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第ニ話 「異世界の家族」

 死にそうな、いや実際死んだ痛みの中ホントに異世界に転生とした。 


 ケガは魔術によって軽減され今は家路へとついている。


 初めて見る風景に初めて吸う空気で前世の日本とは全く違うけどどこか異国、と言っても言った事がないから想像でしかないが、そうだなヨーロッパ辺りの田舎に来たと思えばそう思えなくもない長閑な風景だな。


 ただ前世と違って剣を腰に差して普通に歩く冒険者風のこの人や初めて聞く言葉に改めて異世界に来たんだなぁって感慨深く思うと少しずつ転生した事を実感する。


 それにしても家へ帰ると言うが俺にとっては初めて訪問する異世界の家だから何だか緊張するなぁ。


「なぁヴィンス、今更自己紹介するのも何だかくすぐったい感じがするが、デュークって俺の名前を聞いても思い出さないか?」

「…すみません、思い出せません」


 頑張って俺の体に記憶が残っていないか思い返す様に記憶を辿ったがダメだった。


「いや、別に謝る事じゃねーけど名前とか聞いたらもしやと思ったんだが、やっぱそんな簡単じゃないか」

「すみません、何とか早いとこ記憶が蘇ればいいんですが…」

「まあ気楽によ、焦っても仕方ないしな」

「あ、ありがとうございます」


 正直思い出す事は無い気がするが色んな事を思い出せる様がんばってみようと思う。


「それよりヴィンス、髪の色が変わったせいか何だか…何ていうか…雰囲気変わったな」

「そ、そそ、そうですか…?た、例えばどんなとこがです?」


 転生のビフォーアフターで違和感たっぷりなのか??そうなのか??


「いや、どんなとこって言うか……喋り方もそうだし…立ち振る舞いっていうか…雰囲気そのものが、かな?」

「そ、そうですか…?」


 デュークと名乗る大人は、って言うか前世の俺からしたら年下だが、そのデュークさんは怪しげに俺を見ている気がする。


「記憶喪失になる前はいつもオドオドした感じだったし、今も記憶喪失になって探り探りに喋っているところはあるんだけど……何ていうのかな、どこかしっかりした雰囲気というか…妙に大人びた感じっていうか…」

「っ!?そ、そそ、そんな事無いですよ、そんなに変わりました?」


 そうか、見た目はお子ちゃまだけど中身はおっさんだもんな、違和感あるわな。


「ん~……前は相手の顔色を伺う様なとこもあって喋り方自体も子供っぽかったんだけど、今は全部敬語で妙に丁寧というか、大人っぽいというか…」

「や、それは…えっと…記憶が無いんで皆さんの事も分かっていないので、とりあえず敬語で喋っとけば問題無いだろう?みたいな…感じですよ…ハハ」


 苦しいか??言い訳としては苦しいか…?


「そっか、なるほどな。とりあえず敬語で喋っときゃ当たり障り無いからその方がいいかも知んねーな」

「ええ、そうします」


 ふぅ……何とかやり過ごせたか……?

 でも実際、この世界での俺の立ち位置が分からない以上、皆に敬語で接しておけば角は立つまいって言うのは本音だしな。


 そんな会話をしながら歩を進めていると直ぐに街が見えてきてそこからは石畳みの整備された道になった。

 街並みは中世ヨーロッパを思わせる雰囲気で建物は石や堅固そうな木で出来ている。


 街に入ると町の人達が次々に声をかけてくる。

 その大半はデュークさんへの挨拶でたまに俺の髪の色についてだ。


 気のせいかデュークさんに声をかけてくるのは女性が多い気がする。

 確かにデュークさんはイケメンだ。

 卑下た言い方をするならリア充(づら)だ。


 そのせいもあってか、声をかけてくる女性は大抵デュークさんのスケジュールを聞いてくるし、中には露骨というか積極的にデートに誘ってくる女性もいる。

 別にいいのだけど少しは俺の髪の色が変わった事に触れてくれても良くない?まあ触れられたら触れられたで困るんだけどね…。


 そんなこんなで街を歩く事10分位だろうか、街の中心部より西に行った先に低い石垣に囲まれた石造りの二階建て住居が見えてきた。


「ヴィンス着いたぞ、ここがお前ん家だが何か感じるもんはあるか?」

「………何か……何でしょう…頭の中がムズムズする感じがします!」

「おお!そうか!それはいい傾向だな!」


 そうなのだ、さっきまでは知らない家に行くっていうので緊張していたのだが、俺ん家と言われたその家を見た瞬間、何やらホッとする様な安心感と記憶がくすぐられる様な不思議な感覚になったのだ。


