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第二十一話 「それぞれの思惑」

 ブルーノの様子が変だった。


 何故か頑なまでに俺を冒険者にしたくない、いや違うな……竜狩りに行かせたくないみたいだ。


 って言うか竜狩りに行かせてはマズイ事情がありそうだな。


「どぅわっち!!」

「バッカ!!ヴィンス、何ボーっとしてやがんだよ!!水弾(ウォーターボール)!!」


 いかんいかん、デュークさんと魔術の稽古真っ最中だった…。


 ブルーノの事を考えていたら腹に火弾(ファイヤーボール)が命中し燃えていた…。


「すみません!ちょっと父様の言動について考え事してました」

「ブルーノの言動?ああ、確かに様子がおかしかったな」


「何か僕が竜狩りに行っちゃマズイ約束事でもあるんですかね?」

「約束がどうとか口滑らしてたな、本人は全力で否定してたけど」


「ねぇデュークさん、誰とその約束したか?ですけど昨日の今日ですよ?となると父様が昨日会った人物しかないですよね?」


「ブルーノが昨日会ったやつ?ニコラウスの旦那にランスか?でも奴等が何でヴィンスに竜狩り行って欲しくないんだ?」

「そうなんですけど、もう一人いません?」


「もう一人?」


 デュークさんが顎に手をやり空を見ながら考える。


「カーラちゃんか!」


 顎にやった手をもう片方の手に打ちひらめいた!みたいなリアクションをとる。


「そうです!」

「なるほど、旦那やランスが行かせたくない理由は見当付かないがカーラちゃんなら理由があるな」


 俺の口から説明させられると恥ずかしいが、その辺は勘が良くて助かる。


「恋するヴィンス様が竜狩りなんて危険な仕事に行かれちゃたまらないって言う乙女心か!」

「こ、恋するかどうかは分かりませんが、な、何て言うかそんな様なニュアンスの事、い、言ってたじゃないですか…?」


 カーラちゃんみたいな可愛い子が俺ごときに恋していると思うほど自惚れてないぞ?ないったらない!


「でもそれなら合点がいくな!」

「で、父様の事だから安請け合いで僕の事を竜狩りには行かせないと約束してしまった」

「旦那もカーラちゃんは感情的になる事があるって言ってたしな」


「どういう経緯かは分かりませんが父様は約束破ったらどうなるか分かるわよね的に脅されたと言うか念を押されたと言うか……」


「で、冒険者にはなれないと思ってたかをくくっていたら5歳からなれる方法があって焦った!!」


 俺とデュークさんは互いの人差し指を合せる様にして互いの考えが合致している事を確認した。


「よし、そしたら今日はニコラウス邸に行って真相確かめてみるか?」

「え?ニコラウスさん家ですか?!」


 そう言われると尻込みする。


「何だよ、真相知りたくねぇのか?」


「真相って、カーラちゃんが僕を竜狩りに行かせたくない理由を、ですか?」

「それもそうだけどよ、ブルーノのヤツの慌てっぷりの真相もよ」


「父様の慌てっぷりの確認ですか、それなら良いですね」


「…………」


 デュークさんがニヤついた表情を貼り付かせている。


「な、何ですか?そのニヤついた表情は!?」

「ふふふん、俺って優しいだろ?お前に真相を確かめるもっともらしい理由をあげるなんてよ」


「もっともらしい理由って……それは…」

「いいのか?じゃあ行かなくて?」


 完全に上下関係が出来ている……くそう…!!


「分かりましたよ!デュークさん、ありがとうございます!」

「かっかっか、分かれば宜しい、優しい叔父さんを持った事に感謝しろよ、かっかっか」


 ちくしょう……完全に気持ち良くなってやがる…まあ、仕方ないが…。


「と、ところでデュークさん自身は僕が冒険者になったり竜狩りに行くこと自体は反対じゃないんですか?」


「俺?俺は別に反対じゃねーぜ。いつかは冒険者になるんだろうしヴィンスの実力ならいつなってもおかしくないしな、どうせ冒険者になるならなるで自分の甥っ子があの魔族王子を抜いて最年少記録を打ち立ててくれれば嬉しいしな」


