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異能力者達の日常  作者: jamネコ
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第7話~三戦士の指導、仕上げ編①~

たいへんお待たせしました。第7話が書き終わりました。今回はミーティングルームから話が始まります。最後まで読んでもらえると嬉しく思います。

      ~フォビアの民の手紙~



 内閣調査室ないかくちょうさしつにフォビアの民からの手紙が届いてから1週間後。ツバキプロジェクトのメンバー、炎基えんき伝雷でんらい氷姫こおりひめ瀬戸せと逹は研究所のミーティングルームに集まっていた。Jam所長は、パンパンと手を叩き、ミーティングルームにいる全員の視線を集めた。

「みんな~注目ちゅうもくー。1週間前に内調ないちょうに届いたフォビアの民からの、手紙の内容を瀬戸さんから教えてもらうから、みんなよく聞いておくように。それでは瀬戸さんお願いします」

「わかりました。それでは、まずは手紙をそのまま読み上げます。『脆弱ぜいじゃくなる人間諸君にんげんしょくん見事みごと三戦士さんせんしを倒し三竜様さんりゅうさま達への挑戦権ちょうせんけんた。まずは、おめでとうと言っておこう。三竜様達も、ひさしぶりに骨のあるやつらがいたと。およろこびになられている。三竜様達は、このゲームをさらに盛大せいだいまつりにするおつもりだ。そのために我々フォビアの民は、最高さいこう舞台ぶたいを準備している最中さいちゅうだ。観客席も用意している。貴様らが死ぬ所を見せたいのであれば、観客も連れて来るがいい。この手紙が届いてから、2週間後には完成する。場所は、色紙町しきがみまち倉庫街そうこがいの地下。ルールやハンデはこの前と同じだ。今から2週間後から、いつでも挑戦ちょうせんを受ける。今日の夜からジャッチを我々と貴様きさまらの伝言係として倉庫街に待機させておく。時間は20:00~24:00の間だ。我々に伝えたい事があればジャッチに言えば我々に伝わる。まぁ、貴様らが三竜様達にかなうとは思わないが、せいぜい祭りを盛り上げて、三竜様達をたのしませてくれたまえ。脆弱なる人間諸君』手紙の内容は以上です。この手紙は1週間前に届きました。なので三竜逹の準備は、あと1週間程で終わると思います。私が知りたいのは、ツバキプロジェクトメンバーの皆さんの準備が、いつととのうかです。どんな感じなのですか?Jamジャム所長」

Jam所長はボサボサの頭をきながら、口を開いた。

「それは炎基えんき逹に聞いた方がわかりやすいか………どうなんだい?炎基」

「そうですね……未来みらいは、出した課題をほとんどクリアしているので、あとは仕上しあげといった所ですね。そうだろ未来」

「まぁ、俺にかかれば、ざっとこんなもんだよ炎基えんき

「まだまだ余裕よゆうそうだな。そうか、なら仕上げは、もっときびしくいくか」

「えっ、マジで……」

未来の額から大きな冷や汗が流れた。それを見ていた、なちょが。

「お兄ちゃん、変に余裕ぶるからそういう事になるんだよ」

「そういう、なちょはどうなんだよ」

「なちょは、ちゃんとやってるよ。もう少しで目標もくひょう達成たっせい出来そうだし。ねぇ~氷姫こおりひめ

「そうね。確かに私が思っていた以上に、なちょは上達じょうたつが速いわ。こっちも仕上げといった所ね」

「なちょは、やればできる子なんだよ~氷姫」

「なちょ、そういう事は自分で言わない方がいいわよ」

「えぇ~何で~、だって事実じじつだからいいじゃん。氷姫」

「自分で言わない方がいいこともあるの!それで納得しなさい。めんどくさいわね」

なちょは、口をとがらせて、ふてくされた顔をしながら、氷姫にブーイングをした。

「わけわかんなーい。ブー、ブー」

氷姫は、なちょのブーイングを無視して、伝雷でんらいに話しかけた。

「伝雷兄さんのほうは、どんな感じ何ですか?」

「そうだな~、結論けつろんから言うと、秋人のトレーニングは、すでに仕上がってるよ。まったく、秋人のトレーニングのやりかた上達じょうたつの速さには、俺もおどろかされたよ。トレーニング開始4日目の午前中には課題をクリアしたからな。まぁ、俺の言ったりょうの3倍の量をやってたからな秋人は。4日目の午後から昨日までは実践形式じっせんけいしきのトレーニングにえて、やってたよ」

