第三十四話 「思わぬ来訪者と決断」
死神のベルリネッタか…。
死神って事だけど彼女が匿名希望の神様の正体って事で良いのかな…?
でも確かにフリーディって言ってたから間違いないだろう。
それが判明しただけでも大きい。
神様の正体は分かったけど探すなって言われている以上、向こうからくるのを待つしかないか。
まあ、どっちみち探すって言ってもどこを探せば良いか分からないし学校も始まるから時間も今までみたいに都合よく使えるかどうか分からないし。
それに死神に会った途端、何もかもおざなりにして死神探しとはあまりに不自然だし、ここは気になるけどベルリネッタと呼ばれる死神の出方を待つより仕方ない。
近い内にまた会いに来るみたいなこと言ってたしな。
それにしても自宅からサンクルーズ魔法学校に向かう僅かな道のりにも関わらず、予想外の出来事が凝縮された濃い時間だった。
とりあえずソフィーそしてダークエルフのアステリアさんと合流してサンクルーズ魔法学校に到着した。
「いよいよ今日からキャンパスライフが始まるのね」
「ええ、新たなる伝説の幕開けですわ」
「いいわね、その響き!私達で新しい時代を作っちゃう?」
校門のど真ん中で変な意気投合した二人は意外に相性が合うのかも知れない。
二人とも腕を組み校舎を睨む姿は決闘にでも来たみたいで心なしか風が吹いた様な気がする。
「った!」
「きゃっ!」
ソフィーをアステリアさんが、
カーラちゃんをデュークさんが、
それぞれの頭を後ろから引っぱたいた。
「馬鹿な事、言ってないでさっさと行くぞ」
「「は、は~い…」」
二人とも頭を押さえながらデュークさんについて行く。
「あ、あの、ソフィー……」
「何?ヴィンス」
頭を押さえ先を歩くソフィーに声をかける。
「前に言ってたこの学校の学費なんだけど……」
「うん、それがどうかした?」
「やっぱ出してもらうのは遠慮したいなって」
「どうして?」
歩きだしたところで俺からそう告げる。
「どうして?ってやっぱり悪いって言うのも勿論あるんだけど格好悪いじゃないですか?人のお金でぬくぬくと過ごすなんて」
「ふふふ、流石私が見込んだ男ねヴィンスは。実は私もお父様には学費辞退申し上げてきたの」
「え!?そうなんですか?それこそ何で?」
俺の方がビックリしたって言うかでっかい疑問符が浮かんだ。
「何で?って、ヴィンスと同じ理由よ、私も私の事は自分でしたいの、だからもしヴィンスが私んちのお金をあてにしてたら私達が言い出したとは言え私は少しだけガッカリしてたかも」
「そ、そうなんですね、で?ソフィーは学費貯めたんですか?」
「いいえ!私は特待生クラス狙いの一発勝負よ!」
ソフィーは立ち止まり人差し指を立て何故かドヤ顔で宣言した。
「一緒ですわソフィー様!私もヴィンス様も同じく特待生狙いの一発勝負なんです!」
「そうなの?!それじゃあここにいる全員が特待生として合格すれば同じクラスって事ね!」
「頑張りましょう!!」
またここで女の子同士盛り上げる。
「ソフィーは死神と同じ魔術使えるならもう特待生確定じゃないですか?」
まさか死神級の魔術が使えて特待生落ちするとは考えられない。
「ヴィンスだって実力から言ったら確定した様なものでしょ?カーラだってさっきの攻撃からしたら大丈夫じゃない?」
ソフィーはカーラちゃんの力を身をもって知ったからな。
「私も皆さんと同じクラスになれる様頑張ります!」
「まあ結論としては皆で特待生クラスって事ね!」
楽観的なソフィーの発言がフラグにならなけりゃ良いが意外とこの世界はそんなの関係ねーんだよな。
「こらこら油断してっと落ちるぞ?」
「デュークさん、受験生に落ちる滑るは禁句ですよ」
「そうなのか?」
ん?そうか、別に落ちるだの滑るだののジンクスは前世日本だけかもな。
「だけど死神と同じ属性魔術持ちのソフィー、規格外剣術のカーラ、そして宙魔術のヴィンスとは末恐ろしいわねデューク」
「ああ、ホントだなアステリア」
俺たちの後ろからデュークさんとアステリアさんの誉め言葉?が聞こえる。
「宙魔術は使いませんけどね」
「それでも余裕だろ?」
「いえいえ、今油断するなって言ったばかりじゃありませんか」
「だったな」
そんなこんなで受験受付の場所までやって来た。
周りの受験生たちはと見渡せば皆、育ちが良いかは分からないけどお金は持っていそうな人達ばかりだ。
種族はほとんどが人族で獣人族がチラホラと言った感じか。
尖耳族とか魔族と言った魔術が得意とされる種族はいないんだな。
しかし受験生より親や親族に用心棒らしき輩と言った取り巻きの方が多いんじゃないか?