「そうですか、それを聞いて安心しました」


 デュークさんが味方についてくれると思うと竜狩りへの一筋の光が見えてきた気がする。


「竜狩りっつったって単独で行くわけじゃないしパーティーの一員として若いうちから参加しとくのも良い経験になると思っているしな」

「だったらデュークさんからも父様を説得して下さいよ」


 師匠でもあるデュークさんの後押しがあれば話はとんとん拍子に進みそうだ。


「だが保護者はブルーノでありクラリスだ、昨日も言ったろ?俺が勝手に許可できる事じゃねーって」


「そんな…」

「ま、フォローはしてやるがよ」

「よろしくお願いします」


 頼りになるんだかならないんだか分からない感じで飄々としているが後押ししてくれるなら心強い。




 ~~ブルーノ目線~~



 今日はランスと共にニコラウスへ今後の竜狩りについての作戦説明をする予定だ。


 その前にランスには5歳から冒険者試験受けられるって事を何で言ってくれなかったのかを聞かなければ。


「ブルーノさん、おはようございます」

「ランス!」


 こいつ、人の苦労も知らねーで爽やかに挨拶なんかしてきやがって…!


「どうしたんですか?目の色変えて」

「お前どうして冒険者試験5歳から受けられるって教えてくれなかったんだよ!」


「ちょちょちょっと待って下さい、ブルーノさん!いったい何の事だか…」


 気が付けばランスの胸倉を掴んでいた。


「あ、や、すまない」


 慌てて手を離す。


「どうしたって言うんですか?まあ、その慌てっぷりからしてヴィンスがらみのカーラ様の件だと予想できますけど……」

「その通りだ、実はな………」


 俺は冷静さを取り戻し順を追って説明した。


 ・昨夜帰るとヴィンスが話があると言った事。

 ・俺は竜の事だと直感し風呂にいったん退避してヴィンスを竜狩りに連れて行かない様にするシミュレーションと立てた事。

 ・翌朝、案の定ヴィンスから竜狩りに行きたいと言われた事。

 ・シミュレーション通り冒険者でないヴィンスは連れて行けないと説明した事。

 ・実は7歳から出なくとも5歳から適正試験が受けられ合格すれば冒険者になるらしいという事。

 ・想定外の事に軽くパニった事。

 ・当然ヴィンスは適正試験を受けたいと思っている事。

 ・適正試験を受けて堂々と竜狩りに行くとヴィンスが言っている事。

 ・シミュレーションが崩れ慌てて逃げる様にここまで辿り着いた事。


「なるほど、つまりヴィンスは正々堂々と冒険者になるから竜狩りに連れて行けと言っている。冒険者になったら断る理由が無い。だけど連れて行けばカーラ様との約束を反古する事になるから困っている、そう言う事ですね?」


「ああ、そういう事だ」

「でもそれなら何も問題無いじゃないですか」


 ランスはあっけらかんと言う。


「も、問題ない…?」

「ええ、問題ありません」


 素晴らしい笑顔で自信満々に答えるランス。


「と言うと……?」

「だってヴィンスがいくら優秀って言ったってまだ5歳ですよ?いくらなんでも適正試験には受かるわけ無いでしょ?」


 自信満々にドヤ顔で答えるが分かってねーなコイツ……。


「お前さ、昨日冒険者ギルドの前で聞いてたろ?ヴィンスはそこら辺のガキとは違うんだよ、スバ抜けて魔術が優れているし、剣術だって今朝俺を圧倒してきたばかりだぞ?」


 流石に(そら)魔術の事までは話さないが……。


「はっはっは、分かりますよ、親として自分の子供は特別だと思ってしまう気持ち。だったらいっそ適正試験受けさせたらどうです?受かれば確かにずば抜けた才能の持ち主って事が証明されるし、あの魔族王子を抜いて最年少記録も打ち出せますしね」


「それで受かっちまったらどうすんだよ?いよいよ連れて行かざるを得なくなるじゃねーか」

「はっはっは、本気で言ってそうですね、分かりましたその時は私も一緒にカーラ様を説得して見せましょう」

「本当か?!」


「ええ、本当です。但し、もし試験に落ちたら9歳まで試験受けられなくなりますが恨まないで下さいよ、あ、でもヴィンスもまだ別に冒険者にならなくても良いって言ってませんでしたっけ?」


