第三十七話 「友情と幽霊」
俺を異世界にスカウトした死神ベルリネッタちゃんと同様に異次元空間を使えるパナメーラだがベルリネッタちゃんでは無さそうだ。
「えーと……それじゃあ……僕は入試の課題があるのでこの辺で……」
はぐらかす様に俺は話題を変えこの場を離れようとする。
何にしてもとりあえず一件落着っぽいし今の俺がやるべき事は入試課題のクリアだ。
実際、早いとこクリアしてソフィーとカーラちゃんを待ちたいしな。
「課題とは何だ?」
「あ、パナメーラさんは免除されてるんでしたっけ?なら言っても良いか、いや実はですね魔草のツダってのを採ってくるのが今年の入試課題なんスよ」
「ツダならあるぞ?お前にならくれてやるぞ」
パナメーラは空間魔術でいきなり魔草ツダを出現させ俺に見せてくれた。
「これが魔草ツダですか?いやぁ初めて見ました、ありがとうございますぅって、マズいでしょ!?」
いきなりの展開に思わずノリツッコミしてしまった…。
「何がマズいんだ?」
「何がって、不正じゃないですか!?試験官に見られたらアウトですって言うか見られてなくても人としてダメでしょ!?って、あれ?そう言えば試験官さんは!?」
「ヤツならちょっと前から気絶しているぞ」
「へっ?」
パナメーラが指さす方を見れば試験官さんが仰向けになって倒れている。
気絶っつーか死んでない?!
俺とパナメーラの戦いに巻き込まれちゃって死んでないだろうな?!
「俺様の空間魔術と貴様の宙魔術の戦いに驚愕して気を失ったのを貴様は見ていなかったのか?」
「い、いえ、見てないですよ…」
俺は必死で試験官には悪いが周りの事など見る余裕はなかったが、あの状況でパナメーラは周りを見る余裕があったのか…。
「ふ~ん、そうなのか、まあ良い、いずれにしても貴様は俺様からツダを貰うのが不正だと言うがこれは不正と言うより効率の問題だ」
「効率…?」
「ああ、この俺様に空間魔術を使わせ且つ宙魔術をも使える貴様がツダを採れなかったから落第と言う事はあり得ないだろう」
「ま、まあ、そうかも知れないですけど……」
「ふん、貴様は腑に落ちないようだな、よし!なら正々堂々と貴様にツダをやろうじゃないか」
そう言うとパナメーラはスタスタと気絶している試験官に向かって歩き出した。
「ふんっ!!」
「がっ、はっ…」
パナメーラが試験官の背中を押し試験官が気を取り戻す。
「おい貴様、俺様は今からヴィンスに魔草ツダをくれてやる事にした、これでヴィンスは課題クリアだ」
「ひっ…パ、パナメーラ…あ、あれ…?そ、そんなに怖くない…?」
畏怖の加護を戻したからそりゃ怖さは軽減されただろう、つーかいきなり本題に切り込むパナメーラに対して気を取り戻したばかりで状況が呑み込めていない試験官だもんな、噛み合わないわな。
「おい分かったのか?」
「へっ??え、っと……」
「だから課題であるツダを俺様からヴィンスにくれてやる事にしたと言ってるんだ!」
「な、そ、それはダメだ!!認められない!」
そりゃそうだろうな、ごもっともな意見だ。
「何でダメなんだ?」
「自分一人で課題をクリアするのがルールだからだ」
「それは何の為のルールだ?」
「特待生に相応しい力がるかどうかを測るルールだ」
ハッと試験官が何かに気付いたようだ。
「気付いた様だな、宙魔術を使い俺様と対等に渡り合える奴がツダごときを採取できるとか出来ないとかで特待生とやらに相応しいか否か決めるのか?」
「そ、それは…」
「貴様がそれでもどうしても認められないなら課題とやらを続ければ良いが遅かれ早かれヴィンスはツダごとき採ってくるだろう」
「な、なら、採ってくれば良いだろう…」
だよね、試験官だって立場ってのがあるからそう易々と認められないだろう。
「時間の無駄だとは思わんか?」
「そういう問題ではない…」
うんうん、そう言うしかないですよね。
「貴様だって宙魔術を見たのは初めてだろう?今までの特待生とやらで宙魔術使う奴はいたか?」
