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第三十話 「地竜再び」

 ~サンクルーズへの出立当日~


 よく晴れた朝、気温は高めだが湿度が低く心地よい天気の中、俺達はチコレット市門の一つ北門にいる。

 この北門から俺とカーラちゃんはサンクルーズ魔法学校へ目指し出発する。


「それじゃあ、行ってきます」


「ああ、しっかり学んで来いよ」

「またには手紙で近況報告しなさいよ」


 父ブルーノと握手し、母クラリスとハグする。


「カーラもしっかり魔術を学んで来るんだぞ」

「学校のお友達と仲良くするのよ」

「分かってます、お父様お母様」


 領主で父親のニコラウスさんはいつものべらんめぇ口調で無くどこかしんみりしているのはやっぱり男親と一人娘だからなのだろうか。


「デューク、2人の護衛を頼んだぞ」

「分かってるってランス、つーかこの2人なら護衛なんていらねーと思うけどな」

「そんな事言っている様だから釘を刺しているのだ」


 心配してくれるランスさんと飄々としているデュークさん、これでいて相性が良い。


「分かってるよ、守るのは魔物だけじゃねーって事だろ?」

「ああ、本当に大丈夫だろうな……」


 そう、魔物からの護衛はともかく6歳と8歳の旅だし異国の地での生活と言う事で保護者代わりにデュークさんが同行してくれるから頼もしい…んだよな…?


「シンプソンさんとラファエラさんもわざわざお見送りに来てくださってありがとうございます」

「何、みずクセー事言ってんだよヴィンス、俺らデザートフォックスなんだから当たり前だろうがよ」


 シンプソンさん、ラファエラさん夫婦も見送りに来てくれた。

 ラファエラさんは今、妊娠19ヶ月の身重の体なのに悪いな。

 何でも魔族はなかなか妊娠しないらしいと聞いていたがシンプソンさん夫婦は結婚して間もなく妊娠した、

 まぁこればっかりは出来る時は出来るからタイミングが良かったのだろう。

 ちなみに魔族の妊娠期間は20ヶ月なので今現在は臨月と言う事になる。


「あなた達がこの町に戻ってくる頃には私達の子供もデザートフォックス候補生かも知れないわよ?」

「ええ、お2人の子供ならあり得ますね」


 ラファエラさんとそんな会話をしながらも妊婦であのデカメロンがますます肥大しているもんだから目のやり場に困る。

 それにしても…スッゲーな…っていかんいかん!!いかんぞ俺!!ラファエラさんはシンプソンさんの奥さんで立派な人妻…人妻…?人妻って……だぁああああぁ!!立ち去れ煩悩よ!!!


「んじゃ、ぼちぼち行くか?」


 俺達の移動手段はシュミットからチコレットに来た時みたいに馬車を使いたかったが今回は徒歩だ、まあこれには訳があるんだが……。


「それじゃ行ってきます!!」

「お父様、連絡します!!」


「おう!しっかりな!」

「デューク頼んだぞ!」

「頑張ってね」


 こうして俺達はチコレットでのパーティ、デザートフォックスと関係者の面々に見送られチコレットを後にしサンクルーズへと出立したのだった。




 ~



 サンクルーズの街はチコレットの北北東に位置していて、サンクルーズへ行く為のルートは2つある。


 一つは東ルート。


 チコレットには市門と呼ばれる街への出入り口が東西南北に各1門ずつ設置されているが、森の中にある街であるが故、防衛と防犯面から普段は平原へと繋がる整備された道がある東門だけが開放されている。

 はじめて俺達が故郷であるシュミットから来た際に入った門も東門だ。


 通常のルートはその東門から出立し、チコレット東の森を抜けて一旦草原へと出て左手に森を見ながら行くルート。


 チコレット東の森は街道として整備され魔物も定期的に駆除されていて比較的安全で馬車も使える。


 但し、森から一度東に出て大きくUターンする形で北へ向かう形になるのでサンクルーズの街へは通常5ヶ月程かかる。

 まぁ余裕を見て5~6ヶ月といったところか。


 もう一つは北ルート。


 このルートは北門から出立し、チコレット北の森を真っ直ぐ北上して抜けスロブ山脈と呼ばれる山の麓まで出て東へ進路を変えて左手に山脈、右手の森を見ながら行くルート。


 チコレット北の森は他の街と直接繋がっている訳ではないので、道も整備はされておらず定期的な魔物の駆除もされていないのでリスクを伴う。


 更に北の森を抜けスロブ山脈麓へ出るとクレイルバレリーと呼ばれる渓谷になるのだが、ここも足場は石だらけで移動しにくい上に巨大な岩もゴロゴロしていて真っすぐに移動はできない。


