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第七話 「隠し事は無い事もない」

「ヴィンス、あんた隠し事あるでしょ。」

「へ?」


 遊ぼうと呼び出される形で裏庭に行けばソフィーから思わぬ質問をされあからさまに戸惑う俺。

 ソフィーから俺を見たら完全に目が泳いでいる事だろう。


「…………………」


 ジッと真っ直ぐな視線でソフィーは俺を見ている。


「な、ななな、な、何スか?!いきなりぃ…」


 隠し事??ありますよ。ええ、ありますとも。

 だけど何でソフィーが知ってる?


 あ!もしかしてソフィーが転生する時に精神(メンタル)の世界で会った匿名希望の女の子??


「隠し事よ!あるでしょ?吐きなさい!」

「や、あると言えばある様な、無いと言えば無い様な…」

「はっきりしなさいよ、男でしょ?!」

「男ではありますが…」


 いったいどの事を言っているんだ?ホントに転生の事なのか?


「親の前じゃ言いにくいと思ってわざわざ外にまで来たんだから吐いちゃいなさいよ」

「いやぁ…吐けと言われても…」


 別の世界で死んだけど魂が金色だったからこっちの銀色の体に転生したって言う??

 いや、信じないだろ!?


 そうだ!!仮にソフィーが例の匿名希望の女の子なら合言葉のフリーディって言う約束だったはずだ。

 合言葉を言わないって事は匿名希望ちゃんが言ってた敵対勢力??


 いや、でもソフィーは前から俺の家族なんかとも付き合い有ったみたいだし。


 でももしかして敵対勢力さんはある程度転生してくる肉体をマークしていたとしたら?


 う〜ん…分からん!!

 正解は何なんだ??


「その慌てっぷり……やっぱり何か隠してるわね」

「……………………」


 どうする?


 一か八か言ってみるか?

 いや、言っちゃいけないんだよな?


 う~ん……どうする??俺!?


「あくまでもすっ呆ける気なのね?じゃあいいわ、私の口から言ってあげる」

「……ゴクリ」


 ああ…今明らかに固唾を飲む音聞こえたよね?

 動揺バレバレやん。


「ヴィンスあなた……谷底で倒れていた時、ガスラン達に助けてもらったってホント?」

「……え?あ、え、ええ…」

「あのガスラン達が??」

「え、ええ……確かに気付いた時にはガスラン君達がいてデュークさんら大人の人を呼びに行って助けてくれました」


 良かった、とりあえず転生の話じゃなかった。


「じゃあ何で髪の毛は金色なの?」

「え?いや、それは何故だか僕にもさっぱり……」


 流石に金色の魂が転生したからとは言えないでしょ。


「あなたガスラン達がどんな奴らかも覚えていないの?」

「はい。谷底で助けてもらう以前の記憶はまったくありません」


「……………………」

「それが、な、何か…?」


 ソフィーはお尻を突き出す様な格好で上半身を前のめりにして右手を自分の顎にやり俺の顔と言うか目を覗き込む。


 ソフィーの紫色の瞳から出ているうそ発見器光線に何とか目線を逸らさずに堪える。

 この世界の記憶が無いのは本当だ。


「ふん、まあいいわ。ところでガスラン達、あなたを助けた後、何かしたり何か言ったりしてなかった?」

「えーと……確か……何も覚えていないか確認のテストみたいのをされて……ガスラン君達は僕を助けた命の恩人だから何か思い出した事があったら真っ先にガスラン君のトコに来いと」


「記憶の確認テストに記憶が戻ったら真っ先に来いか……」


 ソフィーは顎に手をやったまま考えている。


「ソ、ソフィー…?」

「え?あ、ああ…いいわ、分かった」


 分かったって何がだ??

