女神
女神は僕を見て言った。
「ようこそ。神の世界へ。やっと会えて嬉しいよー。私はあなたと会うために何年も頑張って転移させたんだからね。」
そんな軽い挨拶かよとっ込みを入れたくなるような内容と声のトーン。
神ってもっと礼儀正しくて堂々とした声で話すイメージだったんだけど。
「こんにちは。俺は」
そこまで言いかけて、本名よりニックネームの方がいいかなと思った。なんか神っぽい名前に……
そう言えば目の前にいるコイツ自己紹介した気になってるけど名前聞いてなくね?
「あなたの名前をまだ聞いてないんですけど。」
恐る恐る尋ねると。
「あーわわー。ハハは。そうだったね。私はリルネロ 」
おけおけ。そういう名前を名乗ればいいんだな。
「俺の名前は…」
「知ってるよ。れい。」
「なんで知ってるんだよ!」
「そりゃあ私は一応神ですから。おほほほほほほほほほほ。」
どっからそんな声出すんだよっていう感じのおかしな作り笑い声。
「じゃあこれかられいくんって呼ぶね。私のことはリルでいいわ。」
「はーい。分かったよ。ネロ」
「だからリルでいいってば。なんでわざわざ反対にするのよ。」
コイツ結構気が強いかも。まあ、俺もわざとひねくれたんだが。
「こっちの世界に来たのは初めてよね?」
「うん。」
「じゃあ神格証明書作りに行こう。」
「何それ。」
「人間の世界で言えば身分証明書みたいなもの。こっちの世界で生きていくには作らないと、排除されてしまう。」
「は、排除って、誰に?」
「マザーゴッド。神世界の頂点に立つ方よ。その証明書がないと、部外者だと思われて宇宙へ放り投げられる。」
「おいおい、俺はこんな所に来てもいのかよ!」
「大丈夫。私が何とかしてあげるから。ねぇ、信じて!」
こっちに最高の笑顔を向けてきた。俺は呆然としてしまった。コイツめっちゃ可愛い。。でも、良く考えれば女神なんて全員美人なのかな。
なんでコイツがこんなに必死なのかは分からない。けどとにかく俺はこの可愛いコイツに少しついて行くことにした。