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第二十六話 「謝罪」

 ~~ブルーノ目線~~


 多分、今頃ヴィンスのヤツは合格発表を見に行っている頃だろう。


 十中八九受かるに決まっている。

 あの戦いを見て落ちるとは思えないし、親としては落ちて欲しくない。


 そうなると問題はニコラウスとカーラちゃんだ。


 まぁニコラウスは竜退治の戦力になるから良いなんて言っていた位だからまぁ大丈夫だとして、カーラちゃんはどう説得する??


 ニコラウスはヴィンスが冒険者になったらなったでカーラちゃんを説得するなんて安請合いしていたが、多分ありぁ5歳児だから落ちると信じて疑わなかったからだろう。


「どうかしました?ブルーノさん?何やら考え込んでいるみたいですが…」


「分かるだろ?ランス」


 横を歩くランスが白々しくも聞いてくる。意外とコイツのんきなんだよな。


「ヴィンスの冒険者試験の件ですよね?」


「ああ、まぁまだ結果は聞いてねーが落ちたって事ぁねーだろ」

「でも、その件はニコラウス様に引継いだのですからブルーノさんが悩む事では無いではないですか」

「そりゃそうだがよ、ニコラウス様大丈夫かよ?」


「さぁ?ま、なる様になるんじゃないですか」


「なる様にってお前……」


 ダメだ、どいつもこいつものんきなのはチコレットの市民性か?


 あまり期待は出来ないがニコラウス様が上手くカーラちゃんを説得できる事を祈ろう。


「どっちにしてもニコラウス様の所へ行って今日から具体的に竜狩りについて行動を開始しなければなりませんし」

「ああ、そうだな、とりあえずニコラウス様んとこに行ってからだな」


 そんな風に結論が出ないままニコラウスの書斎の前まで来てしまった。


 ランスがノックする。


「おう、開いてるぞ、入れ」


「失礼しますニコラウス様、ランス中隊長入ります」

「竜狩り親方ブルーノ入ります」


 この親方ってのどうも馴染めんな…。


「何だお前ら、朝っぱらから堅苦しい挨拶だな」


 ニコラウスは相変わらず顎鬚を掻いて言う。


「本日より本格的に竜退治について我々も動き出そうと思いましてご報告に参りました」

「ああ。そんで?ヴィンスの冒険者登録合否も今日分かるんだっけか」

「は!そうであります」


「でブルーノ、お前らの見立てだと恐らく受かるだろうと」

「は!恐らく受かるかと」


 ニコラウスは黙ったまま顎鬚をいじって俺とランスを見ている。


「ふん、まぁお前達がそう言うならそうなんだろうよ、それならそれでめでてーじゃねーか、そしたら宴会の準備もしとかねーとな」


「そ、それはありがたいのですが……カーラ様の方は大丈夫なのでしょうか?」


 ランスが俺に代わって聞いてくれる。


「このニコラウスに二言はねーぞ、俺に任せろと言った以上俺に任せておけば良い事、ましてやテメーの娘を説得するだけの話だ、何の問題がある」

「い、いえ、ニコラウス様がそうおっしゃるなら問題は無いかと」


 真面目なニコラウスを見ると大丈夫なんだと思わせる雰囲気があるな。


「それではニコラウス様、この後の竜退治についてですが、先般申し上げた通り、少数精鋭のパーティで竜を狩って参ります」

「おう、お前とランス、デュークにシンプソン、それに…ヴィンスか」


「はい、その4人であれば各々が一騎当千の働きをする事でしょう、私はそのパーティをコントロールするだけで問題なく竜は狩って来れます」

「ふむ」


 ニコラウスは変わらず顎鬚を撫でている。


「武器の手入れはもちろん、地形につきましても各々が頭に叩き込んでありますので明朝には出立する予定です」


 ランスが明日出立する旨を伝える。


「今のところチコレットの街への直接的被害はありませんが物流が麻痺し徐々に街への影響が大きくなっているのはニコラウス様の、そして街一番の憂うところであります故、一刻も早く竜を退治して参ります」


