『最後に寝る時』
この作品のジャンルは、ヒューマンドラマになるのか?
エッセイになるのか? その他になるのか?
悩みましたが、ジャンル説明の部分で
【人と人との交流、人の一生、人間らしさ等を主題とした小説。】
とありましたので、一番近いと想ったヒューマンドラマで
この作品は投稿致しました。
最後の最後。
色々忙しかったかも。
どちらかと言えば・・・
「私、以外がですけどねっ!」
とりあえず、この後はゆっくり眠れるかな?
って想って居たのですが・・・
ガゴンガゴン揺らされるし
落ち着く暇も無く車に乗せられて
出発しちゃうし・・・
「リクライニングシートの方が楽かも・・・」
やっぱり、停車しているなら良いのでしょうが
移動するのであれば、キャンピングカーのような
フラットシートよりも、普通に座席を倒して
自重で体をホールドさせてた方が寝ているのは
楽かもしれません。
「高速道路? 意外と揺れるし五月蠅い・・・」
アスファルトの継ぎ目やタイヤの音とか
エンジンの音とかとか・・・
耳元に直接響いてくるから五月蠅くて
寝るに寝られない感じです。
「(うとうと・・・)」
その騒音にも慣れて、眠れそうかな?
と想いはじめた頃、今度は車が右へ左へと
頻繁に交差点を曲がるので・・・
「揺られて酔いそう・・・(泣)」
でしたけど、私が悲鳴をあげる前に
車は目的地に到着したようです。
そして同乗していたみんなが車を降りて
ドアをバタンバタンと閉めると
何やら車の周りで話をして居る様子です。
「何を話しているのだろ?」
それから15分ほどすると
再びみんな車に乗り込み
また何処かへ移動するようです。
「また揺られて、吐きそう(泣)」
先程と同様、車は右へ左へと交差点を曲がり
信号では止まり進みを繰り返し
完全に私は・・・
「車酔いしたかも・・・(涙)」
ですが、今度の目的地は意外と近かったのか
何とか私が吐く前に車は停車しました。
「あ、危なかった・・・(泣)」
みんな車を降り、後ろのドアも開くと
車内は風通しが良くなり、冷えた外の空気が
頬に当たると少しだけすっきりした気分に
なりました。
「あっ、私も降りるのですね?」
私も車から降り、部屋へ移動すると
やっと静かになりましたので
少しは休めそうです。
途中、何度かガサゴソ揺れたり
あとは、なんか色々話し声っぽいのが
聞こえたりしましたが
細かい事は気にせず寝ていると
「あれ? もう朝???」
直感的に、それは朝日ではなく照明の光が
眩しいのだと想いながら我慢していると
「うわ、なんか次々・・・ 忙しっ!?」
みんな、代わる代わる私を見ておりますが
そんなに見られてもちょっと困るので
寝たフリを通し続ける事にします!
とりあえずは・・・
「化粧はしていて良かったぁ~(汗)」
それと、みんな私を見て短い言葉を
何か言うのですけど、よく聴き取れません・・・
「まぁ、悪い気はしないから良いですけど」
そんなこんなで、気が付けば
ずっと眩しさを我慢していた照明の光は無くなり
周りもやっと静かになりました。
「あぁ、疲れた~ やっと眠れるかな?」
と想った所までは良かったのですが
時間の感覚が狂っているのか
気が付けば、また昨日の様に
「うあっ! 照明が眩しい・・・(泣)」
まぁ、照明の光くらいは我慢出来るのですけど
連日の慌ただしさで疲れているのが
自分でも解ります・・・
「絶対、顔色悪っ! お化粧でも隠せない(泣)」
けど、それはどうする事も出来ないので
諦めてっ! 今日も寝たフリをするしか
ありませんねっ!(諦)
「それにしても~」
私の顔を小さな窓からのぞき込む人達の顔は
目を瞑っていても分かります。
何とも微妙な表情の人。
私の顔を見て微笑む人。
私の顔をあまり見ない人。
私に顔を見せられない人。
その中には・・・
「こ、こいつ!(怒)」
私の顔を見て
低血圧で寝起きと機嫌の悪い時の顔
そのまんまだっ!
とか酷い事を言う大切な親友。
「確かにその通りですけどね(笑)」
でも、もう少しすると
このカラダも灰になってしまうから
ちょっと、疲れて顔色の悪い私だけど
そこは我慢して下さいね。
「と言うか、我慢しなさい!(命令?)」
なんて事を想ったか想ってないか
そんな事はどうでも良いですが
少しの時間を経て、私の目の前にある
小さな扉は最も見慣れた人達によって
ゆっくりと閉じられました。
「沢山の生花、良い香りだったなっ♪」
その、沢山の人から頂いた綺麗な生花ですが
折角頂いたのに、私は花を持っては行けないので
今日来てくれた人、みんなで分けて持ち帰って下さい。
花粉症の人は・・・
無理しなくて良いですけどねっ!(笑)
「けど、一輪だけ・・・」
自分では握れないので、
家族の誰かが私の手に綺麗な花を
1本持たせてくれていました。
そして、私は再び少々乗り心地の悪い車へと
乗せられ、車のドアがバタンバタンと閉まり
エンジンが掛かると
「鐘の音?」
普段、街中で耳にするのとは違う
少し長く鳴らされた車の警笛ですが
今日ばかりは、青い空に浮かぶ雲にまで
届きそうなくらい、澄んだ鐘の音のように
私には聞こえました。
「本当に、これで最後なのですね・・・」
来る時と変わらずガタゴト揺れる車の中でしたが
今は不思議と酔ったり気分が悪くなる事はなく
只々・・・
「みんな多忙なのに私の為に来てくれて
本当にありがとうございました
私が言うのも変ですが嬉しい最後でした」
そう想うばかりです。
最後までお読み頂き有り難うございました。
とても、前書きと後書きに悩む
作品となってしまいました・・・(汗)
一応ですけど
誤解の無い様に補足というか説明をします。
冒頭の自分以外が忙しかったと言うのは
お医者さんだったり家族だったりの事で
本人は既に去って居たので、自分以外の
残された人達と言う事になります。
なので、この作品は
病院や自宅・その他で亡くなってから
葬儀が終わるまでの不思議な期間?
生命としては絶えているけど
その器は残っている状態?
その数日間のお話を
どちらかと言えば「魂」の視点で書かれた
作品となっております。
ちなみに、私の現状を綴った作品では
ございません(汗)
にゃわわ・・・