俺の足がもたん時が来ているのだ!!!
文章量少なくてすみません。
エデルに攻撃が通じているので、間髪入れずにエデルを斬っていく。
……ヤバイ、魔力も体力も限界に近い。人形に魔力をギュンギュン吸われながら、ずっと動き続けるのは中々堪えるな。
エデルが人形の剣を脅威に感じたのか、距離を取ろうとする。
しかしそこをリコリスに狙われ、掌底が一発胸に入った。
勢いよく吹き飛んだエデル。アイツのガチめな一撃は大分効くだろうな。
「よーし、このままトドメを――」
刺そうと俺が前に出た瞬間、足に激痛が走る。
俺はバランスを崩し、前のめりに転倒してしまった。
「ぐっ……チィ、何が……」
足元を見ると、脚にエグい刺し傷が入っている。
下から生えてきた剣にぶっ刺さったワケではない。
「やってくれたな」
「こっちの台詞だクソダボが」
胸を抑えながら此方へと接近するエデル。
ぶっ飛んだと同時にこっちへ針を飛ばしていた様だ。床スレスレに投げやがったので気づかんかった。
「主――ッ!! ぐうっ!?」
直ぐにリコリスが反応するも、下から生える剣に遮られ、後退する。
いつまた剣が生えて来るかも分からんし、このままではマズい……!!
「ハナさん!!」
「お前も大人しくしていろ」
「なっ!? うぐっ!!」
ケイカが魔法を使おうと構えるも、エデルの針が肩へと刺さり吹き飛ばされる。
前の俺だったら慌てて逃げようともがいてたかもしれんが……こんな急場でも、慣れと言うのはあるのだろう。
俺は引き続き人形を操り、エデルへと向かわせる。
「往生際が悪いぞ死にぞこないが。とっととくたばっとけ」
「それはこちらの台詞――」
人形から、青い光が漏れる。
その場で二つの剣を構え、高速でその剣を振るった。
蒼く鋭い斬撃が、エデルへと一直線に向かう。魔法よりも速い飛ぶ斬撃だ。
しかし、エデルが気づくと同時に身を屈めた。
斬撃はエデルを掠め、尾を切り落とした。く……後コンマ1秒遅けりゃ真っ二つにしていた物を。
「終わりだな」
もう身動きが取れないと思い油断しているのか、人離れしたツラで口角を上げるとエデルは俺目掛けて拳を振り下ろす。
まだ。まだ死んでたまるかっての。
(ハナ様!!)
セピアの叫びと共に俺は体を捻る様に回転させると、エデルの攻撃を躱す。
普通なら一発も避けれないくらいに速い攻撃だが、来ると分かってるなら何とかなる。
「んのっ!!」
俺は負傷した方の足で、エデルへ思い切り蹴りを入れる。
鮮血が舞い、エデルの体に血が掛かった。
「小賢しい」
少し苛立ったような声で、俺の足を掴む。
ギリギリと俺の足を強い力で握りしめる。
「ぎっ!!? ぐぅっ……!!」
やばい、血があふれ出て、骨が軋む。だが、下手打ったワケでは無い。
(セピア、エデルの能力見せろ)
(直ぐに)
体が触れてさえすれば能力が見れる。ギリギリだが、ここから起点を作るしかない。
名前:エデル・ペンタス
情報:人間 男 0歳
体力:B
筋力:A
敏捷:A
魔力:B
知力:A
魅力:C
幸運:F
スキル:【土魔法】
特殊スキル:【合成】
【守護者】
脳内に、セピアから情報が流されてくる。これでまだ人間だの0歳だのツッコミ所満載だが、今は置いておく。
【守護者】は見た事あるぞ。ルビアが持ってた特殊スキルだ。
そして【合成】。どうみてもこいつで悪さしていたに違いない。
……ぐっ、千切れそうなくらいに掴みやがって。時間がねえな。
「いつまで掴んでんだ変態野郎がッ!!」
声を張り上げ、俺は懐に温めていたナイフをエデルの顔面へと投げる。
エデルは逸らして弾く様に、頭を動かしてナイフを避ける。
くっそ、全然打開策が浮かばねーわ。能力見たからって弱点がパッと分かる訳じゃねえからな。
だがまぁ、あの謎に魔法跳ね返してる能力が【守護者】。剣や針は【土魔法】だと考えりゃ、他に手札は無い筈。
それが分かった所で、俺の足が握りつぶされるのは時間の問題か。
ならば――
「エデル・ペンタス」
「……」
「その【守護者】は、あのガキのスキルだろ?」
「ほう、私の力が見えるのか」
ケイカやリコリスがいる以上、言葉で時間は稼げないが――少し動揺させるくらいはできる。
急げリコリス、ケイカ!!! 俺の足がもたん時が来ているのだ!!!
「……やはりお前は、ここで死ぬべきだ」
後ろへと迫っていたリコリスが氷の槍をエデルへと投擲する。
「くどい」
足は握ったまま、もう片方の腕で氷の槍を弾いた。後手に回ってるせいで、決定打が入らない。
ぐわりと、視界がゆがむ。ヤバい、血を流し過ぎたかも。
人形を維持するのも限界だ。くそ、万事休すか。
もはや言葉はいらないとばかりに、エデルが拳を俺の胸を貫くべく突き出した。
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