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追放物小説にはまった、過去の英雄で今はただのおっさんの俺が仲間に送別会で追放物を再現してもらった結果

作者: たっちゃん

思い付いたことを適当に書いたので短いです。

 ある酒場で青年が周りの客にも聞こえるように


「アレクのおっさん、あんたはこのパーティーのお荷物だ。今すぐこのパーティーから抜けろ。」


 アレクこと俺を指差しながら青年が言った。




 俺はアレク。今年で35歳になったしがないおっさんだ。これでも15年ほど前はAランクで凄腕の冒険者で何事もなければSランクに上がれるだろう言われるほどだった。15年前、ある村をドラゴンから守るために右腕を駄目にしてしまい冒険者を引退して若手冒険者パーティーの育成をしていた。15年前のある日、とある村にフレイムドラゴンが向かっているという知らせが入った。ドラゴンにも色々な種類がいるが今回のフレイムドラゴンはその中でも比較的強いドラゴンで本来ならAランクだと対策した数人パーティーで戦うのが普通だった。

 不幸にもその時王都のギルドにいたBランク以上の冒険者は俺しかいなかった。なので増援が来るまでは俺が1人で足止めをし、他の冒険者は村人の避難誘導をして貰うことにした。

 王都を出発した俺たちは村に着き、俺はフレイムドラゴンが来ている方角の森へを向かった。思ったよりもフレイムドラゴンが早く森に入って1時間ほどしてフレイムドラゴンと遭遇した。足止めをするために戦っていると俺の後ろの方から小枝を踏む音がしたため振り向くとそこには5歳ほどの少女がドラゴンを見て恐怖で固まっていた。


「そこの少女早く逃げろ!」


俺の声でやっと動けるようになった少女が逃げようとすると、フレイムドラゴンが咆哮をあげた。


『GARRRRRRRRRRRRRYO!』


咆哮を聞いた少女は萎縮してしまい気を失ってしまった。このまま戦いながら少女を守ることは出来ないため、予定を変更して無理をしてでもとうばつすることにした。

 まずはドラゴンの視界に少女が入らないようにドラゴンを挑発しながら奴の背後に回った。思惑通りドラゴンは俺を狙いを定めて少女を視界から外し少女から距離を取ることに成功した。1時間ほどボロボロになりながら戦っていると急にドラゴンが俺に背を向け飛び始めたので俺も急いで追いかけると今度は急降下し始めた。不思議な行動を始めたことを疑問に思いながら地面の方を見ると気を失った少女が倒れていた。奴は少女を食べようとしていることに気づいた俺は


「と~ど~け~!」


と叫びながら全力で走り少女を押し退けた直後、右腕に鋭い痛みが走った。すぐに右腕の感覚が無くなったが奴の首が目の前にあり倒すチャンスだと思い、剣を左手で持ち全力で振り抜いた。剣は折れてしまったが奴の首を切り落とし討伐することが出来た。

 討伐した後、アドレナリンが切れたことで腕の痛みがやってきたので右腕を見ると肘から先が無くなっていた。とりあえずポーションを使いながら応急処置をして少女を抱っこして村へ帰った。村へ着くと冒険者達にドラゴンは1人で倒したこと、傷の治療をするために王都に戻ることにしたことを伝えた。村では怪我の治療を出来るほどの医者がいなかったため、数人の冒険者と一緒に王都へ先に戻るために村を出発したところで意識を失った。

 目を覚ますと病院だった。話によると村を出て村が見えなくなると気を失い、1週間目を覚ましてなかったらしい。そして、腕の損傷、あばら骨を何本か骨折、内蔵の損傷があり1か月最低でも入院が必要で無くなった右腕はどうも出来ないと言われた。

 入院中、俺はあるものと出会ったことで、俺の運命が変わった。そう追放ものと言われる小説だった。この世界には異世界からやってきた人間のことを迷い人と呼んでいるのだが、その中の1人が文学好きということで様々な小説を伝えて庶民、貴族問わず色んな人が好きになった。庶民は冒険者の話、貴族では学舎での恋愛ものが特に人気だったらしい。俺も追放ものにはまった。元々俺は庶民の生まれで冒険者としてSランクになって有名になりたかったから冒険者をしていた。主人公は平凡な能力しかなく仲間から追放されてしまうが、そのおかげで隠された能力や自身も知らなかった能力が開花して成り上がっていったり恋人が出来るところが面白かった。幸いドラゴンの素材で懐が温かかったので暇な入院中は色んなジャンルの小説を読み漁った。どれも面白かったがやっぱりパーティー追放ものが1番面白くいつしか俺も追放されてみたいと思うようになった。しかし俺は、元々ソロメインで時々パーティーの助っ人として参加をする程度だったため追放される物語のようにパーティーには属していなかった。そんなことを考えながら入院生活を過ごしていた。

