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 前日譚~金~

 宇宙。


 分かっているだけでも半径約465億光年の球状の範囲があると言われている。


 仮にマッハ1で移動したとして1光年進むのに90万年かかるから90万年×465億光年だから……………うん!分からん!!


 そんな広大な宇宙空間の中で点にも満たない小さな惑星地球にもっと小さな小惑星の破片が衝突してくる事がある。


 いわゆる隕石ってヤツだ。


 最近は防犯カメラやドライブレコーダーの普及で隕石落下の瞬間なんかも一昔前より捉えやすくなったとは言えニュースとして放送される位、稀とされてるヤツだ。


 そんな稀な隕石落下はどれ位の頻度で起きているのか?


 5年に一度?

 2~3年に一度?

 いや、1年に一度?


 正解は1日平均1.4個だ。


 毎日100t以上の地球外物質が地球に降り注いでいて、まあそのほとんどは大気圏で燃え尽きるが、少なくとも1日1個は大気圏を耐え地表に届いている事になる。


 とは言え大半は海に落ちるのだが、それでも年間150個程の隕石は海では無く地上に落ちているのだ。

 平均すると3週間に1個は地上つまり陸地に落ちている計算になる。


 そんな知れば知る程に神秘とロマンに満ち溢れている宇宙…。


 だから俺は宇宙を愛しているのだ。

 ああ、そうさ愛してるさ。


 ……だからってさぁ………何も100億分の1の宇宙からの奇跡を俺の身に降り注いでくれなくても……。


 100億分の1って言うのは隕石が人に当たる確率。


 言い換えれば100億個の隕石が落ちてきて人に当たるのはその内の1個と言う事だよね?

 それってもう言ってみれば人は隕石に当たらない、って事じゃない?


 実際に隕石に当たって死んだ人って聞いた事ある……?? 


 あるよ!!

 いるよ!!

 ここに!!俺だよ!!


 ………まあ、今更そんな事いっても事実は変わらない。


 そう、俺が死んだ事実は変わらないんだ……。


「いきなりの事で錯乱するのも分かるがいい加減落ち着いたらどうだ?」


 腕を組み呆れた表情の少女が俺に話しかけてくる。


 この少女こそが俺に死に様を教えてくれた張本人だ。


『ああ、いえ、そのぉ……俺が隕石に当たって死んだって言うあまりに突拍子も無い死に様を聞かされたものですから、今一度状況を確認していたと言うか……ま、まあ取り合えず少しは落ち着いてきましたけど……』

「そうか、なら良いがな」


 どこか見覚えのあると言うか…その見た目は俺の知っている少女に瓜二つだが、その喋り口調は何だか貫禄があると言うか年寄りクサいと言うか…。


『ところで………貴女は一体誰で…此処は何処なんですか…?』

「私の事はとりあえず匿名希望とでもしておくとして、ここはそうだな…生と死の狭間とでも言えば分かりやすいかな」


 匿名希望の少女が言う生と死の狭間とやらこの場所は白く、ただただ白いだけで音も影も何も無い、無限に白い空間だ。


『もしかして貴女は神様とかそう言う存在なのでしょうか?こうして死んだ人間に事情を説明されたりして、何て言うかその…魂?みたいなモノの裁きでもされるのでしょうか?』

