神格証明書
投稿する場所を間違えてしまいました。
こちらでやり直します。
すっごい頑張って書きました
教会のような建物の中に入った。
証明書を作るところと聞いていたから、固い印象の市役所の受付カウンター的な感じかと思っていたら、異様にオシャレなホテルのロビーのような造りだった。
受付のお姉さんはお世辞抜きで可愛かった。しかし、俺の隣をもう一度見たらそっちの方が可愛かった。なんという優越感。受付のお姉さんは俺らのことカップルだと思って勘違いしてくれていないかな。
しょうもないことを願ってしまった。でも、これもしょうがない。だって俺は人間界でも彼女が1度も出来たことがなく、学校外で女子と遊んだことなんてないんだから。そりゃあこんな可愛い子が横にいたら舞い上がってしまう。
こんなことを考えている間にもネロは着々と手続きを進めている。
すると、いきなり横から
「えーーーーーーー。」
という甲高い声というより悲鳴に近いそれがロビーに響き渡った。
ロビーにいた人(神)が一斉にこちらに目を向けてくる。ロビーを見回していた俺は、くるっと半回転して、すぐにその視線に背中を向けた。
クラスで陰キャの俺にはこの量の視線(それも、見下されるような)はキツイ。そもそも視線を浴びるのは俺じゃないはずだ。声を出したのは可愛いお姉さんなんだから。
どうやら、うちのアホ女神が俺の個人情報的なものをバラしてしまったようだ。それにしても、そんな悲鳴が出ちゃうほどの個人情報なんてあったかな?
さっきまであまり聞いてなかった手続きの会話に耳を傾けることにした。。
「あ、あなた本当に人間を呼び出しちゃったんですか?」
「ほんとですって。信じて下さいよー。」
「いやいや、だって召喚の魔法は数百年前に封印されて誰も使えなくなったはずだよね?」
「それを私は60年近く研究して、粘って粘って粘り切ってついに、復活させてやったのよ。」
なんだか、正式な手続き中なはずなのにカフェで世間話してるみたいなテンションと口調。
それはさておき、やっぱり俺ってここの世界に来たの間違いだったんじゃないか?と思えてくる。
「でも、リルネロさん。既に、人間がこの世界に来た場合の手続きなどはないんですよー。」
「そこを何とかして欲しいんだよねー。だってそれじゃあゆうまがこの世界で困っちゃうでしょ?」
マイガールフレンドよ、常に俺のことを心配してくれているなんて、感心感心。
だけど、やっぱ俺は場違いだよね?そろそろ帰りたくなってきたんだけど。
「そうね、神という証明がないと、異界人として怪しまれても仕方ないんだよね。だけど、無理なんですよー。」
「無理って言っても、どうせ称号の呪文かけるだけでしょ?それぐらいやってくれたっていいじゃない。」
「そんなことして、マザーにバレたら、私が人間界に落とされちゃうし………。」
「あーもう分かった。このセンターで一番偉い方呼んできてちょーだい。」
で、出ました、クレーム客の王道の一言。でも、この状況おれにとっちゃ全く面白くもないんですけど。どうせいやいや対応されて、俺は何もしてもらえずに終わりなんでしょ?嫌だよー。この後、帰り道に広場のベンチでネロと2人で、ショック受けて、座り込んじゃうとか、嫌でもないかもしれないけど、やっぱ嫌だよー。人間界が恋しいよー。もう、帰りたい。
待つこと2分。とても長く感じた。嫌な気持ちになってる証拠。
「私がここのセンタートップのリクライネと申します。」
受付の裏から出てきた男は顔は普通で30代ぐらいに見えた。
あーこの人に蔑むような目で見られて、無理って言われて終わりだなと俺は覚悟した。
しかし、これまでさんざん俺に運を与えてくれなかった隣の女神がここで本領を発揮した。
つまり、奇跡は起きたのだ。
ネロはさっきお姉さんにしたのと同じ説明を一通りし終えた。リクライネという男は、俺が人間と分かったときも、少しも悲鳴を上げず、終始真顔で聞いていた。やっぱり真面目だ。許して貰えそうにない。
「と言うわけで、ゆうまがこっちの世界で不安無く生きれるように、怪しまれないように、神格証明の呪文をかけて欲しいのです。」
「えーっと、それはマザーの出す法律によって厳しく縛られていまして………」
ほら、思った通りこの人は真面目で、例外を認める気なんてさらさらないんだ。
「そこを何とかお願いします。」
「そうは言われましても。ていうかだいたい、あなたは神の1人なんだから、しっかりルールを守って、みんなの手本となるような立場でしょう。だから、そんな例外を私が認める訳には………。」
あーアホ女神お説教まで食らっちゃった。でも、さっきから最後の尻すぼみが気になる。この男の人は最初から堂々とはしているのに、口は弱そうだ。まるで、ネロの権力に立ち向かえないようだ。もしかして、この世界には800万の神の以外にも神がいて、その人たちはランキングに入っている人たちには逆らえないのかもしれない。
こんな状況ながらも俺はネロが説明してくれないこの世界の細かいことを想像していく。
するといきなりネロがカウンターの台に肘を着いて、前のめりになり、男の耳元まで口を持っていき、何やら秘密の耳打ちをした。そして、台と体の間に、右手を挟んで、自分の体をモミモミ。
俺はここまで気づいてなかった。可愛い顔&後ろ姿のスタイルの抜群なネロは、胸のボリュームも半端じゃないということに。
なぜ気づかなかったかと言えば、ネロが羽衣のようなふわっとした服を纏っているからだ。その服装はいかにも神らしくて良い。ロビーをよく見たらそんな格好ばかりで、俺は改めて自分の服装が浮いていることに気付かされた。
本題に戻る。
ネロが耳打ちと巨乳アピールをしたら、2人は一緒ににまーっと笑みを浮かべた。何を言ったのか非常に気になるが、何となく想像がつく。神界も人間界に負けず劣らずエロで溢れかえってるんだろうな。俺はまたひとつこの世界の想像を膨らませた。
そして、男は言った。
「私がやりましょう。」
「やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
さっきのお姉さんの悲鳴以上にロビーに響き渡り、またもやみんなの視線が痛い。さらに自分の格好が浮いてることが分かったので、痛さが何割か増した気がする。
男は最後に1つ忠告した。
「これは絶対誰にも言ってはいけませんよ。マザーにバレたら終わりですからね。」
「もちろん!」
ネロは元気よく答えた。
俺は一言も喋る必要も機会もなかったが、どうやら、俺が諦めていた交渉は成功したようだ。
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