「そ、それは…」
「しかも貴様が気を失っている間に黙ってヴィンスがツダを受け取ればよいものをヴィンスは馬鹿正直に不正はダメだと受け取らなかったぞ?」
「……………」
押し込まれる試験官。
「魔術の実力も正直な性格を鑑みてもヴィンスを落とす理由がないだろう?どうだ?」
「…………分かった、こ、今回は特別だぞ」
落ちた。試験官さんがパナメーラの理詰めに落ちた。
「うむ、分かってくれて俺様からも礼を言おう」
満足げなパナメーラ。
「試験官さん、何か、すみません、つーかやっぱツダ自分で採ってきますよ」
「いや、良いんだヴィンス、悔しいがパナメーラの言う通り、お前を落とす理由は無いし、実際ツダの採取位お前にとっては簡単だろうしな」
う~ん…試験官が納得してるなら良いのか、まぁ実際山や森ン中歩き回るのもメンドいしな。
「分かってくれて俺様も嬉しいが、もう一つ頼みと言うか警告がある」
「分かっている……今回見たお前らの戦いと魔術については一切口外しない」
「そうしてくれると助かる」
「ふん、俺も命は惜しいからな」
試験官には悪いが俺もあまり宙魔術の事や俺の事は表立たせたくは無い。
でも、多分……もし試験官が空間魔術や宙魔術の事を誰かに喋ったとしてもパナメーラは試験官を殺しはしないと思う。
「と言う訳でヴィンス、魔草ツダは貴様にやる」
そう言うとパナメーラはツダを俺に投げてよこした。
ツダは青い花を咲かせ蔦が長く葉っぱ?なのか蔦に円盤状のモノがたくさん連なっている。
「うわぁあ!!気を付けろ!!」
「え?え??」
試験官の叫び声に驚きながら反射的にツダに衝撃を与えない様に、力を逃す様に受け取る。
「あ、あぶねーな、気を付けろよツダは爆発危険物だからな」
「え?そ、そうなの…?」
試験官が冷や汗をかいてる。
「なに、ヴィンスなら大丈夫だ」
「いや、パナメーラさん?何をもって大丈夫なんでしょうか…?」
「結果、大丈夫だったじゃないか」
「いや、試験官さんが咄嗟に教えてくれたからですよ!」
パナメーラは涼しい顔だが試験官は冷や汗が止まらないと言った感じだ。
おそらく世間一般的な対応は試験官の方だろう。
パナメーラは恐怖や焦りの感覚が良くも悪くも大きくズレてそうだからな。
「ち、ちなみに試験官、ツダはどう危ないんですか?」
「ツダはその青い花の花粉が火薬成分でなその花びらは燃えやすい、そして何よりその円盤状の葉っぱに火薬成分が詰まってて危険なんだ。その葉っぱ一枚で小さい町一つくらいは簡単に吹き飛ばせる威力を持っているからな……それが……12個も付いてるじゃないか……」
っ!?
お、おっそろしいな…!!
パナメーラめ、やっぱヤツの危険感知度はイカれてやがる!!
そんな物騒なもん投げて渡すか?フツー??
「と、とりあえずヴィンス、ツダをゆっくり丸めて氷魔術でカチカチに凍らせるんだ」
「は、はい…!」
試験官に言われた通りに氷魔術で厳重に凍り固める。
「ふぅ…これで何とか大丈夫かな…?」
俺は念には念を入れ凍らせた。
「しかし流石はパナメーラと言ったとこだな、12個も葉っぱが付いたツダなんて見た事ないぞ、普通は1個か2個がいいとこだからな、これだけのツダは希少価値高いし売れば一生遊んで暮らせるぞ」
「むふふふふふ、そうだろそうだろ!流石俺様だろう!!」
試験官の言葉に満足した様子で腕を組み得意げに高笑いするパナメーラ。
「だけどパナメーラさん、何で僕にそんな貴重なツダを僕にあっさりくれたり試験官に課題免除の交渉してくれたりしたんですか?」
「初めて貴様に会った時に言っただろう。俺様は貴様が気に入ったのだ、そしてそんな貴様を騙し戦わせてしまった事に対する詫びと言うか……その……何だ……」
「何だ、そんな事でしたら気にしなくてもいいのにって言うか、僕を騙して戦わせたとは言えその代償にしては大きすぎてこっちが恐縮しちゃいますよ」
「そ、そうなんだが、そうじゃなくてだな……その…何だ……あれだ……」
??