「当たらずも遠からずだが、魂を裁くなんて事はしないし出来ない」


 腕を組んで答える姿はその喋り口調と相まってさも偉そうに見えるな。


『えーと…それなら、ただ単純な親切で俺の死に方を教えてくれたのでしょうか?』

「…結論から言った方が良いかな?理解し難い内容の話だと思うが…」

『え、ええ、出来れば結論から言って頂けると助かります』


 死んだ事はハッキリ言って現実味が無いけど、今はこの状況でこの匿名希望の少女は俺に何を伝えたいんだかが分からない事の方が不安で怖い。


「分かった、じゃあ結論から先に言おう。私が住む世界に転生してくれ」


『はっ??え?え?何て??て、転生…とか何とかって…?』

「ああ、転生だ」

『え?ちょ…マ、マジすか……?!て、転生って…い、一体何の話をしているんでしょうか…??』


 事態を理解するために単刀直入に言ってもらったが余計に訳が分からなくなったぞ…。


「先ずは落ち着け。其方に私達の棲む世界へ転生してもらい近い将来滅亡する運命にある我らの世界を救ってほしいと言う話だ」

『は??せ、世界が滅亡……??え?ちょ…な、なな、何の話をしてるんです??』


「其方が結論から話せと言ったから私の、いや私達の要求を話している」

『いや、え?ちょっと待って、それはそうなんだけど、話が想像のはるか斜め上を行き過ぎていて、ちょっとついて行けないと言うか……』


「やれやれ、だから順を追って話そうとしたのに…いいか?私たちが住む世界が滅亡の危機に晒される、ここまでは良いな?」

『良いかって聞かれても……ま、まぁ…はい……』


「滅亡の危機の原因はかつて私達の仲間だった男の手によって引き起こされるとされている。今すぐ滅亡って事は無いにしてもこのまま何も手を打たなければ滅びる運命にある。その滅びる運命を其方に転生してもらって救って欲しいと頼みに来たのだ」


『ちょ、ちょっと待って下さい、世界の滅亡とか転生とかって信じる信じないは兎も角……それを俺に救えって……』

「転生するしないの選択権は其方にある。もし転生しないならこのまま冥界に行って魂をリセットされた虚無状態で何かしらに生まれ変わる事になるだけだ」


『い、いやいや選択権は俺にあるとか何とかって言うか…それより何て言うか、いきなり転生して世界を救うか冥界に行って魂をリセットするかとか、さっきから信じられない話してますけど……っていうか夢!?そうか!これって夢か!!そうか、そういう事か!?』


 そうだ夢だよこれ!夢なら早いとこ1回、目を覚ましてこのよく分からない状況から抜け出そう。


「だから落ち着いて聞けと言ったのに……ほら、今の其方の姿を見てみろ」


 そう言うと少女は何も持っていなかった手からいきなり鏡を出現させ俺に向けた。


 その鏡に映った俺は金色に輝く球体だった。


『な、何これ??これが…俺…?』

「そう、それが今の其方だ。死んだ今の其方は魂だけになっているのだが私が言いたいのは、その姿では無く、その色の事だ」


『色…?』

「ああ、色だ。通常魂と言うのは青白いのだが、其方は見事なまでに金色だろう?」


 ん~夢だとするならこのよく分からない設定は俺の無意識下で作り出されてるって事なのか??


『それが…何か…?確かに金色ですけど、それはたまたまそういう色なだけじゃ…?』

「たまたまで金色の魂なんて存在しないし、過去に例もない、その色は選ばれし魂の色だ」

『え、選ばれしって……』


 ますます理解に苦しむ夢だな……。


「時間が無いから要点だけ言うとだな、金色の魂と銀色の肉体が一つになれば救世主として現れると言われている」

『…えーと、さっきっから相当話がぶっ飛んでますけど、俺の魂?が金色だから俺が選ばれし?魂だと…?』


 話に取り留めないと言うか物凄い駆け足で進んでるけど夢なのか何のか分からなくなってきた……。


「ああ、金色の魂の話も私達の仲間の予言によるもので信用できる話だからこそ、こうして私は色も影も音も何もないこの空間で其方を待っていたのだ」

『で、ホントに金色の魂が現れて、それが俺だった?』

「そうだ」


 少女は口を少しへの字に結び真っすぐに俺を見ている。俺の理解度が悪いから苛立ってるのか?


『ちょ、すみません…さっきから貴女の仲間が世界を滅ぼすとか予言がどうとかハチャメチャ過ぎて何だかよく分からない話聞かされて理解に苦しむんですけど、どっちにしても俺には関係のない話じゃないですか?それに第一俺が世界の救世主って……あり得ないしバカバカしすぎてむしろ笑えますよ』


 いい加減目が覚めてもいい頃じゃね?いくらなんでも有り得ないっつーのマジで。

 きっといつもみたいに天体観測をしていてそのまま寝落ちしたんだろ。

 で、趣味と妄想が奏功してこんな馬鹿げた夢を見ているに違いない。


「さっきから夢だと自分に言い聞かせようとしているがこれは夢では無く現実だぞ?」


 っ!?

 え?!頭で考えた事読まれる…のか??


「ここは精神(メンタル)の世界だ。

 だから言葉を口にするのも頭で考えるだけでも同じと言う事だ。

 逆に言えばいちいち喋らなくても考えは伝わるって事だし、そもそも魂だけで口も喉もない其方はさっきから喋っている気になっているが言葉なんか発していないのだぞ」


 っ!?

