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第八話 「魔術の原理」

 ……よし!大きさ、硬さ、魔量、スピード、全て一致した!!

 行くぞ…!!


水弾(ウォーターボール)!!!」


 次の瞬間、俺の手からイメージ通りの大きさ、形状の水弾(ウォーターボール)がイメージ通りの射出スピードで放たれた!!

 放たれた水弾(ウォーターボール)は30m程先の木に命中して真っ二つにした後、更に後ろの木に当たった所で砕け散った!!


 やった…!!思った通りだ!!


「デュークさん!!やりました!!」

「…あ、ああ……こいつはたまげたぜ…」

「ちょっと、ヴィンス…あんた…な、なかなか、やるじゃない!?」


「デュークさんのアドバイス通り大きさ、硬さ、魔量、スピードをしっかりイメージしたら成功しました!!」

「まぁ…魔術成功も驚いたが…それより驚いたのはヴィンスが発動させた魔術だ。ありゃ水弾(ウォーターボール)じゃ無く水鉄球(アクアキャノン)だ…水属性魔術の中でも中級魔術だ…」


水鉄球(アクアキャノン)…ですか…?」

「ああ。水弾(ウォーターボール)より更に大きさも威力も段違いだっただろう」


 そうなの?つーか水弾(アクアキャノン)の大きさが分からないから少し大きめにしたって言うだけなんだけど。


「呪文詠唱した事も無ければ、見た事もない魔術が発動出来た…?イメージだけで…?」


 ソフィーが目を点にしながら疑問符を付けた言葉で確認する様に言う。


「おいおい!まさかイメージだけで魔術が発動出来るんだとしたら大変な発見だぞ?」


 デュークさんまで鼻息荒く興奮している。


「そんな事ってある訳?私だって誰にしたって魔術の難易が上がれば上がる程、長い呪文を覚えて魔量、タイミングを一致させてようやく出来る様になるって言うのにイメージするだけで発動できるって言うの?」


 信じられないといった様子でソフィーが誰に聞くでもないけど事態を整理するように言う。


「デュークさん…試しに水弾(ウォーターボール)の術名で水鉄球(アクアキャノン)を発動させてみてもらえませんか?」


 俺はソフィーが言った仮説を確かめるべくデュークさんに魔術をお願いする。


「あ、ああ…。やってみよう…」


 デュークさんが先程やってみせた水弾(ウォーターボール)の時と違い、片手では無く両手て構える。

 例えるならか〇はめ波みたいな構えだ。


「行くぞ…水弾(ウォーターボール)!!」


 デュークさんの手から射出されたのは野球のボール大の水の玉だった。


「………今のは水弾(ウォーターボール)ですよね?」

「ああ…水弾(ウォーターボール)だったな…」


 誰もが拍子抜けと言った空気が辺りを包む。


「デュークさん、ちゃんと水鉄球(アクアキャノン)のイメージしました?」

「ああ、そりゃもう見事な水鉄球(アクアキャノン)をイメージしたぜ…」

「ね、ねぇ!!そしたら逆に水鉄球(アクアキャノン)って言って水弾(ウォーターボール)出してみたら?」

「そ、そうですね…!大きい術名言って小さい魔術発動させるなら小さい術名で大きい魔術発動させるより何か簡単そうですからね…!」


「よし…水鉄球(アクアキャノン)!!」


 次にデュークさんから射出された魔術はビーチボール大の大きな水の玉だった。


「…水弾(ウォーターボール)にしては大きかったですよね?」

「ああ…完全な水鉄球(アクアキャノン)だったな…」

「じゃ、じゃあ次は私が…」


 ソフィーも術名と発動魔術を入れ替えてやってみたが結果はデュークさん同様だった。


「何でぇ?!何でヴィンスだけ出来んのぉ…?!」

「う~ん……やはりイメージだけで魔術を発動させるのは無理みたいだな。なら何でヴィンスだけ出来るんだろうな?」

「な、何ででしょう…?」


 俺にも分からない。って言う事はアレだな、魔術の発動スキームは定説通りって事が証明されたって事だよな。


「ヴィンス、試しに昨日俺がやった雷矢(サンダーアロー)あったろ?あれは出来るか?」

「やってみます…」


 そうだ、これで雷矢(サンダーアロー)の詠唱を知らない俺が一度見ただけの魔術を発動できれば俺だけ魔術の発動スキームが覆ってイメージだけで発動出来ると言う事だ。


 俺は手のひらを木に向ける。


 さっきの水鉄球(アクアキャノン)の魔量と大きさから逆算して魔量は…これ位か?

