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1、運命のガラガラ抽選会

はじめまして♪ よろしくお願いします。

転生のシーンに二話使いますが、転生後の世界の説明にもなっています。


 一度食べたら癖になる。

 そう、それが噂のやみつきパフェ。


 ねぇ、ちゃんと聞いてる? 

 やみつきパフェよ。闇付きパフェ!



 ◇◇◇



 カランカランカラン


「おめでとう! 月旅行、大当たり〜」


「えっ、嘘」


「お姉さん、お名前、年齢、職業を教えてもらえるかな? チケットの送付先はここに書いて」


 突然、マイクを向けられた。


「は、はい、安藤 みずき、20歳です。職業は、えっと、派遣の仕事をしています」



 私がこの街に引っ越してきた日、駅前でガラガラ抽選会をやっていた。1回だけ引いたくじ引きで、まさかの特賞が当たったみたい。


(やっぱ、この街は、ツイテル)


 私は、メイドカフェに行きたくて、この街に引っ越してきた。と言っても、メイドカフェで働きたいわけじゃない。あんな可愛いこと、私にはできないもの。


 不思議なことに、私は、疲れたときにメイドカフェに行くと元気が出る。なんだかツキが回ってくるみたい。


 修学旅行で、メイドカフェに行ったとき、初めて行ったのに「おかえりなさいませ、お嬢様」と、可愛い声で言われてドキッとした。帰るときには「いってらっしゃいませ、お嬢様」と送り出してもらったんだっけ。


 そんな言葉に、私はなんだか元気をもらったんだ。私には帰る場所があるんだ、って思っちゃった。


 もちろん、商売でやってるってことはわかってる。そこまで私はイタイ女じゃないつもり。でも、そのあと、とてもいいことがあった。


 私にとってこの街のメイドカフェは、ツキを呼び込むパワースポットみたいなものかもしれない。だから、この街に住むと、前を向いて明るくなれるような気がしたんだよね。




 そして、月旅行の日がやってきた!


 宇宙船の発射ステーションは無人島にあるらしい。私は船でその島へ渡った。どちらを向いても金持ちっぽい人ばかりね。説明のあと、私達は順に宇宙船に乗り込んだ。


 いよいよ、カウントダウン!


 ドキドキワクワクしつつ、嫌な予感もしてきた。なんだろう? 昔じゃあるまいし、月旅行は安全な旅のはずなんだけど。


(私の予感は、わりと当たるのよね、ヤダなぁ)



 宇宙船は、地球から宇宙へと飛び出した。宇宙空間に出ると、身体がふわっと軽くなった。それと同時に、さっきの不安な気持ちも、ふわっと軽くなっていた。


(わー、地球って、ほんとに青いんだ)


 いろいろな映像で知っていたけど、実際に自分の目で見ると、感動する。来てよかった。くじ引き万歳!!



 でも、それは間違いだった。


(えっ? 何?)


 赤い光が見えたと思った瞬間、私の意識は、そこでプツリと途切れてしまった。



 ◇◇◇



『目覚めた人は、順番にくじ引きを回してください』


 私の頭の中に直接声が響いてきた。


(あれ? ここはどこ?)


 私は広く白い壁の部屋にいた。たくさんの人が眠っているようだ。ベッドはない。ごろ寝でザコ寝……ちょっと扱いがひどくない? 

 そして、壁際には長い行列ができている。行列の先には、扉が5つあるようだ。


 私は訳がわからないまま、しばらくボーっとしていると、再び、くじ引きを引けという声が聞こえてきた。


 すぐ近くにいた人が無言で立ち上がった。あれ? 宇宙船で隣の席にいた人だ。見渡すと、同じ宇宙船に乗っていた人達が、みんな寝転んでいたようだ。ここは、宇宙ステーションか何かなのかな?


 私も立ち上がり、他の人と同じように長い列に並んだ。他に選択肢がないんだから仕方ない。みんな不安そうな顔をしている。ガイドさんはいないのかな。



 私の順番が回ってきた。ガラガラ抽選会で使うのと似たくじ引き機が、目の前にあった。でも、とても大きい。


「1回まわしてください」


「は、はい」


 ガラガラと音を立てて、こぶしサイズの白い玉が出た。ハズレ玉も大きいんだ。


「ハズレです。この玉を持って、列の後ろにもう一度並んでください。アナタの運命は、再抽選になります」


「へ? は、はぁ」


 今、運命の再抽選と聞こえたけど……。何のくじ引きだろう? 部屋割? もしかしてミニイベント? 何かお土産がもらえるのかもしれない。



 列に並んで観察していると、くじ引きで出た色によって、振り分けられているみたいだ。5つの扉はそれぞれ別の色になっている。白い扉はない。扉と同じ色の玉を引かないといけないのね。


 でも、ほとんどの人は、いずれかの扉に入っていく。私のようにハズレを引く人は少数派だった。


「次の方、二度目ですね」


「は、はい」


「1回まわしてください」


 私は、ガラガラとくじ引きを回した。そして、ポトリと出たのは再び白い玉。


「あら、もう一度列の後ろに並んでください。持ちにくいでしょうから、こちらの器にどうぞ」


「あ、はい」


 私は、円筒形の透明な器を受け取った。そしてその中に白い玉を二つ入れた。


 花瓶のような器は、プラスチックのようなガラスのような不思議な素材で出来ていた。なんだか、持っているだけで目立つのよね。



 そして、三度目の順番が回ってきた。


 ガラガラとくじ引きを回して、出てきたのは白い玉。また、並び直すのね。くじ運は、月旅行で使い果たしてしまったんだ。



 カランカランカラン



 白い玉が出たのに、当たりの合図のように鐘が鳴らされた。さっきも白い玉だったのに鳴らされなかったよ?


「おめでとうございます。アナタは、後ろの扉へどうぞ。あっ、この玉も、器に入れて持って行ってください」


「は、はい」


 振り返るとそこには、通用口のような白い扉があった。



目を止めていただきありがとうございます。

日曜日までは毎日更新します。


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