 喋らなくても考えが分かっちゃうの?


『そうだ』


 っ!?

 確かに少女は口を閉じたままだったが()()()()


「な?口を開けて喋らずとも聞こるだろう?とは言え喋った方が“っぽい”と思ってあえて喋っているがな」

『……確かにそうですけど、って、そんな事より夢じゃなく現実って…やっぱり俺が死んだ事も今貴女が言ってたぶっ飛んだ話もみんな現実だって言うんですか…?!』


 少女は面倒くさそうにため息をつき組んだ腕を腰に当てる。


「そうだとさっきから言っているだろう?其方自身も死んだ事を受け入れていたのではなかったか?」

『いや、そうですけど死んだ事はともかく、貴女の言ってる事や今の俺の姿っていうか金色の魂…そうだ!大体にしてここが精神(メンタル)の世界だと言うなら貴女は何で俺みたいな魂だけじゃなくって少女の姿してんですか?辻褄が合わないじゃないですか?!』


 辻褄が合わないのが夢だと言う事じゃないのか?

 仮に現実だとして異世界の人がわざわざ()()()()の姿をする事はあり得ない。


「いきなり死んで選ばれし魂だの転生して世界を救って欲しいだのという話をするのだぞ?少しでも其方をリラックスさせようと私なりに気を使ったからだ」

『ま、まさかとは思いますけど…あり得ないと思いますけど…その姿って…もしかして……?』


「ああ、其方の世界にあるアニメとやらに出てくるキャラクターのフリーディだ」

『や、や、やっぱり…!何で異世界の貴女がフ、フ、フリーディ知ってるんですか…!?あり得ないでしょう!?』


 そうだ!あり得ない!何だか恥ずかしいけどこれで夢確定!転生とか何とか言ってるのも俺の意識下が見させる夢だ!!


「夢だと思いたい其方の気持ちも分からんでも無いが先程から何度も言っている様に夢では無い。それに今はこの姿の事より転生の話が最優先だ、大事な話だからゆっくり考えて答えを出せと言いたいとこだが何しろ時間が無い」


 何なんだよ一体!夢じゃないのか?!つーか時間が無いとか知らねーよ…!


『夢じゃないとか何とかってもう意味が分からないけど、どっちにしても勝手にそっちが話を進めてるだけで、時間が無いとか何とかって死んだ俺には関係無くないですか?』

「其方の言う事ももっともだが、時間が無いのは私達より其方の問題なのだ」


『はあ?…どーゆー事?』

「其方の魂が消えるという事だ。先程も言ったが通常は死んだら冥界に行って魂をリセットされるものだが、それを今こうして引き留めているだけで直に否が応でも冥界へと引っ張られてしまうのだ」


 本当に夢じゃないのかよ?!現実だとしたら消えちまうって事なのか??


『さ、さっき選択権は俺にあるって言ってませんでしたっけ?』

「選択権は其方にあるが時間が無限にあると言う訳では無い。だから其方は早く選択しなければならないのだ」


『そ、そんな事言われても……』

「いいか?もし其方が魂をリセットされたくないとしたら答えは1つしか無いのではないか?」


『え?いや、まあ、仮にこの話が現実の事だとしてですけど、魂が消えて訳の分かんない生き物になるのは嫌ですけど…でも俺が救世主?つーか普通に無理でしょ…』

「無理では無い、其方なら出来る、いや其方でなければ出来ない」


 この少女の自信はどっから来るんだ?平凡、いや平凡より劣る俺が世界を救う??ないない…! 


『じゃ、じゃあ聞きますけど貴女は俺の何を知っているんですか?自分で言うものなんですけど俺なんかには到底無理な話をしていますよ?ワリーけどそれは俺自身が1番よく分かってますから…』