何だか歯に衣着せたと言うかパナメーラらしからぬ歯切れの悪さだな。
「き、貴様とはその何だ……こ、これから……一緒の学校に…通う様になる訳だな……」
「ええ、そうですね」
「だ、だからだな……そ、その……アレだろ……?」
「アレ??」
「アレと言ったらアレしかないだろうが!!」
何故キレてる??察しの悪い俺にキレているがこれって逆切れじゃ……
「が、学友…って言うのか……?つ、つまり、アレだ……と、と、友達になってやっても良い……って言う事だ……」
ああ!なるほど!俺と友達になってくれると言うのか!それを言うのが恥ずかしくてモゴモゴして、逆ギレしたのか!
「それは是非お願いします!!僕と友達になってくれるのですか!?」
「お!お、おぉん…ま、まあ…そう言う事だ…な、き、貴様がそこまで言うならと、友達になってやらない事もないぞ…?」
「お願いします!やったー!!パナメーラさんと友達になれるとは思ってませんでした!」
「むふ、むふふふ、そ、そうか!そうか!!俺様と友達になれる事がそんなに嬉しいか!し、仕方のないや、奴だな……むふふふふ……」
パナメーラと友達になるとは思ってなかったからこれは嬉しい。魔族王子と友達なら強力な後ろ盾に、って違う違う!!そう言う事じゃない!!
パナメーラは思いやりもあって相手の為にやれる事は惜しみなくのやってくれる良い奴だ。
友達になりたいのは本音だし嬉しいのも本音だ。
「それじゃあパナメーラさん、また後日、今度会う時は入学式ですかね」
「パナメーラさんはよせヴィンス、俺達は友達なのだからパナメーラで良い」
「分かりましたパナメーラ」
「うむ、それでは次は学校でだな!」
「はい、宜しくです!」
パナメーラは右手を軽く上げ、満足げな顔で風魔術を使って上空へとゆっくり上昇していく。
上空30m位のところまで上がるとドン!っと空気を響かせサンクルーズの街がある方角へ飛んで行った。つーか今、ソニックブームが発生してなかったか?つまり音速を超えてるって事か?
パナメーラの能力、恐るべし……。
「さて、試験官さん、僕達も町へ戻りますか」
「いや待て、今帰ると流石に魔草ツダを採ってきたにしては早過ぎる」
「ああ、なるほど、それもそうですね」
街を出立してまだ2時間くらいか?いくらゆっくり帰っても半日足らずで戻ったらそりゃ怪しいよね。
「試験官である俺が言うのも何だが少なくとも後2、いや3日は森で過ごしてから戻った方が自然だ」
「すみません、何か、いろいろと気を使わせてしまって…」
「いや俺自身もそれくらい時間が経っていないと庇いきれないし俺自身も疑われちまうからな」
「そういう意味でもすみません…」
「気にするな」
とは言えどうやって3日間も初対面の人と過ごすかな?
一人だったら訓練しながら時間をつぶすんだけど……。
「えっと……もう聞いて良いのか分かりませんが魔草ツダって言うのは本来どこにあったんですか?」
「まあもう手に入れたから言っても良いだろう。魔草ツダって言うのはな、このまま北に進みチィマッド山脈の山頂付近に自生しているんだ」
試験官も俺の合格を認めた事からか色々と話をしてくれる様になった。
あのまま口をきいてくれなかったら空気が重たくって敵わなかったからこれもまた良かった。
「じゃあ僕が進んでいた方角は強ち間違いじゃなった訳ですね」
「そう言う事になるな」
と言う事はソフィーやカーラちゃんもこっち方面に来る可能性が高いって事だよな。
となるとさっきのパナメーラとの闘いを遠巻きから見ていたかな?