 1ヶ月後、傷もだいぶ良くなったため退院することができたので王都で1番有名な工房へ義手を作って貰いに行った。冒険者ギルドへ行くと俺と一緒に村へ行った冒険者達が駆け寄ってきた。


「アレクさん、俺達が弱いばかりに1人でドラゴンの相手をさせてしまい大切な右腕を無くさせてしまいました。」


「「「すいませんでした!!」」」


「それは違うぞ。お前達が村人達を安全に避難させてくれたからドラゴンに集中できたんだ。それに腕は俺が無茶したせいでこうなったんだから気にするな、って言っても難しいと思うから今日はお前達の奢りで飲もう。」


そう言う話をしていると1人の受付嬢がこちらへ突進してきた。突進といってもそこまで強くないため、簡単に受け止めた。


「アレクさん、無茶しないでください。片腕がなくて意識を失った状態だと他の冒険者さんから聞いたときは生きた心地がしませんでした。あなたが死んだら悲しむ人もいるんだということをわすれないでください。」


彼女はハーフエルフのレイナさんだ。


「すまん、今後気を付けるよ。」


冒険者達と飲む時間を話してからドラゴンとの戦いで折れた剣の代わりやポーションなど必要なものを調達した。

 夜、冒険者たちと飲むためにギルドへ行くとレイナさんもいた。レイナさんも交えて俺が入院している間にあったことや俺が最近はまっている小説などについて話した。

 それからリハビリなどをしながら一週間ほど経ってから義手が出来たため試しにCランクのクエストを受けてみたがしっくり来なかった。それからも色んなクエストを受けてみて理解してしまった。全盛期より上に行くことが出来ないことを。その事を理解してから行動が早かった。冒険者ギルドへ行き引退することを伝えるとギルドマスターのエールが出てきた。


「引退するなら新人教育や新人パーティーの育成を頼みたい。どうだろうか?」


「うーん、俺は」


正直面倒くさかったので断ろうとしかけたが、パーティー育成した後に追放されるといいのでは?と思ったため


「新人教育はしないが新人パーティーの育成は引き受けよう。」


追放されるという夢のため引き受けることにした。



 冒険者のランクはこんな感じになっている。  



     S>>>A>B>C>D>E>F>G



登録したての冒険者はGランクから始まりEランクになるまでは、依頼もお使いや探し物、掃除といった雑用しか受けられない。Eランクになってから初めてモンスター討伐の依頼を受けられるようになる。俺はEになったばかりの冒険者パーティーがCかBランクになるまで冒険者にとって大切なことなどを教えていた。そんな生活を15年程して冒頭に戻る。

 こいつらは2年ほど前から教育を、していたドラゴンスレイヤーというパーティーだ。リーダーは剣士のリク、タンクのデック、魔術師のソニア、ヒーラーのランカ、アサシンのサラの5人で皆年が近くバランスの取れているパーティーだった。デック以外の4人は俺がドラゴンと戦ったときの村の子供達らしく俺に憧れて冒険者になったらしい。パーティーの名前もそこから来たらしい。デックは俺がパーティーの構成の話をしている時にリクが1人でいたデックを半ば強引に引き入れた。リクはお調子者だが、リーダーの素質がありパーティーを上手くまとめてランクも普通は、年かかると言われるBランクに2年でなった。


 「理解できていないみたいだからもう一度言うぞ。アレクのおっさん、あんたはこのパーティーのお荷物だ。今すぐこのパーティーから抜けろ。情けとして今つけている装備だけは持っていくことを許してやる。」


その言葉に他のパーティーメンバーも頷いていた。


「分かった、皆そう思ってるならぬ「ちょっと待ちなさい!!」」


俺の言葉を遮って白銀の鎧を着た金髪の少女が出てきた。


「やっとアレクさんに出会えたと見つけたと思ったらアレクさん程の実力者をお荷物だなんてあんた達の目は腐ってるんじゃないの?そんなに要らないって言うなら私が貰って行きますね。」


そう言って俺の手を引いて酒場から連れ出した。外に出てから改めて少女を見ると巷で有名な子だった。巷で有名な聖騎士(パラディン)のソフィアだった。珍しい職業の聖騎士でありながらソロで異例の早さでAランクまで登りつめたことと綺麗でスタイルが良いということで有名だった。

