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第十話 「葛藤」

 ~~ソフィア視点~~


 ヴィンスったらホントに髪の色が変わっていただけじゃなく性格(ひと)も変わってた。


 まぁそれもこれも結果的にはヴィンスにとって良かったのかも知れない。


 いつも自信なさげにオドオドして人より前に出る事を嫌がり私の後ろに隠れる様にしていたヴィンスも弟みたいで嫌いじゃなかったけど……。


 今のヴィンスはオドオドとした態度は見せないどころか積極的になった。


 俺が俺がと前に出るタイプじゃないとこは変わらないけど、そこは何か打算的が感じがしない訳でもない……。


 強い衝撃を受け記憶を無くす事はあると思うしそれによって性格(ひと)が変わる事もあると思う。

 髪の色の事は何でそうなったか分からないけどショック性の事で無くは無いと思うし。


 それより問題は何で橋から落ちて記憶を無くしたか、よ。


 第一発見者があの(・・)ガスラン達って言うのがどうにも引っかかるわ。


 今日学校であったら問いただしてやるんだから!


「お嬢様、学校につきました」


 そんな事を考えていたらあっと言う間に学校に着き馬車の扉が開かれた。


「行ってらっしゃいませ」

「行ってきます」


 私は馬車を降り校門を抜け校内へと進む。


 教室の扉を開けば窓際の後ろの席にガスランと取り巻きのチャドとルロイがいる。


 クラスメートの何人かが私に朝の挨拶をかけてくれるが私は返事もそこそこにガスラン達の所に行く。


 だんっ!!と足を踏み鳴らし、腕を組んで私の存在をガスラン達に教える。


「何だよソフィア、朝からケンカでもしようって言うのかよ?」


 ガスランがかったるそうに私を見る。


()()違うわ。あんた達に聞きたい事があるの、返事によってはケンカになるかもね」

「けっ、何だよ聞きたい事って?その前にそれが人にモノを聞く態度か?」


 小指で耳をかっぽじりながら面倒くさそうにふんぞり返る姿は父親そっくりね…。


「うるさいわね、私は機嫌が悪いのよ」

「そうかよ、で?何だよ?」


 おかしいわね?ガスラン(こいつ)の態度はまだしも、いつもなら取り巻きのチャドとルロイがガスランの前に立ち塞ぐくせに今日は何やら戸惑っているみたい。


「お前らもお前らで何ボーっと突っ立ってんだよ?お前らも何とか言ってやれよ」

「あ、う、うん…」

「な、何だよ、聞きたい事って…」


 チャドとルロイの態度が明らかにおかしいわね。

 やっぱりヴィンスの事で何か隠してるに違い無いわ。


「ヴィンスの事に決まってるでしょ」


「っ!?」


 チャドとルロイは目を合わせ完全に動揺してるわね。

 それに比べてガスランは流石に態度を変えないわ。

 私が聞きに来る事を想定してたみたいに…。


「ヴィンス?ヴィンスがどうしたってんだよ?ヴィンスの事ならお前の方が詳しいだろ?騎士ごときと仲良しこよしのお前の方がよ?」


 いちいち皮肉を言わないと気が済まないのかしら?こいつ。


「ヴィンスが橋から落ちたって聞いたけど?」

「ふん、その事か。俺達がわざわざ騎士ごときを助けてやった英雄話を聞きたいのか?」

「誰が英雄よ、それよりあなた達がヴィンス助けたってホントなの?」

「ああ、ホントだぜ。俺達が大人に助けを呼びに行ってやったからヴィンスは助かったんだぜ。詳しい話はヴィンスの叔父さんのデュークに聞けよ」


 え?何それ?

 師匠そんな事何も言ってなかったけど。

 って言うか師匠は何でそんな大事な事言わない訳?