何だか御家自慢的な雰囲気があってお互いを値踏みしている感じがヤだなぁ。
デュークさんが言ってた差別や贔屓ってのもあながち嘘じゃなさそうだな。
被害妄想かも知れないけど輩とダークエルフしか保護者がいない俺らは完全に見下されている、気がする。
ま、いいんだけどね。
俺らは特待生狙いだし、通常特待生クラスは年に一人いるかいないかって言う位らしいからここにいる全員違うクラスになると言っていいだろうからな。
そして俺達の受験票受け取りの順番が回ってきた。
受験には身分証明、無いものは親の身分証明と保護責任書の提出を求められる。
俺達は冒険者登録カードがあるのでそれを提出する。
すんなり受理され受験票をもらったがソフィーとカーラちゃんの家柄については驚かれていた。
二人とも領主の娘だもんな、家柄はこうした場所じゃ珍しくもなくても保護者不在って言うのは珍しいだろうからそういう意味じゃ驚くかもな。
ちなみ俺の受験番号は210、ソフィーが211、カーラちゃんが212番だ。
毎年受験生は250~260人程だと言うから比較的後ろの方になる。
入学試験については特待生クラス希望コースと一般クラスコースの二つに分かれる。
俺達は特待生クラスを希望している訳だが当然、受験資格やリスクもある。
まず受験資格だがこれは比較的難易度が低く火、水、土、風、雷、光の6属性中4属性で上級魔術が使えて残り2属性も中級魔術以上が使える事。
それよりもハードルが高いのが毎年変わる課題のクリア。
聞いた話だと魔術を駆使する事が前提で迷宮攻略、魔物の群れの壊滅、魔石採取等、冒険者でもB級クラス以上のパーティでなければきつい課題が出され、それを1週間以内に一人でクリアしなければならないとの事だ。
それがクリアできなければ落第はもちろんの事、再受験も3年間受けられず又、再受験の際は一般クラスコースでしか受験出来ないと言ったリスクがある。
ここでお金持ちの考える事は替え玉受験だが当然厳しい監視が付く、それでももし不正を行った者に対する処罰は魔法学校に入学できないのは勿論、各ギルドへの登録も永久追放となる。
リスクの話ばかりしたが逆に特待生クラスへの入学できた際のベネフィットは入学金、学費の免除、卒業しなくとも魔法ギルドへの登録、卒業した際は魔法ギルドもしくは魔法学校への幹部扱いでの斡旋、更に希望すれば魔法学校での研究室の提供なんかもある。
お金持ちの貴族出が多い受験者にとって入学金やら学費の免除は大したメリットでは無く、ギルドや学校への就職や研究室の提供も魅力的ではないだろう。
つまりよっぽど見栄を張りたいか、魔術を愛しているか、腕に自信があるか、お金が無いのに入学したいか以外で特待生コースを受験する意味は無いに等しい。
まあ俺達の場合はお金が無いと言うより使いたくないって感じだけどそれ以外も当てはまるから受けるんだけどね。
卒業後にギルドや魔法学校に就職する可能性も低いけどここだけの話、俺はこの世界から見たら異世界から来たのだからこの世界の事をいろいろ知りたいし、そういう意味では魔術は勿論、それ以外にも学べる事も多そうだから入学を希望している。
ちなみに魔法学校は4年制の学校、つまり前世で言う大学みたいなものだ。
入学にするにあたっては入学試験に合格さえすれば何歳でも構わない。
そして、ほとんどの受験生が受ける一般クラスコースだがこちらは5つ程のグループに分かれて各属性魔術テストが行われる。
合格するのが難しいかどうかと聞かれれば倍率4~5倍らしいから、まあそこそこと言ったところか。
つまり250人受けて合格できるのは50~60人と言った感じだ。
さて、今年の特待生クラス希望コースの受験者数だが俺、ソフィー、カーラちゃんの3人以外に人族1人、獣人族2人の計6人が受ける事になった。
特待生クラスは定員とかは無く実力が伴えば受験者全員だって合格となるらしい。
特待生クラス希望者はここから別室へと案内される。
今年の課題が出されるのだが受験者に個人的な協力者が出ない様別室にて行われるのだ。
そして課題が出された後は一切の部外者とのコンタクトは禁止となる。
「それじゃあ俺たちはここまでだな、頑張れよ」
「貴方たちなら落第する事は無いでしょうけど課題によっては対象物に出くわさないって事もあるから気を付けてね」
デュークさんさんとアステリアさんとはここでしばらくお別れだ。
「はい、頑張ってきます」
「全力を出して必ず全員で合格してみせます!」
ソフィー、カーラちゃんが力強く答える。
「次会うのは僕たちが特待生になったって言う報告の時ですね」
「ああ、期待してるぜ」
「私達も首を長くして待ってるわ」
ん?私達?