伝雷の話を聞いていた未来は、目をランランとかがやかせて尊敬そんけい眼差まなざしで秋人に話しかけた。

「マジっすか、秋人さん!やっぱり秋人さんはすごいっすね」

秋人はニンマリと笑みを浮かべながら、(ヨシッ!これで兄貴分あにきぶん面子めんつたもてたな)と思い、心の中でガッツポーズをしながら未来に答えた。

「そんな凄くないよ。未来も仕上げ頑張れよ」

秋人にはげましの言葉を受けて、未来のやる気が熱く燃えだした。

「はい!秋人さん。よっしゃあー、やってやるぞー!炎基、厳しくだろうが、仕上げだろうが何でも来い!全部やってやるぜ」

その様子ようすを見ていたJam所長は、フッと鼻から軽く息を吐き笑みを浮かべて、未来に言った。

「未来、やる気を出すのはいいけど、くれぐれもオーバーワークにならないようにね。それと、他のメンバーの事も聞かせてくれないかな?」

炎基はJam所長の方に顔を向け話始めた。

「未来の他にはヘイゼルと実践訓練じっせんくんれんをやってました。今ではもう俺と互角ごかくに渡り合えます。対炎の対策も、もうぶんないですね。それにヘイゼル本人も楽しくやってたみたいですし」

炎基はヘイゼルの方に顔をむけた。

「そりゃもう楽しかったでぇ、今まではほとんど1人でトレーニングしてたさかい。やっぱり相手がいると楽しくトレーニングできるし、色々勉強にもなる。毎回いい汗かかせてもらうてますわ炎基には」

「その事なんだけど」

伝雷が話始めた。

「俺も秋人の方が仕上がって、あとは秋人自身の調整ちょうせいだから、ヘイゼルの方の実践訓練に参加しようと思ってるんだけど、どうかな炎基兄さん?」

「そうだな、そろそろ相手を、変えてもいいだろう。どうだいヘイゼル?」

「おっ、次は伝雷が相手かいな。ええよ、今から楽しみやなぁ~」

氷姫が手を上げた。

「Jam所長」

Jam所長は氷姫の方を向いた。

「氷姫、聞かせてくれるかい」

「はい、私は、なちょの他に女性陣じょせいじん体術たいじゅつ指導しどうしています。各自かくじそれぞれ、私が作ったトレーニングメニューをやってもらってます」

「氷姫が1人ずつのトレーニングメニューを作ったのかい?」

「そうです。基本のトレーニングメニューはあるのですが、それをやってもらってるのは椿つばきさんだけですね。あとはそれぞれの異能力に合わせた体術のトレーニングメニューをやってもらってます。体術のトレーニングは仕上がりとかはありません。日々のトレーニングのかさねですので、それと秋人さんにお願いがあるのですが」 

「なんだ、氷姫?」

「秋人さんに灰音はいねさんの組み手の相手をしてほしいのですが」

「ああ、いいよ。多分俺のトレーニングにもなると思うし」

「ありがとうございます秋人さん。詳しくは後で話しますので」

「ああ、わかった。灰音ちゃん、そん時はよろしくね」

「秋人さん、アタシ手加減しませんよ」

「おう、いいぜ。どんと来い灰音ちゃん」

Jam所長は疑問に思い氷姫にたずねた。

「氷姫、何で灰音ちゃんの相手が、秋人何だい?」

「灰音さんは、強化クローンの身体能力しんたいのうりょくを100パーセント使いこなせるのですが、経験が少ないためにそれをかしきれてなかったので私がじかに教えていたのですが。どうも灰音さんはスピードタイプが苦手のように感じるので、秋人さんにお願いしたんです」