「ああ、昨日はそう言っていたがどうやら竜狩りに行きたいみたいでな、竜狩りに行く為に必要なら冒険者になるって感じだったからな、今は完全にその気だろ」


「そうですか、まあでも大丈夫ですよ、適正試験は落とす事前提で設置された制度ですから」


 ランスには悪いが道連れだ、どうせデュークもグルだろうしクラリスも昨日ギルドの前で受けたら?見たいな事言ってたしな、何しろそうでもしない限りヴィンスを諦めさせる大義名分が無い。


 こっちは勝手にカーラちゃんと約束した後ろめたさがあるし頭ごなしに押さえつける事も出来ねーし。


「分かったランス、じゃあヴィンスには適正試験受けさせるといった方向で行こう、一応ニコラウス様にも成り行き報告はしておかなければな」

「ええ、そうですね、一応ニコラウス様の耳にも入れておいた方が良いでしょう」



 ~



 その後、ニコラウス様に今後の竜狩りについての説明をした。


 概要を言うとこうだ。


 俺とランス、そしてデュークを中心に少数精鋭のパーティーを作る。

 3人以外の人手は冒険者ギルドに協力要請をかけそれなりの実力者のみを参加させる。

 冒険者ギルドで適正人材が見つからなくとも街の治安と防衛面から街の兵士からは狩り出さない。

 あまり大所帯でもカバーしきれないので最大6名のパーティー編成とする。


「…とまあ、こう言った方向で人材確保を行い、その後日程、進路等を決めていきたいと思います」

「うむ、分かった、よろしく頼むぞ」


 竜狩りのスケジューリングに関しては特に不満や疑問はなさそうなニコラウス。


「それから……それとは別の重要な相談がございまして…」

「何だ…?」


 俺はニコラウスの目を見据える、ニコラウスも視線を外す事は無く一瞬沈黙の時間が流れる。


「……ヴィンスか?」


「はい…」


 流石に悟ってくれる。


「ヴィンスが竜狩りに同行したいと言っているのか?」

「はい、冒険者でないお前はダメだと言ったのですが5歳から適正試験を受けられると知った様で適性試験を受け冒険者になると言い出しまして…」


 ふん、と鼻で笑うニコラウス。


「良いじゃねーか、試験でも何でも受けさせれば。別にお前が黙って連れて行く訳でもなければヴィンスも勝手に行く訳じゃねーしな」


「しかしニコラウス様、ヴィンスが試験に受かった際にはもう連れて行かないという訳にはいきませんぞ?」


 がっはっはと豪快に笑い飛ばすニコラウス。


「俺もなかなかの親バカだと自負しているがお前もなかなかどうして…」


 ニコラウスは片腹痛いわとでも言わんばかりに笑い上機嫌にさえ見える。


「ニコラウス様、自分が親バカなのは否定しませんがヴィンスの実力は親バカ抜きにしても本物と思っております」


「そうかそうか、そうだとすれば尚良いじゃねーか、もしヴィンスが冒険者にふさわしい実力なら竜狩りの力強い味方になるだろうし、落ちたら落ちたでヤツ自身もその実力とやらに自惚れる事無くより精進するだろうよ」


「それではニコラウス様、もしヴィンスが試験に受かった際はカーラ様への説得をお願いしても宜しいですか?」


 約束したのは自分なのにその責任をニコラウスに転嫁して押し付けるのは心苦しいが仕方あるまい、っていうかホントスマン……。


「がっはっは、良いだろうカーラとの約束は俺が引継ごう、但し、ヴィンスが落ちても俺を恨むなよ」


「それはもちろん、誰の事も恨みません」


 ランスと全く同じ反応だったな……恨みなどしないが、むしろそっちこそ恨まないでくれよ……?


「ね、ブルーノさん?心配要らなかったでしょ?」


「あ、ああ」


 すまぬ!!ニコラウス、ランス!!決してお前達を騙した分けじゃないぞ!俺はちゃんとヴィンスの実力を説明したからな!!


 は!!


 まさか今の会話カーラ様に聞かれてないだろうな?!


