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第二十四話 「冒険者試験」

 冒険者適正試験の闘技場に対戦相手として現れたのは受付のお姉さん!?


 そうだ、間違いない……あの出で立ちとスタイル、そして何より見間違うどころか二度見三度見当たり前の胸に()った2つのデカメロン。


 きっと見学者にもお姉さんのファンが多いのだろう。

 歓声が凄まじい。


 受付のお姉さんが近付く程に2つのデカメロンが上下別々にゆっさゆっさとリズミカルに揺れているのが確認できる、いや、してしまう。


 ザッと砂を鳴らしお姉さんが立ち止まる。


 俺との距離、約10mといった所か。


「私がお相手するけどお手柔らかにねヴィンスちゃん」


「よ、宜しく(そうろう)…」


 やっべ、何を口走ってんだ俺?!


「そうろう…?」


 なっ…!!お姉さんの口からそうろうとは…た、確かに前世では早かったけども…!!


「あ、いや、緊張してしまい呂律が回らず…すみません…宜しくお願いします」


「ふふふふふ、いいのよ?そんなに緊張しなくても」


 紫色のロングヘアーを掻き揚げながら上目遣いに見つめながら言われるとボクチン……っ!?いかんいかん!!お姉さんが喋れば喋る程ペースが乱れる…!


「それじゃあ、準備は良いかしら?」


 よりによってお姉さんの使う武器ときたら鞭だ…!あの鞭で俺を……。


「ヴィンス!!しっかりしろ!!ボーっとすんな!!」


 っ!?デュークさんの声にハッと我に返る!!


「それではヴィンス・ギャレットの適正試験を開始する!!」


 審判団の声に否が応でも集中力が高まる、いや高めろ!!


「いくわよ?」


 お姉さんが鞭を柔らかく握りしめるその姿が何とも卑猥な想像を掻き立てるから集中力が……。


「はじめぇっっ!!!」


 開始の合図で何とか我を取り戻し慌てて構える!!


 っ!?


 見えないが反射的にジャンプした!!

 飛んでかわした足元を確認すると鞭先が空を切るのが見える!!

 ヤバかった!!!


「すっご~い」


 お姉さんの声は聞こえたが顔を見る余裕は無い。


 っ!?


 横にしなった鞭が生き物の様に今度は縦に波打つ!!

 とっさに俺は木剣を身代わりとばかりに盾にする!!


 次の瞬間、木剣に鞭が絡みつき木剣はお姉さんの(もと)へと引っ張られ奪われた!!


 着地と同時に無詠唱で火弾(ファイヤボール)を射出する。


「へぇ完全無詠唱で魔術を使えるのね」


 感心しながらもお姉さんは動じる事無く奪った俺の木剣ごと鞭で火弾(ファイヤボール)を叩き落す。


 が、俺も無詠唱とは言え火弾(ファイヤボール)単発で仕留められるとは思っていない。


 すかさずお姉さんの目の前に土壁(アースウォール)を出現させる!

 そして間髪を入れずに火複数弾(ファイヤボールズ)を連射し土壁(アースウォール)ごと粉砕し攻撃に転じる。


 激しい土埃が目の前を覆う。


 やったか…?


 いや、やってる訳がない。

 そしてこう言う勘は大体当たるもんだ。

 さあ、土煙に紛れて魔術か?鞭か?


「…………」


 警戒しながら相手の出方を伺う…。

 もちろんこれでやったならラッキーだが…。

 土煙が晴れて来た…。


 っ!?いない!?


 どこだ?!

 上か?

 横は?

 ………どこだ??


 マジでいないぞ!?


 っ!?


 俺がアホみたいにキョロキョロしている中、激しい土煙とともにお姉さんが地面から飛び出してきた!!

 とっさに土魔術で地面に穴を開け爆発を回避したのか?!


 それより何だ?あのジャンプ力!!

 グングンと上昇し、その高さ20m程上空にある。

 何なんだ!?跳躍力がスゲーとか言うレベルじゃないぞ?!