「もう一度言うが無理ではない。其方以上に其方を理解している私が言うのだから間違いない」

『ハ、俺より俺の事を分かってる!?初対面の貴女が俺の何を知ってるって言うんです?』


空閑(くが) 彗太(けいた)、32歳、独身。無職。趣味はネットゲームとインターネット閲覧、主にエロ動画視聴及びエロ画像収集。まだ言うか?」

『っ!?そ、そうだとしてそんな自己紹介みたいな事知ってるだけで俺以上に俺の事知ってるなんてよく言うわ!!』


 面倒くさそうに首を振り大きくため息をつく少女。


「はぁ……仕方無い。

 28歳の時、会社のパソコンでファイル共有サイトから会社の情報が漏洩して解雇、以来無職。

 26歳の時、新入社員で入ってきた高橋絵莉に教育係として任命されるも、やがて好意を持ち告白するも振られ且つ高橋絵莉が会社に相談した事により会社の人間からストーカー呼ばわりされる。

 24歳の時、会社の先輩である川嶋寿人に童貞をからかわれ勢いでソープランドに行き童貞喪失。

 22歳の時、会社の新人歓迎会で飲めない酒を飲まされ…」


『わ、わ、分かった!!分かった!!もういい!!どうやって調べたか知らないけどよく調べ上げたもんですよ!確かに俺の事をよく知ってるみたいですね、人が忘れたい嫌な思い出までよく知っていて!ね、分かったでしょ!!そんな俺なんかが世界の救世主の訳ないでしょうよ!!』


 俺は恥ずかしい過去の話をされた事に苛立ちながら少女の言葉をかき消す様に叫ぶように言う。


「だが本当は正義感が強く、強さに憧れている。ただ痛い目にあったりするのが怖くて逃げていた事を後悔していてやり直したいと思っている」

『………』


「理不尽な事やイジメを見て見ぬフリした自分を弱いくせにと理解しながらも心の中に強い自分がいる葛藤に苦しんでいる」

『………』


「負ける事が怖くて常に自分に逃げ道を確保する様に全力を出さないズルさにも嫌気が差している。違うか?」


 くそっ!少女はただ真っ直ぐ見ているだけかもしれないし、そもそも球体でしかない俺に目は無いのだろうけど何だか全てを見透かされている様で直視できない……。


『だ、だったら何だって言うんスか!!何もかもお見通しだとでも言いたいんスか?!』

「違う。だからこそやり直さないのか?と聞きたい」


 …………やり直す?


「予言で示されたその魂の色と正義感を持つ其方の魂は世界を救う事の出来る力を持つ素質があるのは確かだ。ならば強くなり其方が憧れていた正義に生きる人生へとやり直せるチャンスの転生だと思わないか?これは私達の世界の為でもあると同時に其方の為にもなるのではないか?」


 た、確かに少女の言う事に魅力を感じなくは無いけど………。


「もう一度言うが其方にその素質がある。そしてそれはこれから巡り合う銀色の体に其方の金色の魂が入る事によってより現実味を増す事になる」


『ん?現実味を増す?何だかここに来て歯切れが悪い様に感じますけど……』


 世界を救うだけの絶対的な力を持って転生するのと違うの?


「其方にはその素質が他の誰よりもあるって言うだけで努力は必要だ。敵対する相手にしたって世界を滅ぼそうと努力するのだからな」


 そりゃそうか………。


「そりゃそうだ」


『……分かりました。正直転生とかって夢見たっていうか憧れる?みたいなトコあったし。そういう事なら……転生してもう一度やり直してみます!』


 そう、さっきから夢じゃないかとかごちゃごちゃ言ってはいたが内心ワクワクしているとこもあった。

 ただ自信の無さと現実味の無さから反抗するような事言ってたけどそれも実は勇気づけてもらいたくて、背中を押してもらいたくて理屈をこねていただけだ。


 こんな自分を変える為にも、さらにそれが平凡だった人生を変える事になって人の役にも立つならまたとないチャンスに違いない!! 


「そう言ってくれて本当に良かった、私もまたあっちで会えるだろう」

『え?会えるだろうって、一緒じゃないんですか?』


 一人で異世界に転生するのは流石に不安だぞ?


