表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/255

46、カフェ開店準備、メニューリスト作成

 コンコン!


「アニスちゃん、起きてください!」


 コンコン!


「カフェの開店できなくなりますよ。アニスちゃん!」



 うーん、オルガくんの声が聞こえるような気がするけど……。きっと夢ね。うん、まだ眠いもの。



 ドンドン!


「アニス、いつまで寝てるんだ! 入るぞ」



 あれ? アブサンが起こしにくる夢? 騙されないんだからね。まだ真夜中だもん。



 バサッと、掛け布団がひっぺがされた。リアルな夢ね。子供の頃の横暴なアブサンみたい。スゥスゥ〜。い、痛っ!


「こら! アニス、開店準備はしないのかよ。俺が来たってことは午後だぜ? わかってんのか」


「鼻が、痛いよ! なんでアブ兄が起こしにくる夢なのに、鼻が痛いのよ」


「おまえ、夢じゃねーぞ。まだ寝ぼけてんのか。キスするぞ」


(えっ? か、き、キス?)


 私はパチリと目を開けた。鼻が痛い。アブサンが私の鼻をつまんでいる。ど、どういうこと? な、なぜキスするとか言ってんの。


「あはは、やっと起きたか。さすがに鼻をつままれて、口もふさがれたら、窒息すると気付いたか」


「なっ!? アブ兄〜っ!!」


「早く着替えろよ。そんなに顔真っ赤にして怒るなよ、あはは」


 バタンと扉が閉まった。顔が熱い。心臓がバクバクする。な、何? 今の嵐のような出来事。


 ふと時計を見ると12時半。な〜んだ、まだ、ランチ時じゃない。ん? 12時半? カフェのオープンは私、何時って言ったっけ。


 頭がうまく働かない。とりあえずシャワーしよう。



 私は、シャワーを浴びてながら、やっと目が覚めて、いろいろと思い出してきた。


 昨夜は、あのあと、大量のバニラアイスと、飾りクッキーを作ったんだっけ。ソフトクリームの機械も満タンにしたよね。


 カフェ開店時のサービスで、バニラアイスを無料で出そうということに決めたんだ。


 アイスって、味にかなりの差があるから、食べたことないと注文しないみたい。アイスが不味いかもしれないと思われたら、パフェも注文しないもんね。


 そういえば、飾りクッキーは作業台に放置してたっけ。冷まそうと広げていて、そのまま忘れてた。湿気でふにゃふにゃになってたらどうしよう。ヒート魔法かければ、サクッとするかな?


(ハッ! 大変!)


 う〜、忘れてた! クッキー&クリームを作ってないじゃない。あんなに必死にココアパウダーを手に入れたのに。


 カフェのオープンって、確か……2時! マズイよ、ヤバイ、まずい。のんびりシャワーしてる場合じゃなかった〜。



 私は、慌てて髪をドライ魔法で乾かし、白が多めのゴスロリ服を着て、エプロンをつけた。


 そして、食堂へと、階段を駆け下りた。




「うるせーぞ、アニス。ドタバタするなよ」


「だって、時間がないんだもの。クッキー&クリームを作ってないの」


「アニスさん、昨夜の大量のクッキーなら、小分けにして魔法袋に入れてありますよ。魔法袋なら時間が止まっているので、昨夜のサクサクな状態を維持できますから」


「オットーさん、ありがとう。でも違うの。ココアクッキーを入れたアイスクリームを作るの」


「えっ? アイスクリームのショーケースは、もうスペースがありませんよ? 昨夜、アニスさんが、空いていた円筒にすべてバニラアイスを作ったじゃないですか」


 そこで、私は大失敗に気づいた。そう、昨夜は確かに全部埋めなきゃと思ってた。だから店員さんが慌てて牛乳や卵を買いに行ったんだった。


「あぅ、やらかした〜」


 あんなに、リンにも慌てさせたのに、ココアパウダーを使ってないとマズイわ。絶対にマズイ。


 あっ、でも、食べ放題に行ったときに、『焼きそばできました〜』とか『唐揚げできました〜』って、チリンチリン鳴らされたらテンション上がったよね。


(うん、それにしよう)



「オットーさん、鐘あるかな? チリンチリンでも何でもいいんだけど」


「へ? 鐘ですか? 入り口のカランコロンではダメなんですか?」


 オットーさんには通じてない。まぁ、そりゃそうよね。食べ放題みたいにしたいって言ってもわかんないよね。


 あっ、なべとお玉でもいいか。いや、違う。シンバルみたいなものの方が……いや、それだと別の料理になる。



「オーナー、あの、鈴なら、すぐ近くの雑貨屋に売ってますけど?」


 カフェバイトの一人が、ナイスなアイデアを出してくれた。うん、鈴でいいよ、うん。


「じゃあ、なるべく音が大きなものを買ってきてくれる? お金はオットーさんから……あ、うん、それでお願い」


「了解っす。いってきます」


 オットーさんは、素早くお金を渡していた。さすがね。



「アニスさん、慌てなくても準備は大丈夫ですよ。メニューリストの確認をお願いします。値段はカフェバイトの人達と相談して一応決めています」


 そう言って、オットーさんは、大きなメニューリストを持ってきた。食堂にあるものと違って、オシャレね。これを店内に貼るのね。



 紅茶、コーヒー、オレンジジュース……銅貨10枚

 アイスクリーム……銅貨10枚

 ソフトクリーム……銅貨10枚

 フルーツパフェ……銅貨20枚



 うーん、メニューが少ないし、それに高い。全然ワクワクしないわ。これではダメよ。



「高くない?」


「これくらいの方がいいということになりました」


「でも、ワクワクしないのよね。オシャレなのに、これだけしか書いてないのは、わかりにくいもの。変えていい?」


「はい、もちろん」



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



【飲み物】銅貨8枚


 ●紅茶

 ●コーヒー

 ●オレンジジュース

 ●フルーツソーダ水


 ※紅茶はおかわり自由です。

 ※ソーダ水は日替わりでフルーツが変わります。



【トッピング等】銅貨2枚


 ●ミルク

 ●スイートミルク

 ●スライスレモン

 ●ソフトクリーム


 ※紅茶、コーヒー、ソーダ水にどうぞ。



【パフェ】銅貨20枚


 ●やみつき気まぐれパフェ

 ●フルーツたっぷりパフェ

 ●キラキラゼリーパフェ


 ※お好みのリクエスト承ります。



【アイスクリーム】


 ●シングル……お好きなアイス1つ、銅貨5枚

 ●ダブル……お好きなアイス2つ、銅貨9枚

 ●トリプル……お好きなアイス3つ、銅貨12枚


 ※ショーケースからお選びください。



【ケーキ】1ピース銅貨10枚


 ※ショーケースからお選びください。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 できた! うん、カフェっぽい。


 まだ、軽食メニューはないけど、とりあえずこのくらいでいいかな。値段は高いけど、その分は飾りをつければいいよね。


 ソーダ水と、ゼリーを作らなきゃ。勢いでメニューに書いてしまった。あっ、ケーキは、焼けたら鈴を鳴らせばいいよね。うふっ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