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第六十八小節 ~あの鐘を鳴らすのは……~



 時間は夜。あれほど大地を焼き、人々の肌を焦がしていた太陽は、そのにこやかな笑顔を地平線の彼方へと隠した。しかし、太陽が去った後も、荒野の町テドには熱気が重く居座っている。


 乾燥した空気が肌に纏わりつき、昼間の余熱が地面から陽炎のように立ち昇る中、町はゆっくりと深い闇に覆われていった。


 今夜は新月。天に座すべき月の光は何処にも届かず、世界は濃密な黒に塗り潰されている。その代わりに、雲一つない夜空には、零れ落ちそうなほど無数の星々が瞬いていた。


 都会の喧騒では決して拝むことのできない、命の火花を散らすような星の海。それはまるでもうすぐ始まる「儀式」を祝福しているようでもあり、あるいは、これから起こる惨劇を無言で俯瞰する冷ややかな神の瞳のようでもあった。


 ルヴェンとエルミナの二人は、昼間に見つけたあの廃屋同然の教会に潜り込んでいた。そこは町外れの小高い丘の上にあり、今は人々に忘れ去られた場所だ。二人はそこで、細々とした、けれど彼らにとっては生涯で最も大切な「結婚式」の準備に取り掛かっていた。


 教会の内部は惨憺たる有様だった。窓ガラスはことごとく割れ、かつて信者たちが祈りを捧げたであろう長椅子は、まるで暴力の嵐が吹き荒れた後のようにグチャグチャに倒れている。

 煤けた壁には、行き場のないゴロツキたちが書き殴った卑猥な落書きや、意味を成さないひび割れが刻まれていた。


 だが、二人の表情に落胆の色はない。彼らはまず、部屋の奥で横倒しになっていた石造りの祭壇を、二人で力を合わせて立て直した。そして、昼間の買い物で手に入れた小さなキャンドルを幾つも並べ、火を灯した。


 仄かな、けれど温かいオレンジ色の明かりが、冷え切った教会内を優しく包み込んでいく。影が揺れ、埃の舞う空間が、不思議と神聖な場所へと変貌していった。

 祭壇の前に並んで座る二人の横顔を、小さな炎が暖かく照らし出す。


「エル。とうとう、この日が来たね。……本当は、もっと綺麗なドレスも、光り輝くような指輪も用意してあげたかったんだけど。僕たちには、これが精一杯だ」


 ルヴェンはエルミナの細い手を両手で包み込み、震える声で語りかけた。その蒼い瞳には、彼女への溢れんばかりの情愛が宿っている。


「……わかってるよ、ルヴェン。私、もともと豪華な式なんて望んでなかったよ。こうして、あなたと一緒にいられるだけで……この静かな時間だけで、私にとっては十分すぎるくらい贅沢だよ」


 エルミナはそう答えると、信頼を込めてルヴェンの肩に頭を預けた。彼女の髪から漂う、どこか懐かしく、安らぎを感じさせる香りが、ルヴェンの高ぶった心を静かに沈めていく。


「ありがとう、エル……」


 ルヴェンは小さく呟き、彼女の額にそっと唇を寄せた。

 エルミナは頬を林檎のように赤らめ、照れ隠しだったのだろうか、急に辺りを見回した。すると、祭壇のすぐ後ろ、壁に掲げられた古びた十字架の傍に、天井の暗闇から一本の太いロープが垂れ下がっているのが目に留まった。


「あ! ルヴェン、見て。あのロープ、何かな?」


 彼女はすっくと立ち上がり、子供のような好奇心でそのロープへ駆け寄った。それは長年の歳月で変色し、大人の手でも握りきれないほど太く、ゴワゴワとした麻のロープだった。