 

「やっと見つけました、アレクさん。あんな奴ら忘れて私とパーティーを組みませんか?」


「すまんがなぜ君が俺なんかと組みたいんだ?」


「覚えていませんか?15年前のドラゴンに見つかった少女が私なんです。目が覚めたときにはもうあなたはいなくて、あなたのことが好きで会うために冒険者になりました。」


「あ、あ~慕ってくれてるのは嬉しいんだが言いたいことが2つほどあるんだが、いいか?」


「どうぞ。私とパーティー組んでくれるんですか?」


「いや、ちがう。まずさっきの酒場での出来事なんだがあれは茶番だ。追放ものの小説を読んだことあるか?」


「いえ、読んだことはないですが聞いたことはあります。主人公が仲間から追放されて急成長して元仲間たちを見返すって話ですよね?」


「それでだいたい合ってる。俺はそれにはまって実際に追放されたかったんだ。それで引退するから俺が育てたあいつらに茶番に付き合って貰ったんだ。因みに酒場にいた皆はこの事を知ってるぞ。」


ことの真相を話すと彼女は顔を真っ赤にしてうずくまってしまった。小声で「恥ずかしいです、もう死にたいです。でも死んだらアレクさんと一緒にいられない。」と呟いていた。


「2つ目なんだが俺は冒険者を引退するし、君みたいな若い子はおっさんじゃなくてカッコいいイケメンとかと付き合った方が良いぞ。」


諭すように言うと


「おっさんとかイケメンとかどうでもいいんです。私はアレクさんだから一緒にいたいんです。私の好きという気持ちまで否定しないでください。」


彼女は目に涙を溜めながらいった。店の中からリク達が出てきて、


「付き合えば良いじゃねーかおっさん。あの有名なソフィアさんだぞ。」


リクが煽ると、周りのギャラリーも頷きながら煽って来た。俺が渋っていると、ギルドの方から誰かが走って来ているのが見えた。


「ちょっと待ちなさい!」


受付嬢のレイナさんだった。


「はぁ、はぁ、私の方がアレクさんのことを好きだったんです。16年前、盗賊から私を助けて貰った時から好きなんです。付き合うなら私です。」


なんとレイナさんも俺のことが好きらしい。どうやら結構前から好きだったらしいが俺は気付かなかった。野次馬達は修羅場を楽しみながら、俺がどっちと付き合うかを賭けようとしていたので、


「ふ、二人とも一旦落ち着いてくれ。」


「「アレクさんは黙ってください。」」


「は、はい。」


何故か当事者の俺は除け者にされて話が進んでいた。


「貴方なんてどうせその鎧脱いだら見るに堪えない体でしょう。そんなのアレクさんがかわいそうです。」


「胸くらいあるわよ。あんたみたいな胸だけのチンチクリンの方がアレクさんがかわいそうだわ。」


そう言ってソフィアは鎧を脱いだ。確かにレイナには敵わないがそれでも服の上からでも確認できるほどには膨らみはあった。


「だぁーー!そんなに二人で言い合うなら俺はどっちとも付き合わない。」


そう言うと二人は急に黙り、


「今日のことはこれくらいにしておくわ。アレクさん、明日から楽しみにしていてください。」


そういってソフィアは帰っていった。レイナも、


「アレクさんお騒がせしてすいませんでした。私も引くつもりはありませんのでよろしくお願いします。」


レイナもギルドへ帰っていった。


「なんか皆すまんな、今日は俺の奢りだ。飲もうぜ。」


(追放される気分を味わうことが出来なかったぜ…)


次の日から2人から朝から家に突撃されたり出会えばデートに連れていかれたりと言った、様々な猛烈アピールを1年間受け続けたことで否応なしに意識することになった。その頃にはどちらかを選ぶことは俺には出来なかったので2人に


「すまないがどちらかを選ぶことは出来ない。二人が良ければ二人とも一緒に付き合いたいと思う。」


そう言うとソフィアが


「やっと決めてくれましたか。私たちは3人一緒に付き合っても良いですよ。」


レイナも


「アレクさんは優柔不断なのでこうなることはある程度わかっていたのでソフィアさんと話していました。」


そう言って二人は俺に抱きついてきた。俺には勿体ないほどのかわいくて綺麗な彼女が2人も出来た。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 追放モノだと思って追放される所までワクワク楽しく読んでいたら、一気にラブコメハーレムモノに切り替わってあまりの勢いと切り替えの速さに笑いながら読み終わってしまいました ここまで清々しくジ…
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