32.妖精神の万能計にいざなわれ、オーパーツ蒐集に乗り出す
創世記の天地創造に曰く、最初に全能の造物主は宇宙と人の住まう惑星をお作りになられた。
「光あれ……」と唱えると暗闇の中に昼と夜ができて、その後万物と命が地に満ちた。大地と海が生まれ、次に植物を繁茂させて森を創り、鳥、魚、獣、家畜をお創りになられた。
最後に人が生まれたが、その姿が神に似ていたかどうかは定かではない。
3人でソランに手紙を書いた。
シナゴーグ夜宴教を知り、根絶やしに粛清するに至った顛末だ。
その時に私達が何を感じ、どう猛り狂い、どう鉄槌を振り下ろしたのか、何を見逃し、何を許さなかったのか……飾ることなく、醜い心の有り様も隠すことなく綴った。
その怒りが義より私憤に傾いていたことに気付いたときは堪らなく切なくて、憤って、遣る瀬無かったこと、傷つけたソランにどうやって謝ったらいいのかまたまた迷走してしまったこと、
恥多き過去の行いで知り合いを手に掛けなかったのは、偶々運が良かったに過ぎないこと、
私達の手に掛かり死に行く罪人が、鏡に映った自分勝手な私達自身に思えたこと、
ソランが望むなら討たれる覚悟はあるが、嘗ての性奴隷ハーレムの被害者の女性達で己れの淫らさに絶望して死んでしまった者の生まれ変わった行く末を、例え浮遊霊になったとしても、この世に留まって見守りたいと思っていたこと、
もうひとつ、子供の親になったので、子供が独り立ちし、幸せになる道を見い出せるまでは生きていたいこと、
誠に勝手ながら、潔く死ねない訳が出来たので許されるなら命を差し出すにしても少しばかり先延ばしにできないだろうか、との虫のいい懇願……
今更何を寝恍けた我儘を言い出すのか、このメス豚共はと言われるのも覚悟の内、おそらくはソランの恨み骨髄、盲亀の浮木、優曇華の花として仇討ち認定されているだろうことを思えば恥じ入るばかりだった。
人を信じられなくなっているかもしれないソランに、言葉を尽くして切々と綴った。
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テント泊では、まだ身体が出来上がっていない子供なのでキキには折り畳み式のコットを使うことが多かったが、新造艦にはそれぞれの自室を設けたので昨夜は普通に自分達のベッドを使った。
昨晩はキキの8歳の誕生日を祝って最近就航した我等が外洋艦艇にして、魔法の快速帆船“スキッドブラドニール”の甲板上で細やかなパーティを開いた。
無限収納の格納ストレージにそのまま仕舞うこともできなくはないが、実はこの船は畳める。それぞれのパーツ構造を2次元に落とし込み、それを畳んでいくとアタッシュケースほどの大きさになって持ち運びができるってアーキテクト――設計思想だ。
異世界北欧神話詩の何節目かに出てくる“スキーズブラズニル”が、確かそんな仕様だったので真似してみた。
呼んでもいないのに、ジャミアスまで現界してイルミネーションの飾り付けを手伝ったりしていたが、私が腕に縒りを掛けたご馳走を一番美味しいと褒めたのは、実はジャミアスだったりする。
相も変わらず、異世界のアラビア風というのだろうか、エキゾチックな衣装で露出が多いのはどうにもならなかったが……なかなかに理知的な美人の癖に、その蓮っ葉な言動はどうにもキキの情操教育に宜しくない。
タコ焼きやお好み焼き、珍味と獣肉専門のオープンサンドの店、中華点心の屋台、手巻き寿司などの出店を並べたら楽しいかなって企画で、私が分身して作る側を一手に引き受けた。
ステラ姉は、以前編んだ毛糸の帽子のお揃いで、ネックウォーマーをプレゼントしていた。一編み一編みにステラ姉の加護が籠ったそれは、眼に見えて絶大な効力を発揮する筈だ。
ただゴゴ・ゴンドワナ大陸も南の方に来てしまったから、今はちょっと暑いな……
エリスは、ナンシーの新作ポータブルゲーム機とソフトをプレゼントした。
まだ、ホテル・ナンシーの玩具店やスーベニアショップでは発売前のものだ。
ナンシーも女医の実体ホログラム筐体を使ってやってきたが、追尾型守護攻撃衛星システムを強化したという話だった。
辞書に常識という単語を持たないナンシーなので、どう強化したのかは、あまり聴きたくなかった。
なんとジャミアスが、初歩魔術のスキルをキキに付与してくれた。果たして超能力と魔術の併用は可能なのだろうか?