 この為、こちらのルートの場合は馬車が使えず、徒歩での移動となるが必然だ。


 徒歩でのサンクルーズまでの移動時間に関してはAクラス以上の実力者冒険者パーティなら大体3ヶ月で行けるだろうが、中堅のBクラス冒険者パーティでおおよそ4ヶ月、Cクラスなら更に1ヶ月プラス、Dクラスは辞めておいたほうが良いといった感じだ。


 要は、時間を掛けてでも安全に行くなら東ルート。

 北ルートは腕に自信があれば早く着くかも知れないが、そうでないなら東ルートとそれ程時間も変わらないしリスクばかりの北ルートを選ぶ必要はない。


 その為、よっぽど腕に自信があるか修行を兼ねての為にしか北ルートは使われない。


 まあ俺たちは両方とも当てはまるから北ルートを選んだっちゃあ選んだのだけど実はある目的もある。


 ある目的とは竜だ、ぶっちゃけ俺は竜が欲しいのだ。


 チコレットでの約2年間の生活の中で竜に会ったのははじめの竜狩りの時だけだった。


 魔族王子のパナメーラから竜を手懐ける手段を聞いて実践したかったが機会が無かった。


 出来る事ならサンクルーズ魔法学校に竜で乗りつけたら格好良くない?

 カーラちゃんはともかく騎士の家の出である俺としては貴族社会である学園生活を円満に送るには最初のインパクトも大切だと思うんだよね。


 そんな(よこしま)な考えで竜を探してはいたけど遂に会えずじまいだったので今回のサンクルーズへの移動が竜を手に入れるラストチャンスとばかりに北ルートを選択したと言う訳だ。


 まぁカーラちゃんも性格的に試練がある方が楽しいって言うし、彼女も何だかんだで竜を手懐けたいみたいだったから二つ返事でオッケーだった、デュークさんも近い方が面倒くさくなくて助かるなんて言ってたから問題ない。


 それに整備されていないとは言え北の森は日帰りの範囲ではあるものの今まで幾度となく修行兼魔物狩りに入っているから途中までは勝手知ったる庭みたいなもんだ。




 ~



 森に入って2週間が経つ。


 特に変わった魔物や飛び抜けて強い魔物に遭遇する事も無く俺たちは淡々と事務的に魔物駆除をしながら進んできた訳だがもう少しで森を抜け出すとこまで来た。


「しかし何だな、今となっては小片舞鳥(ビットバード)の群れも楽勝だな」

「2年前にはじめて遭遇した時は焦りましたが今では何て事ないですからね」


 自在に宙を舞い攻撃してくる小片舞鳥(ビットバード)をこの2年で何羽撃墜しただろう?

 この森の棲息する魔物の半分以上は小片舞鳥(ビットバード)じゃないかって言う位に棲息している。

 今やチコレットの名物料理はと聞かれれば誰もが小片舞鳥(ビットバード)の焼き鳥と答えるだろう。


「ちょっとヴィンス様!私にも残しておいて下さい!」


 カーラちゃんも俺に負けず劣らずの小片舞鳥(ビットバード)キラーだ。


 小片舞鳥(ビットバード)はその素早さを活かしたオールレンジ攻撃と連携攻撃で俺の(そら)魔術とカーラちゃんの剣術稽古にとってこの上ない練習台になっている。

 と言うのも小片舞鳥(ビットバード)の攻撃は同じ攻撃と言うのは無く(そら)魔術の精度を上げたり、剣術をスキルアップさせるのに絶好の相手であり実際俺たちのレベルも相当上がった。


 カーラちゃんの武器は両刃の大剣だからまともに叩き切ってしまっては真っ二つになって食材としてはイマイチになってしまうので、あえて剣を横にして構え剣の腹で叩き落とすと言う力技で狩っている。