「先に北の森へと我が部隊の偵察隊を派遣し森を調べておりますので竜の大体の位置は分かっております」


 俺とランスはニコラウスの前にあるテーブルにおいてあるチコレット周辺地図を指しながら説明する。


「で?どの程度の期間を見込んでいる?」

「早ければ4日、遅くとも1週間以内には竜の残骸を持ち帰ってみせます」


 実質3日もあれば事足りるとは思うが、途中何があるか分からんしな。


「その後、南側の集中している魔物達を駆除し街への流通を再建させます」


 ランスが補足説明してくれる。実際、街の南側での魔物退治はランスの部隊中心の仕事になるだろう。


「分かった、必要なものがあれば何なりと言ってくれ、すぐに用意させる」

「はっ!」


 まぁ後は特に難しい話は無い、要するに俺達5人のパーティで竜を狩って、その後は町の兵士も連れて南側の魔物を全滅させられれば良いが最低限、魔物を間引く程度でも出来れば流通は復活するだろうと言う話だ。




 ちょうど話が終わったタイミングでドアがノックされた。


「おう、開いてるぞ」


「ただ今戻りましたお父様」


「おう、カーラかちょうど良い、こちらへ来て座りなさい」


「はい、お父様」


 え?もしかしてもうヴィンスの件、話すつもりか?まだ受かったって連絡は無いが……。


「お前達も座れ、竜の件は以上だろ?」


「は、はぁ」


 ランスと顔を見合わせ着座する。

 出来れば俺達がいないところで親子水入らずで話してくれれば良いのにと言うアイコンタクトだった。


 ニコラウスを上座に、そして左側にカーラちゃん、右側に俺とランスが着座する形だ。


 とその時、再びドアがノックされた。


「あ?今度は何だ?」

「失礼しますニコラウス様、デューク様とシンプソン様、それにヴィンス様がお見えですが」


 使用人の口から奴等の名前が出たのには流石にドキッとした。


「おう、良いタイミングじゃねーか、通せ」

「はっ!では呼んで参ります」


 そう言ってから2分ほど経ってからヴィンス達がやってきた。


「大丈夫かい?会議中だったかい?」


 デュークを先頭に奴等が来た。


「いや、終わったとこだ、入れ」


 ニコラウスが右手を自分の方に引く様にして入れとジェスチャーする。


「おじゃまするぜ」

「失礼します!!」

「こんにちは」


 デュークが飄々と入り、シンプソンは緊張気味だ、ヴィンスは…普通だな。


「ヴィンス様!!」


 カーラちゃんがヴィンスの元へ駆け寄る。


「あ、カーラちゃん!」

「ささ、ヴィンス様こちらへどうぞ」


「あ、ああ、ありがとうございます」


 カーラちゃんはデューク、シンプソンをスルーしてヴィンスの手を引き座席へと案内する、そう自分の隣の席へ。


 デューク、シンプソンも着座したところでニコラウスが口を開く。


「で?今日来た用件は何だ、先ずはヴィンス、お前から聞こうか」


 単刀直入だな~。ま、ニコラウスらしいけど。


「はい、お蔭様で適性試験に合格しそのまま冒険者となれました」


 っ!?