将来的にESPと魔術の複合攻撃、なんてのができるようになったらって考えると想像するだに空恐ろしい……
私のはまだ試作段階なので、少し待って貰っている。
そんな訳でパーティがお開きになった後、試作の続きを遣るべく、少し工作室に篭もっていた。
“スキッドブラドニール”に設けた工作室は、設計仕様から私が関わった精密旋盤機、溶接機、圧延機を初めとし様々な工作機械がある。
いずれもIC制御もできるが、職人の感を重んじる手動のものだ。
実は叩き潰したシナゴーグ・アサシンの収蔵庫から、組織内での持ち出しにも厳重な制約があった暗殺用の超高精度狙撃銃フラガラッハMk.15を何挺かくすねてきた。
分解して調べてみたところ、銃身のライフリングには緻密な魔術刻印があり、必中の呪が施されていた。照星と照門にも魔術が付与されていて、天候にかかわりなくクリアなオープンサイトを確保するようになっている。
吃驚したことに、光学式スコープは付属していない。
おそらくだが、スナイパー側の方で遠隔視や望遠眼の術法で補っていたのだろう。
サプレッサーが無かったのも、同様に静音魔術か何かを使っていたものと思われる。
模倣して上位互換を造り出すのが目的だ。
自分専用のロングバレル、カスタム銃は完成していた。
“アロンダイト-14S”と名付けた。
異世界の“アーサー王伝説”で、不義密通をして円卓の騎士を瓦解させたランスロットの佩刀の名だ。
今の私には相応しい。
因みに14Sはプロトタイプ試作器十四番目のショートタイプという意味だ。
同時開発のロングタイプは必中度は抜群だったが(星の裏側でもターゲットをヒットできる)、銃身が65インチもあって取り回しが悪く、実用化を見送った。
キキのためのハンドガンを造っているのだが、銃身が短くなるとライフリングへの刻印が難しくなる。先日開発したコーデック技術を応用しているのだがなかなかに難渋している。
確か西ゴートの銃器廠、ブランキ・ファイアアームズで開発していたハンド・ライフルにも採用された、撃鉄ではなく撃針――ストライカーという撃発構造を使った。
……作業をしながら、先日のヘヘブンズ虐殺の仕儀を思い出していた。年端もいかぬ子も皆殺しにしたのは、正しい判断だと今も信じている。
ただ、キキを我が子として育てる一方で、少なくはない子供達を見逃せなかった自分の冷徹さが疎ましかった。
直接手は下さなかったが、自分の判断で死に行く幼子達の末期を目に焼き付けるのはせめてもの自分の責務と思い、黙って見詰めた。
キキはこんな私を正しいと理解して、慕ってくれるのだろうか?
明け方、どうやら目途が付きそうだったので自分の部屋のベッドにもぐり込んだ。神経を使う作業に疲れて、夜明けの礼拝の前に少しだけでも横になる心算だった。
夢を見ていた。
師匠から譲られた魔導クロノメーターが、私の夢枕に立つのだ。寝台の上で、私は金縛りにあったように身動きできない。
クロノメーターに宿るという妖精が話し掛けてきた。
さすが妖精、何か金粉のような粒子が浮いてキラキラ身体を包んでいる。
大人のお姉さんという感じの妖精は、軽く波打つ明るい金髪を腰の辺りまで伸ばして、脹よかそうな肢体をドレープを出したキトンのような衣装で包んでいる。ぷっくり膨れた唇はヌラヌラと濡れているようで、瞬きするたびにバサバサと音がするような派手な睫毛を伸ばしていた。
愁いを秘めた瞳は何処か蠱惑的で、いけない秘事に誘っているような感じさえする。
胸元が大きくはだけて、オッパイの谷間が強調されている。どう見てもエッチなお姉さんだった。
「誰がエッチなお姉さんですかっ!」
パツキン妖精お姉さんは、気分を害しているようだった。
突っ込みの後に気を取り直した自称、エッチじゃないお姉さんは、何事も無かったように自然に語り出した。
「ドロシー、私は、貴女の師匠〇〇〇に託された時空を統べる神器に宿りし高位次元の絶対神、プログラミングの中に揺蕩う妖精の神、ガラティアです」
〇〇〇は師匠のコードネームだが、相変わらず認識阻害が掛かっていて、ノイズに覆い隠されている。
「私には……、というよりこの“万能計”には時と次元を超える力があります」
「私の真の力が解放されれば、時と、異世界、異次元、並行世界の多くを渡ることができるようになります、覚えておきなさい、私はいつでも貴女を見ている……のです」
「どうすれば、貴方を使いこなせるようになりますか?」
「……貴女の師匠が平行世界を守る組織で、最優先レベル強襲作戦隊の特殊工作員をしていることは承知でしょう」