あの二人なら見られても良いし方角が合っていたから気付いてくれれば良いな。
ま、他の人たちに見られても面倒っちゃ面倒だけど仕方ない。
「試験官、いずれにしても僕達は他の試験生との遭遇を避ける為にはサンクルーズからチィマッド山脈に行くルートから外れておいた方が良いですよね?」
「そうだな、よしそれじゃあ移動するか、こっちだ」
そう言うと試験官が先に立ち移動を開始する。
~
パナメーラと別れ試験官と共に移動する事、半日が過ぎあたりはすっかり暗くなった。
道中、何匹かの魔物に遭遇したが何も問題は無かった。
試験官もやはり強かった、冒険者で言えば単独でAクラスもしくはギリBクラスと言ったところか。
俺達は今、森の中である事は変わりないが西へと進みチィマッド山脈とスロブ山脈に挟まれた谷間にいる。
ここなら他の試験性が来る確率は低いだろうし来たら来たで気付きやすい。
ここで後2日ほど過ごしサンクルーズに戻れば問題ないだろう。
食材と言う名の魔物を狩り、食事を済ませ交替で睡眠をとる事とした。
~
ふと目が覚めた。
試験官がいない。
まさか俺を置いてどっか行った?つーか普通に用を足しに行ってるだけだろう。
どっちにしてもこのまま一人で寝る訳にもいかないから試験官が帰ってくるのを待つ。
ただ待つのもいいんだが、夜空を見上げて思いにふける。
この世界で見る夜空は何度目だろう。
前世の近代社会みたいに夜中でも光が溢れていた世界と違ってこっちの世界は空気もキレイだし夜はホントに真っ暗になるから夜空がよく見える。
よく見え過ぎて星が落ちてくるんじゃないかと不安になる位に満点の星空が楽しめる。
天体観測が趣味の俺にはたまらない。
星の配置は前世とは違うから星座なんかは分からないけど星があると言う事は宇宙にいると言う事だろうか?
ただこの宇宙は前世と同じ宇宙なのか、はたまた別の宇宙なのかは分からないし確かめようもない。
前世と明らかに違うのは月が2つあるとこだが月は衛星だから惑星によって違うから別の宇宙かどうかの目安にはならない。
……………にしても長いな。
焚火がパチパチと音を立てる以外、静かだ…。
あまりの静寂さに耳を澄ませてみる。
ん?
…………話し声?
試験官の声か?
こんな真夜中の真っ暗な森の中で?
微かにだけど確かに聞こえる。
何を話しているのか、誰かいるのかまでは分からないけど…。
…………こっちに来る。
「っ!?ヴィ、ヴィンス、起きてたのか!?」
「ええ、何かふと目が覚めちゃって」
森の茂みから戻ってきて起きている俺を見て明らかに驚く試験官。
「そ、そっか、じゃ、じゃあ交替してもらうか」
「ええ、構いませんよ、ところで誰かいたんですか?」
「な、何言ってるんだ、こんな森の奥に誰かいる訳ないだろ」
「そうですか、何か話し声って言うか、試験官の声が聞こえたものですから誰かいるのかなと」
「あ、あ~そう言う事か、聞こえてたか」
ん?とぼけない?