「エル! それ、もしかして教会の『鐘』を鳴らすための……。だめだよ、強く引っ張っちゃ!」


 ルヴェンは、エルミナが今にもそのロープに全体重を預けてぶら下がろうとするのを見て、慌てて素っ頓狂な声を上げた。

 もしこんな夜更けに、町中に響き渡るような鐘を鳴らしてしまえば、すぐに自警団が飛んできて、不法侵入で捕まってしまう。そんな現実的な不安が彼を突き動かしたのだ。


 ルヴェンのあまりに必死な焦りぶりに、エルミナは一時目を丸くしていたが、やがて堪えきれなくなったように噴き出した。


「あははは! ルヴェン、なんて声出してるの! 壊れた楽器みたいだよ、間抜けだなぁ」


 ついには腹を抱え、埃だらけの床に転がり込んで笑い転げる彼女を見て、ルヴェンは頬を膨らませた。


「もう! 笑ってばかりいないで。ちゃんと準備を終わらせるよ」


 彼は半ば呆れながらも、独りで最前列の長椅子を整列させ、式の体裁を整える作業に戻った。




 それからしばらくの間、二人は額を汗で濡らしながら、教会の整理と掃除に没頭した。

 この教会は、正面に成人男性が二十歩ほどで辿り着く祭壇があり、左右はその半分ほどの幅しかない小さな造りだ。

 それでも、一人で全ての椅子を並べ直すのは骨が折れる。せめて最前列だけはと、二人は納得のいくまで配置をこだわり抜いた。


「ふう……。なんとか形になったね。あとは、大切な『客人』を待つだけだ」


 滴る汗を手の甲で拭いながら、ルヴェンが満足げに息を吐くと、エルミナが妙案を思いついたように声を上げた。


「ねえ! オルスに神父さん役をやってもらおうよ! 身体がデカいから、きっと様になるよ!」


 その提案に、ルヴェンも「なるほど、それはいい」と賛成した。親友に祝福される式……それは彼にとっても理想的な形だった。


 しかし、待てど暮らせどオルスが現れる気配はない。


「……待っているより、僕が迎えに行った方が早いかな」


 ルヴェンはそう言い出した。昼間の買い物で用意した、式用の白い紳士服。それを着たまま町中を走るのは流石に目立ちすぎる。彼は上着だけを脱ぎ、下に隠していた薄い半袖のシャツに着替えると、教会の重厚な木製扉に手を掛けた。


「エル、じゃあ行ってくるね。オルスが来たら、例の合図のノックで開けてあげて。……すぐ戻るから」


 振り返りざまに元気よく告げると、ルヴェンは闇の中へと全速力で駆け出していった。


 一人残されたエルミナは、整えられたばかりの最前列の椅子に腰を下ろし、ゆっくりと瞳を閉じた。


 今、彼女の胸中にはどのような想いが去来しているのだろうか。割れた窓から忍び込む夜風が、不気味な笛のような音を立てて建物を揺らし、遠くの地平線からは野良犬たちの遠吠えが聞こえてくる。


 そんな静かな夜の闇に、ふわりと、柔らかなヴァイオリンの音色が混じり始めた。


 しかし、エルミナはその調べに気づく様子もなく、幸せそうに鼻歌を歌っている。


 音色の源を辿れば、それは教会の屋上、大きな銅製の鐘が鎮座する小さな塔の頂上にあった。銀髪を夜風に遊ばせ、虚空に腰掛けるようにして、ロインがヴァイオリンを奏でていたのだ。


 彼の演奏は、本来ならば町中に響き渡るほどの音量を持っていたはずだ。しかし、不思議なことに、その音を耳に受けることのできる人間は、この地上には誰一人として存在しないようだった。


 スローテンポで、どこか物悲しく、けれど慈愛に満ちた楽曲。幾度となく起伏を繰り返し、旋律が夜空へと溶けていく。十分経ったのか、それとも一時間経ったのか。ロインの周囲だけ、時間の概念が歪んでいるかのようだった。


 やがて一曲を終えた彼は、静かに弓を下ろし、吸い込まれるような夜空を見上げた。

 ロインは、独り言のように、けれど重々しい口調で言葉を紡ぎ出す。


「約束の時、幸せの時。

 心弾ませる彼らは、この暗闇の中で誓いを望む。


 約束の時、決意の時。

 心固める彼は、この暗闇の中で何を望む?


 想いの交差する町には、満月が二つ昇るだろう。

 ……血塗られた、黒い満月が」


 ロインは胸元から分厚い楽譜を取り出し、とあるページの『二十六小節目』を指差した。


 荒野から響く犬の遠吠えが一段と高くなり、冷たい風が彼の銀色の前髪を激しく撫でる。彼はゆっくりと立ち上がると、空間に突如現れた「時の扉」の中へと、音もなく姿を消した。


 しばらくの間、教会には空白の時間が流れた。

 だが、再び塔の頂上に扉が現れ、ロインが姿を覗かせる。今度はその手に、小さなハーモニカを握っていた。


 奏でられるのは、ブルース調の、ひどく寂しげなメロディー。その調べに呼応するように、教会の外から一人の足音が近づいてきた。


 荒い息遣い。砂利を踏みしめる重い靴音。


 その気配は扉の前で止まった。塔の上のロインは、楽器を奏でながら冷徹な眼差しでその人物を見下ろす。扉の下からは、何やら男の低い呟きが聞こえていた。


 やがて、その人物は教会の扉を、ゆっくりと、正確に『五回』ノックした。


 軋む音を立てて扉が開く。その光景を見届けると、ロインもまた時の扉の中へと消えていった。


 それから、どれほどの時間が経っただろうか。実際には数分も経っていなかったのかもしれない。


 静寂を切り裂くように、教会の『鐘』が――大きく、重々しく、町中に鳴り響いたのだった。






 ーー時間は、少しばかり遡る。


 教会の扉を勢いよく飛び出し、商店街へと続く鍛冶屋の道をひた走るルヴェンの心は、希望で満たされていた。


「オルス、びっくりするだろうな。まさか僕の方から迎えに来るなんて思ってないだろうし」


 独り言を漏らしながら走る彼は、すれ違う人々の顔を注意深く確認していた。途中でばったり会えれば、そのまま教会へ連れ戻せると考えたからだ。


 商店街は夜だというのに、昼間以上の熱気に包まれていた。飲食店からは男たちの怒号に近い笑い声が漏れ、通りには串焼きの肉の匂い、安酒の臭い、そして濃い葉巻の煙が立ち込めている。