 師匠は闘いに関してはピカイチだけど天然なトコあるからなぁ。


「も、もういいだろ…ソフィア…」

「何よチャド、何早く終わらそうとしてんのよ。何か聞かれちゃマズい事でもある訳?」

「な、な、何も無ーよ…!」

「あっそ、ならズバリ聞くわ。あんた達がヴィンスを橋から落としたんでしょ?」


「「っ!?」」


 チャドとルロイは明らさまに焦って口をパクパクさせて冷や汗が噴き出してるわ。

 やっぱり思った通りね。


「けっ!バーカ、何で俺達がヴィンスを橋から落とすんだよ?しょーこでもあんのかよ?しょーこでも」


 何がしょーこよ!聞いた風なセルフ言ってんじゃないわよ。


「しょーこならあんた達の日頃の行いと今の態度よ!」

「ふん!話にならねーな、そういうのはしょーこにならないんだよ、だからバーカって言われんだよ」


 キーーーーーッ!!こいつに馬鹿って言われる程あたまに来る事ないわね!!


「さっきから人の事、バカバカバカバカうるさいわね!バカって言う方がバカなんだからね!」

「ふん!俺達がヴィンスを橋から落としたって言うならもっとちゃんとしたしょーこ持ってこい、バーカ」

「ふんぬーーーー!!!また私の事バカ呼ばわりしたわね!!もう怒った!!力づくで吐かせてやる!!」


 完全に頭に血が上った私は右拳を振り上げガスラン目掛け間合いを詰めた!


 っ!?


「ちょ、待って!ソフィア!」

「や、やめろよソフィア!」


 チャドとルロイが私の腰にしがみつく様にして私を制止している。


「こんの…離しなさい!!」

「「ぎゃあ!!」」


 私の両脇から私の腰にしがみつくチャドとルロイの脳天にブルーノさん直伝のナックルパンチを見舞ってやる。

 2人は頭を抑え私から離れる。


「次はあんたの番よガスラン!!」

「ひっ…!?」


 拳を鳴らし近づく私にガスランの目が畏怖の色に変わるけど知った事か!

 私はチャドとルロイが頭を抑えうずくまるのを捨て置きガスランに迫り再び右拳を振り上げる。


 っ!?


 また私を制止しようと右手と両脇、腰を誰かが掴む。


「何すん…!?」


「止めて!ソフィアちゃん!」

「ソフィア、やめろって!」

「ちょっと落ち着けよソフィア!」


 私の暴走を止めたのはクラスメート達だった。


 流石に私もクラスメートに拳を振り下ろす訳にもいかず一旦落ち着かざるを得ない。


「みんな、こいつらが何したか知ってるの?」

「詳しくは知らないけどヴィンスを助けたんだろ?」

「うん。私もそう聞いた…」


「俺も…」

「私も…」

「僕も…」


 一様に上辺だけの情報を口にするクラスメート達。


「そんなの嘘に決まってるじゃない!みんな普段からこいつらがヴィンスをいじめてるの知ってるでしょ!?こいつら嘘ついて正義の味方ぶってるけど嘘だって分かるでしょ!?」


「う、うん…」

「で、でも…ガスラン君の言う通りしょーこは無いじゃん…」


 皆も分かっているけどそうは言えないと言った感じでうつむき加減にモノを言う。


「あっはっはっは!!聞いたか?ソフィア?クラスのみんなはお前なんかより俺達の方がよっぽど信じられるってさ!」


 高笑いするガスラン…チャドとルロイは相変わらずまごまごしている。


「い、いや、僕達はどっちが信じられるとかじゃなくって…」

「う、うん…しょーこが無いのにぶったらソフィアちゃんが悪者になっちゃうから…」


 クラスメートたちもガスランの家柄が怖いのかハッキリとは意見が言えない。


「何だよお前ら。お前らもしょーこが無いのに俺達を悪者扱いすんのかよ、お前らん家なんかより階級が上の俺に楯突くのかよ」


 それが分かっているからこそ強気なガスラン。


「か、階級を言うならソフィアちゃん家の方が上じゃ…」


 クラスメートの誰かが階級の事で突っ込む。


「あ?誰だ?今ごちゃごちゃ言ったの!?」


 脅す様にクラスメートに凄みを聞かせるガスラン、本当に弱い人間ね。


「階級なんか関係無いわ」

「聞いたか?ソフィアは階級なんか関係ねーって前から言ってるからいいんだよ!だけど俺は違うぞ!お前等なんかよりよっぽど偉いんだからな!俺に逆らう奴は父様に言って田舎に飛ばして貴族階級だってはくだつしてやるからな!!」


