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第二十三話 「パーティ結成」

 竜を狩り行きたい。


 その一心から冒険者になろうと思い立ちブルーノに相談するもあえなく?撃沈……。


 しかしブルーノの不審な行動から領主ニコラウスに直談判するとあっけなく冒険者適正試験を受けてみれば良いじゃねーかと言われたので、善は急げとばかりにその足で冒険者ギルドまで来た。


「っ…!?」


「あれ?ブルーノ?」


 ギルドに俺たちが入ると同タイミングで奥の階段から降りてくる一行と距離はあるものの鉢合わせる格好になった。


 その一行をよく見てみればブルーノにランスさん、そしてシンプソンさんだ。


「ヴィ、ヴィンス…?!それにデューク」


 俺達の姿を見て驚くブルーノ。

 そりゃそうか、何せ今朝は慌てながら逃げる様に出てったしな、バツは悪りぃわな。


「父様達はここで竜狩りパーティーのメンバー探しですか?」


「お、おう、よく分かったな、その様子じゃニコラウス様に会って話をつけてきたって感じだな」


「ええ、僕に覚悟があるなら適性試験受けてみれば良いじゃないかと言って頂けましたので早速申し込み来ました」


「そ、そうか…」


 どうも様子がおかしいんだよな…まぁどうせカーラちゃんに安請け合いしたか何かなんだろうけど。


「何を父様は心配しているのか分からないですけど何も心配いりませんよ、僕が適正試験受ける事はニコラウスさんはもとよりカーラちゃんも了承済みですから」

「え?そ、そうなの…か?」


 明らかにビックリした顔してる。

 絵に書いたような鳩が豆鉄砲喰らった顔だ。ランスさんも…。


「ブ、ブルーノさん、そ、そう言う事なら、ちょうど良かったじゃないですかデュークも一緒だからここで説明しちゃいません?」


「お、おお……そうだな、デューク、ヴィンス2人ともその竜狩りの事でちょっと良いか?」


「ん?何だ?ブルーノ」


「まあ立ち話も何だ、あっちの奥の席で座って話そうぜ」


 シンプソンさんが仕切ってくれ奥の席を俺達5人分確保してくれた。





「…と、まぁ要約するとそんな感じだ、どうだデューク、手伝っちゃくれねーか?」


 ブルーノが竜狩りについて大まかな段取りを説明してくれた。


「ああ、そういう事なら俺は構わねーぜ」


 デュークさんも実は竜狩りに興味があったのか拍子抜けする位あっさり引き受けた。


「随分とあっさり受けるんだなデューク」

「そうだぜ、昨日俺が誘った時はやらねーとか言ってたくせによ」


 二つ返事で引き受けたデュークさんに驚くランスさんと、自分の時は断ったくせにと口を尖らせるシンプソンさん。


「昨日は俺1人でやらねーのか?みてーな話だったじゃねーかよ、こうして皆でやるってーのに断る理由はねーだろ?」


「はっはっは、お前らしいな」

「ったくお前だきゃあ…」


 ランスさん、シンプソンさん共にデュークらしいと合点がいったみたいだ。


「いや実はな、さっきブルーノがここで人員募集したんだけどよ、みんな目ぇ逸らしちまってよ、まあ相手が竜だから仕方ねぇっちゃ仕方ねぇがな」


 シンプソンさんは周りに一瞥をくれる。


「そういうお前はどうするんだ?シンプソン」

「俺ぁ、昨日やろうぜっつっただろうが?ホンット物覚え悪りぃなデューク(テメー)はよ」

「ああ、そうだったな」


 何だか意気投合してるな、みんなに共通している事は冒険者って事か。

 何だかうらやましいな……こんな風に気兼ね無く人付き合いが出来るって。

 俺も早くこの世界でこういう人づきあいが出来るようになりたいな。


「どうした?ヴィンス」

「え?あ、いえ、父様達を見ていたら僕も早く冒険者になって仲間が皆さんみたいな仲間が出来たら良いなって思って」

「なぁに、そんなのすぐ出来るぜ」


「ああ、俺はもうヴィンスと仲間のつもりだぜ」


 出た!シンプソンさんの目から星が飛び出しそうウインク。


「私も仲間にしてもらえるかな?」

「もちろん喜んで!!」


 優しい笑顔のイケメンランスさん。


「ようし!そしたら竜狩りパーティーほぼほぼ揃ったな!」


 デュークさんが腕を組み立ち上がる。


「ほぼほぼってまだ4人だぞ?後2人、いや最低でも後1人は欲しいとこだぞ?」

「何言ってんだよシンプソン、お前の目は節穴か?」

「ちょっと待てデューク、もしかしてヴィンスを頭数に入れてるのか?」


 シンプソンさんとランスさんはまさか俺を入れるとは想定していない様だ、そりゃそうだよなまだ冒険者じゃないし俺の実力も見た事はないんだから。