「ふふふふ、飛翔(これ)は知らないみたいね」


 お姉さんは喋りながら左手を俺に向けかざすと巨大な氷の塊が俺に向かって無数に降り注ぐ!!


 無詠唱どころか別の話しながら魔術発動出来んのかよ!!


 などと感心してる場合じゃない!!


 慌てて火弾(ファイアボール)を氷の塊目掛け次々とぶっ放す!!


 氷の塊が次々と破裂する中、お姉さんを確認すると落下し始めていた。

 やはり飛べる訳では無いんだな…なんて思いながら見ているとお姉さんが妖しく微笑んだ。


 何か来る!!


 お姉さんは落下中、空中でしゃがむ様な態勢をとったかと思ったら今度は水平に飛んで、構える俺に向かって来た!!


 やっぱ飛べんの?!


「これ、返すわ」


 物凄いスピードで向かってきながら更にスピードに乗せ俺の木剣を投げてきた!!


 至近距離で投げつけられた事で魔術を発動する事も出来ず必死に横っ跳びに避ける!


 避けるのに必死で地べたを転げ回る!


 ヤバイっ!!


 早く立ち上がって態勢を整えないと!!

 両足で踏ん張り何とか回転を止め片手をつき立ち上がろうとしたが、その地面についた手首に鞭が絡みついた!!


「ふふふふふ、捕まえた」


 自分で立ち上がると言うより完全にお姉さんの鞭に引っ張られ強制的に立ち上がらせられた。


「くっ!!」


 慌てて鞭が絡まった右手を振り払おうと引っ張ると急に緩んだ。


「え?!」


 不思議に思った瞬間、目の前にデカメロンが!!


「やっとお近づきできたわね」


 デカメロンから目を離し顔を上がるとお姉さんの顔が至近距離にありドキッとする。


 次の瞬間、目の前が真っ暗になり目から星が出た!!


 何が起きた??


 意識を失いそうになりながらも目をうっすらと開け状況確認する…。

 お姉さんが妖艶に微笑んでいるが注目すべきはそこじゃない。

 お姉さんの額が赤くなっているのとおでこから生えた角の根元に血が付着している。

 そっか、頭突きを喰らったのか…。


 っ!?


 意識朦朧としながら後ろに倒れ込む俺の胸倉を掴まれ強制的に引き戻される。


「まだ寝ないで……熱い肉弾戦を楽しみましょ」


 本来ならエロい言い回しに鼻の下伸ばすとこだが流石にそれどころじゃない…!

 俺は両手のひらをさりげなくお姉さんに向ける…。


 っ!?


 バレてた!?俺の両手首をお姉さんが掴む。


「まだ発射しちゃイヤよ」


 気づかれてたか……でも……


「すみません、我慢できないっス…」


 両手首を掴まれたままだが構わず両手から火弾(ファイアボール)を射出してやる。


 火弾(ファイヤボール)が射出する瞬間、お姉さんは咄嗟に俺の手と手を向き合わせ離れた!!


 両手から射出された火弾(ファイヤボール)火弾(ファイヤボール)とが至近距離で衝突し暴発する形でダメージは負ったが結果お姉さんと距離を取る事は出来た。


 とは言えダメージと言う代償は思ったよりデカイ……。


 両手が燃える様に熱い!!!


 いや痛いのか熱いのかも分からない、つーか両手あるのか??

 中級治癒魔術(ミッドヒーリング)をかける。


 痛みは引き両手も無事だ…!


 お姉さんは…??


 っ!?


 相変わらず妖艶な微笑みを見せながらも物凄いスピードで突っ込んでくる!!

 だが休ませてくれない事は計算の内だ。

 俺は手をかざし物凄いスピードで突っ込んでくるお姉さんの前に土壁(アースウォール)を出現させ動線を塞ぐ。

 激しい音と共に土壁(アースウォール)はもろく破壊される!!


 うん、計算通り。


 次の瞬間!お姉さんが宙を舞っているのを確認!


「くっ…!!」


 お姉さんが苦悶の表情を見せる。

 おぉ…やっぱ美人が眉間に皺寄せる表情はエロいな…。

 ってそんな余裕ねーだろ!?俺!!