 慌てて周りを見渡す。


「と、ところでニコラウス様、今日はカーラ様は?」

「ああ、ちゃんと学校に行ってるぞ」

「そうですか、それは良かった」


 ここで聞かれていたらまたややこしくなるかも知れんからな、ニコラウス様から別途説明してもらった方が良いだろう。


「ではブルーノさん、早速冒険者ギルドに赴きますか?デュークは夜にでも説明すれば問題ないですよね?」

「ああ、デュークは問題ない、どちらかと言うとヴィンスの方が問題だ」


 冒険者適性試験を受けて良いと言う事自体は問題ないが問題はその後なんだよな……。


「ではニコラウス様、我々は竜狩りに向け動きますので失礼します」

「おう、頼むぞ」


「「は!」」


 こうして無事?竜狩りとヴィンスの件について説明を終えた俺はランスと共にニコラウス邸と後にして冒険者ギルドへ向かった。




 ~~カーラ目線~~



 ん~落ち着きませんわ…。


 ブルーノ様、ちゃんとヴィンス様を説得できたのでしょうか…?


 そもそもヴィンス様が竜狩りなどに行くと言い出すとは限りませんが男って勇ましいのが格好良いって思いたがる生き物ですからね…


 お父様に怒られ今日はちゃんと学校へ来たは良いですがはっきり言って勉強どころではありませんわ。


 今頃きっとブルーノ様とランス様が今後の作戦についてお父様に説明しているはず。

 万が一にもヴィンス様と同行させると言う作戦は無いと思いますが……ああ…考えれば考えるほどに不安ですわ。


 ヴィンス様にはそんな野蛮な事より私とお茶をしたり、舞踏の練習をしたり、絵画の稽古をしたりと優雅で気品溢れる時間を共有して仲を深めたいものですわ。


 そうだ!学校が終わって一度家へ帰ったらヴィンス様のところへ遊びに行こうかしら?

 そうね!それが良いわ!!


 ああ…そう思ったら居てもたってもいられませんわ、早く学校終わらないかしら!




 ~



 長かったわ、今日という一日は。

 早いところ家へ帰って身仕度してヴィンス様のところへ向かわなければ!


 お迎えにきてくれた馬車に飛び乗り家路を急ぐ。




 っ!?


「すみません!止めて下さいっ!!」


 御者の方が私の声にびっくりし慌てて馬車を止めてくれる。


 馬車のドアを開ける後ろを振るかえると、やっぱりヴィンス様だ、隣にいるのはデューク様、2人でお散歩かしら?


「ヴィンス様~~!!」


「あ!カーラちゃん!?」


 ヴィンス様も気付いてくれた!

 私は馬車から飛び下りヴィンス様の元へ駆け寄る。


「ヴィンス様にデューク様、御機嫌よう」


 私はスカートの両端を摘み挨拶をする。


「カーラちゃん、ご、ごきげんよう」

「相変わらず優雅だねぇカーラちゃんは、ごきげんよう!」


 ヴィンス様も私に合せて貴族風の挨拶で返してくれる!!やっぱり素敵な紳士だわ!!ヴィンス様は!

 デューク様は……ま、いっか。


「今日はどうされました?この様なところで?」

「あ、ちょうどニコラウスさん家へ行こうかと思いまして」

「え?!私の家?!本当ですの?!」


 ヴィンス様が私ん家に遊びに来てくれようとしていたなんて!


「え、ええ…」

「それでしたらどうぞご一緒に馬車にて参りましょう!」


「お!そりゃ助かるな、あんがとなカーラちゃん」

「いえいえ、どうぞどうぞ」


 本当ならヴィンス様と2人きりが良かったけど仕方ないわね…。


「それじゃあお言葉に甘えて……失礼しま~す…おお…!!」


 ふふ、ヴィンス様ったら馬車の内装に感銘して口を開けて天井を見上げてる、可愛いわ。


「さ、では参りましょう」


 私の合図で馬車がゆっくり進みだす。


「ところでヴィンス様、今日は我が家へ何の御用でしたの?」


「あっとぉ……それはぁ……」


 ヴィンス様は何やら返答にお困りの様子……もしかして私に会いに来たって言うのが恥ずかしいのかしら?