「そうか、もし手伝える事があるなら、遠慮えんりょなく、私や横ちゃんやオコメちゃんに言ってくれてかまわないからね氷姫」

「わかりましたJam所長」

「瀬戸さん、現状はこんな感じですね。あと1週間はあるので……う~んどうしようかなぁ~……」

Jam所長はボサボサの頭をきながら考えてると、炎基がJam所長を呼んだ。

「Jam所長」

「なんだい、炎基?」

対戦たいせん日取ひどりなんですが。これから1週間、みっちりトレーニングしたあとに3日間の休息きゅうそくをとってからの対戦がいと思います。休息と言っても、軽い基礎トレーニングぐらいにして、身体からだを休ませて、万全ばんぜん体勢たいせいととえてからのぞんだ方が良いと思います」

炎基の後に続けて伝雷が口を開いた。

「そうだな炎基兄さん、1週間をトレーニングと休息で分けると、きつきつになるし、俺もその方がいいと思いますよJam所長」

「う~ん、氷姫も同じ意見かい?」

「そうですねJam所長。その方があせらずにトレーニングができて休息も充分じゅうぶんにとれて万全ばんぜん状態じょうたいを作りやすいと思います」

Jam所長は少し考えたあと口を開いた。

「う~ん、そうだな。よしっ、では三竜との対戦は10日後にしよう。それと今回は、コントロールルームで待機ではなく、みんなで行こう。フォビアの民が観客席つきの会場を用意してくれてるみたいだから。勿論もちろん、私と横ちゃんも会場に行く。オコメちゃんはコントロールルームで留守番るすばんをお願いね。瀬戸さんはどうしますか?」

「私も同行どうこうさせてください。それと今回はもう1人エージェントを連れて行きたいのですが良いでしょうかJam所長?」

「もう1人?瀬戸さんの同僚どうりょう部下ぶか)とかかな?」

「はい、まあ位置的いちてきには部下にあたります。名前はA級エージェントの瀬戸せと勇磨ゆうま、私の弟です」

Jam所長は少し驚いて、瀬戸に聞き返した。

「えっ、弟?姉弟きょうだいそろって、内調ないちょうのエージェントなの?」

「はい、弟が結構けっこうひまをもてあましてたので、私の仕事を手伝ってもらう事にしました。同行させてよろしいでしょうかJam所長?」

「ああ、特に問題はないよ。同行しても大丈夫だよ」

「ありがとうございますJam所長」

「それと瀬戸さん、1週間以内にジャッチへの伝言でんごんたのめるかな?今日から10日後に対戦したいと」

「わかりました。明日の夜にでも倉庫街そうこがいに行きます」

「瀬戸さん、よろしくお願いします」

椿つばきが瀬戸に質問した。

「瀬戸さん、弟の勇磨ゆうまさんはどんな人何ですか?」

「そうですね………」

瀬戸は右手にあごを乗せて考えてから、答え始めた。

「身長は私より少し高いくらいですね。ですが格好かっこう内調ないちょうのエージェントっぽくないですね。内調ではとくに、服装ふくそう規定きていはないので、何を着てもいいんですが……まあ、近いうちに顔合かおあわせにれてきますよ。それとJam所長」

「なんだい、瀬戸さん」

「これからの事について、Jam所長と横田さんと私で話し合いをしたいのですが、午後から時間とれますか?」

「私はとくに急ぎの仕事がないから大丈夫だけど、横ちゃんはどうなの?何かある?」

「今日の午後からなら大丈夫ですよ所長」

「そうか、それなら場所は所長室にしよう。それでいいかい瀬戸さん?」

「はい、それでは、一旦いったん内調に戻って準備をしてきます」

了解りょうかい、瀬戸さん。それじゃあ~……う~んと、どうしようかな~……」

Jam所長は腕組うでくみをして考えながら壁掛かべか時計どけいを見た後に話し始めた。

「11時30分すぎたあたりだから……まずは、みんなお昼ご飯にしよう。午後からは、私と横ちゃんは瀬戸さんとの話し合い、オコメちゃんはコントロールルームでトレーニングのサポートかな。それじゃあミーティングはこれで終わり、解散しよう」