 それにしても俺がお子様だからかソフィーがやけに大人びて見えるな。


「分かったって…隠し事は無いって分かった事ですか…?」

「ええ、私はてっきりガスラン達にいじめられて橋から突き落とされたのを隠してんじゃないか、もしくは髪の毛をどうにかして染められちゃってそれを隠す為にきおくそうしつの振りをしてんじゃないかと思ったの」


「なるほど。橋から突き落とされたかどうかは覚えていませんし記憶が無いのも本当です、髪の毛が金色になった理由は…分かりません…」


 うう……俺の事を心配して気まで使ってくれるこんな幼い女の子に嘘をつくのは心が痛む…いつか本当の事を話せる時が来る事をマジで祈るよ…いや、本当に…。


「と、ところでソフィーって何歳なんです?」

「何よいきなり、それにレディに対して歳を聞くなんてデリカシーの欠片も無いわね」

「すいません、記憶が無いんで気になっちゃったから」

「7歳よ、ヴィンスより2歳もお姉さんなんだから私の言う事聞きなさいよね」


 2歳違いか、やっぱこの位の年齢だと2歳差って大きいのかな?

 それともソフィーは貴族で育ちがいいからか落ち着いているから大人っぽく見えんのかな?


「と、ところで何して遊びます?」

「遊ぶのはまたにしましょ。遊ぶっていうのは2人になって今聞いた事を聞く為の口実だから。それにヴィンスだって早くデューク師匠に魔術習いたいんじゃないの?」

「ええ、早く魔術を試したいです!」

「じゃあデューク師匠のトコに行きましょ」


「はい!」


 何だかソフィーにコントロールされてる感があるがまぁいっか。


「っ!?ちょ、ちょっとヴィンス!?」

「はい?」


「ど、どうしたの?急に手なんか握って?」

「え?」


 ホントだ!無意識にソフィーの手を握っていた。

 精神年齢は大人の俺が体は子供とは言え子供みたいに無意識に手はつながないだろう。

 前の体と俺の精神年齢がうまくまだリンクしてないのかな?