 完全に自分を見失ってるのに気付いていないのかしらコイツ……。


「あんた、今言った事、自分で言ってて恥ずかしく無いの?」

「はぁ??何が恥ずかしいんだよソフィア!偉い奴が偉いって言って何が恥ずかしいんだよ?!」


 どうしようもないわね……。


「はぁ……ねぇ皆んな、もういいでしょ?こんなバカ殴って…」


「いや!ダメだよ、絶対ダメ!!」

「そうよ!ソフィアちゃん我慢して!!」


 何でみんなこんなヤツの事を必死に庇うのか理解できないわ。


「我慢も何もいくらガスランがガスランの父様に言ったってウチは大丈夫よ?」

「違うよ!しょーこが無いのに殴ったらソフィアちゃんが悪者になっちゃうから止めてって言ってるの」

「そうだよ、しょーこは無いからガスラン君達はヴィンスを助けた正義の味方になってるんだから」

「私達はソフィアちゃんが好きだから止めてって言ってるの!」


 っ!?


 そういう事か、みんなガスランを庇ってるんじゃなくて私の事心配してくれてるんだ……。


 確かにハタから見たら私が正義の味方を理不尽に殴りかかってる様にしか見えないか。


「けっ!くだらねー。なぁ?お前ら」

「う、うん…」

「……………」


 完全に雑魚キャラねコイツ……。



「は〜い!みなさん!おはようございます…って、どうかした?」


 教室の扉から空気を読まない元気のいい挨拶が聞こえたと思えば先生だ。


「先生!実はソフィア…」

「先生!!何でもありません!!」


 ガスランがチクろうとするのにかぶせる様に誰かが声を上げる。


「そ、そうです、えっとぉ…」

「い、今流行りの遊びを皆んなで話してたんです!!」

「そ、そうです!!」


 続く様に皆んなが声を上げる。


「な、お前ら…ちょ…」


 みんなの威勢に驚き目を白黒させるガスラン。


「あ!!も、もう授業ですよね!?」

「じゃ、じゃあまた休み時間に遊ぼうか!?」

「そ、そうしよう!!」


「はい〜!!その通り!みなさん早く席に着きなさい」


「「「「「は〜い!!!」」」」」


 皆のお陰で先生を巻き込む事は回避できた。


「ふん!助かったな、ソフィア」

「あんたが、でしょ」


 小ばかにした目で見るガスランと敵意をむき出しにして視線をぶつける。


「ソフィアちゃんも早く自分の席に着きなさい」


 先生の注意には従わざるを得ない。


「覚えておきなさいよ、必ずあんた達には謝らせるんだから」

「けっ!!言ってろ、バーカ」

「な…!?」

「ソフィアちゃん!!早く席に戻りなさい!」

「は、はい…」


 先生に注意され仕方なく席に戻る…。


「けっけっけ…」


 ガスランが勝ち誇った様に濃いぃ眉毛を下げ下品にニヤける。


 ホントに腹立つわ。



 ~


 その後もクラスメート達に牽制され結局、学校ではゲロさせられなかった。


 まぁいいわ、放課後あいつらが遊んでるトコに乗り込んでやるんだから!




 ~放課後~



 私は校門で検問を張る事にした。


 ガスラン達もここを通らなくちゃ帰れないから逃げられないわよ。


「ソフィア様、随分と今日はお早いお帰りですね」

「え?」


 話しかけられた私は振り向くと執事のルフレンスとお迎えの馬車が横付けされていた。


 ああ、そうだった…父様の言い付けで学校の送り迎えはあるんだった。


「きょ、今日は自分で帰るからいいわ」

「そうはいきません。ソフィア様の送迎は決まり事ですからソフィア様を置いて帰ったらクリストファー様に私共が怒られます」


 基本的には放任主義の両親だけど学校の送り迎えだけはうるさいのよね…。


 まぁこれも入学した時に学校をサボって冒険者ごっこしていた私の身から出た錆なんだけれどね。


 渋々私は馬車に乗り込む。


 仕方ない…一旦家に帰ってから出直すか…。


「お?ソフィアちゃんお帰りですか?気をつけてね〜」


 こ、この声は!?