「ええ、微かにですけど聞こえましたので気になっちゃって」
「だ、誰にも言わないか?」
「はい」
「じ、実はな…」
試験官は言い難そうにしている。
「俺な……幽霊が怖いんだ……」
「は?幽霊、ですか…」
頬をポリポリと掻きながら恥ずかしそうに言う試験官。
「だ、だってよ、死んでる奴がノソーっと出てくるんだぞ?怖くないか?」
「い、いや、死んだ奴って言うか、幽霊なんて魔物の類ですよね?見えない訳じゃないですし見えていれば魔物として対処すれば特段恐れる理由は無いかと思いますが……」
そうなんだ、前世では幽霊って言うか霊の類はいるかいないか分からないし見えないからこその恐怖はあったがこの世界では霊は魔物の類として認識されているから魔物でしかない。
「そ、そうなんだが、お、俺は昔っから幽霊が怖いんだよ…!」
「だとして何で話し声が聞こえるんですか?」
「そ、それはだな…こ、怖いから詩を読んで紛らわせてるんだよ…!」
「ポ、詩…ですか」
「ああ、幸せで平和な詩を読んで紛らわせてるんだよ、怖いけど用は足さないで我慢できないし……い、いいか!絶対に誰にも言うんじゃないぞ!!」
「分かりました…」
そうか、ま、まあ、誰にも苦手なものやあまり知られたくない趣味ってあるよね……うん、あるある。
「それじゃあ交替には少し早いですが目も覚めちゃったので交替しますよ」
「そうか?じゃお言葉に甘えて俺は少し休ませてもらうわ」
俺と試験官は見張り番を交替し朝を迎える事となった。
~翌朝~
俺と試験官は今日一日をここで過ごし明日の朝ここを出立してサンクルーズへ戻る事とした。
それはそれで良いんだけど気になる事がある。
今朝起きた時から試験官が何やら余所余所しい気がするのだ。
まあ当初から受験生と試験官は口をきかないという前提だったからパナメーラとの一件があったとは言え俺と喋り過ぎていたとも思うから試験官も立場的に少し俺と距離を置こうとしても何ら不思議じゃない。
とは言え空気が重いな……。
俺は試験官の方をさりげなく見たりしているが向こうはさほど沈黙を気にしていないようだ。
たまに試験官も手持ち無沙汰か時おり空を見たりしているが。
「………………」
ん~暇だ。何だか気まずい雰囲気だし暇だしでどうやって時間を潰すか。
魔物狩りにでも行って良いもんなんだろうか?
ここでこうやって気まずい空気の中にいるより何かやっていたいんだけどな。
「あのぉ~…」
「少し森の中を散歩してくる」
俺が話しかけるのと同時と言うかやや食いぎみに試験官がこの場と離れると言う。
「あ、は、はい…」
試験官は俺の方を特にみる事も無く立ち上がり踵を返し森へと向かい歩き出す。
俺達がいるやや開けた場所から鬱蒼と樹が茂る森中へと試験官が姿を消すのを俺は見届け大きくため息をつく。
「はあ~~~……疲れるわ~~~」
後1日近くいや、サンクルーズへの道中を入れると2日はこの空気の中過ごさなきゃいけないのか…。
「ん~~~…」
俺は立ち上がりノビをし深呼吸する。
っ!?
ノビをし何気なく空を見上げるその先はるか上空に2つの影がある事に気付いた!
魔物!?
あんな上空を飛行しているとなると竜系??
1つの影だったらパナメーラかとも思うが2つの影だから違うだろう。
俺は少し警戒しながら2つの影を見る。
別に向こうも俺に気付いているとは限らないし攻撃してくるとも限らないからな。
って言う希望的観測だ。
「ちっ…!」
俺の希望とは逆に降下してくる2つの影。
ぐんぐんその速度を上げ降下してくる。
やはり竜だ。
ん?背中に誰か乗ってる?
パナメーラ??
いや、パナメーラだったら黒色飛竜だ。
あの竜は見た事ある、翼竜だ。
黒色飛竜ではない。
飛竜よりは下位種になる翼竜だが2匹、しかも背中に誰か乗せている。
俺の警戒度を一気に高め構える。
先手を打つべきか?
相手の出方を見ながら攻撃準備に入る。
相手は怯んだ様子も警戒している様子もなく俺がいる森の広場の様な場所の端に着陸する。
クルルルルと翼竜が唸りながら俺を見ている。
その翼竜の背中に乗っていたのは同じく竜の様な見た目の人間って言うか人型の竜?
あれってもしかして竜人族??