「実はこの組織の活動のひとつに、既存世界のバランスを崩す過ぎたるオーバーテクノロジーの産物、あるいはアーティファクトSクラスと称する危険な魔道器を回収し封印する役目がある……のです」
「ドロシー、貴女が生まれ育ったこの世界にも危険指定されたこれ等のオー・パーツが32、現存している……のです」
目覚めると、遅い朝に陽は高く昇り朝のお勤めを逃してしまったのが分かる。
普段はストレージに仕舞っている筈の魔導クロノメーターが、何故かベッドサイドのチェストに置かれて、宇宙域にも耐える有害光線カット舷窓から射す陽の光を弾いて静かに輝いていた。
ガラティアと名乗った妖精神は、言語障害の気があるのか、おかしな語尾を連発するのもあって、それからも何か話していたようなのだが良く思い出せなかった。
エロっぽいキャラは、ジャミアスだけでいいんだけどな……
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「って、ことがあったのよ……」
「本当っ? 単に寝坊した言い訳じゃないのぉ?」
「エリス、いつも朝のお祈りを欠かさないドロシーがただ寝過ごすなんて、おかしいわ」
「それで、夢枕に立ったスケベそうな妖精の神様はオッパイが大きかったのね?」
「えっ? 今そこ? ……んっ、まあ、そこそこ大きかったよ」
「オッパイの大きい人は信用できるわ」
「ええぇえっ、その自信満々な経験則は何処から来るのおぉっ!」
「ふふっ、冗談よ……それにしても32のオー・パーツねぇ? それだけでは皆目雲を掴むような話ねぇ、他に何か覚えてないの?」
「んんっ、それがなぁ……どうも靄が掛かってるようで、他の具体的なことが上手く思い出せない」
急に手にしていた魔導クロノメーターが輝き出した。今までのこれには見たことが無い、暖かい光だった。
(近くの“真・神器”は、法王聖庁にある、これより北東を目指すがよい……のです)
頭の中に、昨夜のエロそうな妖精神の声が響く。本当に、あぁ本当に何処となく唆る声音だ。
(エロくはないっ、馬鹿者おぉぉっ!)
「法王聖庁かぁ、善は急げだ、このまま“スキッドブラドニール”で向かおう!」
「オー・パーツ回収って、なんかクエストっぽいけど、何で鬼師匠の所属組織は自分達でやんないの?」
「ああっ、それなぁ、ガラティア嬢が言ってたんだが、あたし達の世界って過疎も過疎、辺境も外れの方の世界らしくって、そういう場合は現地調達員が登用されるんだって」
「えええええぇぇぇっ、鬼畜師匠の所属機関って、どんだけ人手不足なの?」
「それはそうと、私達の旅の目的にオー・パーツ回収が加わるってことでいいのかしら?」
ステラ姉が確認を求めてきた。
「あたし達はソランへの贖罪を一番に考えなければいけない、それは揺るがないよ……あたし達の住まうこの世界を、少しでもマシにしたいってのは嘘じゃないし、あたし達を育ててくれた師匠への恩返しに微力ながら任務の手伝いをしなきゃって気持ちもある」
「けれど、ソランに許して貰えるのなら謝りに行く、ソランがあたし達の命を欲するなら差し出すし、もし生き残れたらソランの行く末を見守りたい」
「あたし達がソランの幸せを奪った、これから先の人生を誰か真面な伴侶と遣り直して欲しいんだ……」
「……お母さん達が死んじゃうのは嫌だな」
「そうだな、キキに寂しい想いをさせるくらいなら、皆んなで異世界に旅立つか? ソランには悪いが……」
32個のオー・パーツを封印するのは苦難の旅だろう。
もっと、もっと強くなって師匠に会いに行く。
“アレックスの壺”の世界で一人取り残された神様、ミーシャ・アレックスに会いに行く……その為に、もっと自分を鍛える。
憎んでも憎み切れないシェスタ王家が統べる私達の出身国で最も普及していたオールドフィールド公国正教は、世界的に見ても女神教主流派だ。
様々な宗派の中でおそらく、全世界の60パーセント以上の信徒人口がある。
パレルモ・ゾゾズーマ教皇国に隣接する宗教立国、オールドフィールド公国は、過去の遷都騒動などで半武力勢力のパレルモなどと違い純然たる教皇領だ。
地母神ディアーナの後継者、栄光ある子孫とする正統教義を金科玉条に掲げ、聖なる教会憲章に依って治められる唯一の使徒的教会を自認している。
史実として残る文献によれば、およそ4000年程の歴史を誇り、名実ともに最も古い宗派といえる。
領内にそれぞれの分派会さえ抱えている。
ステラ姉のアンダーソン家や、エリスの実家のバレンタイン一族が信心している宗派の総本山もここにある。
斯くいう私も、まだ訪れたことは無くても決して足を向けては寝られぬ崇高なる聖地だ。
全世界の女神教徒達の球心的役割を担っていると言って過言ではない宗教主権国家の中枢たる法王聖庁。