 馬車に半分乗り掛かっていた私に声をかける耳障りな声に振り向けばガスラン一味がいた。


「ガ・ス・ラ・ン……とぅ!!」


 獲物に気付いた私は馬車から振り向きざまにジャンプし飛び降りる!!


 が、空中でその動きを止められた!


「ちょ、離しなさい!ルフレンス!」


 ルフレンスがジャンプした私を空中キャッチした形で私の首根っこを掴み宙ぶらりんにされている。


「いいえ、離しません。事態は分かりませんが明らかに喧嘩する勢いですから」

「っ!?ち、違うわよ!!」


 図星だ…。


「すみません〜迎えの人、ソフィアちゃんが朝から理由も無しに僕達に絡んできて僕達困ってるんですぅ、お願いですからクリストファー様に言ってソフィアちゃんの暴力を止めるさせる様に言ってもらえませんかぁ?」

「な!?何言ってんのよ!!ガスラン!!あんたって奴は…!!許さない!!ルフレンス!離しなさい!!」


 私が怒りに満ち溢れガスランに飛びかかろうにも宙ぶらりんの私は虚しく宙で足だけ空回りするだけだ。


「理由はどうあれ、ソフィア様が暴力に任せて暴れるのを見過ごせません」

「あ!ちょ!ルフレンス!!」


 私の怒りも虚しく馬車に強制的に押し込まれた。


「あはは!ソフィアちゃ~ん、落ち着いて~、あはははは!」


 ガスランが細長く濃い顔を歪めて笑ってる。


「ぐぬぬぬ………」


 私は力一杯馬車の窓枠を握り締め怒りに打ち震える。


「おい!お前らもバカにしてやれ、じゃなかった、笑顔でソフィアちゃん見送ってやれよ、あーはははははは!!」


「あ、あは、は、はははは…」

「は、はは…ははは…」


 私の気持ちとは裏腹に馬車が学校を背に動き出す。


 絶対に許さない…!!


 私の中に怒りと復讐の炎が燃え盛るのが分かる。



 ~


 結局、その日は見張りが付いて自由にならなかった。


 だけどおかげで冷静になって作戦を立てる事が出来た。


 その作戦とはこうよ。


 1、学校では周りに制止される上にしょーこが無いから大人しくしておく。

 2、帰りの待ち伏せ作戦も阻止されるからやらない。

 3、明日の学校が終わったらヴィンスん家に遊びに行くフリしてガスランん家に乗り込む。


 完璧な作戦だわ。


 これなら誰にも邪魔されずにガスランに接近出来る。


 強いて問題を言うならガスランの家でどうやってガスランをシバいてゲロさせるか、だけどそれはそれで出たとこ勝負で何とかなるわ。




 〜翌日〜



 作戦決行する為に私は学校では何とか自分を抑えたわ。


 学校からの帰りも努めて普通を粧おって下校した。


 怒りで今にも爆発しそうだけど何とか耐えたわ……こ、ここまでは作戦通りだわ。


「ヴィンスん家に遊びに行ってきま〜す!」

「ああ、気を付けてな」

「あまり遅くならない様にね」

「は〜い、行ってきます」


 うぅ…父様と母様に嘘をついてしまった…。

 何て心が痛むの…。


 で、でもヴィンスの仇をどうしても私は打ちたいの!

 父様、母様、ごめんなさい!!


 私は家から逃げる様に出掛けた。


 両親に嘘をついた後ろめたさから逃げる様に走り続けた私は自分でも気がつかない内にガスランの家の前まで来ていた。


「よぅし…」


 作戦通りね。


 ガスランの家に意気揚々と乗り込もうとした私に大きい大人が道を邪魔する。


 何て言ったっけ?


 名前を聞いた事ある様な無い様な…ま、いっか。確かガスランん家のよーじんぼーとか言う見張りの人だわ。


「これはこれは領主カルヴァート家ご令嬢ソフィア様では無いですか?我が主バルドック家に参られるとは珍しい、何かご用ですかな?」

「え、ええ。ガスラン君はいますか?」


「申し訳御座いません。ガスラン様は不在でして、何かお伝えする事が御座いましたら私からお伝えしておきますが」

「い、いえ。いないのなら結構です」


「申し訳御座いません、ソフィア様が来られた事はガスラン様に申し上げておきます」

「いえ、結構です。また明日学校で会うでしょうから…」


 っ!?