「たりめーだろ、何でヴィンス抜くんだよ、今仲間だって言ったばっかじゃねーか」

「そりゃもちろん仲間って事に嘘は無いが、まだ子供で冒険者ではないじゃないか」

「竜狩りパーティーに入っていなくとも仲間は仲間だぞ」


 何だかランスさんとシンプソンさんがフォローしてくれている……大丈夫なのにな。


「親の俺が言うのも何だがヴィンスは適正試験に受かっちま、じゃなくって受かると思うぞ」


 今、完全に受かっちまうって言いかけたよね?ブルーノ。


「昨日からそうは言ってますが本当ですか?いくら才能があるにしても5歳ですよ?」


「デュークも昨日から自信満々だったが、冗談で言ってんじゃないのか?」


 ランスさんシンプソンさんはここまでくると冗談と言うよりかは半信半疑といった表情で聞いている。


「あ、あのぉ、そもそも適正試験を受ける為に僕は今日ギルド(ここ)へ来たので、もし受かったらパーティーに入れてもらうって事で良いのですが」


「「…………」」


 俺の申し出になんと言っていいのかって感じで2人が固まる。


「ブルーノ、お前も認めろよ、ヴィンスが冒険者になった暁にはな」


 デュークさんがブルーノに釘を刺す様に言う。


「分かってる、と言うか俺はもうヴィンスは冒険者になっちま、じゃなくってなると思っているよ」


 またなっちまうって言いかけたよこの人。

 まぁ、もともと俺が冒険者になる事自体は反対じゃなかったブルーノはもう俺が冒険者になる事自体は認めているのだろう。


「それじゃ、僕は受付に行って来ます!」


「あ、それなら私が付き添おう」


 ランスさんが立ち上がり申し出てくれる。


「助かります」


「それじゃ2階に行こうか?ヴィンス」

「はい」


 残って待っている大人3人はビールらしき飲み物を飲みながら竜について話しているとの事だ。

 って言うか勤務中じゃないの?マイダディ。



 2階に上がり奥の受付カウンターまで行く。


 昨日から何気に気になっていたのはギルドの造りでも依頼内容でもない。


 受付のお姉さんだ。


 もう一度言おう受付のお姉さん。


 なんて言うの?受付のお姉さんって響きだけで想像膨らむよね~!!


 それがまたそのイメージ通りの美女って感じなのだ!そう、なのだ!とかって言い方しちゃう位浮かれてしまうま。


 すみません…ちょっと暴走しちゃいました。


 世の中フェチってあるよね~、世の中には人智を超えたフェチが無数存在するけど代表的なのはやっぱパイオツの大きさじゃないでしょうか?


 大きいのが好きな人もいれば小さいのが好きな人もいる。まあ細かく言うと形やら色やら輪の大きさ色なんかもあると思いますが、まあ今回はそこは置いていて。


 はい、自分は大きい派であります!!


 それがもうドストライクなのであります。


 その受付のお姉さんは魔族と思われるのですが、薄い紫色の肌に濃い紫の髪の毛、額には小さい金色の角が2本生え、目は金眼、少し釣り目で唇は何だか潤っている。

 細すぎず太すぎずの絶妙な肉付きで指先の爪が少し長めに尖った形で整えられているのがまた堪りません。


 そして人を釘付けにするメイン商材の巨乳ちゃんですがそれはもう見事!!デカメロン!!ってな感じです。

 そのデカメロンが苦しいよ~苦しいよ~とハチ切れんばかりに黒い革のビスチェ風衣装に強制的に閉じ込められているもんだから救出したくなる!


 俺もまだ子供だから良いがこれが立派な成人だったら俺のも苦しいよ~苦しいよ~とはち切れんばかりになっていた事だろう。


「…ンス!おい、ヴィンス!!」


「ふぇあ??あ、ああ、ランスさん、どうかしました…?」

「どうかしましたじゃないだろう?受付だよ、受付!」


「あ、ああ、はい、受付ですね」


 そう言いながらまだ背が低い俺は受付カウンターの下にいたら見えないので受付のお姉さんが見える位置まで後ろに下がり声を掛ける。


「あ、あのぉ…すみません……」


「はい、あら?もしかしてヴィンスちゃん?」


 おほほおう、ヴィンスちゃんとな!でへへへ…へ?つーか何で俺の名前知ってるん??あ、そうかニコラウスさんが話し通してるあるって言ってたな。


「あ、は、はい…ヴィンスですけど、ニコラウス様から話が通ってるって」

「ええ、聞いてるわよ、可愛い僕ちゃんが適正試験申し込みに来るって」


「あ、えっと…その件で……まいまい参りまし…た…」


 俺が小さいので話を聞いてくれようとカウンター越しに前屈みになった受付のお姉さんのデカメロンがカウンターとお姉さん自身に押し潰され更に苦しいよ~苦しいよ~その立派なデカメロンの形をいびつにしながら訴えかけているでは無いかっ!!