「ま、まぁいいわ、と、特別に手つないであげるわ、ホントはヤなんだけど、と、特別に、仕方ないからなんだからね…!」

「はい!ありがとうございます!」


 不思議とイヤなら繋がなくても…とは思わない。

 何だかスゴく嬉しい気持ちになる。



 ~


「お?何だ?手なんか繋いじゃって!」

「こ、これはヴィンスが、ど、どうしてもって言うから、し、仕方なくです!師匠いちいち冷かさないで下さい!」

「そうよ、デューク!あなた本当に昔からデリカシー無いわよ。だから未だに独身なんじゃない?」

「うっせーな、クラリス。俺は好きで独身なんだよ!」


 冷やかすデュークさんに突っ込むクラリス、さすが姉弟、息が合ってるなぁ。


「で?ヴィンス、もうソフィーちゃんとは遊んでもらったのか?やけに早かったな」

「あ、はい。父様、ソフィーとは…」

「ブルーノさん、ヴィンスとは遊ぼうとしたのですが、ヴィンスが早く魔術を習いたいって言うから…その…そう!こうして手を引いて来てあげたのですっ!」


 ソフィーが俺をかばったのか、質問した事を隠したいのかかぶせ気味に入ってきたな。


「ふ〜ん…そっか。まぁ、ヴィンスは記憶喪失になって剣術も熱心だしな、魔術もその調子で一生懸命学ぶんだな」

「はい!父様!」

「じゃ、じゃあ師匠!早く魔術訓練にしましょ!」


 何だか慌ててるソフィー。


「ん?あ、ああ。分かった、じゃあ裏山に行くか」


「あら?裏庭じゃなくて?裏山なんですか?」

「あ?ああ…」


 バツが悪そうに返事するデュークさん、俺もだけど。


「何でです?」

「そ、それは後でクラリスに聞きな」


「はぁ…?」


 頭の上に疑問符を浮かべたソフィーを引き連れ裏山に向かった。



 ~



「ようし!んじゃ始めるか」


 おお!!いよいよ魔術かぁ。

 前世じゃ完全に漫画や映画、ゲームでしかあり得なかったからな。

 正直、剣を振り回すよりワクワクすっぞオラ。


「はい!デュークさん!僕はまったく持って魔術を忘れておりますので改めて基礎からご指導お願いします!」

「あらヴィンス、あなた前もほとんど魔術発動出来なかったから未だに基礎だったのよ」

「え?!そうなの?!」


 ソフィーのクール過ぎる突っ込み。


「んまぁ、確かに魔術は発動出来なかったな。但し魔量だけは底無しみたいだがな」


 身体能力が高く剣術もやってなかったって言う割にすごかったから魔術ももしかしてと思ったけど発動すら出来なかったのか…。


「ふふん、その点、私は魔術に関しては天才的な才能に加えヴィンスに負けず劣らずの魔量よ」

「へぇ〜それはスゴいです!ねぇソフィー!何か得意な魔術見せて下さい!!」

「いいけど…」


 ソフィーが許可を求める様にデュークさんを見る。


「ああ、いいんじゃねーか?とりあえず火属性あたり見せてやりゃあ」

「はいっ!じゃあいい?ヴィンス、よく見てなさいよ」

「はい!!」


 昨日の治癒魔術、雷魔術に続いて火魔術か!


火複数弾(ファイヤーボールズ)!!」


 おお!無詠唱!!

 魔術名だけ唱えたソフィーの両手のひらからソフトボール大の火の玉が3つずつ出現したと思った瞬間に射出され、少し離れた木に命中し爆発にも似た衝突音と共に木をなぎ倒した!


「おお!!スゴい!!」


 俺は改めて魔術を目の当たりにして感動した。


「ふふん、どう?ヴィンス」


 ソフィーは更に上から目線で絵に描いたようなドヤ顔で俺に感想を求める。


「いや、感動しました!スゴいです!!」


 あまりに得意そうな顔のソフィーに対し少し悔しいが率直な感想だ。


「得意になるのはいいが、早く消化しろ。山火事になっちまうぞ?」

「あ、はい!師匠!局地雨雲(レイニークラウド)!!」


 おお!今度は水魔術!