「あのぉ…僕達が試験の最中はデュークさんさんとアステリアさんは一緒なんですか?」
「え?!」
アステリアさんが驚く。
「ああ、そういう事になるかな、な!アステリア?」
デュークさんは当たり前と言わんばかりに答える。
「冗談じゃないわよ!あなた私に何をしたか忘れたの?ついでにそのツケをさっき電撃で支払ったのも忘れた?」
「な?!何だよ水くせーな、どうせ暇なんだから暇人同士仲良くしてもいいじゃんかよ」
「ちょっと!何触ろうとしてんのよ!」
「触ろうつーか肩組もうとしただけだよ」
「それが触るって事でしょ」
「何だよ、つれねーな」
「しつこいとまた電撃喰らわすわよ」
アステリアさんは右掌に小さな放電を起こし威嚇する。
「わ、分かったよ、分かったから電撃しまえ」
う~ん、何だか夫婦漫才みたいで相性良さそうだけどな。
「ま、まあ、貴方がどうしてもって言うならご飯位ごちそうになってあげても良いけど?」
「おお、いいぜ、飯くれーいくらでも奢ってやるぜ、飯は一人で食ってもつまんねーからな」
どうやらアステリアさんも満更じゃないらしい。
っ!?
この気配!?
「どこだ!?」
デュークさんも気付いたようで辺りを見回す!
「あそこよ!!」
流石なのかどうか分からないがダークエルフのアステリアさんが察知し上空を指さす!
指さした方角を見ると東の方角の空にまだ小さいが黒い影が見える。
周りの受験生たちはまだ気付いていない、いや流石に特待生クラスを受けようって言う者は気付いて構える。
その小さかった飛翔物体はグングンとすごいスピードで近づいてくる!
流石に全員気付いた様だ!
その飛翔体は黒色飛竜だった!
竜種の、しかも上位種の突然の来襲に一帯がパニックになる。
逃げ出す者、構える者、叫ぶ者、しゃがみ込む者、様々なリアクションがある中、魔法学校の教師をはじめ腕が立つのであろう経験者達が指示を出す。
一カ所に集め腕の立つものが囲い対応する作戦だ。
その様子を見てなのか分からないが黒色飛竜は大きく上空を旋回しながらこちらの様子を伺っている。
先ほどまでの穏やかな雰囲気が一変、緊張に包まれる。
が、俺はある事が頭に浮かんでいる。
希少種で会いたくてもそうそう会う事のない竜、しかもその上位種の竜、黒色飛竜。
それがこのタイミングで現れ上空で攻撃するでもなくゆっくり旋回する様はどこかの誰かを思い出させる。
そう思いデュークさんとカーラちゃんを見ると二人とも俺と同じ事を考えている様で目が合う。
「ヴィンス!?何気ぃ抜いてるの!?」
「デューク!貴方も!ぼさっとしてると殺られるわよ!」
ソフィーとアステリアさんの対応はもっともだ。
「いや、多分大丈夫だと思うぜ」
「は?デューク、貴方何言って…!?」
アステリアさんが不思議に思った瞬間、黒色飛竜が降下を始めた!!
