本気で海兵隊の創設を目指した。尖閣諸島等離島が占領された時の奪還を図るために創設が進められた。しかし当時の政府は海兵隊の創設を諦めてしまった。
そのツケを今回の日本軍は払う事になりかけた、しかし大日本帝國連邦軍が時空を越え支援に駆け付けて来てくれた為、日本軍はその能力以上の作戦を行う事が出来るのである。
「順調ですね。」
突然の声に柏木総理と森下国防大臣が振り返ると黒子が立っていた。
「そうね、貴女の協力で漸く戦後の脱却を図れるわ。」
「いえいえ、何時迄も戦後に縛られ過ぎましたね。」「それもあります。」
森下国防大臣は黒子の言葉に頷きながら答えた。
「これからどうしますか、総理。」
「とりあえずは亜細亜の旭日作戦を完了させないと。それにはNATO軍との協力が必要不可欠です。」
「NATO軍に侵攻してもらう為に大日本帝國連邦空軍に戦略爆撃の要請も考えますか。」
「それもあるわね。」
柏木総理と森下国防大臣の話に黒子が話し掛けた。
「お2人にそれに関してある提案が。」
「何かしら?」
「空母を日本軍に配備したいと思います。」
「空母を!?」
森下国防大臣は黒子の言葉に驚いた。
「空母です。戦後初の大型空母はアメリカ合衆国がカタパルトの輸出を拒否した為に建造が頓挫していますよね?私はそれを一時異空間に転移させ、完成させ2日後に再び戻します。」
「ありがとう。」
柏木総理は黒子に頭を下げた。
「空母が手に入れば少しは大日本帝國連邦軍にも楽してもらえるわ。」
「そうですね。我が国の悲願が実現します。」
「夢は叶える為にあるからね。」
「それでは早速、今から2時間後に転移させます。連絡をお願いします。それでは。」
黒子はそう言うと一瞬で消えた。
「となると早速、連絡をお願い。」
「了解しました。」
森下国防大臣は柏木総理に頭を下げると国防戦闘指揮室を後にした。
「上陸部隊、大中華帝國軍と戦闘状態に突入しました。」
オペレーターの声に柏木総理は大きく頷いた。