 焼けている木の上に小型の雨雲が発生しその木にだけ豪雨が降り程なく鎮火した。


「とまぁ、こんな感じだな」

「ヴィンス、私の事をマジックマスターと呼んでもいいわよ」

「いやぁホントにスゴいです、マジックマスター」


「や、やっぱり呼ばないで。人から呼ばれるとスゴい恥ずかしいわ…」


 自分でマジックマスターとか言って後悔しているソフィー。


「よし!それじゃあ、とりあえずソフィーちゃんとヴィンスには別々の課題をやってもらう」

「はいっ!師匠!」

「お願いします!」


「ソフィーちゃんはさっきの局地雨雲(レイニークラウド)局地雷雲(サンダークラウド)を融合してみな」

「魔術の融合ですね、それってカナリ難しいですよね?」

「ああ、複合魔術だから難易度は高めだがソフィーちゃんはマジックマスターなんだから出来るハズだぜ?」

「だから、マジックマスターはやめて下さい…。とっても後悔しているんですから…」


 マジックマスターと冷やかされるたびに顔を赤くし顔を伏せるソフィー、うん、可愛いな。


「まぁいずれにせよ、ソフィーちゃんなら出来ると思ってるからこその課題だ、ソフィーちゃんは期待を裏切らないだろ?」

「ええ、このソフィア、見事期待に応えてみせましょう」


 今度は顔を上げ自信満々にと言うか少し芝居がかった様に不敵な笑みを浮かべ答えるソフィー、ノリが良いと言うか切り替えが早いと言うか可愛らしいな。


「コツは雨雲と雷雲を半分半分に出現させてから徐々に2つの雲を混じらせる事だ、まぁ違う属性魔術を同時発動させるのが初めの壁だろうがな」

「ふふん、このソフィアにかかれば直ぐに同時発動させてみせますわ」


 ウインクする様に片目を閉じその小さな胸を右手でトンっと叩いてみせる。


「ああ、期待してるぜ。んでヴィンス、お前さんは魔術の仕組みからだ」

「はい!お願いします」


 複合魔術を始めるソフィーとは少し離れた場所に移動して俺も訓練を始める。


「よし、ヴィンス。先ず魔術はそもそも何で発動するか分かるか?」

「いえ、分かりません」

「簡単に言えば魔術って言うのは魔力を具現化する技の事だ、火に具現化すれば火属性、水に具現化すれば水属性って事になる」

「水や火は分かりますが治癒魔術は何を具現化したものなんです?」


「治癒魔術は光属性になるんだ、魔力を活性化させ傷を治す、その活性化された魔力が発光するから光属性であり、治癒する際にも光が見えるって訳だ」

「なるほど」


 そう言う事なのね、と妙に感心する。


「それで魔術を発動させるには昨日から皆さんがやっているみたいに術名を唱えれば発動するのですか?」


「基本的にはそうだが、それには初めに呪文を詠唱して魔術を成功させる必要はある。逆に言えば詠唱して魔術を成功させれば次からは詠唱が要らないって事だ」


「詠唱すれば必ず魔術が成功するって訳では当然無いですよね?」


「ああ、そうだ。さっきソフィーちゃんが言っていたが記憶喪失になる前のヴィンスは魔術を発動出来なかったって言っていただろう?」


「はい」


「詠唱は魔力をそれぞれの属性を具現化する合言葉みたいなもんで、詠唱によって魔力を集中した所に完全形のイメージとそれに見合った適切な魔量の注入、維持が出来て初めて発動する、まあ言うのは簡単だがやってみれば点と点とを重ねる様な非常に繊細且つ豪胆な技術が求められる」


 う~ん、何となく理解は出来るがそんな事で魔術が発動するのか?


「詠唱して魔術が発動する理屈は理解出来るのですが、何故一度発動できた魔術は次回から省略しても発動するのですか?」

「何で2回目からは術名だけで発動するのか、かぁ…う~ん…何でだろうな?体が覚えているから?考えた事はなかったな、そういうもんだと思ってたしな」

「そうですか…分かりました…」

「わりぃな、はっきり答えらんなくて」


「いえ、ちなみに魔術の属性って火や水、雷、光の他に何があるんですか?」

「後は土と風だな、氷属性もあるが氷は水の温度を下げたものだから属性としては水に分類されるな」


「と言う事はつまり魔術の属性は6属性という事ですね」

「ああ、そうだな。後は昔っから言われている第7属性って言うのもあるにはあるんだが……」

「第7属性ですか」


「ああ、まあ誰も見た事ないし実際にあるのかないのか怪しいんだが、(そら)って言うのがあるって言われてる」

(そら)、ですか…?」


「ああ、何でも空より上の空間の事を指すらしいんだが重力や空気も無いって話だが…実際にそんな事あるかどうかは分からねーな」

「へぇ…」


「ま、ヴィンスは(そら)なんかは置いておいて、先ずは水属性を呼び出してみるトコからだ」

「はい!」


「じゃあまず、俺が水魔術の初歩である水弾(ウォーターボール)をやってみせるから詠唱呪文と水弾(ウォーターボール)の大きさをよく覚えておけ」

「はい!」


「汝、恵みと怒りをもたらすその力。我、今此処に汝の力を求め得ん。出でよ、水弾(ウォーターボール)!!」


 呪文を詠唱し術名を発すると同時に野球のボール大の水の玉がデュークさんの掌から射出した。


「詠唱呪文は覚えられたか?」

「はい、何とか」


「そしたら詠唱呪文を正しく唱えるんだ、そうすると手のひらに魔力が集まってくるのが分かるはずだ。

 詠唱呪文が終わるまでにさっきの水弾(ウォーターボール)の大きさになる魔量をイメージして術名を言うのと同時に集めた魔力を塊にして出すんだ、全てが一致すればイメージ通りの水弾(ウォーターボール)が射出される、って訳だ」


 詠唱しながら手のひらに魔力を集中させ術名を言うタイミングで魔量を塊にするイメージか…。


「よし…行きます…」


 右手首を左手で持ち、右手のひらをとりあえず離れた木に向け構える。


「汝、恵みと怒りを…」


 お?何だか手のひらをくすぐられる様な何かが渦をかく感じがする。


「もたらすその力…」


 おお!?渦巻く力が増して重さを感じる!