その法王聖庁の有る首都、聖都アウロラには枢密院聖務庁は勿論のこと、女神教神学諮問委員会、公示典礼秘跡省、黄道使徒座署名院、諸宗教対話調整評議会、神意聖座財産管理局を初めとする様々な政務庁、行政機関が置かれているが、聖遺物や秘物を収蔵する保管庫も置かれていた。
その中でも第一級の宝物とされるものが厳重に守られている区域がある。
それは、“ディアーナの宝物庫”と呼ばれていた。
「法王聖庁が擁する聖女部隊の感知網は厄介だし、聖属性の白魔法使いの組織は連携魔術が得意だと聞いたことがある」
「4000年に渡って研鑽された秘蹟使い、決して侮れない」
「ところで、大聖堂や博物館めぐりする時間はあるの?」
「いや、エリス、観光じゃないからっ!」
「ええぇっ、だって私達って巡礼だよねぇ? 聖地に行って拝観しないなんて、有り得なくない?」
「まっ、まぁ、そうだけどさぁ……今回は絶対話し合いって訳にいかないんじゃないかな?」
「盗賊みたいに宝物庫に押し入るってこと?」
「……奪取する以外に、今のところ確保の方法を思い付かない、ステラ姉は他に遣り方があると思う?」
「さすがに聖地でそれは気が引けるわね、私達の宗旨の問題もあるし……」
「素直に教皇様にお目通りしてみるっていうのは、どう?」
「いやいや、いやっ、そいつはハードル高……くはないのか?」
「いつも堂々と乗り込むのを常とするあたし達が、ここだけ特別視するのも不自然といえば不自然、あたし達の信心と覚悟が既存の宗教に勝るか試される試金石と言えなくもない」
「でも、クロノメーターの示唆する“真・神器”の在処は宝物庫でいいのかしら?」
「えっ? 宝物庫以外あり得ないと思ったけど、言われてみればそうだね……探りを入れるにしても、ガチガチの警戒網がある聖都での隠密行動は面倒臭さそうだ」
「下手な考え休むに似たりってね、いっそ一思いに当たって砕けてみようか!」
「ドロシーって、考えが上手くまとまらなくなると、いつも行き当たりばったりだよね」
「…………、」
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エリスの失礼な指摘にめげた私は、その指摘の正しさにも打ちのめされることなく真面目に作戦を練ることにした。
えぇ、えぇ、どうせ私は考え無しの無策で体当たり派、“その場凌ぎのドロシー”って、学校でよく言われたものだ。
師匠もそれは良く分かっていて、土壇場で最善の方法を掴み取る技量を伸ばせと示唆してくれた。“超高速加速思考”を磨いたのもそれが為だ。
当たって砕ける主旨を曲げて、まず現状情勢調査と宝物庫の警備態勢を探ることにした。
とはいえ、白魔術警邏神官や法王聖庁聖女隊のガード態勢と感知網は蟻の這い出る隙間も無い。エンゼル・ヘアという私の特殊探索プルーブを使うことにする。
限りなく細く加工することにより、質量はゼロに近く、何より通常の肉眼でそれと確認することは叶わない。
これを法王聖庁の敷地内を訪れる巡礼者達や、下働きの物などの衣服や搬入される貨物に紛れ込ませ、点で集まる事象から包括的に情報を得ようという作戦だ。
ひとつひとつは断片的でも、繋ぎ合わせて分析すれば重要と思われる事柄の概略は見えてくる。
周辺を巡回警邏する聖騎士団は、4人の冒険者パーティの何とかクルセイダーズ……なんて偽物ではなく、雷名轟く過去の歴史に何十回となく異端討伐や聖戦の遠征に出て戦った十字軍近衛騎士団だ。
緋色のマントには、地母神ディアーナの似姿を戴く女神教のロザリオを模したクルセイダーが描かれている。
外部からイノケンティウス3世街道を聖庁目指して上洛するものを見分けて、巡邏隊をくぐり抜け、極細探査プルーブを纏わりつかせるのに、式神で造り出したハヤブサを使った。
式神のハヤブサは、魔力感知に引っ掛からない特別な亜空間から飛び出すと同時に、目標にエンゼル・ヘアを絡ませて、そのまままた亜空間へと飛び込む。
集まってくる情報解析を悪路用の大型軍用ランドクルーザー、光学迷彩他で車体を透明化しているが強化型コンバットタイヤとキャタピラを併用する不整地用指揮通信車で受けていた。
ステルスモード自体が既存の魔術では見破れないものだが、図体もあまり目立たぬよう通常の戦車並みだった。
ナンシーの車両部にはまだまだ特殊車両は幾らもあるが、この362式情報評価指揮通信車は、駆動機関や攻撃システムを別にして情報収集のためのコア機能の空間が亜空間圧縮ポッドに架装され、見た目と違ってちょっとした基地並みの規模があった。
嘗て“巻き髭師匠”が、ナンシーを封印するつもりだったのも分かるような気がする。
