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ウィリアムとメアリ

作者: わかばひいらぎ

暇つぶしに御伽噺風の物語を書きました。適当です。気軽に読んでください

昔昔、ある町にひと組の夫婦がいました。とてもおしどり夫婦で、仲が良いと噂されていますが、夫が病弱なため森の奥に住んでいました。その夫はウィリアム、妻はメアリと言います。メアリは夫のできない牛の世話や力仕事を、ウィリアムは家の中で毛織の服を作ったり料理を作ります。ウィリアムは病気からのストレスのせいで髪の毛が真っ白です。

「メアリさん、薪割りをお手伝いしましょうか?」

とウィリアムが聞くと、

「いいえ、ウィリアムさんは走るのだって危ないんですよ。家で休んでいてください」

と返し、ウィリアムが

「メアリさん、お夕飯にしましょう」

というと、メアリは

「はあい!」

と返す。これは夫婦にとっても牛にとってもお馴染みの会話となっていました。


一方、町の中で一人このことをよく思っていない人がいました。それが、メアリの妹のアンです。アンは町一番の美人だと有名でしたが、意地悪な性格のためあまり人気がありませんでした。そんなアンは美青年で有名なウィリアムに一目惚れしていましたが、姉のメアリに取られたことをたいそう悔しがっていました。結婚から半年がたって、ついに我慢の限界を迎えたアンはウィリアムに直接会って別れさせようと思いました。

「ウィリアムさん、ウィリアムさん。どうしてあなたは私よりも醜い姉を選んだのですか?」

「それは、彼女の心が美しいからです」

「私は顔も心も美しいです。ですから、私と結婚しましょう」

「いいえ、本当に心の美しい人間はそんなこと言いませ。すみませんが、貴方と結婚することはできません」


ウィリアムをメアリから引き剥がすことに失敗したアンは、その帰りに森に住む心優しい魔法使いを尋ねした。

「頼みがある。森に住んでいるメアリがいるだろう?あいつを殺してくれ。金ならある」

アンは机の上に沢山のお金を袋いっぱいに詰めて置きました。そして、アンは特に何も言わずに去っていきました。

さて、お金を受け取ってしまった魔法使いはやるしかありません。しかし、家の前まで来ましたが、心優しい魔法使いはやはり人を殺すことはできませんでした。しかし、お金だけ貰えないと姉であるメアリにアンに貰ったお金を返してもらうことにしました。

「メアリ様、ウィリアム様こんばんは。このお金をあなたの姉上に返していただけますか?それに、アン様は貴方の命を狙っています。気おつけてください」

そう伝えると、魔法使いは帰っていきました。

「アンが私の命を?どうしてかしら?」

「大丈夫ですよ。もし何かあったら、僕が守りますから」

この日の夜、心配したウィリアムはそっと斧を近くに置いて眠りにつきました。


次の日、鳩でお金が返されメアリが生きていることを知ったアンは、遂に最終策としてメアリを捕らえて殺すことにしました。ウィリアムが編み物をしているときに、数人の兵隊にメアリを捕えさせました。いつもと変わって牛が騒がしく、変に思ったウィリアムがメアリの方に行った時には、もういつもの場所にいませんでした。遠くに集団が見え、その格好は明らかに兵隊で、それに捕まっているのはメアリでした。

「メアリさん!メアリさん!」

斧を片手にウィリアムは走りました。でも、今までほとんど走ってこなかったウィリアムはすぐに疲れてしまいました。走るスピードも速くないので距離がどんどん離れていきます。もうダメだ、と思い、涙を流していると急に体が軽くなりました。何事かと思って振り返ると、昨日家に来た魔法使いがいました。

「ウィリアム様は走ったことがないのでしょう?だから、走れるようにしました。それもそこそこのスピードで。私は魔法で人を傷つけたくありませんので彼らは倒せませんが、私は頑張る人の味方です」

そういうと、魔法使いは去っていきました。気を取り直してウィリアムは走り出しました。そのスピードは馬よりも速いです。しかし、その速さゆえに彼の体に大きな負担をかけました。ウィリアムが広場に出た時、メアリは鎖で縛られていました。今まさにメアリが殺されるその瞬間、メアリを縛っていた鎖を斧で叩き切りました。走ることができなかったウィリアムが猛スピードで来たことに人々はとても驚きました。

「メアリさん、大丈夫ですか?」

そう聞くウィリアムの体はもうボロボロです。

「ええ、大丈夫よ」

そういうと彼女は、優しく幸せな顔をした亡骸に抱かれました。

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