開戦
遂に大中華帝國と開戦です。
午後12時
首相官邸1階記者会見場
柏木総理が緊急の国民発表を行っていた。
「本日12時より我が日本軍及び大日本帝國連邦軍は沖縄解放作戦、『琉球の嵐作戦』を開始しました。既に大中華帝國への攻撃は始まっております。」
柏木総理の言葉に記者は口々に質問をした。
「宣戦布告はどうされるのですか!!」
「沖縄解放は成功するのですか!!」
それら全てを手で制すと、再び話し始めた。
「もはや第9条の時代は終わりました。大日本帝國連邦と言う異世界からの強力な軍が支援してくれた訳です。訓練が終われば即時解放作戦を行うのは当然です。あの大東亜戦争の敗戦から73年を迎えます。アメリカ合衆国に本土を焼け野原にされ、その後の占領政策で我が国は国家としての骨格を全て破壊されました。その結果が本2018年の沖縄占領であります。我が国は国家としての尊厳は取り戻しました。次は威厳を取り戻す番です。沖縄解放の『琉球の嵐作戦』を成功させ、全亜細亜解放の『亜細亜の旭日作戦』を成功させる事をお伝えします。以上です。」
そう言うと柏木総理は質疑応答を行わず記者会見場を後にした。残された記者達はそれに反発するよりも73年振りの戦争に記者魂を震わせていた。
同時刻
沖縄本島北東20キロ海域
この海域のみならず沖縄本島周辺が大日本帝國連邦海軍連合艦隊により包囲されていた。日本海軍連合艦隊はその艦艇の少なさ故に、この北東20キロ海域に集結していた。たかが島を取り戻すのには過剰兵力であるが、大中華帝國にその軍事力を見せ付ける為この過剰兵力が投入されたのである。日本各地に転移してきた大日本帝國連邦空軍は既に沖縄本島の大中華帝國軍施設への爆撃を敢行。同時多発的な爆撃であった為、大中華帝國軍は反撃する間もなく壊滅し戦場とは思えない程海域は静かであった。
大日本帝國連邦海軍連合艦隊旗艦超弩級電磁網原子力戦艦尾張戦闘指揮室
「流石は空軍。仕事が早い。」
「しかし長官、そのおかげで空母部隊は活躍出来ませんでした。」
「仕方ないわよ。」
第1機動打撃艦隊司令長官上杉梨華少将は参謀長長谷瞳准将の言葉に答えた。
「でもそれにより上陸作戦が迅速に行えると思います。」
「そうね。琉球を取り戻すのが初期作戦の目標だから。」
「長官、こちらは琉球では無く沖縄です。」
「あっ!!こっちは沖縄だっったかしら。4機打艦(第4機動打撃艦隊)の葵は大丈夫だと思う?」
「大嶺少将は今回の派遣も渋々でしたからね。」
長谷参謀長は溜め息を吐きながら答えた。
上杉梨華第1機動打撃艦隊司令長官と大嶺葵第4機動打撃艦隊司令長官は海軍兵学校と連邦軍事大学校で同期であった。更に2人は同期である上に親戚でもある。上杉長官は冷静沈着に一歩一歩を確実に進んでいく、それに対して大嶺長官は勇猛果敢が当てはまる不確実でも突進する。この2人は性格だけで無く主義も違う。上杉長官は中道派であり、それに対して大嶺長官は極右である。大日本帝國連邦による極右は天皇家を廃止する事を思想としている。極左は所謂王政復古の天皇家による国家統治を掲げている。
その思想の違いが上杉長官の心配として現れたのである。
「まあ良いわ。葵は何だかんだ言っても命令は成し遂げる女だから。」
「それは大丈夫ですよね。」
2人はそう言うと大型液晶画面に目を向けた。圧倒的な数の黒点が沖縄に表示され、上陸作戦が順調に進んでいる事を示していた。
沖縄解放作戦『琉球の嵐作戦』は沖縄上陸後、大中華帝國軍の降伏により2時間で沖縄は解放された。その5時間後琉球列島全土と尖閣諸島が解放された。