みんなが席を立ってミーティングルームのドアに向かっている中、炎基えんき稚依子ちよこに話しかけた。

「稚依子さん、お昼ご飯に、みそ汁はでますか?」

「みそ汁?う~んと何だっけ今日のお昼?」

稚依子はあたりを見回し、椿つばきを見つけ話しかけた。

「椿ちゃんお昼ってなに?」

「今日のお昼はカレーライスだけど、どうしたの、ちーさん?」

「カレーか、炎基さん、みそ汁はなさそうですよ」

「そうですか……」

炎基は少し残念な顔をした。それを見て椿が炎基に話しかけた。

「炎基さん、もしかして、みそ汁食べたいんですか?」

「ええ……まあ……朝食にも出てなかったのもので……」

「それなら僕が作ろうか」

「いや、そんな悪いですよ稚依子さん」

「大丈夫だよ炎基さん。1人分なら、すぐ作れるし。椿ちゃん、冷蔵庫れいぞうこの中に何があったっけ?」

「みそ汁の材料なら、ネギと豆腐があるよ。ちーさん、私も手伝おうか?」

「大丈夫、大丈夫、1人分だから僕1人でいいよ。炎基さんネギと豆腐とうふのみそ汁でいい?」

「はい、それでいいです。なんか気をつかわせたみたいで、申し訳ない」

炎基えんき稚依子ちよこ椿つばきにペコッと頭を下げた。

「そんな遠慮えんりょする事ないですよ。ねー椿ちゃん」

「そうですよ。私達はもう仲間じゃないですか。ねぇ、ちーさん」

「そうそう、炎基さん達のおかげで僕達はレベルアップしてるし。それにしても炎基さんは、みそ汁好きですね」

「ええ、この世界の料理で一番、気に入りました。みそ汁もですけれども、味噌みそが好きになりました。キュウリにつけて食べてもうまいし、この前、未来と夜のトレーニングの後、夜食やしょくに椿さんが作ってくれた。味噌焼みそやきおにぎりもうまかったですね」

「そういえば、未来お兄ちゃんと夜食やしょくでカップラーメン食べてた時も味噌ラーメン食べてましたね。炎基さんは」

「あれはあれで、みそ汁とは味が違って、旨かったですね」

「それじゃあ、僕はサクッと作ってくるから」

「稚依子さん、お願いします」



         ~ほのおよろい



 昼食後ちゅうしょくご炎基えんき未来みらい専用せんようのトレーニングルームにいた。

「未来、これからはトレーニングの仕上げに入る」

「よ~し、どんと来い!」

「いい返事へんじだ。未来、ほのお循環じゅんかん完璧かんぺきにマスターしたな」

「ああ、循環だけなら12時間は、ぶっつづけでテレビを見ながらでも出来るぞ」

「そうか……それなら、炎帝えんていモード・コロナの状態じょうたいだと、どのくらいたもっていられる?」

「コロナの状態か……う~ん……」

未来は、腕組みをして考えこんだ。

多分たぶん……コロナの状態だけなら3時間位は保ってられると思うぞ」

「やはり、そうか……」

炎基は右手にあごを乗せて考えた。数秒間の沈黙ちんもくの後、口を開いた。

「3時間か、まあまあだな。未来、実際じっさい戦闘せんとうになると、コロナの状態じょうたいで動いたり、わざを使ったりする。そうなると、いくら循環じゅんかん)してるとはいえ、炎や体力の消費が激しくなる。今の状態なら1時間持つかどうかだな」

「炎基、やっぱり実際の戦闘だと、そうなるのか?」

「そうだな、俺も剛炎ごうえんを体のまわりにまとわせるだけなら丸1日はたもってられるが、未来との戦闘せんとうで俺もちから使つかたしたろ」

「そうだな……炎基、この時間をばす方法ってあるのか?」

「延ばす方法は、基本的な循環じゅんかんの時間を延ばせば、それに比例ひれいして延ばすことはできる。あとは実践じっせんトレーニングや戦闘経験せんとうけいけんむしかないな。ここからは一長一短いっちょういったんでは難しいな未来」

