表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/59

第18話 ブラック or ホワイト

「う~ん、特にはないかな。聖剣≪クラウソラス≫を使って試しておきたいことはもうだいたい試し終わったし」


 訓練と実戦を通して、既に聖剣≪クラウソラス≫の力はほぼ完璧に把握できている。

 なのでこれ以上の訓練は必要なさそうだ。


「でしたら今日もゆっくりお過ごしになるんですよね?」


「あー、やっぱまずいかな? まだまだドラゴンとの戦争中の真っ最中なのに、たるんでるとか思われちゃうか?」


 俺は暴言パワハラ上司の元、肉体的にも精神的にも追い込みをかけられまくっていたブラック社畜時代を思い出して、思わずそう尋ねたんだけど、


「まさかそんなことはありませんよ! 勇者様は1000体のドラゴン軍団を全滅させた功労者なんですから」


 リュスターナから返ってきたのはとてつもなくホワイトな答えだった。


「そ、そうか?」


「それに勇者様はずっと戦ってばかりだったじゃないですか。キングドラゴンにグレートドラゴン。上位種ドラゴンと短期間に連戦するだなんて、本来は命がいくつあっても足りない大変なことなんですよ?」


「他の人の話を聞く限り、どうもそうみたいだな」


 勇者となった俺の感覚では、どっちも雑魚めのドラゴンに過ぎなかったのだが、それはあくまで勇者目線の話だ。

 あのクラスの上位ドラゴンになると、≪盾の聖女≫と呼ばれ人間の中ではかなり強いリュスターナですら、まともにやりあったら1分も持たずに殺されるらしい。

 一般兵なら推して知るべしだ。


「ですので今は身体をしっかり休めて、来たるべき更なる決戦に備えて英気を養うことがなにより大切だと私は思うんです」


「うん、俺もその予定だよ。しばらくはゆっくりしようかなって思ってたんだ」

「あら、そうだったんですね」


 なにせいきなり異世界に来たと思ったらドラゴンと戦って。

 聖剣≪クラウソラス≫を手に入れて。

 さらには1000体のドラゴン軍団とも戦ってと、ここまで怒涛の展開だったからな。


 これからいくらでもしんどくなるだろうし、身体と心を休めておいて損はないと思っていたのだ。


「ああでも、一応この後のドラゴン軍団の侵攻予想とかは聞いておきたいかも?」


「1000体を越えるドラゴン軍団を全滅させたんですから、敵もしばらくは動いてこないとは思いますけど……」


「まぁそれもそうか」

「もちろん楽観はできませんけどね」

「だよな」


 確かにリュスターナの言う通りだ。

 あれだけの大軍勢が全滅したのはドラゴンたちにとってかなりの痛手だったはずだ。

 今頃、向こうも体勢を立て直すのに必死だろう。


「あ、そうです。ちょうど今、偉い人たちが天才軍師メイリンのアドバイスを受けて今後の方針や作戦を練ってくれているはずなので、よかったら聞きにいってみますか?」


「天才軍師メイリン?」


「天才軍師メイリン=シュトゥットガルト。誰も考えつかない戦術と、バンバン当たる敵の行動予測からそう呼ばれているんです」

「へぇ、そんなすごい人がいるのか」


「ドラゴンと比べてはるかに力が劣る人類が、今までなんとか戦線を維持できたのも、軍師メイリンが敵の行動を予測していろんな対策を講じてきたからなんですよ」


「ほほぅ、なるほどね」


 勇者(俺のことな)がいなかった間、いったいどうやって強大なドラゴン相手に戦えていたのか不思議でしょうがなかったんだけど。

 なるほど納得、天才軍師様がいたからか。


 しかしかっこいい響きだよな、天才軍師って。

 言ってみれば諸葛孔明とか黒田官兵衛とかそういうあれだろ?

 平凡な脳みそしか持っていない俺じゃ逆立したってなるのは無理だろうなぁ。


「それでどうします? 作戦会議に顔を出してみますか? 実際に最前線で戦う勇者様なら、いきなり行っても誰も文句は言わないと思いますよ? むしろ喜ばれるかと」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 冥琳さんは無印での途中退場は有名でしたね。 真の呉√でも最後に…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