 やっぱな、そりゃそうだろうな。

 しかしヴィンスも案外しれっと言うな。


「え?!ど、どういう事ですの?!お父様!?」


 目を白黒させてるのはカーラちゃんだ、そりゃそうだろうな。


「どうもこうも無い、聞いたままだカーラ、ヴィンスは冒険者適正試験に受かって冒険者になったんだとよ」

「なったんだとよってお父様!他人事(ひとごと)みたいに!」


 カーラちゃんの目の色が変わってきたぞ、どうする?ニコラウス。


「お前、ヴィンスの事好きなんだろ?だったらお前もヴィンスを祝ってあげたらどうだ?」

「ちょ、お父様!?ヴィンス様の事を好きとか何とかって言う以前に……!」

「以前に?何だ?」


「以前に………」


 カーラちゃんは言葉に詰まり困ったのかそれとも何かに怒っているのか顔を真っ赤にしている。


「いやそうじゃねーな、俺が悪い。カーラ…俺が悪かった、許してくれ」


 そう言うと突如ニコラウスは椅子から立ち上がり腰を90度に折り曲げカーラちゃんに向かって深々と頭を下げる。


「な!?お、お父様!?何の真似ですの?!」


「それからヴィンス、お前にも謝らなけりゃならん、すまなかった」


 ニコラウスは顔を上げヴィンスの方へ向き直り再び頭を下げた。


「え?ぼ、僕?ですか…?一体何の話でしょう??」


 戸惑うヴィンス。


「実はなヴィンス…」


 ニコラウスが口を開く。


「お待ち下さい!!謝罪するなら私が!!」


 俺は黙っていられなかった、自分の卑怯さに。


 カーラちゃんとの約束を安請け合いし、それをニコラウスに丸投げし、ニコラウスに尻拭いさせ様とする自分に。


 ヴィンスが折角生まれ変わって前向きに生きようとしてるのに邪魔しようとしてしまった事に。


「私も申し訳ございません!!」


 ランスも同じ気持ちだったんだろう。

 同じく立ち上がり謝罪する。


「え??ちょちょちょ、一体全体何の事でしょう??」


 大の大人3人に一斉に謝罪されヴィンスは困惑している。


「ニコラウス様、ここはヴィンスの父親である私から説明させて頂いても宜しいでしょうか?」


「……ああ」


 ニコラウスも責任感の強い男だ、自分の負い目は自分で(ぬぐ)いたいだろうがここは父親として俺が説明して謝らなければならない、ニコラウスもきっとこの気持ちを汲んでくれたのだろう。


 俺はヴィンスをはじめ全員を見る。


 全員が俺に注目しているがヴィンスとカーラちゃんは困惑した表情だ。


「ヴィンス、実はな、俺はお前が冒険者になろうとしているにも関わらず、ならなければ良いと思っちまった、それはお前の事を心配してくれるカーラちゃんにお前を竜狩りには連れていかないと安請合いの約束をした自分の保身の為だ、そしてその約束を反古した上にその尻拭いをニコラウス様に丸投げしてしまった、本当に申し訳ない、すまなかった」


 改めて自分の愚行を口にすると自分で自分が情けなくなる。


 申し訳ない気持ちと情けない気持ちとで頭を上げられずにいるとニコラウス様が口を開いた。


「ヴィンス、それだけじゃないんだ俺達が犯した罪は。俺はブルーノ達からお前の力が本物だと聞いて応援する立場である大人であり領主であるにも関わらず、あろう事か冒険者ギルドに根回ししギルド最強の者を試験官にさせお前が適正試験に落ちる様に画策してしまった、詫びても許されないかもしれないが詫びさせてくれ、本当にすまなかった」


 そんな根回ししていたとは知らなかったが、あのやたら強い姉ちゃんが相手だったのも合点がいくな。


「私も同罪だヴィンス、私も受かる訳がないと思いつつも実際ヴィンスの力を目の当たりにし尻拭いはニコラウス様がするとどっちつかずの立場にいた、申し訳ない!!」


 ランスは悪くないと思うがヤツも責任感の強い男だ、謝らなければ気が済まないのだろう。


 デュークは天井を見上げ、シンプソンは目を閉じ聞いている。


「やめて下さい皆さん、どうか頭を上げて下さい。僕に謝る事なんか一つもないですよ、と言うよりむしろ感謝しているのですから」


 ヴィンスの口から出た言葉は予想だにしなかった答えだ。


「感謝……?感謝とはどう言う事だ?ヴィンス」


「はい、ニコラウスさん、適正試験では子供相手にやっつけで適当な試験官ではなくあんなに強い人と戦わせてくれた事です、おかげで自分の身の程を知りましたし魔術の新たな使い方も学ぶ事が出来ました、ありがとうございます」


 ニコラウスは何とも言えない表情でヴィンスを見ている。


「父様!」


「あ、ああ…」


 急に俺に振られドキッとした、後ろめたいからだ。


「父様も気にしているみたいですが僕もデュークさんも薄々はそんな事だろうと分かっていましたよ」

「え!?そ、そうなのか?」

「ええ、だって父様嘘つくの下手すぎにも程がありますよ、完全にバレてましたよ」


「そ、そうか…」


 確かに動揺にし過ぎていたものな。


「ランスさんも色々と試験まで教えてくれたじゃないですか、だから感謝しています」


「ヴィンス……」


 ヴィンスは怒るどころか情けない俺たちに慰めの言葉か本音か、どちらにしても誰も傷つける事のないフォローともとれる受け答えをする。


「とは言えだ、ヴィンス、俺達がした事は大人としていや人として謝罪しなければならない事だ、代表して今一度謝ろう、本当にすまなかった」


「分かりました、確かに謝罪をお受けしました、ですからもう終わりにしましょう」


 5歳児のヴィンスの方がよっぽど大人だし器がでかいじゃなーか、一体俺は何をしてんだ?!


