42、試食、試作、試食
「うん、こんなもんかな?」
私は、カフェ店員の試食用に、ミニパフェを作った。と言っても、皿にコーンフレークをザザッと入れ、その上にバニラアイスと桃アイスを乗せ、ソフトクリームも少し乗せただけの、シンプルなものなんだけど。
アイスを丸くする、スプーンみたいな道具の使い方にも慣れてきた。私は、よくアイス屋で見ていたから、すぐにできたのかも。店員さん達にはあとで練習してもらおう。何人かは、既にジッと見てるけど。
「はーい、じゃあ、みんな休憩ねー」
ちょうど、別の店員さんが温かい紅茶をいれてくれていた。うん、甘い物だけだとツライもんね。
「いただきます」
みんな素直ね。アイスの皿と紅茶を受け取り、店員さんが指定した席に座って食べ始めた。
男性を指定したわけじゃないのに、面接に来たのは全て男ばかりだったよね。年齢は少し幅があるかな。
でも、カフェ店員は若い人ばかりになった。シフト制にするだろうから、6人でも足りないくらいかも。まぁ、足りなかったら、オルガくんを投入すればいいよね。うふっ。
「オーナー、これ、すごく高級ですね」
「うん? そうかな?」
「はい、紅茶も高級だから、このセットで俺達の二時間分の時給くらいですか」
時給は、確か銅貨10枚だっけ? 二時間分なら20枚、二千円? それはぼったくりでしょ。
「値段はまだ決めてないんだけど、食堂は安いからなー」
「たぶん、高く設定する方が評判になると思います」
「そう? お客さん来なくならない?」
私がそう尋ねると、6人全員が首を横に振った。
「外観も可愛らしいですし、椅子も座り心地がいいです。それに、こんな珍しいスイーツが食べられるなら、絶対に来ます」
「たぶん、値段が高い方が客は来ますよ。俺、飲食店で長く働いてるんで、わかります」
「ふぅん、そっか。じゃあ、値段は高め設定でいこうかな」
全員が一斉に頷いた。
なるほど、純粋に進言してくれる人もいれば、人気店で働きたいという人もいる。どっちにしても、みんな店を流行らせたい気持ちは同じなのね。
別に覗いているつもりはないけど、頭の中の声が聞こえてくる。そして、私の闇を甘味に使ったアイスを食べると、みんな意見をしっかり出すようになったみたい。
不満というほどじゃないんだろうけど、食べる前とでは全然その表情も違う。まぁ、悪いことじゃないわね。
値段なんて、私としては、闇エネルギーが集まれば何でもいいんだけど。あっ、いや、違う。食堂の人件費もまかなえるようにしなきゃいけないんだった。じゃないと、シトラスさんに何を言われるかわからないもの。
私は、厨房に戻って、次のメニュー作りを始めた。
とりあえず、いちごアイスは、桃アイスのイチゴバージョンだから、試作なしでも大丈夫かな。ストロベリーアイスだけど、この世界ではストロベリーという言葉は使わない。
粗く潰したイチゴを混ぜ込むと、色はそのまま食べたくなるようなイチゴミルク色になった。うん、いい感じ。フルーツのアイスは、フルーツの甘さがあるから、闇を入れすぎないように気をつけなきゃ。
冷やす前のイチゴミルクを少し味見。うん、美味しい。冷やすと甘味が少なく感じるから、もう少し闇を混ぜて大丈夫ね。そして、氷魔法を使って一気に冷やし、少し混ぜてからまた冷やした。うん、完璧。めちゃくちゃ美味しそう。
これを、やはり筒二つ分、作った。味のバランスを取るために、ちょっと味見回数が多くなっちゃったけど。いちごアイスは絶品ね。うふふっ。
あとは、どうしよっかな。アイスのショーケースは、左から、バニラ、桃、いちご。10種類にはまだ遠いわね。
シャーベットを作れば、ショーケースが鮮やかになるかな。でもシャーベットに近い氷菓子は、この世界では、アイスを買えない田舎でよく食べるものだから、イメージが悪い。
(高級店にするなら、シャーベットはダメね)
あっ、そうだ! ミルクティ味にしよう。オットーさんがカフェ用に仕入れてくれた紅茶は高級品みたいだもの。
私は、紅茶を濃くいれ、その残りカス茶葉も使うことにした。茶葉をヒート魔法と風魔法で乾かしパリパリにした。そして、枯れ葉を砕くように、もんで粉々にしてアイスの材料が入ったボウルに入れた。そして紅茶も投入し、闇を入れながら混ぜ合わせた。
途中、少し味見をすると、茶葉が入った甘めなミルクティで、茶葉が舌に残る。でも茶葉からは強い香りを感じた。アイスにすれば、この葉っぱ感は気にならないかな。
氷魔法を使って、冷やし固めて完成。恐る恐る味見をしてみた。うん、悪くない。それに葉っぱ感は全然気にならない。甘さ控えめになったけど、上品な感じでいいかな?
ミルクティアイスも、筒二つ分、作った。同じ種類は横並びにしているから、あと1種類作れば、横一列完成ね。
ん? 店員さんが慌ててる。あー、そっか、牛乳が足りなくなったのね。慌てて買いに行ったみたい。そうよね、一気にアイスを作りすぎたかも。
どうしようかな?
あっ、パフェの飾りを作ろうかな。うん、クッキーを焼こう。小さなクッキーなら、アイスの飾りにも使えるよね。
私は冷蔵庫を開けた。うん、バター、卵はあるね。小麦粉はたくさん保管棚にあるから材料は大丈夫だね。サクサクなバタークッキーにしよう。
ボウルにバターを入れてヒート魔法で溶かした。そしてシャカシャカ。闇を入れながら混ぜていくと、だんだんクリーム状になってきた。卵をポンと割り入れて、混ぜ混ぜ。魔法で作ったバニラエッセンスっぽい香料も投入。
小麦粉は、普通なら振るいにかけるけど、面倒ね。魔法で網を出してその上から投入。勝手に振るい落ちていった。ここからはあまり練り練りしちゃダメね。ザックリかき混ぜてやわらかめな生地が完成。
やわらかめだから、絞り袋を使おうかな。生クリームの絞り袋に、生地を入れた。そして、バターを塗った天板に、ぷにゅと絞り出していった。
オーブンは食堂の方にしかないから、魔法で焼こうか。天板の下に左手、上に右手をかざしてヒート魔法。ふふっ、これなら、真っ黒に焦がしてしまう心配はない。
厨房内に、バタークッキーのいい匂いが広がった。うん、こんなもんかな? ザザッと皿に移して完成ね。そして星形のクッキーを一つ、試食。あれ? かなりサクサクになってる。卵黄も使ったのに、ラングドシャみたいな感じね。
ん? たくさんの視線が突き刺さる。
「みんな、試食してみる?」
「はい!」