 雷矢(サンダーアロー)の大きさ、魔量、固さ、スピード…よし!!


雷矢(サンダーアロー)!!」


 俺の掌から帯電した光の矢が射出された!!

 帯電した光の矢は稲光の尾を引き、木に命中し激しい爆発音と共に木が折れ、燃える。


「………出来ましたね」

「ん、あ、ああ………出来たな…」


「ね、ねぇ!これって、ヴィンスはイメージしただけでどんな魔術も出来るって事?」


 俺とデュークさんが唖然とする中、ソフィーも気づいたようだ。


「どんな魔術でもって事は無いだろうが…」

「ヴィンス!雷神鉄槌(ディバインハンマー)やってみなさいよ!」

「え?ディ、ディバイダーハンマー??」


 なんじゃそりゃ??


雷神鉄槌(ディバインハンマー)よ!大きな雷の鉄槌よ」

「大きな雷の鉄槌?雷の鉄槌ってどういう事?」

「大きな雷の鉄槌って言えば大きな雷の鉄槌よ」


 さっぱり分からん!何だ?大きな雷の鉄槌って…。


「そうだな、見た事無い魔術をイメージだけで出来るか試してみるのも面白そうだ、ヴィンス試しに雷神鉄槌(ディバインハンマー)をお前さんのイメージでやってみな」


「大きな雷の鉄槌ですよね…?ええ??どうゆうのだろ?」

「さぁ、やってみせて…!!」


 デュークさんとソフィーは興味津々と言った表情で期待している。


 う~ん……どうゆうのだろ?鉄槌って言うくらいだから大きなハンマー状の雷?

 さっきの雷矢(スパークアロー)が棒だったのに対して四角?

 デカい長方形の雷玉ならぬ雷箱を上から下に振り下ろす感じか?

 そんなの出来るか?物理的に。

 いや、物理的になんて言ったら魔術自体が物理的じゃないじゃないか?

 ええーい!ままよ、デカい長方形の雷箱をイメージして落下させるか!!

 さっきの雷矢(スパークアロー)の魔量に対し、これ位か?

 で、大きさ、魔量、固さ、落下スピード…よし!!行くぞ!!


雷神鉄槌(ディバインハンマー)!!!」


 次の瞬間!目の前が真っ白になったのが見えた…!




 ~




「っかは…!!」


 何だ?何が起きた?


「ヴィンス!大丈夫か!?」

「ヴィンス!良かった!気づいたわね!!」


「えーと……??」


「ヴィンスが気を失ったからソフィーちゃんに高度治癒魔術(ハイヒーリング)をかけてもらったトコだ」

「あ、ありがとうソフィー、で…?何がどうなったんです?」

「あ、ああ。結論から言うと何でもかんでもイメージだけで魔術は発動しないみたいだ」

「そうですか…で?なんで僕は気を失ったんです?何か目の前が真っ白になったのは見えたんですけど…」


「すまん!ヴィンス!俺が無責任にも面白半分でお前に雷神鉄槌(ディバインハンマー)なんかやらせたばかりに痛い目に合わせちまった…すまなかった!」


 本当に申し訳なさそうに頭の上で両手を合わせ頭を下げるデュークさん。


「あ、謝るなら、私もよ。私がヴィンスに雷神鉄槌(ディバインハンマー)やってみなさいなんて言ったから…」


 本当に悪い事したと反省している様子のソフィー。


「い、いえ!さっきも言った様に目の前が真っ白になったなぁって思ったとこから目覚めるまで記憶ないんですし、目が覚めたらソフィーの高度治癒魔術(ハイヒーリング)で痛みも何も無いんで大丈夫です、それより何が起きたのです?」


「あ、ああ。ヴィンスが雷神鉄槌(ディバインハンマー)を発動させたかに見えたが、何ていうかな?電気短絡(ショート)したみたいに激しくヴィンスの目の前で雷が爆発してそのままヴィンスは吹き飛ばされて気を失っちまったんだ」

「そうだったんですね、だから目の前が真っ白になってから記憶が無いんですね」

「いや!本当にすまなかった!」

「わ、私もわ、悪かったわ…」


「いや、だから本当にいいんですって!!お二人がいる所で試せたから何でもなかったんですから、もし僕一人で試していたらどうなっていた事か…」


 これは本音だ。俺の事だからきっと有頂天になってイメージだけでどえらい魔術に挑戦していたはずだからな。


「でもこれで2つ分かりましたね。何でもかんでもイメージだけで魔術は発動出来ない。また、知らない魔術を勝手なイメージだけで発動させると暴発するって。但し、出来る魔術の応用、例えば大きさを大きくするとかスピードを早くする、固さを固くするとかはイメージだけででも出来るって事ですね」