私達の世界は法王聖庁歴で言えば3967年、社会情勢と医療技術はそれなりだが治癒魔術の普及もあり、通常のヒト族の寿命はおよそ80歳前後だろう。
統計が取れていないのは、魔物や魔族の被害に遭って亡くなるケースが少なくないからだが、まだ高度高齢化社会の対策が声高に叫ばれる程ではなかった。
生き残る年寄りは、それなりに頑健な個体か、もしくはギフトかスキルの恩恵を賜った者だからだ。
「ここまで逼迫しているとは思いも寄らなかったなぁ……」
「今の教皇聖女が即位したのって、何年前だっけ?」
「確か歴史で習ったのはセント・ラテラノ・マッジョーレ殉教百年生誕祭のすぐ後だったから、逆算すると、もう5、60年になるんじゃないか?」
「もう90過ぎのお婆ちゃんてこと? イコンで見たのは若い時の似姿なのかな?」
「エリス、歳を取りにくいのはエルフの血筋だけじゃないのよ……教皇聖女には、長く在位して貰わなければならない責務がある」
「不老の加護が外見を若いまま保てても、おそらく聖力は尽き掛けているのかもしれないわね」
ステラ姉が、知り得た事実に溜め息を吐いた。
「私は先祖返りで余り同族を知らないけど、ハイエルフになると永遠に近く生きるって言うよね……長生きするのが幸せとは限らないけれど、定命の宿縁って端から見るほど聖女様も優雅じゃないってことなのかな?」
今、法王聖庁は重大な局面を迎えていた。
現アウロラ聖庁の第四十七代目教皇聖女オッセルヴァトーレ・イノケンティウス二十四世、洗礼名サマルディ・サマリナは老衰で死に掛けていた。
首席枢機卿や“光の神官長”でも空位を補えない程に教皇聖女の務めは重要で、崩御後に跡継ぎを選出するなどあり得ない。常なら、疾うに次代に職務を譲り渡して引退している歳なのだが、今代に限って神の啓示が降りていない。
つまり次世代の聖庁法王たる教皇、継承者を指名する神威聖女の天啓が無い。
星読みの天文司や数秘占術省が、今か今かと聖務本庁よりせっつかれて十数年……さっぱり兆しが無かったらしい。
「このままだと拙いよねぇ……最悪、宗教戦争勃発なんて事態にならないよねぇ?」
エリスの心配は、そのまま法王聖庁勢力全体の憂いだった。
非常事態に対応するベネディクト派修道会会議団が招集され、半世紀前の第二次法王聖庁会議が再現された。
あの時代は、今以上に魔女裁判とかが蔓延っていて、信徒にとっても、良民にとっても暗黒の世の中だったようだ。
法王聖庁は何度か神降ろしの儀式を行ったようだが、結果は捗々しくなく、未だ吉兆は現れていなかった。
「介入しようにもなぁ、次世代聖女を探し当てても、万人の納得が要るだろうし……」
「いっそのこと、今の聖女様を若返らせちゃうとか?」
「いや、エリスの案も考えてはいたけど、それやっちゃうと何でもありになっちゃうからな……」
「偽装するにしても、本当に見つけ出すにしても、“ディアーナの天啓”は、私達には分からないことが多過ぎる、やはりここは延命の線で行きましょうよ」
「ところで“真・神器”の目星が付かないけれど、何かそれらしいものがあった?」
「いやあ、ステラ姉、それがさあ……“ディアーナの宝物庫”に出入りする神官にエンゼル・ヘアを付けたのはいいんだけどさ、目録を見ただけでも何千点、何万点ってあって、解析を急いでるんだけど少し時間が掛かる?」
「嘘おっしゃい、聖庁の秘匿文庫に白魔術と光属性のホーリー魔術の魔導原典を見つけたからって、内容を写し取る方に夢中になってたのは知ってるのよ」
「えっ、見つからないように内緒でやってたのに……バレてた?」
「当たり前でしょっ!」
「まったく、手遅れにならないように優先順位はちゃんと考えて遣って頂戴っ!」「二度は言わないわよっ!」
「……面目ない」
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“ディアーナの宝物庫”に収蔵されているお宝は掛け値無しに伝説級の魔道具や神装具の類だ。
中には、古代ルーン文字で刻まれたディアーナの起源を記す“ゴッデス・ストーン”――こいつは、今は滅びてしまったアルデバラン帝国が制覇を遂げた記念にと、オールドフィールド公国から一時簒奪していったものだが、民間従軍兵も参戦した紅薊十字軍の奮戦により無事奪還に成功した聖遺物であり、そういった宗教的な価値からいって、他に代え難いといったものもある。
グリモワール系では“ソロモンの小さな鍵”として知られる“レメゲトン”の第三巻、“聖パウロの書”と呼ばれる“アルス・パウリナ”が善なる大精霊を使役できる超威魔導の真正奥義書だ。
