薄幸の美少女
プロローグ
東京都歌舞伎町の上空、嵐が吹き荒れる悪天候のさなか五つの頭を持つ龍が暴れ狂っていた。
五頭竜は嵐を呼び雷を降らせ洪水を巻き起こし地震を引き起こし、ビル群を崩壊させ大火を発生させた。五頭龍のそばには円形のバリアに包まれた弁財天が琵琶を激しくかき鳴らしている。弁財天は天女の羽衣もまとい金斗運に乗っていた。
対峙しているのは須佐男、毘沙門天、武甕雷の三柱だ。武神たちは空を駆けまわり手にする武器で龍の首を斬り落とそうと試みている。
三柱の顔色は悪く動きは精彩を欠いていた。
その様子を見て弁財天は美しい顔に邪悪な笑みを浮かべている。
時は経ち11年後・・・
わたしの名前は山田幸子。小学生6年生で赤いリボンがトレンドマークの美少女だ。
幸子という名前なのにめっちゃ不幸な人生に絶望している。
昨日も登校していると居眠り運転の車が突っ込んできて転んで怪我をした。
その日は学校を休んで翌朝、頭と足と腕に包帯を巻いて右目に眼帯をして登校していると、みんながウワサしているのが聞こえた。
「あの子、またケガしてる。ぜったい呪われてるよ」
「よっぽど前世の行いが悪かったのね。無益な殺生を繰り返したんだわ」
「不運がうつるから近づかないようにしようぜ」
わたしの運の悪さは学校中に知られていてわたしと一緒にいると事故や事件に巻き込まれる可能性が高い。そのせいでわたしにはだれも近寄ってこない。みんな自分の命が大事なんだ。そのせいで学校で完全に孤立していた。家は貧乏だし、すぐ風邪引くし、よく死にかける。貧乏神と疫病神と死神にセットで取り憑かれている感じだ。
学校の授業を上の空で聞きながら、人生について考えた。車にひかれかけたり、コンビニ強盗で人質にとられたり、マンションから花瓶が落ちてきたり、犬に噛まれたり、毎日、日替わりで不幸が襲ってくる。このままじゃもうすぐ死んじゃうよッ!座して死を待つわけにはいかないわ。
わたしはいきおいよく立ち上がった。
「死の運命なんて乗り越えてやるッ!」
クラス中のみんなの注目を集める。あっ・・・
「山田さん。だいじょうぶ?」
女性教師は心配そうに見つめてきた。
「だいじょうぶですッ!」
わたしは赤面して着席した。みんなクスクス笑ってる。
つい熱くなって決意表明してしまった。しかし、鉄は熱いうちに打てだ。
わたしは放課後、図書室に向かった。
運が悪い人間はそれだけで上に立たせてはいけない。