「じゃあ、どうする?事情を説明しなきゃならないが、俺から言ってやろうか?」

「出来ればお願いします、自分でも何から話していいか、まだ纏まらない部分があるので…」

「分かった、じゃあ行こう」


 そういうとデュークさんは木で出来た門を開け敷地に入った。

 俺もそれに続き入る。


 ん〜…何か記憶にあるような無いような…


 デュークさんが堅固そうな木の扉をノックする。


「は〜い…!」


 中から女性の声がする。

 母親のクラリスだろうか?


 ヤッベ、また何か緊張してきた…。


「おう、デュークだけど」


 デュークさんが名乗ると扉が開いた。


「デューク、何よ今日は珍しくノックなんかしたりし……」


 扉を開き中から出てきたのは金髪の長い髪を結び色白でソバカスが少しあるが結構な美人さんだ!

 年の頃は20代半ばといったところか?

 この人が俺の母親かぁ…などと惚けて見ていたら母親であろうクラリスも俺に気づいた!


「っ!?ヴィンス!?どうしたの?その髪!?」


 惚けているのと母親(クラリス)が驚く声に俺もハッと我に帰った。


「あ、っと…これは……」


 当然ながら俺の髪の色が変わった事に流石に母親は驚いている。

 俺はバツの悪さと説明を求める様にデュークさんに視線を送る。


「クラリス…!実はこの件もあって俺が送って来たんだけど、その前に先ずはヴィンスに高度治癒魔術(ハイヒーリング)をかけてやってくれ。説明はその後だ」

「ヴィンス、どうしたの?怪我したの?」


 俺は何故か後ろめたい気持ちでうなづく。


「その事も説明するからよ、とりあえず今は応急処置で俺の中級治癒魔術(ミッドヒーリング)をかけてあるだけだから、まだ体は痛いはずだ」

「わ、分かったわ…それじゃあ2人とも中に入って…中にブルーノもいるから…」


 慌てるクラリスに続いて俺とデュークさんも家の中へと入る。


「あなた!あなた!!」


 慌てながら廊下を走る様に進むクラリスは廊下からおそらく居間にいるのであろう俺の父親を呼ぶ。


「何だ?騒がしいな…」


 ソファの様な低い長椅子に座っていた父親が背もたれに手をかけたまま無愛想に顔だけ振り向き答える。


「あなた!ちょっとヴィンスを見て!!」


 クラリスに肩を掴まれ差し出す様な前に出される。

(ちょっと奥さん、見世物じゃ無いんだから…しかも怪我人なんスけど…)


「っ!?ヴィンス?!どうした?!その頭?!」


 俺の髪の色が銀から金に変わった事には顔だけ振り向いて面倒くさそうに答えていた父親も流石に驚き体ごと振り返った。


「ク、クラリス!先ずは高度治癒魔術(ハイヒーリング)を…!」


 デュークさんが促す。


「あ!そうだったわね!ヴィンス、いい?高度治癒魔術(ハイヒーリング)!」


 そう言ってクラリスが俺に向け両手かざすと俺の頭上から星屑の様なキラキラしたものが俺の体に優しく降りかかり染み込む。

 中級治癒魔術(ミッドヒーリング)の時は淡い光だったが、高度治癒魔術(ハイヒーリング)になると見た目から変わるんだな?なんて感心していたら体の痛みが嘘の様に消えた!

 いや、痛みが消えたというより力がみなぎる感じだ!!

 恐るべし魔法!!