 ルヴェンは店先に並べられたテーブルの脇をすり抜け、さらに細い路地へと入り込んでいく。


 ひょろりとした体躯の優男が、夜の街を必死の形相で走っている姿は、肉体労働者たちの目には奇異に映ったのだろう。酔っ払った男たちから何度か野次を飛ばされたが、彼はそれすらも耳に入らない様子で走り続けた。


 路地裏に入ると、街の活気は嘘のように消え去り、湿り気を帯びた陰気な空気が漂い始めた。


 ふと、遠くの教会の方向から、微かにヴァイオリンの音色が届いたような気がした。


 しかし、自分の荒い息遣いと、高鳴る鼓動の音にかき消され、彼はそれを気のせいだと切り捨てる。

 ルヴェンが路地裏の突き当たりに辿り着くと、そこには炉のための薪がうず高く積まれた、大きな煙突のある木造家屋があった。


「あの酒場の近くの鍛冶屋といえば、ここだけのはず。……明かりが消えてる。オルスのやつ、まさかもう寝てるんじゃ……」


 嫌な予感に苦笑いを浮かべながら、彼は家屋の扉の前に立ち、周りの迷惑にならないよう少し声を落として呼びかけた。


「すみませーん! 誰か、いませんかー?」


 だが、そんな蚊の泣くような声では、頑丈な扉の向こう側には届かない。


「すみませーん!! ちょっと、いいですかー!?」


 今度は声を張り上げ、扉を激しくノックした。すると、中から地響きのような図太い男の怒鳴り声が返ってきた。


「こんな夜更けに誰だ!! 人の眠りを邪魔しやがって!!」


 ドスドスという大きな足音が近づき、扉が勢いよく開け放たれた。中から現れたのは、白髪混じりの顎髭を蓄えた、黒い肌の筋骨隆々とした老人だった。老人は有無を言わさずルヴェンの胸倉を掴み上げ、激しい勢いで罵倒する。


「なんだ、このひ弱な兄ちゃんは!? この『デリドス工房』に何の用だ!? お前のような青二才に売ってやる鍛冶品など、一万年早いわ! 出直してこい!」


 老人の顔が鼻先まで迫る。凄まじい酒の臭いに、ルヴェンは恐怖よりも先に吐き気を覚えた。


「ちょっと、落ち着いてください! 僕は、友人を呼びに来たんです! ここで働いているはずの、オルスという男を探しているんです!」


 ルヴェンが老人の手を必死に振りほどいて目的を告げると、老人の表情が、疑念に満ちたものへと変わった。


「……あん? 何を言ってやがる。ここにいるのは、俺と息子夫婦の三人だけだ。オルスだか何だか知らねえが、そんな奴ぁ、うちにゃいねえよ。人違いじゃねえのか、このクソガキ!」


 老人はそう吐き捨てると、ルヴェンの鼻先で扉を乱暴に閉ざした。


 閉められた扉の風圧に、ルヴェンはたじろぎ、その場に立ち尽くす。


「……そんな、馬鹿な。確かにオルスはここで働いていると言っていたのに……」


 胸の中に、得体の知れない不安が渦を巻く。彼は、オルスが鍛冶屋の場所を間違えて伝えたのか、あるいは出任せを言ったのかと考えながら、再び大通りへと足を引き返した。


 だが、先ほどまでの宴の雰囲気は一変していた。


 街には不穏で殺伐とした空気が充満し、人々が通りの端にある宿屋の方へと集まり始めている。自警団の大男たちが怒鳴り声を上げ、集まった野次馬たちを力ずくで排除していた。


「おい! あそこの宿屋で『殺し』があったらしいぞ!」


「なんだって!? 仏さんは誰だ、どこの奴だよ!?」


 飛び交う怒号。ルヴェンは人混みの中に呆然と立ち尽くしていたが、一人の野次馬が放った言葉に、全身の血が凍りつくのを感じた。


「なんでも、殺されたのは『フェルダイの騎士』だってよ! ドラゴン……なんとかって呼ばれてる連中らしいぜ」


 フェルダイの騎士……ドラゴン……。


「……竜討騎士ドラゴンバスター!?」


 思わず叫んでいた。寒気と恐怖が背筋を駆け抜け、膝がガクガクと震える。


 なぜ、彼らがここに? まさか、自分たちの追っ手として?