「ふぅ…終わりましたわ」


 カーラちゃんが最後の一匹を仕留め額を拭いながら言う。


「ご苦労さん、カーラちゃん」

「今回もデューク様は高みの見物でしたね」


 カーラちゃんは大剣を背中に背負いながら嫌味ではなくからかう様に言う。


「そりゃお前達が(こぞ)って小片舞鳥(ビットバード)は狩りたがるからじゃねーかよ」


 デュークさんも笑いながら言い返す。


「そうですね失礼しました、でもデューク様もぼちぼち動かないと体が鈍ってしまうのではないですか?」

「確かになぁ、最近お前達に狩らしてばっかだったからな、ようし次の魔物は俺が狩ろう」


 デュークさんは腕をクロスさせ二の腕と後背筋をストレッチをする。


「もうすぐ森を抜けるんですよね?そうしたら今後の食料として小片舞鳥(ビットバード)を多めに回収しておきます?」

「そうだな、クレイルバレリーに出たら基本的に石ばっかだから食材減りそうだしな」


 そうして3人で小片舞鳥(ビットバード)の残骸、もとい食材を全て回収し先に進んだ。



 ~



 小1時間ほど歩くと森を抜けクレイルバレリーに出た。


 その渓谷は幅にして50~60mといったところで真ん中よりやや山側に幅5m程の川が流れている。


 川の先には高く白い岩肌の崖が連なり間近に見るスロブ山脈は雄大で雰囲気がある。

 振り向けば今まで通ってきた森は鬱蒼として深い緑に圧迫される様だ。


 改めて森を見ればよくあんな鬱蒼とした森を抜けてきたなと思う。

 それに比べ渓谷に出た事で視界は良く明るい分安心感みたいのはある。


「ここからは東に進路変更してサンクルーズを目指す事になるが気を抜くなよ」

「はい、デューク様」


 デュークさんにしては真面目な顔で言う。


「デュークさん、何だか森に比べ明るく視界も良いから何だかホッとしちゃいましたが渓谷ではどんな危険が潜んでいるのですか?」


 全体的に気を付けなければならないのは分かるがデュークさんが改めて気を抜くなと手綱を締める事に引っ掛かる。用心するポイントがあるならあるで知っているに越した事は無いだろうからな。


「まぁ特別何かってのは無いんだが先ずは飛びモノだな、崖の上からの落下攻撃に飛翔系魔物、更には今まで抜けてきた森の中からも油断してっと何かが飛び出してくるかも知れねーしな」

「なるほどです」


 カーラちゃんも納得したみたいだが俺には気になるキーワードがあった。


「崖からの飛翔系魔物ってどんなのですか?」


 崖に棲息する飛翔系魔物と言えばアレしかいないだろう。


「まぁ代表的なのは竜だな」

「キタ!竜!!」


 俺とカーラちゃんは待っていましたとばかりに歓声をあげる。


「お前ら…普通喜ぶ所じゃねーんだけどな…まぁ気持ちは分からんでもないが、もし遭遇しても先走るんじゃねーぞ?」

「分かっています、慎重に()りますよ」

「いや、そう言う事言ってんじゃねーけどな」


 デュークさんは頭をポリポリと掻き半ば呆れている感もあるが俺達の気持ちも汲んではくれているみたいだ。


「他にも魔鳥系の上空攻撃や怪力系の魔物の落石攻撃、森からは狩人小魔(ハンターインプ)が毒矢を放ってくる可能性もあるし視界が良いってのは裏を返せば的にもなり易いって事だ」


「そうですね、視界が良い分、敵を発見しやすいから楽かと思いましたけど、潜んで獲物を待つ魔物より移動が目的の僕達の方が不利ですね」


 視界が開けた分楽観的になってしまったがデュークさんの言うも尤もだ、完全に油断していたな俺。


「そう言う事だ、じゃ行くか」

「「はい!」」


 そうは言いながらも先頭を行くデュークさんは飄々とした感じでまるでハイキングと言った足取りで行く。

 俺とカーラちゃんは森の時より緊張しながら辺りに警戒しつつ歩を進める。


「おいおい、お前達いくら油断するなよって言ったからって肩に力入りすぎじゃねーか?もうちょっとリラックスしねーと疲れちまうぞ?」

「え?あ、はい」

「そ、そうですね」


 と肩の力を抜いた瞬間遠くから魔物の雄叫びが聞こえた!!