「どう?ヴィンス?治った…?」

「はい!ありがとうございます!母様!」

「か、母様…?!」


 ん?違う?こんな感じの世界だと母様って呼ぶんじゃ無いの?


「ヴィンス急にママの事、母様なんて呼び方してどうしたの?」

「頭でも打っておかしくなっちまったか?」


 驚くクラリスとブルーノ。


「それがよブルーノ、笑えねぇんだ……」

「あ?どうした?」

「実は………………」



 ~



 デュークさんから俺の両親にデュークさんが知る限りの情報を伝えた。


 2時間ほど前にチャドとルロイつまりガスラン以外のお子ちゃまが血相を変えて大人を探していたところにデュークさん達が出くわした事。

 チャドとルロイに連れられて街はずれの橋に行くとガスランがいて橋から俺が落ちた事を聞かされ谷底を見ると俺がうつ伏せに倒れていた事。

 その時には俺の髪の毛が金髪になっていた事。

 谷底までデュークさんが降りた時、俺は全身を打ち重傷だったが意識はあった事。

 その場でデュークさんが応急処置で中級治癒魔術(ミッドヒーリング)を俺に施した事。

 何とか救助はしたが俺が記憶喪失になっていた事。


 デュークさんが俺を家に連れ帰ってくるまでを時系列に沿って俺の両親に説明した。


「………………」


 話を聞いたこの場にいる俺を含めた全員が言葉を失った。


「まあ、その、何だ…先ずはデュークに礼を言わなきゃな。デューク、ヴィンスを助けてくれありがとうな」

「ありがとうデューク」


 ブルーノに続いてクラリスと揃ってデュークさんに深々と頭を下げる。


「いや、よせよ…当たり前の事をしただけじゃねーか」


 デュークさんは手を振り照れ臭そうにしている。


「ヴィンス、お前もちゃんとデュークに礼は言ったんだろうな」


 貫禄ある大人、いやこの世界の俺の父親に不意に話を振られドキッとして一瞬言葉に詰まる。


「ブルーノ、そりゃもうはきはきとした声で立派な、つーか立派過ぎるくれーのお礼を言ってくれたぜ」


 俺がブルーノの問いかけに答える前にデュークさんがフォローしてくれた。


「ヴィンスが!?本当??」


 ちょ、クラリスさんよ…失礼だな、大の大人なんだからお礼位ちゃんと言えますよ…。

 って今の俺は大の大人じゃねーんだったか。


「いつもみたいにモゴモゴと何言ってんだか分かんねー声じゃなく、か?」

「ああ、俺もちょっとビックリしたが、そりゃもう大人顔負けのどこに出しても恥ずかしく無い立派なお礼を言ってくれたぜ」


 ふむ……この流れから察するに前の俺、つまり亡くなる前までの俺はどうやら内気な性格の子供だった様だな。


「ふぅむ………」


 ブルーノは全盛期の千代の富士を彷彿とさせる体型で口髭とあご髭をたくわえ俠気漂わせる無頼漢と言った感じでよく言えば親分肌、悪く言えば…無頼漢だ…。

 つまりおっかなそうなタイプに見える。

 その親分はあご髭をさすりながら俺を見ている。


 その迫力に思わず固唾を飲む。


 さらにブルーノは座ったままだが上半身を乗り出しずいっと顔を近づける。


 俺は思わず後ずさりする…。


「な、何か……?」

「…………………」


 ブルーノは黙ったまま至近距離で俺の目を覗き込む様に見る。


 父親とは言え俺にとっては初対面である、その強面と目力に(おのの)きながらも逆に目線を逸らせずにいる。


「………ふん、まあちゃんとお礼も言えて無事に帰って来たんだから良しとするか」

「は、はあ…」


 何だかよく分からないがブルーノは納得したみたいだ。


「おう、デューク!メシ食ってくだろ?」


 ドカッとソファーに座り直しながらデュークさんに声をかけるブルーノ。


「お、じゃあお言葉に甘えて頂いてくか!」

「それじゃあ準備するね!あ、まずはお酒かしら?」

「おう、頼む」

「悪いないつもクラリス」


 ブルーノ、クラリス、デュークさんのテンポの良いやり取りから察するにいつもこんな感じなのだろう。


「ヴィンスもお腹空いたでしょ?待っててね」

「あ、は、はい…」


 う〜ん…それにしても5歳の子供が橋から落ちて怪我して、更に髪の毛の色が変わって喋り方も変わったって言うのに、こんなあっさりでいいの??