頭を下に向け一気に降下する黒色飛竜、その背中にはやっぱり人影がある。
「きゃーーーーーー!!」
「うわぁあぁぁぁぁぁあぁ!!!」
「くっ!!」
人々が絶叫する中、黒色飛竜は急停止し上空30m程のところでサスペンドする形で翼をゆっくり羽ばたかせている。
その羽ばたかせる翼からは結構な風量が来て土埃が舞う。
人々が警戒と土煙、更に上空の太陽のまぶしさから手で顔を覆う形の中、一つの影が黒色飛竜の背中から飛び出した!!
っ!?
人々が最大級の警戒する中、その影はクルクルと回転しながら落下してきた。
影が華麗にそして静かに着地する。
「だ、誰だ!!」
誰かが叫ぶように問いかける。
問いかけに対しその人物は見向きもしない。
ただゆっくりと真っ直ぐ俺達の方へと歩いてくる。
「ヴィンス、知り合い?」
ソフィーが俺に聞く。
「え、ええ、知り合いと言うか一度会った事はあるって言うだけですけど」
一度会えば忘れる事は無いが向こうが俺達を覚えてるかは分からない。
「デュークさんも知っているの?」
「ああ、俺もヴィンスやカーラちゃんと一緒に会った事がある」
「カーラも知ってるの?!」
「はい、アステリアさん」
黒色飛竜に乗って参上する程の人物を知っているとはアステリアさんも意外と言った感じだ。
受験生達の輪とは別にいる俺たちの方へとその人物は無防備に歩いてくる。
っ!?
「よせ!!」
俺は慌てて叫ぶ!
「業火弾!!!!」
混乱と恐怖からか目の色を変えた受験生の一人が攻撃した!!
巨大な火の玉がその人物の背後から襲い掛かる!!
っ!?
その人物は振り向く事なく背後から迫る巨大火の玉に右手を向けると巨大な火の玉は一瞬で消えた!!
「久しぶりだなヴィンス、カーラ」
先にその人物から口を開いた。
「パナメーラさん…」
やはり魔族王子パナメーラだ。
「パナメーラ!?」
アステリアさんが驚き確認する様にデュークさんを見る。
「ああ、あれが魔族の王子パナメーラだ」
「魔族王子……」
ソフィーも知ってはいたが見るのは初めてみたいだ。
当然周囲の人たちもざわざわしている。
こういった反応を見ると魔族王子って言うのは有名人なんだなと改めて感じる。
しかしクッソォ…俺とカーラちゃんがやりたかった登場だ、このど派手な登場の仕方…。
うらやましいぜ…。
「あ、あの……パナメーラさんが何故ここに…?」
「ふむ、カーラよ、良い質問だ」
カーラちゃんの質問に対しパナメーラは目だけカーラちゃんに向けるが何故か俺の方に体を向けている。
「ヴィンスよ、貴様はなぜ俺様がここに来たか分かるか?」
「え?ぼ、僕…ですか?」
「そうだ、貴様だ」
「えっ…とぉ……何故?でしょう……?」
まさか俺に用?それとも学校に入学したいのかな?
「質問しているのは俺だ、俺の質問に答えろ!」
「えーとぉ…入学手続き……ですか……?」
パナメーラの右眉がピクッとしたがこめかみに血管が浮き出ているあたり機嫌は悪そうだな…。
「違う!!俺様がわざわざ貴様に会いに来たのに心当たりは無いのか?」
「こ、心当たり……??」
何だ?!心当たりなんか無いぞ?!
やばい!こめかみに血管どころか歯ぎしりをし始めた!完全にイラついてるな……。
何だ??答えは……??
「ふん、貴様はなかなか見どころがある奴だと思っていたが、いや、ある意味そのすっとぼる様は流石と言ったところか」
「えっとぉ……一体全体何の事でしょうか?あっしには心当たりがさっぱりなんですが……」
「もういい!!やめろそのナメた小芝居は!!」
「いえ、小芝居も何も本当に分からないんですよ…」
パナメーラは完全に俺がすっとぼけていると思っているらしく完全に怒っている。
いや、こっちだってわざわざ魔族の王子を怒らせる様な馬鹿な真似はしたくないんだけど。
「貴様がそうやってシラを切るなら俺様から言ってやろうじゃないか」
「お願いします」
「ちっ、そうやってとぼけた振りされるとこっちから言うのが負けみたいじゃないか」
「いえ!!滅相もない…!!本当に分からないんですって!!」
俺は慌てて手を振り否定する。
「貴様、最近俺様に勝ったと言い振り回しているそうだな?」
「は??えぇ??ぼ、僕が…??魔族王子である貴方に……はっ!?」
もしかして!?前にサンクルーズの門兵さん達が言っていたよく分からない変なあだ名の事か!?
