表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/255

25、ソフトクリームの機械を作ってミニパフェを試作する

「わっ! アブ兄、どうしたの? 何してんの?」


 そんな食堂のエプロンをしてると、なんだか照れる。別に深い意味はないんだけど……。


「ちょ、オーナーさん、それはないだろ。来た初日にクビとか言うなよ?」


「あー、バイトだ。そういえば、そうだった」


「アニス、相変わらずだな。ははっ、まぁ、変わってなくて安心したぜ」


 アブサンは、ニッと笑って、ウインクをして、親指を立てた。ほんと、チャラいんだから。


「私はいつも元気だよ。アブ兄は、学校どうだった?」


「あー、騎士学校な……今朝の入学式に、二人来なくてさ。殺されたんじゃないかと騒ぎになってる」


「うん? 寝坊とかじゃないの?」


「入学式に寝坊するかよ。寮からも消えてるんだ」


「へぇ、逃亡しちゃったのかな」


「お気楽だな、おまえ。あはは」



 アブサンは、お客さんに呼ばれて、接客に向かった。女性客二人組だった。なんだか親しそう。あー、見えちゃうんだ、騎士学校の友達なのね。


 私は少しイラッとしたけど、でもちょっと待って。アブサンが、わざわざお客さんを連れてきてくれたのかもしれない。うん、そうだよ、きっと。


 アブサンがいることで、騎士学校の学生が来るなら、なおさら、かわいいカフェスペースを作らなきゃね。



 私は、買ってきた椅子のセットを終えた。不要な椅子は店員さんが片付けてくれていた。


 一応、カフェスペースを区切るために、テーブルを少し動かし、通路を作った。



「こっちの席は何?」


 ふいに、後ろから声をかけられた。アブサンの騎士学校の友達ね。私は、営業スマイルをはりつけて振り返った。


「こちらは、カフェコーナーを新設しようと考えております。椅子も座り心地の良いものを選んできました」


「へぇ、じゃあ、食後のコーヒーは、こっちで飲んでもいい?」


「はい、もちろんでございます。まだ、出来ていないのですが、近いうちに、カフェコーナー限定のメニューもご用意します」


「なんだか楽しみね。それに、店員さんが可愛いわ」


「えっ? 私ですか?」


 そう聞き返すと、うんうんと二人は頷いている。なんだ、いい人達じゃない。うふふ、やっぱロリータ系は最強ね。


「ありがとうございます。照れますー。お席はお好きな所へどうぞ」



 そう言うと、彼女達は、窓際の席に座った。そして、椅子が座り心地がいいって言ってる。盗み聞きをするつもりじゃないけど、聞こえちゃうんだから仕方ないよね。


 アブサンが、彼女達に、コーヒーを持っていった。


 やっぱ、カフェコーナーの差別化をしようと思ったら、メイドカフェだけど、女性客に長居して愚痴ってもらうには、地下アイドルみたいな男子店員かな。


 オルガくんの背を高くして、カフェコーナーで接客してもらおうと思ってたけど、タイプの違う人もいる方がいいかもしれない。


 でも、アブサンは、どちらかといえば、食堂の方が似合うかな。食堂が暇な時間は、カフェコーナーを手伝ってもらおっか。




 私は、厨房で、スイーツの試作品作りを始めた。店には、何人かの女性客がいる。まずは女性客をつかまなきゃね。


 そういえば、この世界には、アイスクリームはあるけど、ソフトクリームはない。だから、パフェもない。パフェの試作品を作ってみようかな。


 でも、ソフトクリームの機械がないよね。うーん。うん? もしかして、いけるかも。



 私は、手に魔力を集めた。頭の中にはソフトクリームの機械。中がどうなってるかなんて知らない。


 電化製品もあるけど、この世界の発電はすべて魔力を使う。だから、全く同じ機械じゃなくて、材料を入れて魔力を流せばソフトクリームができて……レバーを引けば、うねうねとクリームが出てくる感じにしたい。


 頭の中でイメージが固まると、手に集まった魔力がパッと機械に変わった。うん、完璧ね。


 厨房の作業台に、どーんと現れたソフトクリームの機械が幅をきかせている。この場所だと、ちょっと邪魔かな?



 次は、バニラアイスの材料を揃えなきゃ。生クリーム、牛乳は、あるけど、バニラエッセンスみたいな香料や、ゼラチンみたいなものはない。魔法を使えばいいよね、うん。


 私は、大きなボウルに牛乳をいれ、闇を入れながら混ぜ始めた。そして、生クリームもいれて混ぜ合わせた。ゼラチンっぽいものを魔法で投入、バニラエッセンスっぽいものも魔法ね。


 少し味見をしてみると、まぁまぁな感じ。でも、これを冷やし固めると甘さをあまり感じないかもしれない。


「おいしくなーれ、おいしくなーれ」


 私は闇を追加した。そして味見。うん、こんなもんかな?


 混ぜ合わせた材料をソフトクリームの機械に流し入れた。そして、スイッチオン。魔力を流し込むと中で混ぜながら冷やされていった。そして、しばらくすると動きは止まった。完璧ね。



 オットーさんや何人かの視線が突き刺さるのは無視して、適当なガラスの器を用意した。本当ならコップにしたいけど、長いスプーンがないんだもの。ミニパフェしか作れないな。


 モーニング用のコーンフレークを出して、ザザッと器に入れた。そして、その上からソフトクリームをうねうねと、うず巻き状に入れ、トッピングは、冷蔵庫に入っていたチョコを、風魔法でハート型にカットして、ソフトクリームに乗せた。うん、かわいい!




 私は作ったばかりの試作品を、女性客に持っていった。


「まだ試作品なんですが、よかったらどうぞ。あっ、サービスですので、お代はいただきません。感想を聞かせてもらえたら嬉しいです」


「わぁ、かわいい。ありがとう。アイスクリームね?」


「ソフトクリームです。下にコーンフレークを敷き詰めて、ミニパフェ風にしてみました」


「パフェ? 聞いたことないわ」


 私は、営業スマイルを振りまきながら、女性客へと配っていった。アブサンの友達にも当然、持っていった。


「わっ、見たことないよー。やわらかいアイスクリーム?」


「はい、そうなんです。好評ならカフェコーナーのメニューにしたいと思ってます」


「美味しい! かわいいし、コーンフレークに溶けたアイスがしみてて、これもいいね。メニューにしてよ」


「うん、これ、美味しいよ。やみつきになりそう」


「ありがとうございます」


 私は営業スマイルで、女性客に感想を聞いて回った。サービスだからか、みんな美味しいと言ってくれた。まぁまぁ、かな?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