「だな。だが雷神鉄槌(ディバインハンマー)も結局のところは巨大な雷を相手に落雷させるって事だから雷矢(サンダーアロー)の延長線上っちゃあ、延長線上なんだがそんな簡単じゃねーよな」


「なるほど!そう言う事ですか!いや、さっきは四角い雷かな?とかイメージが分からなかったんで暴発しましたけどイメージが具体化できました!よし、そう言う事ならやってみましょう!」


「ダメ!!今やったら私が許さないんだから!!」


 やる気満々の俺に食い気味に制止するソフィー。


「え?ソフィー、も、もしかして僕の事、心配してくれてるんですか?」

「え!?な、ちょちょちょちょっと…!な、何言ってんの?ヴィ、ヴィンスってば!な、何でこの私が、ヴィ、ヴィンスなんかをし、心配しなくちゃいけないのよ!」

「ん?そういう割には顔が赤いぜ?ソフィーちゃん」

「な!?し、師匠!!な、何でわ、私が、か、顔を赤くするんです!?わ、私は、た、ただ、そ、そそんなわけある訳なく、えぇと…そ、そう、魔量が無くなってきたから、ヴィンスの治癒ばっかりで魔量を使うのは勿体無いし面倒くさいから言ってるだけで、か、顔が赤いっていうなら、ま、魔力使いすぎて疲れただけですわ!!ほ、ホントなんだから!」


 うお!?何この甘酸っぱい感じ…?

 遥か昔に感じた事ある様な…そう!初恋の様な!

 って、何言ってんだ俺??

 確かに体は子供になったが精神年齢はおっさんだぞ?

 おっさんが7歳の子供にドキっとしちゃう?

 どうも体が子供になってからと言うか、転生してからというもの、調子狂うな。


「そ、そうですね、ソフィーの言う通り止めておきます。調子に乗ってやってるとロクな事にならないですからね!1つ1つゆっくりやっていきます」

「そ、そうよ!私の言う通りしておけば間違い無いんだから!」


 渡りに船とばかりにソフィーがお姉さん風を吹かす。


「ま、確かにお前さん達の言う通りだな」


「ところでデュークさん。何で魔術を発動させる時、そもそも詠唱呪文が必要なんです?」

「確か…(いにしえ)の時代から魔術はあって、もともと魔術を使えたのは尖耳族(エルフ)と魔族だけだったらしいんだが、それを羨ましく思った人族や獣人族なんかが研究に研究を重ねた結果、呪文を詠唱する事によって魔術を発動させられる様になったとは聞いた事あるが…何で詠唱すると発動するかは…何でだろうな?」


 少し棒読みっぽく説明してくれるあたり本当に分からないと言うか考えた事もないと言う事なんだろうな。


「私もそういうものだと思ってたから何で詠唱すると発動するかって聞かれても、そういうものよ、としか答えられないわね」

「でも確かに実際僕も詠唱している時、正確には詠唱し始めたら手のひらに魔力が集中してくるのを感じましたから、やはり詠唱する事によって魔力が集まるのは確かなんでしょうね」


「詠唱して魔力を集め、それを具体化する。この流れは確かだ。それが出来ると次からは無詠唱で出来ると言ったが正確には魔力を2倍使う事によって無詠唱で魔術を発動出来るって事なんだ」

「へぇ、そうなんですか」


「つまり詠唱を省略する代償はあるって事だ。この話をしていて気付いたが、詠唱して魔力を集め発動するって言うのはゆっくりだが確実に、また少ない魔量で発動出来る。それに対し、無詠唱は確実に近いが魔量は倍消費する」

「なるほどぉ」


「言ってみれば無詠唱ってぇのは実戦向けに進歩した産物なのかも知れないな」

「確かに私達は便利さから無詠唱でつい魔術を使いがちだけど本来なら詠唱して魔術を使えばいいのよね」


 教える事で学ぶ事もある、みたいな事どこかで聞いた様な気がするけどそう言う事だろうな。


「ところでヴィンスはさっきから無詠唱で魔術を使ってるが、体がダルい重いって感じはしないか?」

「いえ、特には……それにさっきソフィーに高度治癒魔術(ハイヒーリング)かけてもらいましたからむしろ絶好調です!」

「いや、おれが心配してんのは魔力切れだ。魔力だけは治癒魔術(ヒーリング)でも回復できないからな」


「へぇ、そうなんですか。特には…大丈夫ですけど……そもそも魔力ってどこから来るもんなんですか?」

「魔力って言うのは皆それぞれ自分の体内にあるんだ。そしてその体内にある魔力の量を魔量って言っている」

「この私は魔量がハンパじゃないんだから!」


 ソフィーは片目を閉じ得意げに自慢する姿が、何だろ?嫌味に感じないと言うか可愛いと思ってしまうのは何故だ?