新しめのところでは約100年前に著された“シークレット・ドクトリン”、近代神智学の秘密教義にして、アトランティスの叡智を伝える世界最古の書物と称される“ジャーンの写本”のチベタリアン宗派タントラの密儀を解き明かしたとされているが、これには稀覯本に宿るとされる紙魚の妖精ウルカヌスが憑いている。
別に、“聖マラキの予言書”と言って、アウロラ聖庁の遥か未来まで紐解くものとかもある。
出色は記録天使リピカが紡ぎ続けるとされる“アカシック年代記”、世界中のあらゆる事象、あらゆる思想、あらゆる知識を連綿と、どうやってかは分からないが、今現在も記録し続けているらしい。
巨大な歴史と神秘のライブラリーが一冊の本に凝縮されているなんて、気が遠くなるような話だ。如何にも法王聖庁らしい。
その他にも焼け落ちたアレクサンドリア図書館から回収したとされる“ヘルメス撰集”、歓喜天ガネーシャが自ら口述筆記したと伝わる長大な叙事詩“マハーバーラタ”、錬金術の奥義書“エメラルド・タブレット”、“ネクロノミコン”、“エイボンの書”、カバラ秘法を記した“光輝の書”として知られる“ゾハール”、“大奥義書”の異本にして手稿本たる“赤竜”は魔法円、ペンタクルやシジルの神秘を解き明かしている。
修行していた頃に蓄積し得た異世界知識では架空で想像上の産物とされていたものも、幾つかあった。
こんなものが一堂に会していれば、霊的に歪みが出そうなものだが流石に聖庁の収蔵結界は堅固で、ビクともしていない。
量は別にして、師匠の魔宮図書館に勝るとも劣らない……いや、それはやはり言い過ぎで師匠の私設図書館には劣るだろうが、無視し得ない内容の蔵書だった。
それらは“アウロラ文庫”と呼ばれ、門外不出とばかりに二重三重に厳しく管理されていた。
「さすが法王聖庁、伊達に4000年じゃないな、どれもこれも世に出れば危険な代物ばかりだ……だが、それだけに保管は厳重を極める、あたし達程の術式じゃなければ、おそらくその存在さえ確認できないだろう」
「噂には聞いていたけど、これだけの伝説級の神具が眠っているなんて……ちょっとくるものが、あるわね」
ジハドなどに出た遠征十字軍が持ち帰ったものも多いので、武具も綺羅星のように連なっていた。兵隊って、どうしてこう武器の類が好きなんだろう?
一度鞘を払えば、血を吸うまでは鞘に戻らない稀代の魔剣“ダーインスレイブ”、魂を吸うとされる“ストームブリンガー”、“モーンブレイド”の姉妹剣、嘗て英雄ローランの帯剣だった不滅の刃と伝承される聖剣“デュランダル”、光の剣“クラウ・ソラス”、主神オーディンから英霊シグムンドに下げ渡された斬鉄剣“グラム”は石や鉄も容易く切り裂いたと伝わっている。
太陽神ルーを父とする神話上の半神半人が大英傑、クー・フーリンの使ったとされる神槍“ゲイ・ボルグ”、そして穂先が5本に分かれた光の槍“ブリューナク”、決して的を射損なうことの無い霊的魔槍“グングニール”、寄生木の神弓“ミスティルテイン”、見た者を石と化す“アイギスの盾”、軍神マルスの盾“アンキーレ”、雷神トールの籠手“ヤールングレイプル”と、枚挙にいとまが無い。
一方、霊的魔道具も伝説級の逸品が目白押しだった。
“フリズスキャルブ”は全世界を見渡すことの出来る権能の玉座、それに座すれば現生や冥界、天界におけるあらゆる事象を視野に収めることが可能だ。
ナンシーのスパイ衛星監視網に匹敵するかもしれない。
……ただし情報量の多さに座り手を選ぶ。
“サンポ”は古代神の一族が鋳造したとされる複雑な神聖古代天体観測器、アストロベーラともいわれ歴代の天文学者や占星術者によって散々研究されてきたが、ここ四、五百年でようやっと無から有を生む万能の生成器であることが分かってきた。
シャルルマーニュ1世時代の聖騎士、パラディンのアストルフォという男が所持し、タタール王アグリカーネを撃退したり、カリゴランテという邪悪な巨人を捕虜にしたりしたときに使った吹けば相手を倒すことができる角笛は、通称“アストルフォの角笛”と呼ばれているし、また今でも散文詩に謳われる、原初の女神にして古代の海神ティアマトを捕獲したとされる“マルドゥクの網”は、網目に凶悪な突風が編み込まれている。
邪神ロキと女巨人の間に生まれた怪物フェンリルを繋ぎ止めておくための拘束具、“グレイプニル”は巨大な首輪で、邪悪な初代フェンリルが如何に巨体だったかを偲ばせた。
彷徨えるサマリナ人の脱出行を指揮した殉教者達のひとりが残したと言う“青銅の蛇”は、あらゆる猛毒や魔力を持つ怪物の襲撃も防いだという。
どれもこれも神話の中の代物で、実は、実際に存在しているとさえ思っていなかったものばかりだ。