「ふん、どうやら観念したみたいだな?」
「いや、違うんスよぉ……旦那ぁ……自分じゃないんですってぇ……」
「見苦しいぞヴィンス、ここに来て言い訳するつもりか?」
「そうじゃなくってぇ……」
実際あれって俺が言ったんじゃないしぃ…。
「パナメーラさんの言う通りよヴィンス、女々しいわよ」
「え?!ソ、ソフィー?!」
「私もヴィンス様の今の姿は好きじゃありませんわ」
「ちょ、カ、カーラちゃん??」
腕を組んだパナメーラに対し同様に腕を組んで煽るような発言をする女子2人。
「ほう……人族はよっぽど女の方が潔いじゃないか、ヴィンス、貴様も見習ったらどうだ?」
「見習うも何も本当に僕じゃないんですってぇ……第一自分で自分の事を魔王とかって言い出す訳ないじゃないっスかぁ」
「え??何、ヴィンス?!魔王とかって名乗ってる訳??」
ソフィーが驚くが、だから違うって!!
「そうだ、人族の娘よ、この男は魔王の名を語り、俺様に勝ったと吹聴してまわっているのだ」
「だとしたらパナメーラが怒るのも無理ないわね」
「ちょ、アステリアさんまで何乗っかってんッスか??」
「そっちのダークエルフも話が分かるな、しかも……お前加護付きだな」
「え?加護が付いてるって分かるの?」
アステリアさんが驚きパナメーラに聞く。
「当たり前だ、俺様を誰だと思っている?」
あ!!パナメーラの口がモゴモゴし始めた!!機嫌が良くなってきている今がチャンスだ!!
「流石、パナメーラさん!!よ!!魔族のトップ!!」
「ヴィンス、貴様ぁ…、は、話をすり替えてんじゃな、ないぞ…」
よっし!!後一押しで誤魔化せる!!
「僕達凡人は加護って言われるまで分からなかったですしぃ、言われてもよく分かってないんですよ、それを一目見ただけで見抜くなんて…いや、流石としか…本当憧れますっス!!」
「ふ、ふふふ、ふん、そ、そうか…?」
ようし、とどめだ!!
「ちなみにこっちのソフィー、ソフィーも何かがあるんですけど分かります?」
「ちょ、ヴィンス」
「な、何かがってヴィンスおまえ………っ!?」
ニヤけたパナメーラの顔が一瞬で真顔になる…!
「お前、もしかして、その魔力……と言うかその属性…まさか、賦与されたのか?」
「え、ええ、分かるんですか??」
ソフィーも驚く、もちろん俺たち全員も。
「ふ、ふん、そういう事か……まあ良い……今回は加護を与えられたダークエルフと賦与されたソフィーとやらに免じて許してやろう」
「あ、あざーっす!!」
よく分からんがパナメーラも納得したみたいだし良しとしよう。
「パナメーラ、ソフィーとアステリアに力を与えたのはお前さんの知り合いか?」
デュークさんが質問をする。
「む?前回いた大人の人族だな、悪いがその質問には答えられぬ」
「そ、そうか」
「分かっていると思うがお前達、魔王とか呼び名を語っているうちは冗談で済んでもその加護と賦与の話はしない方が為だぞ?」
「ええ、分かっていますパナメーラさん」
「ふむ、ソフィーと言ったな……」
パナメーラがソフィーを見つめる。何だ?この前はカーラちゃんを気に入ったようだったが今回はソフィーか?
ソフィーは俺も許嫁だぞっ!!
「ヤツが何故、お前とそっちのダークエルフにその力を授けたのか分からんでもないな」
パナメーラが真顔で言う。
面白い人だななんて思っていたがやっぱデュークさんが言う様に隙の無い達人で鋭い洞察眼の持ち主なんだろう。
「よし!!決めた!!俺様も魔法学校に入るぞ!!」
「は???」
パナメーラの突然の決意表明に俺達は勿論、周囲の受験生、教師、用心棒、全員が一斉にどでかい疑問符を浮かべた。