「目の前の土壁(アースウォール)に集中させておいて時間差で死角のお腹を狙って第2の土壁(アースウォール)いえ、土槍(アースランサー)とはやるわね」


 押さえていた腹から手をどけ宙で構えるお姉さん。

 恐らく無詠唱で治癒魔術をかけたんだろう。


「お姉さんみたいな美人さんに褒められて最高です!!」


 などと言いながら魔術を連射する!!


 火弾(ファイヤボール)雷矢(サンダーアロー)氷矢(アイスアロー)水弾(ウォーターボール)雷矢(サンダーアロー)火弾(ファイヤボール)、、、と属性をランダムに連射して防御策を絞らせない。


 っ!?


 お姉さんは魔術で幕を張って回避するのでは無く、空中で横に移動しかわした!!


 まさか(そら)魔術???


 いや、横に飛んだ後は重力に従って落下している、と言う事は飛べる訳でも(そら)魔術でもない。


「本当にスゴイのねヴィンスったら」

「うわっ!?」


 足元をすくわれた!!物凄いスピードで足元の土がせり上がりバランスを崩す!!土槍(アースランサー)だ!!

 勢い良く地面から射出された土の槍が高さ3m程まで達したところで俺は吹っ飛ばされる形で落下する!!


 っ!?


 殺気を感じお姉さんの方を見る!!


 俺と俺の周辺一帯目掛け属性が違う無数の魔術が飛んできている!!


 どうする!?



螺旋突風(スパイラルガスト)!!」


 咄嗟に落下する先の地面に向け風魔術を発動!!

 風魔術を発動した反動で体が重力に逆らい宙を舞う!

 勢いそのままに俺の体は空中で一回転しお姉さんが射出した複数の魔術をかわし着地する。


 着地と同時に俺も複数の属性魔術をお姉さんの周囲3m四方を囲む様に射出する。


「………」


 お姉さんは微笑の表情を消し真顔になった。

 そして俺の魔術を確認して更に上空に舞い上がる。


 だけど、その空中を舞う魔術のタネは分かったぞ。


 さっき咄嗟に使った螺旋突風(スパイラルガスト)で分かった。


 あれは風魔術だ。


 手をかざしていないとこ見ると足から射出しているみたいだな。


 手以外からも魔術が射出出来るとは思いもしなかったが要領は手のひらから射出するのと同じだろう、ただ手のひらで無く足の裏に意識を集中して魔力を集める感じで良いのだろうか?


 お姉さんは?!


 攻撃して来ない。

 試しているのだろうか?俺が風魔術に気付いてそれを応用できるかを。


 ようし、ならご期待に応えてやろうじゃないか。


 お姉さんは空中で腕を組み浮いている様に見るがよく見れば微妙に上下している。

 つまり重力で落下するの力と無詠唱で発動させた風魔術の力とでバランスをとって浮いているのだろう。


 そんなお姉さんの状態を見ながら俺も足の裏に意識を集中する。


「はあぁぁあっ!!」


 っ!?


 飛べた!!

 その高さ5m程だろうか、よし落下する前に前進だ!

 膝を曲げ足の裏を後方に向け再び足裏に魔力を集中させる。


「はあぁぁあっ!!っと、と、うおぉぉお!?」


 その場で勢いよく一回転し地面に叩きつけられた!!


「ぐぅぅ………」


 思いっきり顔面から落ちた……。

 鼻血を垂らしながらお姉さんを確認する。

 いない!?


「すごいわねヴィンス、私の飛翔術を一目見ただけで真似できるなんて、着眼点も良いし足裏から魔術を発動出来たのもはっきり言って驚いたわ」


 俺の背後から耳元でお姉さんが囁くように言う。


 っ!?


 ゾクっと背中に戦慄が走り俺は慌てて前方に逃げ、距離を取り後ろを確認する!


 再びお姉さんの鞭がしなる!!


「はぁあぁ!!」


 俺は風魔術で宙へ逃れる!!


 お姉さんの鞭が再度生き物の様に軌道を変え上空に逃れた俺を追従してくる!


