世界が変わった
その日確かに世界は変わった。
誰も気づけないほど小さい事が変わった
そして次の日また世界が変わった。気づいたとしても気の所為かなと思うレベルで小さい事が変わった。
次の日には誰もが気づくほどに大きな事が変わった。どんなことが変わったかと言えば日中に月が普通に見えて、さらに月が2つ存在していた
次の日にはまた世界が変わった。今回は自然現象が変わったなどではなく人類が自ら変わっていった。変わったことは、人類は3つに別れた「終焉派」と「試練派」そして「傍観派」に、別れた3つの派閥のうち、終焉派と試練派は、どちらが正しいのかを大衆の意見で決めようと街中で演説を始めた。
終焉派は語った。「人類の繁栄はここで終わり新たな生命がこの地球をそして宇宙を支配するのだ」
試練派は語った。「誰かがこんな世界は変わればいいと望んだ。だから変わった。望まれた世界にではなく、望まれない新たな世界へと。だが、これも神の試練なのである、これを乗り越えてこそ人類の更なる発展が望めるのだ」
そして、2つの主張を聞いた1人の学者も語った
「皆はどこか勘違いしている。確かに月が増え、日中に見えるようになったという変化は起きた。だが、それ以外の変化はない。増えた月だって、地球に接近してくる様子もない。それ以外の変化がない以上私たちの生活にほとんど害はない。だが1部の人が持ったただの妄想、それがこのように拡散されることにより、1つの大きな考えとなる。それが皆に恐怖を与えているのだ」
終焉派と試練派の演説を聞き、恐怖を感じていた人々は学者の意見を聞いた事で恐怖が少しは和らいでいった。
終焉派と試練派は、その日から100年経った現在も残っている。互いに互いを毛嫌いし、相手の存在しない悪いところを本当に存在するかのように
傍観者達に教えた。傍観者達は教えられた情報を真実だと信じて、先に教えてくれた方の味方となった。
このような対立ができてから300年が経った。今も終焉派と試練派は名前は互いに変わっているが残っていた。なぜこの2つの派閥ができたのかも忘れてしまっても、互いに互いを毛嫌いしていた。
それから500年が経った。だがこの2つの派閥は、互いに互いを毛嫌いしていた。きっとこの先ずっと互いを毛嫌いしていくのであろう。
最初が少人数による妄想の対立だったとは知らずに。
END