「それから皆にも謝らせてくれ」


 そう言うと今度はこの場にいる全員に向けニコラウスが謝罪を始めた。


「どうしたって言うんだよニコラウスの旦那」


 デュークが聞く。


「実はな、カーラは特別な力を持っている。その力とは桁外れの腕力だ」


「それってぇ規格外の力を持つ者(アウトスタンダー)ってヤツか?」


 デュークが聞くアウトスタンダーなら俺も聞いた事がある、何種類かその力はあるみたいだが時に人知を超えた力を持つ者があるらしいが……カーラちゃんがそうとは。


「ああ、そうだ。それを俺は隠す様に、封印する様にカーラに使わせなかった、いや使われる事を避けてきた、親として子供の秘めた力を抑え込むとは親失格だ」


 子供の力を抑え込むか……まるでヴィンスの銀髪にコンプレックスを感じていた俺の事を言われている様だ。


「今回の件はそうしたテメーの不甲斐なさと子供への教育が出来ていなかった事に端を発している、それにつき合わせてしまったブルーノ、ランスお前達にも詫びなければならないし、カーラ、お前にも謝らなければならない」


「え?わ、私ですか……?」


 当然ながら戸惑うカーラちゃん。


「そうだカーラ、本当にすまなかった、俺はお前にその力の正しい使い方を教えてやれなかった、それだけじゃない、お前にその力を使われる事を避けていた、その結果が今回の件だ」


「そ、それは………それは……私のせい…じゃないですか、私が自分の感情をコントロールできずに感情的に、そしてその力をいい事に暴力的になるから…全部私のせいです……」


 カーラちゃんの目には今にもこぼれそうな位に涙が溜まっている。


「いや、お前のせいじゃない、お前の力を使わせない様、言い換えれば封じ込もうとした俺のせいだ、ブルーノやデューク達を通しヴィンスを見ていて気づかされた、強大な力だろうとそれを活かして伸ばしてやるのが親の務めだとな、それが出来なかった俺のせいだカーラ」


「いいえ、違います!それは…私がわがままだからです!!私が力を盾に大人を脅す様な真似をする卑怯さが!!全て分かっていてやっている私のせいです!!だからお父様が謝る必要はありません!!私が悪いのです!皆様ごめんなさい!!ごめんなさい……!!うわぁあぁあぁぁんっ!!」