「それで、オー・パーツと思われるものはあったの?」
「あぁ、見つけたよ……多分これで間違いない」
「それは“賢者の臓腑”……《ギゲル》と呼ばれている」
「天地創造の神器だ」
「盲亀の浮木、優曇華の花待ちたること久し、此処で逢うたが百年目!」=“盲亀の浮木”は百年に一回浮上するという目の見えない亀が偶然に海に浮かんでる木の穴に頭を入れること、“優曇華の花”は3000年に一回咲くといわれる花、その時に金輪王が現世に出現するという
フラガラッハ=ケルト神話に登場する剣で「回答者」「報復者」という意味を持ち、その一撃は鎧で止めることは不可能であるとされ、更にどんな鎖も切り裂くことができるとされた
オープンサイト=もっとも単純な照準器で銃身前方の銃口付近にある凸型の照星〈フロントサイト〉を目標に合わせ、後方の凹型の照門〈リアサイト〉の溝の間に見えるようにして狙う
螺子を締めたり緩めたりして銃の状態に合わせて照門を調整できる物もある〈アジャスタブル・リアサイト〉、ノッチサイトとも呼ばれる〈ノッチ=くぼみ・刻み目〉
サプレッサー=銃の発射音と閃光を軽減するために銃身の先端に取り付ける筒状の装置の総称、発射音の抑制を主な目的とするサウンド・サプレッサー〈サイレンサー〉や、発射炎の抑制を主な目的とするフラッシュサプレッサー〈フラッシュハイダー〉などがある
発射薬が燃焼して発生した高圧のガスが弾丸と共に銃口から放出される際、甲高い破裂音が生じる〈マズルブラスト〉、サプレッサーはその内部にバッフルやワイプで区切られた多数の空気室を設け、ガスを空気室内に拡散させて徐々に冷却しつつ圧力を下げてから外部に放出することで、これを軽減する
ストライカー=撃針は軽い部品でありスプリングの圧力を受けて動く撃鉄に叩かれて、そのエネルギーを雷管に伝える役割をするが、これに対してストライカーは撃鉄を伴わず、普通は撃針より重く、雷管を叩くエネルギーを提供するスプリングと直結している/ストライカー機構は大抵の場合、撃鉄と撃針の組み合わせによる機構より単純である/撃針またはストライカーは、通常は連発式火器のボルトの中に組み込まれていて、リボルバーや様々な単発式の火器のようにボルトを持たない火器では多くの場合ストライカーを組み込むスペースを持たず、ごく短い撃針がフレームの中にあるか撃鉄に取り付けられている/ストライカーは主にボルトアクション火器や拳銃を含む自動火器のような、もともと薬室の後方に遊底の前後するスペースをもつ種類の火器に用いられる
十字軍=中世に西欧カトリック諸国が、聖地エルサレムをイスラム教諸国から奪還することを目的に派遣した遠征軍のこと/トルコ人のイスラム王朝であるセルジューク朝にアナトリア半島を占領された東ローマ帝国〈ビザンツ帝国〉皇帝アレクシオス一世コムネノス〈在位1081年−1118年〉が、ローマ教皇ウルバヌス二世に救援を依頼したことが発端〈1095年〉、このとき大義名分として異教徒イスラム教国からの聖地エルサレムの奪還を訴えた
イコン=聖人、天使、聖書における重要な出来事やたとえ話、教会史上の出来事を画いた画像/正教会においてイコンとは単なる聖堂の装飾や奉神礼の道具ではなく、正教徒が祈り、口付けする、聖なるものであるが、但し信仰の対象となるのはイコンそのものではなくイコンに画かれた原像である
魔女裁判=魔女とされた被疑者に対する訴追、裁判、刑罰、あるいは法的手続を経ない私刑等の一連の迫害を指し、魔術を使ったと疑われる者を裁いたり制裁を加えたりすることは古代から行われていたが、ヨーロッパ中世末の15世紀には悪魔と契約してキリスト教社会の破壊を企む背教者という新種の「魔女」の概念が生まれるとともに、最初の大規模な魔女裁判が興った/中世ヨーロッパでも暴力や窃盗と並んで「呪術によって出た害」も裁きの対象となっていたが、世俗的な犯罪としての妖術には特別重い刑が科されるというわけでなく、他の犯罪と同じように被害に応じた刑が科せられていた/かつて「魔女狩り」といえば「中世ヨーロッパにおいて12世紀のカタリ派の弾圧やテンプル騎士団への迫害以降にローマ教皇庁の主導によって異端審問が活発化し、それに伴って教会の主導による魔女狩りが盛んに行われるようになり数百万人が犠牲になった」などと語られることが多かったが、1970年代以降、様々な研究によってこのようなステレオタイプな見方は覆されることになった
レメゲトン=悪魔や精霊などの性質や、それらを使役する方法を記したグリモワールのひとつ/旧約聖書には書かれていないが第三代イスラエル王であったソロモンがその英知をもって悪霊を支配していたという話はヘレニズム期のユダヤ人の間に流布していた
