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70、超神総会が始まるよ

「アナタ、うるさいわよ」


「私、何も言ってないけど」


 そう反論すると、シトラスさんは、また、大きなため息をついていた。すると、ウィルさんの上位神が面白いものを見つけたかのような顔で、私に話しかけてきた。


「お嬢さん、もう大丈夫かな? ウィルは、治癒魔法は得意なのだが……」


「大丈夫です。ありがとうございます」


 私は営業スマイルを浮かべて、ペコリと頭を下げた。なぜか、彼は驚いた顔をした。うん? どうして?


「あはは、礼儀正しいお嬢さんだ。暗黒神とは思えないな。だが、ふむ、なるほど。去年はあの後は大変だったから、暗黒破壊神を連れてきたということか」


 私の素性がわかるんだ。ウィルさんはわからなかったみたい。暗黒破壊神と聞いて、彼は一瞬ギョッとしたみたい。


「水の神には関係ないことよ。血の気の多いバカが多いからね。とりあえず、助かったわ。ありがとう」


「うわっ、暗黒にありがとうなんて言われると、怖いな。あはは」


 うん、私も同感だよ。シトラスさんが、ありがとうって言葉を知っていたことにも驚いたけど。


 あれ? ウィルさんの上位神は、私の方を見てクスリと笑った。彼にも心の声が聞こえちゃったの?


 シトラスさんは、また大きなため息をついている。だーかーらー、ため息ばっかりついてると、幸せが逃げるんだよ?


「アニス、うるさいわよ」


「うん? 私、何にもしゃべってないもの。勝手に頭の中を覗いて怒らないでよねー」


「あのねー、だったら思念が漏れないようにしなさいよ!」


「そんなこと言われても知らないよー。そんなにぷりぷり怒ってると、眉間のシワが深くなっちゃうよ」


「アニス!」


 私はフイッと視線を逸らした。本当のことしか言ってないもんね。きっと図星だから、怒ってるんだ。知〜らない。



「あははは、驚いたな。可愛い配下じゃないか、暗黒」


「どう教育すればいいか、頭痛いわよ。ほんとバカ犬なんだから」


 バカって言う方がバカなんだからねー。あっ、めちゃくちゃ睨まれた。これも図星なのね。きっと、またため息ね。幸せがどんどん逃げちゃうよ?


 ウィルさんには、私の思念は聞こえていないみたい。きょとんとしてる。彼の上位神は、またクスリと笑った。水の神って言ってたっけ? 優しそう。シトラスさんとは大違いね。


「彼女はまだ、思念のコントロールがうまくできないのか?」


「わざとよ。ほんとにいつもうるさくて敵わないわ」


「あはは、珍しく楽しそうだな。それで、最近は平和なのか」


「この子に手がかかるのよ。ほんとにもう大変だわ」


 なんだか、めちゃくちゃな言われようなんだけど……。でも、前にオットーさんが言ってたみたいに、シトラスさんは意外と、この状況を楽しんでいるのかもしれないよね。




 シトラスさんと、水の神は、大きな建物の方へと歩き出した。とても美しくて、可愛い建物。光の加減なのかな? パステルカラーに輝いている。ガラスのような建物だけど、ガラスじゃないよね。不思議〜。


 それに、気分が悪くて気づかなかったけど、今いる場所は、この建物の庭みたい。見たことのない花が咲いていて、とても明るくてキレイな庭。


 でも、空は暗いんだよね。なぜこの庭は明るいんだろ? どこにも照明灯もないし、不思議すぎる〜。


「アニスさん、キョロキョロしていると、はぐれますよ?」


「えっ? あ、はーい」


 ウィルさんが、私のことにも配慮してくれていた。あー、彼の上位神からの命令なのね。私が迷子にならないように……って、ちょっと待って。私は子供じゃないんだから。



 建物の入り口には、光る石がたくさん生えている。石が生えているというのは、おかしいかもだけど、生えてるんだから仕方ない。


 この辺の地面って、一体何からできているのかな? 触れてみると、ひんやりしている。これは魔力よね? このひんやり土から光る石が生えるのかな?


「あの、アニスさん……」


「えっ? あ、はい」


 ウィルさんが困った顔をしてる。私は見ていただけだよ? 別に、光る石を引き抜こうなんて、ちょっと考えたけど、思いとどまったもの。困らせるようなことはしてないよ。



「あははは、お嬢さんは、ほんとに可愛い子だな」


 なぜか、水の神が笑っていた。一方で、シトラスさんの眉間のシワは、マックスだよ。ほんとに知らないよー。シワシワおばばになっても〜。


「ちょっと、アニス! いい加減にしなさいよ!」


「何よ、私、何もしてないじゃない」


 シトラスさんは、大きなため息をつき、そして、眉間のシワをのばしてる。ふふっ、マッサージね。あっ、睨まれた。そんなに睨んでばっかりだと、目つき悪くなるよ。いや、もう手遅れかも。



「あはは、お嬢さん。私達にも心の声は聞こえてしまうから、気をつけなさい」


「はいぃ……。ということは、シトラスさんの眉間のシワのことも、聞こえてしまって……痛っ! 何よ」


「バカ犬! いい加減にしなさい! 思念封じの首輪も必要かしら?」


「カリカリしすぎだよ。シトラスさんも営業スマイルを覚える方がいいと思うの。カフェで……痛っ! もう! 殴るとかひどい〜。短気は損なんだよっ」


「お黙りなさい。はぁ……その辺の柱にくくりつけておこうかしら」


 今、私達は大きな部屋の中にいる。柱なんてないじゃない。たくさんの人がいるけど、喋っているのは私達だけみたい。


 でも、みんなこちらを見る目が冷たい。こちらというか、シトラスさんを見る目が冷たいのね。



 コツコツコツコツ



 誰かが、上から階段を下りてくる足音が聞こえると、シトラスさんの表情が変わった。急に不機嫌になってる。さっきまでも怒ってたけど、明らかに違う表情ね。


 あっ、この雰囲気って、夢でみた人? あれ? イケメンだったのに、めちゃくちゃ爺ちゃんだ。



 爺ちゃんが階段を下りてくると、円形に席がズラリと現れた。すると、みんなそれぞれ移動し始めた。所定の席があるみたい。


 でも、超神は椅子に座るけど、同行者の席はないのね。ウィルさんが水の神の後ろに立った。他もみんなそうみたい。


 私も、シトラスさんの後ろに立った。すると、彼女は振り返り、私に何かの術をかけた。たぶん、思念が漏れることを封じたのね。


 ということは、やっぱり私の思念が不快なんじゃなくて、怒って楽しんでたんだ。そして、今、あの爺ちゃんの前では、私のダダ漏れは困るのね。




「では、超神総会を始める。議題はすでに渡したとおりだ。その前に、この場に初めて立ち入った者の紹介からしてもらおうか」


 えー、自己紹介? やだなー。



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