「ああ、確かにソフィーちゃんの魔量は大したもんだ、だが魔量だけならヴィンスの方があるかも知れないな」

「ふ、ふん!すぐに私の方が魔量多くなるんだからね!」


 ホントにソフィーは負けず嫌いだな、まあ彼女らしいけどね。


「多くなるって…魔量って増えたり減ったりするんですか?」

「ああ、増えたり減ったりするな。鍛えれば魔量が増えるしサボれば魔量が減る。ただし生まれもって魔量が多い少ないの個人差はあるがな、まぁ言ってみれば体力とかもそうだろ?」


「なるほど、で、僕の場合は魔量が多い?」

「今までまともに魔術が発動できてはいなかったがヴィンスが魔力切れになったのは見た事ないな、ソフィーちゃんは今日はもう魔力切れらしいが?」


「ああ、さっき言ってましたね。魔力使い過ぎて顔が赤くなったとかって」

「あ、あれは…そ、その…っていうか、もう完全復活したわよ!」


 プンスカ!って感じで可愛いなソフィーって…ってヤバいヤバい何考えてんだ俺は!?


「そっか、なら2人とも訓練再開だ。ソフィーちゃんは局地雨雲(レイニークラウド)局地雷雲(サンダークラウド)の融合。ヴィンスは各属性の初級魔術をやるぞ」

「「はい!」」




 ~



 その後、6属性とも初級魔術は難なく出来た。

 コツさえつかめば大体同じようなものだから。


「初級は大体出来る様だな、こんなにあっさりできると今までのヴィンスからは想像できなかったな」

「コツさえつかめば初級魔術は大体同じような感じなので出来ました。ただまた疑問なんですが…良いですか?」

「ん?何だ?」


「今教えてもらった初級魔術は属性こそ違えどほぼ似た様な感じでしたし、僕自身も同じ様な感じのイメージで発動させはしたのですが、属性によって魔量に対する大きさも射出スピードも違ったのですが何故でしょう?具体的に言うと風、土、火、雷、水、光の順で大きく早かった気がしましたが」


「お、よく気付いたな。確かにヴィンスは今言った順で得意な様だな。これも個人差があってな、人それぞれ得手不得手があるもんだ」


 ほうほう、魔術の個人差か……。


「それって魔量の話と同じですか?生まれもった差みたいな、デュークさんっぽく例えて言うなら短距離を走るのが得意な者もいれば、長距離走る方が得意な者もいる。みたいな」

「ああ、理解が早くて指導する側からすると助かるが…何だか…大人みたいだな…?」


「そ、そそそそ、そうですか??なんでしょうね?頭打って何か覚醒したのでしょうか??で、でもソフィーも7歳の割には大人びてますよね?」


 さすがに怪しいかぁ…調子に乗りすぎたかぁ…?何とか誤魔化せたか…?


「そうよ、私は大人の女なんだから、そこらの7歳と一緒にしないで下さる?」


 そう言いながらソフィーが肩にかかった金髪の毛先を手で払い大人っぽく見せる。


「確かに言われてみればそうだな、ソフィーちゃんと一緒にいる時間も長いし年上の影響受けやすいかも知れねーな」

「で、ですよ!前の僕は体動かすのと一緒で能力を隠してたのかも!」

「確かに…そう言われればそんなもんかも知れねーな」


 何とか誤魔化せたか?

 今度は俺が渡りに船だったよぉ、サンキューソフィー!!


「で、さっきの話の続きなんですけど、魔術の大きさは形の大小で注ぐ魔量を変えればいいと思うのですが、スピードも同じですか?何か属性によって同じイメージ同じ魔量でも射出した時、大きく違いましたけど」

「あ、ああ、基本的な考え方は大きさと同じだ。早くしたければより多くの魔量が必要になる。

 だが発動させた魔術つまり魔力を具現化した物体だな、これにも当然重さは存在する。

 属性によって同じ大きさでも質量が変わるから当然同じ魔量を注げば軽い重いでスピードは変わるわな、これは分かるな?」

「はい」


「例えるならそこに落ちている石を遠くに投げる時や速く投げる時は力をこめるが、近くに放る時や遅く投げる時はそこまで力を必要としないよな?それから大きい石と小さい石で同じ力で投げたら当然飛ぶ距離が違うよな?」