アカシック年代記=アカシックレコード〈英:akashic records〉は元始からのすべての事象、想念、感情が記録されているという世界記憶の概念で、アーカーシャあるいはアストラル光に過去のあらゆる出来事の痕跡が永久に刻まれているという考えに基づいている/宇宙誕生以来のすべての存在について、あらゆる情報がたくわえられているという記録層を意味することが多く、近代神智学の概念であり、その他の現代オカルティズムの分野でも神智学用語として引き合いに出されることがある/また陰に陽に神智学運動の影響を受けている欧米のニューエイジや日本の精神世界・スピリチュアル、占い、予言といったジャンルでも使われる用語でもある
エメラルド・タブレット=12世紀以降のヨーロッパに出現した、ヘルメスに帰せられた諸文献のうち特に名の知れたごく短いテクストである/エメラルド板をめぐって中世ヨーロッパでは多くの伝説が作られた/伝説上のエメラルド板は錬金術の守護神で、ある種の秘教修道者たちの総称とも考えられていたヘルメス・トリスメギストスによって記された銘碑で、12の錬金術の奥義が記されているというが、碑文の実物は現存しない
ペンタクル=ある種の図形または物品の名称であり、主として西洋魔術やウイッチクラフトで使われる……護符やタリスマンとして羊皮紙、金属、石などに、魔術的印章図像が描かれる
シジル=主に西洋魔術で使われる図形、記号、紋章、線形
ストームブリンガー=この剣はほとんどあらゆるものを斬ることができるが、最大の特徴は独自の自我を持っていて殺した相手の魂を喰らうことである/剣の持ち主である白子の皇帝メルニボネのエルリックは虚弱であり、魔法や薬の力を借りなければ生命を維持できないのだが、魔剣であるストームブリンガーは吸収した魂を生命力と言うかたちでエルリックに還元し彼を助ける/ところがストームブリンガーの魂への渇望は非常に強く、しばしばエルリックの手から離れて彼の友人や恋人を殺すという形でエルリックを能動的に裏切る/こうして吸い取った生命力が自身の中に流れ込んでくるのを感じながら、エルリックの罪悪感と自己嫌悪感はいや増していく
デュランダル=フランスの叙事詩「ローランの歌」に登場する英雄・ローランが持つ聖剣/天使からシャルル王に渡すように授けられ、その後シャルル王からローランに授けられた剣として登場し、作中では「切れ味の鋭さデュランダルに如くもの無し」とローランが誇るほどの切れ味を見せる
クラウ・ソラス=アイルランド語で「光の剣」あるいは「輝く剣」の意をもつ、アイルランド民話やスコットランド民話の魔法剣
グラム=北欧神話に登場する剣のひとつで、その名は古ノルド語で「怒り」を意味し、 古エッダではファフニールを殺すためにレギンからシグルズに与えられるが、「ヴォルスンガ・サガ」では出自が異なりオーディンからシグムンドへ与えられ、後に息子のシグルズに受け継がれたものとされる/石や鉄も容易く切り裂いたといわれている
ゲイ・ボルグ=アイルランドの説話に登場するクー・フーリンの持つ槍/銛のような形状をしており、投擲すれば30の鏃となって降り注ぎ、突けば30の棘となって破裂する、そのためこの武器を紹介するときに銃の項目でなされることもある/クー・フーリンは足を使ってこの槍を投擲したと言われており、ゲイ・ボルグを槍の名ではなくこの投擲法の名とする説もあり、またゲイ・ボルグは怪力無双のクー・フーリンにしか扱えないほど重いとされる話もある
グングニール=北欧神話の主神オーディンが持つ槍/ロキがトールの妻シヴの髪を刈ってしまったため、代わりの髪を作らせた際にその髪と船スキーズブラズニルと同時にドヴェルグの鍛冶、イーヴァルディの息子達によって作り出された/「散文のエッダ」「詩語法」では、グングニルの性質について「その槍は正しい場所にとまったままでいない」と説明されている、この文の意味については「決して的を外さない」と「敵を貫いた後に自動的に手元に戻る」との二通りの解釈がある
アイギスの盾=ギリシア神話に登場する防具で主神ゼウスの持ち物とも、ゼウスが娘の女神アテーナに与えたものともされ、ありとあらゆる邪悪・災厄を払う魔除けの能力を持つとされている/鍛冶神ヘーパイストスによって作られたとされ、形状は楯であるとも、肩当てまたは胸当てのようなものであるとも言われている
ヤールングレイプル=北欧神話の神ソール〈トール〉が保有する鉄製の手袋のこと
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