「どこ?!森?」


 カーラちゃんが反応して右前方に警戒する。確かにそっちから聞こえた。


 次の瞬間、激しい地鳴りがしてその音が近付いてくるのが分かる。


 ドドドッ!ドドドッ!とまるでサイの大群でも来たかの様に地響きを伴った迫力のある音だ。


「来ましたっ!!」


 カーラちゃんが指差す方の森の木々がザワザワと激しく揺れながらへし折れが何か巨大生物が近づいてきている!


 次の瞬間、魔物が飛び出してきた!!


「あれはっ!?」


 見た事あるシルエットだ。


「地竜だ!!」


 デュークさんの声に確信した、やはり竜だ!


「え?でも、何だか前に見た猛角地竜(マッドブルドラゴン)とは何か違くありません?」


 カーラちゃんが戸惑うが俺も同意見だ。

 何だかずんぐりむっくりと言うか。


 よくよく見てみれば音が激しいだけで速度は遅いし何だか背も低い、角や牙と言ったものも見当たらない。

 当然翼の類も無い。


蜥蜴地竜(リザードドラゴン)だ!!竜の中でも最弱種だが竜には違いないぞ!!」


 ああ、そうだ、蜥蜴だ、あれは蜥蜴だ、俺の中にある竜のイメージでは無い。

 カーラちゃんも目が死んでる、俺達が待ちに待った竜ではあるが何て言うか……ちょっと違う…。


「あ、次に魔物を狩るのはデュークさんでしたよね?どうぞどうぞ」


 約束通りデュークさんに譲る。


「は?おい、ちょっと待てヴィンス、お前ら竜狩りたかったんじゃねーのか?」


「いや、まぁそうなんですけど、あれじゃ手懐けても何か……ねぇ」

「何か竜とは言え強そうじゃないですし、私たちのイメージはパナメーラ様の飛竜みたいな……」


 実際蜥蜴地竜(ヤツ)が迫ってきてはいるが緊迫感は無い。スピードも無いし。


「いや、たしかに噛み付くしか能がねーけど……えーっと……あ、顎の力は強力だぞ?それに防御力は高い!どうだ?」


 むしろ蜥蜴地竜(ヤツ)も向かってさえ来なければ見逃しても良いとすら思えるのだが放っておいて街の方へ行かれても後々面倒になるから今駆除すべきなんだろうが、何だろう?狩るテンションが一切上がらない。見た目の問題かな?


「いえ、デュークさんのリハビリを兼ねてお相手してあげた方がよいですよ」

「リハビリって、別に俺は何も患ってないんだが…」

「来ましたわ、デューク様!」


 蜥蜴地竜(ヤツ)に背を向ける格好で俺達に相手をする様、勧めていたデュークさんに蜥蜴地竜(ヤツ)がようやく迫ってきた。

 近くで見ると流石にデカイな、体長5mはあるだろうか?


「ちっ、お前ら貸しだかんな!」


 デュークさんも火の粉が降りかかってきたから仕方ないと言った感じで振り向き蜥蜴地竜(ヤツ)に向かっていく。


「何で借りになるんですか、デュークさんが次の魔物は俺が狩るって言ったんじゃないですか」


 ジャンプ一発、地竜に一撃加えようと空中で剣を振りかぶるデュークさんに声を掛ける。


「お前ら竜を手懐けてーんじゃなかったのか、、、よっ!!」


 デュークさんは返事をしながら先制の一撃を地竜の脳天に加える!


 が、地竜の固い装甲に弾かれる。

 弾かれたデュークさんも空中で回転しバランスを立て直し着地する。


「デュークさんそんなに装甲が固いなら口から魔術ぶっこめばどうです?」

「バカ!ヤツの体液が一番やっかいなんだよ」


 俺と会話している間にも地竜はデュークさん目掛け舌で攻撃してきた!蛇みたいに先が割れてるタイプだ。


「そら!!」


 デュークさんは舌先を切り飛ばした。

 するとあたり一面に異臭が広がる…!!


「うっ……!!」

「がっ!!何だコレ!?」


 何とも言えない強烈な異臭が俺たちの鼻を(つんざ)く!!


