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気持ち

 この日以来、生也と雫の放課後のひと時に光も加わった。といっても、雫と光は二人の世界を作っているので、生也の入る隙はなかった。なので生也は音楽室にはくるものの、ただ二人の様子を見て、10分ほどで何も言わず帰ってしまうことがほとんどだった。そして今日も、生也はすぐに帰ってしまった。

 「俺、帰るわ。」

 「鬼城くん……」

 雫が呼び止めようとしたが、生也は雫の声に気づかず行ってしまった。


 音楽室を出た生也は、たくさんいる彼女のうちの一人の女の子に電話していた。

 「もしもし? 俺だけど。生也。」

 「あ!! 生ちゃん!! 久しぶり〜、何でずっと連絡くれなかったの?」

 「あ〜、色々忙しくってな。今からお前に会いたいんだけど。」

 「私は大丈夫だよ。」

 「じゃあ、今からお前んち行くわ。」

 「待ってる。」

 電話を切ると、すぐに女の子の家へ向かった。

 生也はここ2、3日ずっと自分の気持ちについて考えていた。光が現れたことによって雫と話す時間がなくなってしまってから、無性に寂しく感じるようになっていた。今まで自分と仲良くしてくれた雫が急に遠い存在になってしまったからなのか、雫が光と話すことが原因なのか、生也の中で整理できないでいた。なぜこんなにも雫のことを考えているのか分からなかった。


 そのころ雫は生也のことが気がかりで歌うことに集中できていなかった。

 「森さん、どうかしました?」

 光は伴奏を止めて、雫にたずねた。

 「ううん、なんでもないの。」

 「そんなこと言っても声は正直だから、全部でてますよ。」

 「……。」

 「僕でよければ、お話聞きますよ。」

 「ありがとう……最近、鬼城くんが元気ないなーって思って。」

 「……。」

 「前はいっぱい話してくれたのに、最近話してくれないし。私、嫌われちゃったのかな。」

 「……。」

 「大山くんはどう思う?」

 「……森さんは、鬼城のことが好きなんですね。」

 「え?」

 「鬼城がうらやましいです。」

 「大山くん? 私は別に……」

 「森さん、俺じゃダメですか?」

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