「やっぱり、そう簡単にはいかないか……」

「そうだ、そんなに甘くわないぞ未来。それでだ。これからのトレーニングは実践トレーニングを、みっちりやっていく」

未来は左の人差し指をあごにあてて視線しせんを天井に向けて

「う~ん……ということは……炎基と組手ってことか?」

「まあ、俺との組手もやっていくんだけど、今日の相手あいてちがうぞ。未来、今から行くからついてきてくれ」

「今日のトレーニングは此処ここじゃあないのか?」

「ああ、そうだ。行くぞ未来」

そう言うと炎基はトレーニングルームのドアを出ていった。

「あっ、炎基。ちょっと待ってくれよ~」

先に行く炎基に追いつこうとして、未来も小走こばしりでトレーニングルームのドアを出ていった。未来は炎基に追いつくと炎基に話しかけた。

「いったい何処に行くんだ。このままだと研究所を出るぞ?」

「研究所の裏庭に、トレーニングに丁度ちょうどいい場所があるから、そこに行く」

「でも炎基、研究所敷地内けんきゅうじょしきちないでトレーニングしたら、被害ひがいすごくなると思うんだけど?」

炎基はズボンのポケットから小さな黒い箱をして、未来に見せた。

「このブラックボックスを使ってフィールドをれば、被害ひがい最小限さいしょうげんおさえられる」

未来は、ブラックボックスを見てハテナ顔をかべ、炎基に聞いた。

「…………何だっけそれ???」

未来の言葉をきいた炎基は、未来の頭を右手で鷲掴わしづかみにすると、ちからを入れて、未来の頭を押さえつけグリグリと右手のてのひらを左右に回転させた。

「覚えとらんのかぁぁぁー、おまえと戦った時に倉庫で使ったろ」

「わっ、わっ、やめろ炎基。それ以上グリグリされたら、髪の毛がける、抜けるって。思い出したからやめてくれぇ~」

炎基は未来の頭から右手をはなした。

「たくっ、本当に思い出したのか?」

未来は炎基にグシャグシャにされた髪を手で直しながら答えた。

「あれだろ、倉庫が火事にならないように、倉庫の内側に超耐火性ちょうたいかせいのフィールドをったやつだろ……んっ……でも、炎以外できるのかそれ?」

「ああ、元々このブラックボックスは万能型ばんのうがたなんだ。戦闘せんとう被害ひがい最小限さいしょうげんおさえるためにつくられたからな」

「へぇ~そうなんだ。すごいなそれ」

話しながら歩いている炎基えんき未来みらいが研究所の裏庭に着くと、先に裏庭で待っていたであろう人物から2人に声がけられた。

「おー、炎基に未来こっちや。っとったで~」

未来は声の掛けられた方を向くと、そこにはヘイゼルが立っていた。

「ヘイゼル??……ということは……」

未来は炎基の方を向いて聞いた。

「炎基、トレーニングの相手ってヘイゼルなのか?」

「そうだぞ、ヘイゼルだ。教えている俺にとっては、ヘイゼルのたいほのおの仕上げもできるし未来の仕上げのトレーニングにもなるから一石二鳥いっせきにちょうなんだ」

「んっ……それって……炎基がらくしようとしてないか?」

未来は細目ほそめでジーっと炎基を見ている。

「そんなことはないぞ未来。一辺いっぺんに2人の経過けいかを見れるんだから一石二鳥だろ。それに後々に色々な条件じょうけんをつけて、トレーニングやるかららくしようとはしてないぞ。ではさっそく始めよう。未来、ヘイゼルの近くに行こう」