「な?げほっげほっ!ちょっと舌先切っただけでこの臭いだぞ?魔術で爆発させたり焼いたりしてみろ、どうなるか分かるだろ?」


「わ、分かりました…」

「そ、それなら氷魔術で凍らせればどうです?」


 確かにカーラちゃんの言う通り凍らせれば異臭騒ぎは防げて狩れるんじゃないか?


「それはヤツも進化の過程で属性耐性を持ってるよ」


 左手で鼻を覆いながら右手だけで地竜を叩きまくるデュークさん。


「じゃあどうすれば狩れるんですか?」

「だからこうして斬撃出来なくともダメージを蓄積させ内部組織から崩壊させるしかねーんだ、、、よ!!」


 先程からデュークさんの攻撃で剣と地竜の装甲が激しくぶつかり合いガインガインと衝撃音が鳴り響いている。


 側から見ればデュークさんが一方的に攻めている様に見えるが徐々に体力を奪われている。


「お前ら、ちょっと、交代しろ、オッサンは、疲れてきた……」


 デュークさんはダメージゼロだが動き回りながら何度も剣を打ち込み過ぎて流石に疲れた様だ。


「仕方ありません、私達が変わりましょう」


 カーラちゃんが一歩前に出る。


「はい、それじゃあ僕達が狩りますか」


 望んでいた竜と違ってテンションが下がってしまっていたがそれとこれとは別だ。


「はっ!」

「とう!」


 俺たちはデュークさんと蜥蜴地竜(リザードドラゴン)の間に割って入って参戦する。


「わりーな、頼んだぜ」


 俺たちと交替しデュークさんが少し離れた岩に座って休憩する。


 デュークさんが下がったのを確認して俺とカーラちゃんのタッグで蜥蜴地竜(リザードドラゴン)に斬撃を与える。


 流石にアウトスタンダーの怪力を持つカーラちゃんの攻撃はこたえる様で少し蜥蜴地竜(リザードドラゴン)の動きが鈍るがまだ致命傷と言う程のダメージでは無さそうだ。


 蜥蜴地竜(リザードドラゴン)は特別速い訳でもなく魔術を発する訳でも無くただただ愚直に突っ込んでくるだけだが、迫力は凄い。

 更に自分の弱点を知っているのか、噛付きしか攻撃手段は無いクセになかなか口を開けないから異臭騒ぎ覚悟で魔術を体内に打ち込もうにもそれが出来ずにお互い決めの一手に欠ける。

 やはりデュークさんの言う様に打撃を打ち続けるしか有効打はないのか?


「試しに何か魔術打ってみますか?」


 カーラちゃんに聞いてみるが無反応だ。

 何か攻撃の手を考えているのかな?


「カーラちゃん?」

「…………」


 俺はカーラちゃんに呼びかけるがカーラちゃんときたら俺の方をチラリと見るが無反応だ。

 何だろ?俺の攻撃手段を試されているのかな?


「とりあえずあの硬い鱗に魔術が本当に効かないか試してみますね」


 一応カーラちゃんに一言言ってから火弾(ファイヤボール)を放つ!

 すると火弾(ファイヤボール)蜥蜴地竜(リザードドラゴン)の硬い鱗に弾かれ明後日の方向へ飛んでいった。


「本当だ、まるでダメージが無い、なら次はコイツだ!」


 俺は氷、水、土と立て続けに魔術を放ちダメージが与えられないか試すがどれも効かない。


 チラリとカーラちゃんを見るが先程と同じで心ここに在らずと言うか何やら思いつめた表情にも見える。

 やばい、このままではダメなヤツだと、使えねーヤツだと思われてしまう…!


「ようし、それなら感電させてやる!!」


 ダメもとで雷属性の魔術をぶっ放す!


 が、雷は四方に弾け飛んでやはりダメージは与えられない。

 与えられないどころか暴発した雷が放電しながらこっちへも飛んでくる!!


「どぅわっち!!!」


 何とか避ける!


「あの、ヴィンス様?」

「え?あ、は、はい、すみませんカーラちゃん、大丈夫ですか?!」


 カーラちゃんにも雷の流れ弾が行っちゃった??

 慌てて俺はカーラちゃんの方を見る。


「ソフィー様の事は好きなんですよね?」

「え?ソ、ソフィー??」


 真っ直ぐに俺を見るカーラちゃんから出た言葉は予想だにしなかった言葉だった。

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