「カーラ……皆すまぬ、責任は全て俺にある、責めるなら私を責めてくれ」


 カーラちゃんは号泣しニコラウスもその目に涙を溜め頭をさげている。




「そんならカーラちゃんも冒険者にするってのはどうだ?」


 この重い雰囲気の中、デュークがすっとぼけた事言い出した。


「な、何だと?デューク」


 俺は思わず声が出た。


 ニコラウス、カーラちゃんもあっけに取られた様で涙も止まりデュークを見ている。


「だってよカーラちゃんにそんなに力があるんなら使わなきゃもったいねーし、何より冒険者ってのは体もそうだけど心も鍛えられるぜ?」


「だけどお前、貴族で領主の娘が冒険者って…」


 シンプソンが割って入る、確かに皆シンプソンと同じ意見だろう。


「良いですね!!そしたら僕も一緒に稽古できる友達が出来ますし」

「だろ?ヴィンスなら分かると思ったぜ」


 ヴィンスは賛成している。


「デュークにヴィンス、お前達カーラ様の立場と気持ち分かっているのか?」


 ランスが慌てて間に入る、俺もランスと同じ意見だ。


「分かってるぜ、分かっているからこその提案だ、なあ旦那?」


 デュークは飄々とした態度でニコラウスに問う。


「……………」


 ニコラウスは無言で考えている。

 皆が黙り込んでいる中、ついにニコラウスが口を開いた。


「……そうだな、それは良い案だな、カーラはどうだ?」


 ニコラウスがカーラちゃんの方を向き聞いてみる。


「……お父様の許可が頂けるなら挑戦してみたいです!」


 カーラちゃんは二つ返事でやってみたいと応えた、もともと冒険者になりたいと言う気持ちがあったかの様だ。


「んなら決まりだな、なあに旦那、カーラちゃんの冒険者としての家庭教師なら任せてくれよ、この天才魔法剣士デューク様によ」


 デュークはテーブルに足を乗せ右手で自分の胸を叩いてみせた。


「ふん、口と態度は生意気だが冒険者としての評判は良いみてーだし、ヴィンスを見ていれば任せても安心か」


 ニコラウスは急展開に戸惑っている様だが頭を掻きながらカーラちゃんが冒険者になる事とデュークの提案を飲む事を快諾した。


「やった!!カーラちゃん、これから宜しくお願いします!」


「え?あ、は、はいっ!!」


 ヴィンスからカーラちゃんに握手を求めカーラちゃんも嬉しそうに返す。


「お父様!ありがとうございます!」

「ふん、すぐ音を上げる様だったら承知しねーからな、しっかりと教えてもらうんだぞ」

「はいっ!!お父様!」


 カーラちゃんも晴れ晴れとした表情だ。


「それからデューク、もしカーラが生意気な事言ったりさぼりやがったら遠慮なく叱って構わねーからな」

「分かってるって」

「ふんっ、お前は遠慮しろって言ってもしなさそーだしな」

「お、旦那もだんだん分かってきたじゃねーか」


「カーラ、これからは俺も厳しくしていくから覚悟しろよ、いくらお前が強くともしょせん俺には勝てねーって事を教えてやるからな」

「はい!!お父様!!」


 何だかんだ心配したりもして、予想もしていなかった展開になったものの結果的には一番丸く収まったな。


 ここにいる皆の顔がそれを物語っている。


「それではお父様、さっそく冒険者試験受けて参ります!」

「な!?何!?」


 突然のカーラちゃんの申し出にニコラウスが固まる、って言うか皆が固まっている。


「今回の件で反省はしておりますが、私はじめに申しましたよね?ヴィンス様が竜狩りに行くなら私もご一緒するって」


「え、いや…ま、まぁ、確かに言っていたが…突然すぎやしないか…?」


「ええ、善は急げですわお父様、それにたった今お父様も私が冒険者になる事に賛成してくれたばかりじゃないですか、年齢的にも7歳で試験受けられますし、竜狩りに旅立つのもスグですよね?」


 カーラちゃんの言っている事が筋が通ってるし正論だ、正論だけにニコラウスは言い返せずにうろたえている。


「だ、だが、カーラよ、7歳で受けられるのはたまたま魔族の王子が受かった年齢なだけであって実際には7歳で冒険者になれたのは後にも先にも魔族王子だけだぞ?」


「いいえ、何をおっしゃてますのお父様、ここにいるヴィンス様はその記録を抜いて5歳で冒険者になったのですよ、なら私にだってなれる可能性はあると思いますわ」


 完全にカーラちゃんに押込まれてるなニコラウス、こりゃカーラちゃんの勝ちだな。


「かっかっか、受けさせるしかねーんじゃねーか?旦那よ、あんた達がヴィンスにしたのと同じだよ、落ちたら落ちたで実力不足って事でカーラちゃんだって納得するだろ?なぁカーラちゃん」


「はい、デューク様のおっしゃる通りです、落ちた時は潔く今回の竜狩りは諦めてまた鍛え直しますわ」


「ぐ、ぐぅ…分かった…好きにしろ…」


 ニコラウスが落ちた、そりゃそうだよな。


「んでランスよ、次の冒険者試験ってのはいつなんだ?」


 デュークがランスに聞く。


「ああ、たしか毎月10日が試験だから3日後だな」

「どうする?カーラちゃん、時間は無ぇぞ?」


 試す様にデュークがカーラちゃんに振る。


「受けます!!そうしなければ竜狩りについていけませんからね」


 カーラちゃんは意気揚々だ。


「ランス、試験ってのは当日会場に行けば良いのか?」

「ああ、適正試験と違って定期的なものだからな当日受付で大丈夫だ、だが落ちた場合は半年間試験は受けられないが」


 そう言いながらランスはカーラちゃんを見る。


「大丈夫です、ランス様、必ず受かってみせます」

「だってよ旦那、それで良いかい?」

「ああ、構わねーさ、カーラが納得いく様にすりゃ良い」


「それじゃ、早速カーラちゃんの実力確認がてら訓練開始といくか!」

「はいっ!!」


 こうして俺が冒険者になったその日、カーラちゃんも冒険者になる決意を決めた。


 竜狩りについてはカーラちゃんの冒険者試験が終わってからと言う事になり4日後に延期となった。



 ~


 そうして3日間はあっという間に過ぎ、冒険者試験当日を迎えた。

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