「私に出来る事は魔術で其方の魂を私の世界へと転移させ銀色の肉体へと導くまでで、私自身が一緒になって魔術で転移する事は流石に無理だ」


『ち、ちなみにその銀色の肉体?の人は僕が転生する事で体を乗っ取ると言うか憑依するみたいにして亡くなるって事じゃないですよね?』


「いくら何でも生きている人間に魂が入る事は不可能だ、恐らくその人物は事故か何かで亡くなって魂の抜けた後、其方の魂が入る事で転生する事になる」

『……………』


 しれっと言うけど何だかイメージしてた転生と違うな、赤ん坊として生まれるとか前世での姿で転生するとかそう言うイメージだったんだけどな。


「……今更怖気付いたか?」


 少女は全てを見透かす様な眼差しで俺を見ている。

 俺の答えは知っているくせに。その証拠に少しニヤけてるじゃん。


『ふ、いいえ』

「知ってる、其方は臆病だが一度決めたらやるっていう頑固な面もあるしな」


『って言うか、さっきも聞きましたけど何でそこまで俺の事知ってるんです?』

「簡単な事だ。今の其方つまり魂に直接触れて聞いたのだから其方の記憶力以上に其方に刻まれた記憶を共有させてもらったのだからな、だから其方以上に其方を理解していると言う事だ」


 そーゆー事ね………。


『と、とりあえず俺の魂にはもう触れないで欲しいデス』

「分かってる。別に其方の秘密を知っているからって何だと言う訳でもないし、逆に言えば興味も無い。私が興味あったのは予言にある金色の魂の持ち主がどういう人間かって言う事だけだ」


『そうですか』

「別に其方のオ〇ニーの方法がお気に入りのフリーディフィギィアを握り締め、押入れからベッドにダイブしながら果てるオ〇ニーを週5してる、逆に言うと休オ〇週休2日制だろうハッキリ言って興味無い」


『あわわわわわわ、ちょちょちょちょ、だ、だからそう言う事は口にしないで下さい!』

「分かった。それじゃあ早速転生させるぞ?」


『ちょっと待った!!貴女の住む世界に転生して、貴女が誰で敵対勢力は誰かも知らないのは不安なんですけど……』

「そう言う事は分からない方が都合が良い場合もある」


『何でです?』

「其方が転生して救世主になると言う事は奴らにしたら非常にやっかいな存在だ。だとすれば当然、力をつける前にあらゆる手段を使って其方を殺そうとするだろうな」


『こ、殺す……?』

「だが幸いな事に誰にも其方が何処で誰に転生するかは分からない。これは希望的観測だが、もしかしたら其方が転生する事すら気付いていない可能性もある」


 つまり普通の暮らしをして出る杭にならない様にして身を隠し時が来るのを待つと言う事か?


『でも貴女はこうして僕に会いに来て説得までしたじゃないですか?その敵対勢力?にしても今まさに僕を探しているかも知れませんよね?』

「探しているかどうかは分からないが少なくとも其方と接触する事は無い。何故ならこの場所に来れるのは私だけだからな」


『何故貴女には出来て敵対勢力は出来ないって言えるんです?』

「はじめに其方が聞いた事が答えだ、私は死んだ人間に会えて話が出来る神様みたいなものだって、ここに来れるのは私だけが持つ能力だからだ」


『そ、そうなんですか…?』


 この空間に来れるのはこの少女?が持つ特殊能力なのか…何だかそういう話になると俄然異世界感が出てくるな。


「そうだ、それじゃあそろそろ良いか?」


 少女が俺に向け手をかざす。


『いやいや貴女が誰って答え聞いてないし!もし貴女と再会出来たとして今の姿ではなく別の姿なんですよね?』

「金色の魂を持つ其方が転生して救世主となるのだから姿形が変わっていてもきっと私が気づくし、その時には私から声をかけるから安心しろ」


 気付かなかったらどうなるんだろ?って言うか今は信じるしかないのか…?


『ん~分かりました。それじゃあ、せめて僕と再会出来た時に貴女だと分かるの為にも合言葉かなんか決めておきません?』

「そうだな……そうしたらフリーディにするか」


『フ、フリーディですか…何か…今となっては気恥ずかしいフレーズになっちゃいましたね…』

「だがそれこそ其方と私しか知らないキーワードであろう?」


『ですね…』


「それじゃ今度こそ良いな?先ず其方がすべき事は私を探す事でも敵を探す事でもない、これから生まれ持って得る才能を活かしその力を伸ばす事と肝に銘じしっかり鍛錬に励む事だぞ」


 そう言うと匿名希望の見た目はアニメのヒロインキャラは何やら呪文を唱え出した。


『はい、それじゃあまた。貴女の住む異世界で…』


 俺がそう答えると匿名希望の少女の両掌がオレンジに光りその眩しさに目を閉じれば意識が遠のいていった…。

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