 

 ルヴェンは事件現場とは反対の方向――教会へと、狂ったように駆け出した。




「早く……早く戻らなきゃ! エルに、逃げる準備をさせなきゃ……!」


 心臓の鼓動が、先ほどまでの幸福な高鳴りとは正反対の、命を削るような激しいビートを刻む。一回一回の鼓動が、胸に太い杭を打ち込まれるような苦しみを伴っていた。


 真っ暗な夜道。背後の街の明かりが届かなくなり、沈黙を守る民家と冷ややかな星の光だけが、ルヴェンを迎える。


 生温かい風が頬を撫で、汗で滲んだ額には髪がべったりと張り付いている。彼は喉の渇きも、砂埃が喉に絡みつく不快感も無視して、ただひたすらに走り続けた。


「エル! エル――!!」


 枯れた声を振り絞り、彼女の名を叫ぶ。


 やがて、小高い丘の上の教会へと続く一本道に差し掛かった頃。ルヴェンは一度足を止め、激しく上下する肩を落ち着かせようと深呼吸をした。


「……ふぅ、ふぅ……。ここなら、まだ見つかっていないはず。それにしても、バスターがこの町にいるなんて……」



 額の汗を拭い、自分を落ち着かせるように呟く。

 その時だった。




 教会の『鐘』が、夜の静寂を切り裂いて鳴り響いた。


 ――ゴォォォォン……と、深く、重く、地を這うような鐘の音。それは、不吉な予兆以外の何物でもなかった。


「エル……! 何やってるんだよ、あんなに鳴らすなと言ったのに!」


 ルヴェンは眉間に指を当て、溜息をついた。きっと、寂しさに耐えきれず、あるいは悪戯心でロープを引いてしまったのだろう。この騒ぎの中、鐘など鳴らせばすぐに自警団が来てしまう。


 彼はエルミナに一言注意してやろうと、再び教会へと走り出した。

 回り道をしながら丘を上がる。足元の砂利が音を立てる。


 彼女への小言、親友への疑惑、そして竜討騎士の影。そのどれが一番重かったのか、今の彼には分からなかった。ただ、一刻も早く彼女の顔が見たい、その一心だった。


 ルヴェンは教会の扉の前に辿り着くと、呼吸を整える間も惜しんで、勢いよく扉を押し開けた。


「エル! 今、町が大変なんだ! こんな時に鐘なんか鳴らしちゃ――」


 その言葉の途中で、ルヴェンの動きが、完全に停止した。


 時間が止まったわけではない。ただ、彼の周囲の空気だけが絶対零度まで冷え込み、すべての感覚が凍りついたのだ。


 静止したルヴェンの表情が、ゆっくりと、しかし劇的に崩壊し始めた。



 小刻みに震える彼の金髪は、根元から這い上がるように不気味な漆黒へと染まり、左手のグローブが、膨れ上がる魔圧に耐えきれず弾け飛んだ。



 そこから溢れ出したのは、この世のものとは思えない黒い霧とおぞましい冷気。


「オオオ……オオオオオオオオオオオ!!」


 それは、人間の上げる声ではなかった。


 ルヴェンの身体は、内側からボコボコと異音を立てて蠢き、変態を始めていく。見開かれた瞳は白目を残さず漆黒に塗り潰され、背中からは実体化した巨大な、悍ましい翼が突き破るように生え出た。


 全身を硬質の黒い鱗が覆い、人間の形を辛うじて留めながらも、そこにあるのは完全なる「死の象徴」――黒竜そのものだった。

 

 『それ』は、鼻を鳴らして血の匂いを嗅ぐそぶりを見せた後、天を衝くような怒号を上げ、教会そのものを破壊せんばかりの勢いで闇の中へと姿を消した。


 ルヴェンは、なぜ絶望したのか。


 彼の美しい蒼き瞳が、最後に捉えた光景は何だったのか。


 そこには、彼が愛した「エルミナ」という少女の、健やかな姿はなかった。

 



 彼女の身体は、床に横たわっていた。



 最期の瞬間に、助けを求めて、あるいは抗うために強く引っ張ったのであろう鐘の紐を、その白い手で硬く握りしめたまま。

 



 かつて純白だった安物のドレスは、身体から溢れ出した紅い奔流によって、残酷なグラデーションに染め抜かれている。

 

 ……その背中には、フェルダイ騎士が護身用に用いる鋭利な護身刀が、逃れようのない深さで突き立てられていた。











 そして――。




 本来あるべき場所から切り離された彼女の「頭部」が。

 




 血に汚れた祭壇の上に、まるで何かの供え物のように静かに置かれ、事切れた後の虚ろな瞳で、帰ってきたルヴェンをじっと見つめていたからだ。

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