「はい」


「だがそれはあくまで力学の話で魔術は力じゃない、確かに速く遠くに飛ばすなら魔量をより多く注げばいいのは同じだが、ゆっくり遠くに飛ばす事も魔術なら出来る」

「………」


「そもそも具現化した魔術を射出するには魔力をイメージして好きな属性の魔術を作り上げて射出するといった、作ると射出の言わば複合した魔術を同時に行っているんだ」

「なるほど」


「今、ヴィンスがやっていたのは魔力を具現化して飛ばす、違う言い方をすれば具現化してぶつける、と言ったイメージだったはずだ」

「確かに」

「魔術を射出させるって事はそれぞれの属性魔術に風魔術を付与させて飛ばしているんだ」

「風魔術を爆発させ飛ばしていると!」

「そうだ、だから魔術を上手く使いこなせる様になれば射出する為の風魔術を使いこなし速く遠くへも、ゆっくり遠くへも飛ばす事が出来るようになる」

「おお…!」


「射出の風魔術をコントロールすると言う事はより高度な魔力コントロールが必要になる。

 つまり魔術の射出スピードを抑えたければ抑えたいほど魔力は必要になるし落ちる力と落とさない力のバランスを取る技術も必要になる」

「………」


「だが、実際魔術を使うにあたって射出スピードを必要以上に抑える必要性はどこにも無い。

 スピードを抑えるなら射出スピードを上げる方が簡単だし実用性がある」

「確かに…スピードを落とすメリットを考えても思い浮かびません」


「但し、がある」


 ここまで駆け足で説明してくれたデュークさんが話の流れにブレイクを挟む様にトーンダウンする。


「何ですか?」

「射出スピードとは違うが、射出した魔術を曲げられたり、止められたり、つまり重力と慣性を無視した動きが出来たら?」


 俺の目をのぞき込むように前のめりにデュークさんが聞いてくる。


「それは有効です!っていうか、そんな事出来るんですか?!」

「いや、出来ない」


 デュークさんはからかう様に微笑みながら前かがみだった姿勢を戻す。


「何だ…」

 出来ないのかよって突っ込みたくなるな。


「悲しいかな、そんな真似はいくら神級魔術師でも無理だ。一度射出した魔術は一度投げた石と同じでどうにもならない」

「ですよね?なら何故そんな空想話を?」


「ふふん…初めに言った第7属性の(そら)、覚えてるか?」

「はい、だけど誰も見たことも無いある意味絵空事の魔術ですよね」


「絵空事っちゃあ絵空事だが俺は結構信じてんだがな。何せ空を見てみろよ、あんなに青くて何も無い、それなのに夜になるとその光は消え、代わりに星が煌めいて今にも落ちてきそうなのに落ちる事は無い。ありゃ重力が無いに違いないと俺は踏んでいるんだ。まさに絵に描いたような空の話だから絵空事とはよく言ったもんだと思わねーか?」

「ま、まぁ……」


 前世での趣味、天体観測及び宇宙。

 いや、ネトゲとエロ動画像収集も好きだけど、あれはあれで置いといて…!


 何せ死んだのも趣味である天体観測してた時に星にあたって死ぬ位、宇宙を愛していた俺だ。

 宇宙はあって、そこには我々が想像も出来ない世界が広がっている事、重力も空気も無い真空世界である事。

 今すぐ知識をひけらかしてデュークさんに教えたい。


 でも、それは流石にやり過ぎだろう。

 何でこの世界の人達が知らない宇宙を5歳の俺が知っている?


 そもそも5歳児らしからぬ受け答えで怪しまれたばかりだ。


 まあ俺もつい、この世界の事を知りたい気持ちが先走ってマズイと思いながらもやっちまってるけど、これはまだ橋から落ちて目が覚めたら覚醒したで通じるんじゃ無いかと言う希望的観測もあるが、流石にこの世界に無い知識を言うのは怪しすぎる。


「ち、ちなみにデュークさんはその第7属性の(そら)って試した事はあるんですか?」

「ああ、もちろん。子供ん時に誰もが一度は真剣にトライするもんだ」


 なるほど、前世で本気でか〇はめ波出そうとするみたいなもんか。


「僕もトライしてみて良いですか?」

「はははははは、言うと思った。いいぜ、誰もがやるしな。イメージで魔術が発動出来るヴィンスな…ら…。

 いや待てよ!ヴィンスなら本当に出来るかも知んねーな!

 今まで無詠唱で出来た事無い魔術発動させた奴なんかいないし…!

 イメージで魔術を操るって考えれば…ひょっとしたら…」


 顎に手をやり、瞳孔開いた目でデュークさんが俺を見る。


 ん?マジ??

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