「ほっ!!」


 俺は再び転ばぬ様、角度に気を付けながら斜め上空に向け再度風魔術を発動させる。


 お姉さんの上空を横切る様に宙を移動する俺とお姉さんの目が合う。


 っ!?


 お姉さんの手が俺に向けられる!!


「はっ!!」


 先手必勝とばかりに火弾(ファイヤーボール)をお姉さんに打ち込む!!


 と同時に火弾(ファイヤーボール)が爆発し電気が四方八方に放電する!!


 お姉さんは雷弾(サンダーボール)を放ったのか!?


 俺の火弾(ファイヤーボール)とお姉さんの雷弾(サンダーボール)が空中衝突し激しくショートしたのだろう。


 衝撃で更に弾かれる様に俺は吹っ飛ばされたが風魔術で何とか姿勢を制御して着地に成功する!


 着地点には俺の木剣が落ちている。


 俺は木剣を掴むと同時に一足飛びに風魔術を付与してブーストをかけお姉さんのもとへ低空で飛ぶ!!


「くっ…!」


 俺に気付くお姉さんだが、空中にいた俺と違って魔術の衝撃波をもろに食らったみたいで態勢が整っていない!

 チャンスだ!!


「はぁあ!!」


 俺は木剣を振りかざしお姉さんへ切りかかる!


 バッとお姉さんは身をかわし俺の剣は空を切る!


 想定内だ。


「ほっ!!」


 返す刀で横払いに剣を払う!!


 っ!?


 剣の手ごたえが変だ。


 お姉さんが鞭を両手に絡めピンと張り俺の剣を受けたからだ!


 すかさずお姉さんは俺の剣を鞭で絡め動きを封じようとする!


「はっ!!」


 俺は剣を縛られたまま、逆に言えばお姉さんと近距離のまま左手で火弾(ファイヤーボール)を射出する!


 お姉さんは両手を使って俺の動きを封じているから魔術対抗できる訳もなく、頭をスウェーして火弾(ファイヤーボール)を避ける!

 と同時に俺と距離と取ろうと上空へ逃れる!!


「逃がすか!」


 お姉さんの魔術と鞭を相手に距離を置く戦いは俺にとって不利だ。

 すかさず俺も覚えたての飛翔術でお姉さんを追う!


 っ!?


 逃げたはずのお姉さんが逆に俺に迫っている!!

 上空へ行くと思わせ完全に意表をついてカウンターの様に俺に迫る!!


 表情はニヤリと笑っているがその表情は妖艶ではなく獰猛だ。


「がっ!!」


 目の前が真っ暗になる、また頭突きを食らった!!

 そう理解すると同時に俺も無詠唱で治癒魔術を俺にかける。


「かっ…!?」


 意識を取り戻すと同時に息が出来ない!!


 お姉さんが背後から鞭で首を絞めて持ち上げているからだと分かる!


 俺は首にかけられた鞭を掴み足裏から風魔術を発動する。


 すると計算通り鞭を軸に宙返りしお姉さんの背後を取った!!


「ん??」


 必死に背後を取り、掴んだモノに違和感を覚える、いや幸福感か…?


 デカメロンだ……。


「っ!?」


 次の瞬間俺は仰向けに地面たたきつけられ空を見ていた!


 デカメロンに油断した俺をお姉さんが捉え背負い投げの様に地面に叩きつけられたからだ。


 慌てて回転し立ち上がろうとするが背中を踏みつけられ顔から地面に突っ伏す!


 お姉さんは力を抜く事なく俺を踏む続けているが俺は何とか顔を後ろに向けお姉さんを確認する。


 お姉さんは鞭を持ちながら腕を組み見下ろしていた。

 巨乳にお姉さんに地べたを這いつくばっている所を見下ろされる……。

 ……いかん!いかん!そんなこと考えている場合じゃない!!


 両手をつき立ち上がろうとするも背中を踏みつけられ再び地面に平伏す。ぎゃふん!!


「落ち着いてヴィンス、試験は終了よ」

「え!?」


 お姉さんの長い脚に踏みつけられたまま試験終了だと告げられた。

 え?マジか……嘘だろ??

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