 …まあ、前世でも国が違えば文化も違ったからな、世界が違えばこんなもんかも知れないか?


「あ、母様!何か手伝いましょうか?」

「あら珍しい。ヴィンスが自分からお手伝いするって言い出すなんて」

「そ、そうですか?何か母様から高度治癒魔術(ハイヒーリング)してもらったおかげで力が余っちゃって」

「そう!それは嬉しいわ!ならお父さん達のお酒運ぶの手伝ってもらおうかしら」

「はいっ!」


 知らない世界での家族団らん、何だか楽しくなってくる。

 そんな気持ちでジッとしていられない。



 ~


「お待たせしました!父様、デュークさん!」

「父様はやめろ…」


 ブルーノは父様と呼ばれるのがくすぐったい感じだ。


「いいじゃねーかブルーノ、父様ってのもなかなか似合ってんぜ」

「からかうんじゃねー!」

「あ痛っ!!…痛ってぇなぁブルーノ!何も殴らなくても…」

「お前がからかうからだろ!」


 デュークさんにいじられたブルーノがデュークさんの頭をげんこつで殴る。

 痛そうだ…。


「ったく、ヴィンス見たか?いつも俺はブルーノにこうやって小突かれてんだよ?」

「結構、痛そうでしたね…」


「なんならもう1発いくか?」

「要らねーし!ヴィンス、早く父様に酒注いでやりな!って、痛って!また殴りやがったな!」

「お前がまたバカにしたからだろ」

「してねーっつーの!」

「はいはい、お酒の肴持ってきたわよ!ケンカしてないで食事が出来るまで大人しく飲んで待ってて」


 こんな調子で夜遅くまで食事というか飲み会?は続いたのだった。


 俺はというと宴会の雰囲気もあり家族だからか意外にも早く馴染めた。

 両親とデュークさんはよく話す俺に初めは戸惑っていた様だったがお酒の力もあり直ぐに受け入れてくれた。

 お酒の席は前世から嫌いじゃなかったが知らない世界に来たのだから聞きたい事は山盛りにある。

 何せお酒1つ、食器1つとっても未知なのだから楽しくて仕方がない。


 もっともっと色んな話が聞きたかったが幼い体と疲れで気づく間も無く(おち)ていた…。




 ~



 気付いたら布団の中だった。

 寝ぼけ眼をこすり起きると見知らぬ部屋にいる事に一瞬焦った。


「……やっぱ夢じゃないんだな」


 部屋は六畳位の広さで木製の机に今まで寝ていた木製ベッドに布団しかない。

 いや、机の脇に何やら前世では有り得ないモノが立て掛けてあるものがある。

 俺はベッドから降り机まで移動する。


 そこにあったのは剣だ!

 鞘に入っているが紛れも無く剣である。


 手にとるとその重みにある種の緊張と厨二魂がくすぐられる。


 鞘から剣を抜いてみる。


 ギラリともヌラリとも取れる怪しい輝きをその剣身が放つ。

 子供用に小さい剣だが殺傷能力はある事を訴えかける様な輝きだ。


 俺は剣を抜き身のまま窓の方へと行き窓を開ける。


 すると爽やかな朝日が部屋に差し込み体が目覚めていくのが分かる。

 しかしそんな爽やかな朝日とは逆に抜き身の剣に照らされた太陽光はギラギラと暴力的な眩しさとなり俺の顔に反射した。


 その眩しさと剣の持つ緊張感に俺は剣を鞘に収める。


 こんなもんが普通に部屋に転がっているなんて異世界だなぁと変な感心をしているとブルーノが庭で剣を振り回しているのが目に入った。

 失礼、剣を振り回しているので無く素振りをしているのでした。

 時折シャドーボクシングの様に見えない仮想の敵と闘っている様な動きも取り入れている。

 