 う~ん…下半身も見てみたい…やっぱお尻には尻尾とか生えてるのかなっ?!


「ヴィンス!!おい!ちょっと!しっかりしろよ!!」


「えあ?あ、ええ、あ、はい、だいじょぶだぁ」


「ふふふ、本当に可愛いわねヴィンスって」


「でへへへへ、あざーっす…」


 ああ、早く大人の階段上りたいなぁ…!!


「もう私が代理で申し込むからヴィンスはそこの席で待ってろ」


「あ、あ、はい…すみません」


 結局ランスさんが滞りなく申し込みをしてくれた。

 俺がテーブルに座り片肘をつき鼻の下を伸ばしる間に。



「一体どうしたと言うのだ?ヴィンス」


 一通り手続きが終わり1階に戻る階段でランスさんに聞かれる。


「え?ああ、いえ、ちょちょっと…緊張しちゃいまして…」

「大丈夫か?受付だけであんなに緊張していて、試験の方がよっぽど緊張するぞ?」


「だ、大丈夫です、試験の時はきっと!」


 俺にとっては受付のお姉さんを前にする方がよっぽど緊張するわ!

 それにしても堪らんわ~今日は良い夢みれそうな気がする~



「お、戻ってきた、どうだったヴィンス?」


「あ、いや、結局ランスさんに手続きしてもらいました」

「そっか、んで?いつ試験なんだ?」

「今日からちょうど2週間後ですね」


 ランスさんが貰った用紙を見ながら答える。


「2週間かぁ、長いような短いような、微妙だな」

「試験準備する期間としては微妙だが、竜狩りの方はどうするよブルーノ?」


 シンプソンさんがブルーノに聞く。


「そうだな、2週間なら竜狩りに備えて我々も準備期間という事で良いだろう、但し竜がもし街に来ちまったら即対応せざると得ないからここにいる者は率先して防衛に動いて欲しいとこだがな」


 ブルーノの指示に皆がうなづく。


「その間、ヴィンスは訓練しながら体調を整え試験に備える、でシナリオ通りにいけば晴れて2週間後史上最年少冒険者になって竜狩りに行くと、そう言う訳だな」


 デュークさんが俺に変わって予定通り上手く行った場合の未来を語る。


「本当にヴィンスはなれるのか?もう信じるとか信じないとかは言わないが万が一、ヴィンスが落ちた時の事も考えておいた方が良いかも知れねーぞ」


 シンプソンさんが言う、もちろん当たり前の話をしているだけで他意はない。


「そうですね、どの道ヴィンスが受かってももう1人は欲しいとこですから引き続きギルドへ依頼板掲示しておいてシンプソンにもギルドでスカウト活動を頼むと言う事でどうでしょう?」


 ランスさんが提案する。


「ああ、俺ぁ構わねーぜ」


 どちらに転んでも良い様にランスさんが予防線を張りシンプソンさんが二つ返事で受ける。


「それじゃあ、俺は今纏まった方向でニコラウス様には経過報告しておく。大丈夫だと思うがデューク、試験までヴィンスの事頼むな!」

「おう、任せておけ」


 いい感じにパーティーがまとまってきたな。


「そうだ、即席とは言えこれも何かの縁ですからパーティーの名前、つけません?」

「お、良いなヴィンス!俺もそう思ってたんだよ、せっかくイーグルクローの2人とパーティー組めるんだからな!」


 大柄なシンプソンさんがしゃがんで俺と肩を組み例のシューティングスターウインクをかます。


「良いですね、私も賛成です」

「そうだな、せっかくだからそうすっか?!」


「ふん、まあ、いいだろ」


 お?何だろ?この良い雰囲気、まさか何かのフラグじゃないだろうな?

 やっぱパーティー名なんかつけない方が良いのかな?