炎基と未来がヘイゼルの所に着くと、炎基は未来とヘイゼルにトレーニングの説明を始めた。

「この裏庭は研究所の裏手にある雑木林ぞうきばやしと研究所の間にあるひらけた場所だ。広さも結構あるのでトレーニングには丁度良ちょうどよい場所だ」

ヘイゼルが口を開いた。

「そうやな~Jam所長が言うには、バスケのコートくらいの広さはあるうてたぞ炎基」

「そこでこのブラックボックスでフィールドをってまわりの被害ひがい最小限さいしょうげんおさえれば良いトレーニング場所になる。ただし地面にはフィールドを張らない。張ってしまうとヘイゼルが不利ふりになってしまうからな」

「そりゃ堪忍かんにんやで炎基」

「ああ、大丈夫だヘイゼル。それをしてしまうとヘイゼルと未来のトレーニングじゃなくて、ヘイゼルだけのトレーニングになってしまうからな」

未来がハテナ顔で炎基に聞いた。

「んっ……何で地面にフィールド張るとヘイゼルの不利になるんだ炎基?」

「ヘイゼルの異能力は地だからな未来。地面にフィールドを張ってしまうと、ヘイゼルは異能力が使えなくなってしまうだろ」

「あっ、そうか。でもそれってヘイゼルの弱点なんじゃないか?もし敵に異空間いくうかんれて行かれて、そこで戦わなければならない状況じょうきょうになったりしたら」

「そのへんは今、Jam所長と横田さんに相談そうだんして対策中たいさくちゅうやで未来」

「へぇ~そうなんだ。ヘイゼルも色々やってんだな」

「そやで~俺もいつでも現場に出れるようにしてないとアカンからな。それで炎基、未来と戦えばいいんか?」

「そうだヘイゼルの相手は未来だ。今から俺を中心にフィールドを張るから俺の近くに集まってくれ」

炎基は未来とヘイゼルが近くに来たのを確認すると、ブラックボックスのふたをスライドさせて起動きどうのボタンを押した。炎基を中心に裏庭全体に透明とうめいなフィールドが広がっていった。

「今日は雲1つない天候だから光の加減かげんでフィールドのかべが分かると思うが、どうだろうかヘイゼル、未来」

ヘイゼルと未来はあたりを見回みまわして裏庭全体を確認した。フィールドの壁が光の反射はんしゃを受けて微妙びみょうにキラキラと光っている。ヘイゼルと未来は、大体だいたいのフィールド内の広さを確認すると、ヘイゼルが炎基にかい口を開いた。

「ほぼ裏庭全体に広がっとるなぁ。確かこのフィールドに炎が当たると炎が消える仕組しくみやったっけ炎基?」

「炎も消えるが、今回こんかいったフィールドは万能型ばんのうがたのフィールドだ。炎は勿論もちろんの事、氷も当たった瞬間に蒸発じょうはつするし、電気なんかも壁に当たった瞬間に消えるぞ。あとは衝撃しょうげきにも強い。隕石群いんせきぐんでもってこないかぎりフィールドが消える事はないからな」

未来が炎基に話しかけた。

「相当、頑丈がんじょうって事か……なら結構けっこう派手はであばれても大丈夫って事か……でも炎基、裏庭の地面がボコボコになったらどうするんだ?」

「それはまあ、しょうがない事だ」

ヘイゼルが炎基にツッコミを入れた。

「しょうがないんかい!!」

「まあ、形あるものは、いつかは壊れるしな」

ヘイゼルがまた炎基にツッコミを入れた。

「地面に形なんかないわ!!何を自然の摂理せつりみたいに言っとるんや炎基」

「でもヘイゼル、よく考えると周りの雑木林ぞうきばやしが、火事になったり研究所を破壊はかいするよりは地面だけでむんだから、被害ひがい最小限さいしょうげんおさえられてるだろ」