「自分の父親が庭先で剣を朝から振り回す、じゃなかった、素振りしたり型をしたりするなんて前世じゃ考えられないな…」


  そんな独り言を言いながら窓からブルーノを眺めていたら視線に気付いたのかブルーノが俺に向かって何か言っている。

 いや何かじゃない、「お前もこっちに来て朝の訓練をしろ」と言っているのは分かっている。


「分かりました!今行きます!」


 ったく、朝からだりーな。


 なーんてウッソーーー!!

 本当はスゴいワクワクしているのが自分でも分かる。

 だってそうでしょ!ネトゲやRPGでしか見た事ない様な剣を振りまわせるんだよ?

 ワクワクしない訳ないでしょ!!

 誰かに見られたら恥ずかしいな…とかの不安も無く大手を振って両刃の剣を振りまわせるんだよ?

 いや、恥ずかしいどころかこっちの世界では逆に褒められる事でしょ!


 俺は急いでベッドの脇にクラリスが用意しておいてくれたのであろう服に着替え早足で、いや駆け足で階段をおり庭に向かった!


「おはようございます!父様!」

「だから父様ってのはやめろ。おはようヴィンス」

「早速稽古のほどお願いしますっ!」

「お、おう。何だか今までと間逆だな…あんだけ稽古嫌がっていたのは誰だ?」


 何だかブルーノが俺に勢いにひいてる気がするがまあご愛敬って事で。


「はい!心機一転頑張りますので基礎からお願いします!」

「お、おう…それじゃあ素振りから始めろ」

「はい!それでは父様、剣の持ち方からご教授願います!」

「あ?あ、ああ記憶喪失だからか…剣の握り方も忘れちまったか、仕方ねーな、いいか?まず右手をだな、こう…」


 うっはー!!

 メッチャ楽しいんですけど!!

 しかも何?元の体がいいのか疲れにくいし力もある、バランス感覚もいいみたいでどんどん吸収しているのが自分でも分かる!!


 運動神経がいい人ってこんな感じなのかぁ!?


 何しろ前世では何者かに肉体改造を受け運動神経を体から抜き取られたんじゃないかと妄想する位、鈍かったからな…テヘッ!


「痛っで!?」


 目から星が出た!いやマジで!

 何??何が起こった??


「剣を持っている時にニヤニヤして考え事してんじゃない!」


 頭を抑えながらブルーノを見ると右手を握りしめている。

 そうか、昨日デュークさんに喰らわした鉄拳が俺の頭に振り落とされた訳か。


「す、すいませんっした!!」

「剣は簡単に人の命を奪うってお前が赤ん坊の時から言っているだろ!真剣にやれ!!」

「押、押忍っ!!」

「今度ふざけやがったら木剣にするからな、分かったらもう一度初めからやり直し!」

「押忍!!」


 うん。

 確かに刃物振り回しながら浮かれていた。

 ブルーノの言う通りだ。

 転生した体がたまたま運動神経が良かっただけなのに、ついやっぱりチートか選ばれし民なのかと選民意識が働いて有頂天になりかけていたな。

 そういう意味じゃ今のはブルーノに感謝しなければな、有頂天は怪我の元だ。

 いや体の傷だけしゃなくこれからの生き方的にもね。


 サンキュー、マイダディー…

「いっだぁぁあああぁぁ!!」


 さっきと同じ痛みが頭を貫く。


「馬鹿野郎!今言った先から考え事ばっかしやがって!!約束通り木剣からやり直しだ!」

「や、違うんスよぉ…!今のは浮かれてたんじゃなく反省していたんスよぉ…!」

「どっちにしても考え事してたんじゃねーか!いつも無心になれ!って言ってるだろうが!」

「いや、いつも言われていた記憶、喪失しちゃってるし…」


 そんな言い訳通用する訳も無く、せっかく剣の訓練開始したのに木剣になってしまったのだった…。

 まぁ、それでも楽しいけど。

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