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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

エコーチェンバー ルームメイト

作者: 笹木 人志

 デジタルデドックスの為に、入所した施設で私は自前のスマホを未だ持ったまま、個室のベッドに座っていた。来訪したとき、森の中にポツンとあった白いドーム状の未来的な建物に思わず目を奪われたものだった。その時は、駅から送迎の車で来たが、私は一人きりだった。老ドライバーは、来る時間がまちまちで効率が悪いとぼやきつつ、私を下ろすとまた駅に向った。


 やがて同室の女性がやってきた。私同様にやつれた顔付きで目の下には隈ができている。スマホばかり操作していて寝ていない顔だ。

 互いにどう会話していいか困惑している間に、彼女は黙礼だけして、空いているベッドに腰掛けてスマホを操作した。互いにいずれ、手放す必要のある機器だ。


「緊急事態発生の為、施設が閉鎖されました。指示があるまで部屋を出ないでください」と館内放送が突然流れた「食料は冷蔵庫にあります。トイレ、バスは利用可能です」


 それでも、私達は顔も会わさない、ただスマホを操作する。しかし、妙だった。何を検索しても、人にそっくりの未知の生命体が地球上で既に多く繁殖し、それが攻撃をしかけているというニュースや動画ばかりなのだ。


「フェイクだろ」思わず口に出る。同じセリフを同居人も言った。各自の生活タイミングで食事をして、排泄をして、寝る。侵略のニュースにどっぷり漬かる。家で、ひきこもる事になれている分には、むしろ快適だ。だれも私の行為に何も言わないから。


 しかし、何時からだろうか、私はそのニュースがフェイクに思えなくなってきた。検索をする行為は私の意思なのに、結果は何時も同じようなものばかりだ。そして、施設の不穏な空気感。同居人は、本当に人間なのだろうか?


 唐突にメール。


この人は異星人です。添付された画像には、同居人の顔。

私は、同居人に襲い掛かった。同時に同居人も同じ行為に出た。首を絞め合う、二人。そして私が生き残った。

 荒い息をして死体を見下ろしていると、ドアが開いた。白い服を着た綺麗な女性が、真剣な眼差しで私を見た。「人類はもうここにしかいないわ、あなたはどうする?」


「なら外にいる異星人を皆殺しにするだけ」私は、戦いの場を求めた。


「さようなら」という女性の頭から伸びた金色の触手がひらひらゆれた。ネットによればこの姿は神である。私は神の意思の下で戦うのだ。






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