 帰ろうとした私が何気なしにガスラン邸の2階を見ればガスランが窓越しに腹抱えながら指差して笑ってる姿が見えた!


「ねぇ!ちょっと!!ガスランいるじゃない!!」


 私はガスランが笑い転げている窓を指差し言う。


「は?」


 よーじんぼーは私が指差す方向を見る。


「ね!?あそこで笑い転げてるじゃない!!」

「はて?私には見えませんが…?」

「見えない訳ないでしょ!!あいつだってこっち指差して笑ってるじゃない!!」

「さぁ?どこにガスラン様がいると?私にはまったく持って見えませんがいずれにしてもガスラン様は不在です」

「な?!ちょ、いい加減にしなさいよ!」


 何をすっ呆けてる訳?!


「いい加減にされるのはソフィア様の方かと。申し訳御座いませんがガスラン様は不在ですのでお引き取りを」

「そう言う事?私が来るの分かっててあなたもグルなのね!?」


「何の事だか分かりませんが、これ以上当家の前で乱心されますと我々も仕事をしなければなりません、カルヴァート家ご令嬢ソフィア様に手荒な真似はしたくありませんのでどうぞお引き取りの程お願いします」

「上等だわ!やってみなさいよ!!」


 大きな大人だって負ける気はしないわ!あのデューク師匠の一番弟子の私なんだから!!


「宜しいのですか?ソフィア様を拘束した後、カルヴァート家へ連絡して事情説明してソフィア様お引き取り頂くご足労と迷惑をかける事になりますが」


 っ!?


 そ、それはマズいわ。

 何しろヴィンスの家に遊びに行くって嘘ついたのがバレちゃうし、父様母様は関係無いだから。


「わ、わ、分かったわよ。帰るわ…」


 腕まくりをしやる気満々だった拳を握りしめ堪える。


「それが宜しいかと」


 チラッとガスランに目をやればまだ腹抱えて指差しながら笑ってる。

 しかも口は読唇術が無くても分かる動きをしてる。

 バーカバーカってね…!!


 ふぅ…ふぅ…ふぅ…落ち着くのよ私!!


 こーゆー時こそ落ち着かなきゃいけないって師匠も言っていた様な、言っていなかった様な。


 いずれにしても作戦失敗だわ。


 それにしてもこの怒り、どーすればいいの?


 怒りに打ち拉がれながら街を歩いて家へと帰った。


 結局その日、怒りが静まる事無く夜も寝れないまま次の日の朝を迎える事となった。 




 ~更に翌日~



 昨日は私史上最低最悪の1日だったわ。


 うつらうつらとしながら馬車に揺られて学校に着く。


「お?ソフィア、ご機嫌うるわしゅー!あっはっは!」


 最悪…。


 昨日から…いいえ、考えればその前からずっと私の苛立ちの根源、そして今世界で一番顔を見たく無いガスランに朝一で会うとは。


「どうしたぁ?顔色悪いし目が真っ赤だぞ!?」


 その原因はあんたよ、って喉元まで出掛かったけど堪えたわ。


 何故か?


 それは今日こそこいつらの尻尾を捕まえてギッタンギッタンにしてやるから今は騒ぎを起こさない為よ。


「無視すんなよなー。つまんねーな!」


 だけどどうしたらこんなにも人の事イライラさせられるのかしら?


 はぁ…ブチ切れそうだわ。


 今に見てなさい、必ず私とヴィンスに謝らしてやるんだから。


 それにしても取り巻きのチャドとルロイはどうしたのかしら?


 ま、どーでもいいけど。


 いずれにしても3人ともギッタンギッタンの刑には変わり無いんだから。



 ~



 その日の学校は寝不足から来る倦怠感と居眠りで何だかよく分からないうちに終わった。


 おそらく授業の大半は寝ていた。


 そのせいで放課後、先生から呼び出しをくらい怒られたのと居残りテストのせいですっかり遅くなってしまいガスラン達を追い込めずじまいに終わった……。


 今日は早く寝て明日こそ決着をつけてやるんだから。

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