「我、今此処に汝の力を求め得ん…!」


 ぐっ…手のひらに穴でも開きそうだ…!今だ!!


「出でよ、水弾(ウォーターボール)!!」


 と次の瞬間!右手のひらから水が爆発した!

 いや、暴発と言った方が適当か?!

 俺は頭から水をかぶりびしょ濡れだ…。


「あーはっはっはぁ!流石ヴィンス、期待を裏切らないわ!」

「ま、まぁ失敗はしたが前より良くなってるぞ。前はスカシっ屁みたいな空気がちろっと出ただけだったからな」

「う〜ん…詠唱してる時は何かイケそうな気がしてたんですけど…」


「今のは水弾(ウォーターボール)の形と言うか固さ(・・・)をしっかりイメージ出来ていなかったな、水弾(ウォーターボール)の大きさに対する魔量も多すぎたしな」

「確かに!何か手のひらが変な感じだなって思った後、イケるかも!って感じた後に今だ!って気合いだけは入れたって感じで水弾(ウォーターボール)自体のイメージも射出するイメージは無かったです」


「じゃあもう1発やってみな、次はしっかり作りたい水弾(ウォーターボール)の形をイメージするのを忘れるなよ、ああ後、水弾(ウォーターボール)の射出スピードのイメージも必要だな」


 魔術を発動させる事に対しより具体的なイメージが湧く様になったが気になる事がある。


「……その前に試したい事があるのですが、試してもいいですか?」

「ん?何だ?試したい事って?」

「いえ、何で一度成功した魔術は次回からは術名だけで良いのかって言うのが引っ掛かってて……詠唱してその魔術が()()()()()次からは術名だけ言えば無詠唱でその魔術は発動するんですよね?」

「ああ、そうだ」


「という事は今の失敗した水弾(ウォーターボール)で、次に無詠唱で術名だけ言って魔術を発動させたらどうなるんでしょう?」

「ん〜…どうなんだろうな?失敗した魔術を次は無詠唱でなんてやった事無いからな」

「試しにやってもいいですか?」

「ああ、構わねぇが…」


 俺は再び右手首を左手で掴み足を肩幅に広げ構える。

 さっきまで笑っていたソフィーも訓練を中止しこっちを見ている。

 ようし、行くぞ…


水弾(ウォーターボール)!!」


 俺は再び頭から水をかぶりびしょ濡れになった。


 が、ソフィーも今度は笑う事無く真顔でこっちを見ている。

 デュークさんも普段のおちゃらけた感じは無く真顔だ。


「予想通りの結果になりました」


 俺はびしょ濡れになりながら言う。


「ああ、そうだな」


「これって本来あるべき姿に具現化できなくても、言い換えれば術名とは関係無い形であっても魔術は発動出来るって事ですよね?」

「ああ、術名を発するのは目的の魔術を発動させる為の確認作業みたいなもんだって事だな」


「次は()()()()()()()水弾(ウォーターボール)を術名だけ言って()()()()()()水弾(ウォーターボール)を発動させてみたいと思います」

「そんな事、出来んのか?」


「はい。僕が考えている通りだとしたら出来るハズです」

「まぁ、言わんとしている事は分かるがな」


 俺は三たび構える。


 まず完成させたい、いや完成した水弾(ウォーターボール)をイメージするんだ。

 大きさは…大小に拘るよりさっきから失敗している水弾(ウォーターボール)の水量を思い出して、それを球状にしたら?


 どれ位の大きさだ?


 完成した水弾(ウォーターボール)の大きさに対して魔量がどれ位必要なのか分からないけど、失敗した2回とも同じ位の水量だった。

 ならさっきまでの魔量から逆算して水弾(ウォーターボール)をイメージすれば大きさと魔量は一致するはずだ。


 うん、これ位の大きさだろう…。


 次はイメージした水弾(ウォーターボール)をしっかりとした球状になる様に水を固める意識を高める。


 後は射出スピードのイメージだ。


 ……よし!大きさ、硬さ、魔量、スピード、全て一致した!!


 行くぞ…!!


水弾(ウォーターボール)!!!」

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