どこからどう見ても美少女らしい性格
ミ・ギグが離れた後、リコリスとシーラがバトってるのを見ながら、三人でまったりと会話している。
龍と幻獣が戦ってるの観戦しながら日常会話とか、かなり異世界っぽくて一人感動している。
「なぁハナ。王都行きの件なんだが。もしよければ、俺達と一緒に行かないか?」
俺がこの服の素晴らしさを伝えている途中で、急にダイナが話を切り出した。
ハーレムパーティと一緒にねぇ……。王都へ向かうのは俺とリコリス、ケイカにボタン……全員女じゃねえか。ボタンは知らんけど。
「まさかお前、俺達全員をハーレムに追加する気じゃ……」
「……最低」
「断じて違う!! ブローディアさんも乗らないでくれ!!」
だってお前、男1の女8だぞ。ドン引きですよ。むしろ男側が肩身狭くてキツいだろ。
とんでもないサークル活動を提案されたので咄嗟に引いてしまったが、人が多い方が安心と言えば安心なんだよな。
「じゃあなんで?」
「オクナとガーベラの提案だよ。オクナは興味本位で、ガーベラは黒い魔物と因縁があってな。ハナやリコリスさんはやたら出会うって言ってたから道中話を聞きたいんだと」
「話せるような事なんてギルドに全部言ったぞ」
ふむ……言い方は悪いが、あわよくば俺達で黒い魔物を釣りたいんじゃないのだろうか。
探せばいるって訳でもないし、何回も襲われてる俺らを見張ってた方が早いしな。
でも、襲われてたの俺らじゃなくてルマリとディゼノなんだがな……。
「でもまぁ、確かに人は多い方が良いんだがな。馬車とかどうするんだ?」
「ギルドで貸し出しているのを借りるか、護衛依頼を受けるって手もあるな」
「俺、冒険者じゃねえぞ」
「そういやそうだったな。冒険者より冒険者らしい性格してるからつい」
どこからどう見ても美少女らしい性格なのにコイツは何を言ってるのだろうか。
「大体、旅行気分の美少女が護衛に入っても迷惑なだけだ。馬車借りれるなら、そうするか」
「そう言う所真面目だよな」
自分で言っておいてなんだが、既に一緒に行くの決定してるみたいな言い方になってしまった。
本当は最初まったりと旅を楽しみ、飽きたらユーリとリコリスを幻獣化させて速攻で王都まで行こうと思ってたんだよな。
流石に飽きたから先に行くわ。なんて事は出来ないし、どうしたもんか。
「……うーん、どうしようかな。ガーベラちゃんが言うならやぶさかでは無いんだが……」
「占ってあげましょうか?」
「え?」
「迷い人に手を差し伸べるのも、【占術師】の使命」
ブローディアが水晶を取り出し。優しく包む様に抱きしめる。すげー占い師っぽい。いや、占い師なんだけど。
水晶を見てるフリして乳を見てると、やがてブローディアが口を開く。
「二人の少女。その子達との出会いが、貴方の運命を大きく動かす」
「ほー、二人の少女ねぇ」
「旅はおだやか。而して成長の兆し。……っ!」
少し驚いた顔をした後、直ぐにその顔を元に戻し、ブローディアは続ける。
「……王都にて、大きな障害」
「障害?」
「ええ。何かしら、貴方に不都合な事が起こる」
マジかよ~! と思ったけど、数日の間に不都合な事起こりすぎてリアクションに困る。
こんな田舎町でトラブりまくってるんだから、王都なんて言ったら三つや四つの障害なんて想定の内だぜ。
「ま、それはいいや」
「ポジティブだな」
「気にしてもしょうがないですからね。王都へ向かうまでは楽しそうだし。それで、ダイナさん達と一緒に行った方が良いんですか?」
「……どっちでも」
「なんでそこが曖昧なんだ……」
一番占って欲しい所が適当なんだよな。
まぁ、結局最終的に判断するのは自分自身なんだけどね。
さっき言ってた事を踏まえ、俺はダイナへと返答する。
「じゃあ一緒に行くか」
「良いのか?」
「聞いといて何言ってんだ。それよりも、俺が王都で困ったら助けろよ」
「ああ、出来る事があれば協力しよう」
泣きつける先はいくらあっても損しないからな。占いの結果からという訳ではなく、困った時に頼れる人が多い方が良いなと思ったのだ。それを改めて認識させてもらった。
「ブローディアさんも(良い乳を見せてくれて)ありがとう!」
「……何故か視線が合って無いけど、どういたしまして」
そんな事は無いぞ。常にポジティブだから視線も前向きなんだよ。
「折角だからブローディアさんも一緒に行きません?」
「私は一人が良い。今回の件でそれを再認識した」
「いくら何でもクーヤと一緒にされるのは心外ですね」
暫くは一人で、とブローディアは遠い目をして言った。無理強いはしないが、貴方ふわふわしてて見てるこっちは心配なんだよ。
ふわわ~っとブローディアは欠伸をして、リコリス達の戦いを眺めていた。
何はともあれ、俺達はダイナ率いる『六曜』のメンツと一緒に王都へ行く事となった。
長旅になりそうだからな、きっちりと準備しなければ。
「ハナ、こっちで勝手に決めてるけど、リコリスさんやケイカさんに聞かなくて良いのか?」
「良いの良いの。俺がご主人様だから、全ての決定権は俺にあるのだ。そうと決まれば早速詰めるか。オイ、ダイナ。ガーベラちゃん呼んで来い。あ、最初に言っとくが旅費は全部そっち持ちな」
「これは先が思いやられるな……」
ダイナはともかくとして、ガーベラちゃん達が来るのはテンション上がる。王都へ向かう前に、更に美少女力を鍛え上げなければ。
俺はブローディアに言われた二人の少女と、大きな障害とやらの事も忘れ、良い旅美少女気分の事で頭がいっぱいになるのであった。