「あ、あのぉ…皆さん…?」

「お!ヴィンス何か良い名前思いついたか?つーかお前、さては鼻っからパーティー名つけるつもりで既に名前考えてやがったな?」


 デュークさんが余計な勘ぐりするから皆が盛り上がってる中、俺の一声で皆が話をやめ俺に注目する。


「いえ、そうじゃなくってぇ……やっぱぁ名前なんかつけるの止めません…?」


「「「「…………??」」」」


 一同総“え”?だ。

 そりゃそうか。


「何言ってんだよヴィンス!盛り上がってる所に何言い出してんだ?」

「そうだぜヴィンス、せっかくの縁じゃねーか」

「私も今あと、もう少しで良い名前が出そうなんですよ」

「大体にしてイーグルクローって名前つけたのは俺だからな」


 ダメだ……盛り上がってる大人たち程、話を聞かないヤツは無い。


「はい!じゃあ僕考えました!」


 俺が挙手をして皆の注目を集める。


「何だヴィンス、やっぱ考えてたんじゃねーかよ」

「はっはっは、ヴィンスも人が悪いな」

「で?何です?我々のパーティ名は」


「えっと……デザートフォックスです」


「…………」


 ん?ダメ?適当に言ったからな、やっぱフラグ臭漂うが皆で決めるか……。


「良いんじゃねーか?なあ!」

「ええ、響きからして良いですね」

「やっぱヴィンスはただの5歳じゃねーみてーだな」


「くっ…悔しいが俺が考えたイーグルクローより良いかも…な…」


 え?なんなん?何この盛り上がり…!?

 はっ!!もしかして5歳児の俺に気ぃ使ってる??


「……本当に良いと思います…?」


 俺は彼らの真意が分からず探る様に伺いを立てる。


「は?本当も何も無いだろ?最高じゃねーか!」

「ええ、私もここまで出掛かっていましたが吹っ飛びました」

「ああ、悔しいが俺じゃあそれ以上の名前は出てこねーな…」

「決まり、で良いんじゃねーか?」


 マジで言ってるっぽい…直訳すると砂漠の狐だぞ??

 良いのか本当に!?

 まあ、でも良いか…即席パーティの名前だからな。


「じゃ、じゃあそーゆー事で…」


 まあ凝りに凝った名前付けるのもアレだし、これ位適当に決まっちゃった方がフラグ的にも良いかも知れないな。





 ~~二週間後~~



 いよいよ試験当日だ。

 場所は冒険者ギルド裏手にある闘技場で俺達はその控え室にいる。


 控え室と言っても普段は筋トレとかに使っている部屋なのでただの部屋だ。

 ちなみに今日試験と受けるのは俺以外に今試験中である6歳の男の子だけで俺と合せて2人だけとの事。


 部屋の雰囲気はと言うと俺を含めまったりしている。


「結局デザートフォックスの最後の1人は決まらずだったな」


 ブルーノが誰と言うわけでなく話しかける。


「まあ仕方ないでしょう、相手は竜ですからね、無理やり入れても仕方ありませんし最悪足手まといになりかねませんしね」


「すまねーな、俺もギルドで毎日張っていたんだがこの面子に入れる程のヤツが見当たらなくてよ」


 ランスさん、シンプソンさんが答える。


「ま、ヴィンスの結果次第だが最悪4人でも俺はいけると思うけどな」


 デュークさんがまた楽観的に言う。


「で?デュークよ、ちゃんとヴィンスが受かる様に鍛えてきたんだろうな?」


 シンプソンさんは毎日冒険者ギルドに来ていたので今日この日まで俺の力を見ていない。


「シンプソン、それについては私も保証しよう、ヴィンスは間違いなく受かるよ」


 そう、ランスさんは仕事の合間に俺とデュークさんの稽古に足を運んでいたのだ。


 何度か実戦形式の稽古をつけてもらったから俺の実力は分かっていてくれているし、俺もランスさんの力を知る事が出来た、ランスさんもその物腰からは想像出来ない位の剛剣だった。


 もっとイメージ的には魔術を絡め距離を置いて戦うタイプかと思っていたが違った。


 押して押して押し捲るタイプの攻撃こそが最大の防御を絵に書いた様な剣士だ。もちろん魔術も一通り使える。


「そっか、ランスまでそう言うんならもう間違いねーか」


 ブルーノ、デュークさんに続きランスさんまでのお墨付きならシンプソンさんも納得だ。


「ヴィンス、もうすぐ時間だが準備は良いか?」


 ブルーノが心配とは言わないが親目線なのだろう、聞いてくる。


「はい父様、準備万端です」


 前世に比べて飛びぬけて優れているこの体の身体能力と魔術、それは何だかんだ言ってチートと言って良いと思うと緊張はしていない。


 普段通りやれば、元ではあるものの一流冒険者のデュークさんにブルーノ、そして現役防衛中隊長のランスさんと渡り合えるのだから冒険者適正試験に落ちる要素は無いだろう。


 っ!?