「昨日からブルーノの様子がおかしくてね、ニコラウスの旦那と何かあったのかな?って気になってね」


 ちっ、私に合いに来たんじゃないの?


 って言うか私はヴィンス様に聞いてるのにデューク様ったら!


 でもブルーノ様の様子がおかしいって事はヴィンス様を竜狩りに連れていかないって言う約束を実行しているって事かしら?

 だとするとヴィンス様ったら竜狩りに行きたいのかしら?


「ブルーノ様がどうかされましたの?」

「いえ、何だか僕を避けているようなんですよね」

「え?ヴィンス様を?」


 ふふふ、やっぱりブルーノ様約束を果たしていてくれているのね。


「なあカーラちゃん、昨日ブルーノのヤツ何か変わった事無かったかい?」


「変わった事……ですか?特には…」


 変わった事はないわ、ただ私とヴィンス様を危険な目に遭わせないっていう約束をして頂けた位で。


「実は僕達、昨日冒険者ギルドに行きまして、そこでこの街一番の依頼である竜退治を知ったんですけどその事を話して以来何か父様の様子が変なんですよね」

「竜?!ですか…?!」


 やっぱり!!


「ええ、竜です。正確には猛角地竜(マッドブルドラゴン)って言う種の竜なんですけどカーラちゃんも知ってますよね?」


「え、ええ、知ってますわよ…一応は……」


「その竜について何かニコラウスの旦那から指示されてるのかな?と思ってさ、あいつに聞いても何だかはっきりしねーしさ」


 このまま家に着いて直接お父様に聞かれてややこしくなるのも困るし…どこまで伏線ひいとけば良いのかしら…??


「実は私も少し話を聞いております」

「え?何て聞いてます?」


「まあお仕事の話なので私も詳しくは知りませんが、何やらブルーノ様を親方に竜退治のパーティーを作るとか作らないとか……」


「へぇ、そうだったんですね、父様が親方と言うのは知りませんでした」


 ここまでは別に話しても大丈夫よね…?


「カーラちゃん、後まだ引っ掛かってる事があってさ、あいつ約束がどうたらって言ってたんだけど何の事か分かるかい?」


「や、約束ですか?さ、さあ……」

「僕が思うに、どうやら僕を竜について絡ませたく無いみたいなんですよね」


「そ、それはそうじゃありません?お、親なら、だ、誰だって子供を危険な目に遭わせたくは無いでしょう?」


 ヤバイ、汗が……。


「普通の家庭ならそうかも知れませんが、ウチは騎士の家で両親、親戚共に冒険者一家ですよ?だったら逆に連れて行って経験させたいって思ってもおかしくは無いでしょう?」


「で、でも、た、確か竜を狩るには冒険者じゃなきゃダメじゃなかったかしら…?」

「それなんだけどよ、冒険者って実は才能さえあれば5歳からなれるらしいんだ」


 え?そうなの??いつの間にそんな制度が出来たの??


「父様に至っては冒険者適正試験すら受けさせないみたいな事言い出して、おかしくないですか?」


「そ、そんな事ないと思いますわよ、だ、だってヴィンス様まだ5歳じゃありません?な、なにも慌てて冒険者にならなくて宜しいじゃありません?」

「そうですかね……でもじゃあ何の為に毎日訓練をしているのか?って思うと父様の行動が理解できないんですよね」


「って言う訳でよ、ブルーノの行動は理解できないからニコラウスの旦那にヴィンスを冒険者試験受けさせて竜狩りに連れて行こうと思うって直談判してみようかと思ってさ」


「そ、そそそれはお父様の判断じゃなくて竜狩りパーティーの親方であるブルーノ様の判断ではないかしら?」


 お父様じゃ当てにならないわ!!


「その親方がモゴモゴしてるからよ、親方の親分であるニコラウスの旦那に言った方が早いかな?って」


「お、お父様に言っても分からないんじゃ…ないかしら…?」


「お嬢様、着きました」


 っ!?


 気が付けば馬車は停止していて御者が馬車のドアを開いてくれていた。


 や、やばい…このままじゃお父様に直談判させてしまう…!

 お父様の事だから言いくるめられそうだし、最悪私がブルーノ様とランス様に圧力を掛けた事も言いかねないわ。


 どうする私……?

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