 控え室の外からああ~……と溜め息にも似た歓声が響き渡る。

 おそらく前の受験者の試験が終わったのだろう。

 観客の声からに察するに負けた(落ちた)のだろう。


 そりゃま、そうか、落ちるの前提だって言うし7歳未満だもんな、受かるわきゃ無いよ。


「それではヴィンス君、会場へどうぞ」


 ギルド関係者の人が呼びに来た。


「よおし!行くぞ、ヴィンス!」


「はいっ!!」


 流石に俺も気合を入れ、返事をし立ち上がる。


「普段通りやれば落ちる事はないからなヴィンス」

「はい!ランスさん!」


「俺にうわさの実力見せ付けてくれよ、ヴィンス!」

「はい!シンプソンさん」


 ランスさん、シンプソンさんが俺も肩をたたく。


「よし!それじゃあ歴史を変える試験であり、記念すべきデザートフォックス初陣だ!円陣組むぞ!!」

「「「おお!!」」」


 ブルーノが拳を振り上げ他の3人も続いて拳を振り上げる。


 えぇ??ちょ、この流れ…何か嫌な雰囲気じゃね…?

 嫌な事が起きるフラグでしょ…?

 ね、絶対……!


「ほら、主役が来なくてどうする!」


 大の大人4人はすでに肩を組み、中腰になり俺を誘う。


「えっ、と……その……やります?それ……」

「当たりめーだろ、これやらなくてどうすんだよ」

「さ、ヴィンス真ん中へ入ってくれ」


 ランスさんがそう言いながらシンプソンさんとの間を開ける。


 ええ??そこに入るのぉ…?


「早くしろヴィンス、試験を放棄すると思われちまうぞ」


「は、はい……父様…」


 くぅ…仕方ない…ここでグズグズしていても埒が明かないよな。

 だったらチャッチャと終わらすか……。

 嫌な感じがするが仕方ない…。


 俺は渋々だが大の大人4人の円陣中央に入る。


「さ、ヴィンス掛け声だ」


「え?か、掛け声…?な、何て……」

「行くぞ!デザートフォックス!!しかねーだろ」


「ぇええ……?」


 ダサくないか?それ、あまりにも……。


「さ、ヴィンス!気合の入ったやつ頼むぞ」


「は、はぁ……」


 仕方ない……親の期待に応えるのも子の務め……


「行、行くぞ!!デ、デザートフォーーーックス!!」

「「「えいえい!おおう!!!」」」


 顔から完全無詠唱無意識で火魔術発動してないか?これ………。


 嫌なフラグ立て顔から火を噴きそうになりながらも会場へと向かう。


 何だか前世のボクシングタイトルマッチの入場シーンを思い出す。


 控え室から短い廊下を抜け外へ出ると直径200m程の円形闘技場だ。

 前世で言うとイタリアのコロッセオ遺跡みたいな感じで闘技場を取り囲むように設置された観客席は20段程ある。


 とはいっても観客もまばらで50人ほどはいるかどうか位だ。

 まあもっとも6歳以下の適正試験だから、暇人が暇つぶしに見に来ているといった雰囲気だ。


「よし、ヴィンス行って来い」


「落ち着いていけば大丈夫だヴィンスならな」


「早いとこケリつけて竜狩りに行くぞ」


「相手の動きをよく見て動けよ、それから相手の先の先を読むんだ、それから……」

「るせーよ、ブルーノお前が一番緊張してんじゃねーか?」


「な?!そ、そそんな事ぁ…ね、ねーし!!」


 慌てるブルーノを見て一堂が笑う、俺もそれにつられリラックス出来た。


「では!行って来ます!!」

「おう、頑張れよ!」

「はいっ!!」


 同行者は闘技場の際までなのでここからは受験者のみだ。

 ブルーノ達を置いて闘技場へと足を踏み入れる。

 大丈夫だ、チートのおかげか不思議と緊張していない。冷静だ。


 闘技場の真ん中に立ち試験の相手を待つ。


 ……どんなのが来るのだろう?もしかして魔獣とかかな?


 いやでも基本的には6歳以下だから理性が無い様な魔獣じゃ危険すぎるか。

 だとしたら人族?


 ま、いずれにしても6歳以下の子供相手だ、それ程厳ついのは出てこないだろう。


 そんな事を考えていたら向かいの入り口から対戦相手が出てきた。


 え!?あれって……!?


 観客席から一段と大きな歓声が沸く。


 受付のお姉さん……???


 ヤバイじゃん……緊張してきた……別の意味で………。

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