「それはそうやけど、もし地面がボコボコになったら、そのあとはどないするんや炎基?何かいや予感よかんがするんやけどな」

炎基はニコニコしながらヘイゼルに言った。

「そこはヘイゼルの異能力いのうりょくの見せ所だと思うぞ、なぁ~未来」

炎基に話しを振られた未来は炎基の意図いとさっして、ニコニコしながら炎基に言葉を返した。

「そうだなぁ~炎基」

炎基と未来はニコニコしながらヘイゼルの方を見た。

「なんやねん、2人してニコニコして……」

炎基と未来はニコニコしている。

「わーった、わーった、トレーニングの後処理あとしょりは俺がやればええんやろ」

炎基と未来は声を合わせて言った。

「さすがヘイゼル!!」

「何が、さすがやねん。たくっ……ところで炎基、組手くみては、どんな風にやるんや?、普通に未来と組手したらええんか?」

「そうだな、ヘイゼルはつねに“鎧武者岩石よろいむしゃがんせき“の状態じょうたいで組手してくれ。未来はヘイゼルのかたさ知らないだろ。こういう敵もいるということをまず未来に体験たいけんしてもらいたいからな」

「さっそく岩石を着てもええんか炎基?」

「ああ大丈夫だ」

ヘイゼルはクラウチングスタートのように片膝かたひざを地面につけて、しゃがみこみ気合いを入れた。

「はあぁぁぁ~」

ヘイゼルが気合いを入れると地面が隆起りゅうきしていき、ヘイゼルを包み込んだ。

鎧武者岩石よろいむしゃがんせき!!」

ヘイゼルが言葉を発すると、包み込んでいた大地だいちが消え、そこには戦国武将のような岩のよろい装着そうちゃくしたヘイゼルが立っていた。ヘイゼルの姿を見た未来が。

「へぇ~それがヘイゼルの異能力か初めて見たな。結構、かたそうだな」

「それだけやないで~未来。この岩石がんせきは俺に力をあたえてくれるんや」

炎基が未来に話しかけた。

「そうだぞ未来、この状態のヘイゼルはつねに大地からちからている。未来の“コロナ“と違ってヘイゼルが気絶きぜつでもしないかぎりはこの状態でいられる」

「どういう事だ炎基?おれも気絶したら“コロナ“が解除されるけど」

「未来の場合はもう1つ、ちからを使い果たしても“コロナ“が解除されるだろ。ヘイゼルの場合はそれがないんだ。ヘイゼルの場合、地面があればえずちからを大地から得られるんだ。ほぼ自動的じどうてきにだったよなヘイゼル」

「そうや、岩石を着ている時、限定げんていやけどな。でも永久えいきゅうに出来るわけでもないで、岩石をくと着ていた時間に比例ひれいして一気いっきつかれがくるんや、だから連戦れんせん長期戦ちょうきせんになると、後々きつくなるからあまり長く岩石を着ていると、いた瞬間しゅんかんうしなう事もあるから要注意ようちゅういやねんな」

未来が炎基に話しかけた。

「炎基、俺はどうするんだ。始めから“コロナ“使った方がいいのか?」

「それは未来にまかせるよ。ヘイゼルと組手してみてから使った方が良ければ途中から使ってもいいし、最初から使ってもどちらでもいいぞ」

「そうかわかった。じゃあそろそろ始めようぜ炎基、ヘイゼル」

未来とヘイゼルは裏庭の中央ちゅうおうあたりに行くと少し距離をとり向かい合わせになった。炎基は未来とヘイゼルを交互こうごに見ると口を開いた。

「それでは、2人ともかまえて」

炎基の言葉を聞いて、未来とヘイゼルはそれぞれに構えた。

 未来は左足を後ろに引いて前後に足を開き腰を落として、顔の右斜め前に右手を構え、左手はこぶしかるにぎり腰の辺りに構えた。一方いっぽうヘイゼルは、左右に足を開き腰を落として相撲すもう腰割こしわり構えをとった。ヘイゼルの構えを見た未来は口を開いた。

「ヘイゼル……それが戦闘時のヘイゼルの構えなのか……」

「そうやけど、どないしたんや未来?」

「いや………その……相撲すもう好きなヘイゼルらしい構えだなぁ~っと思って………ハハっ………」

「うん………何か馬鹿ばかにされたような気がするんやけど……」

「そんな馬鹿に何てしてないぞヘイゼル。炎基、早く開始の合図してくれ」

未来に言われ炎基は開始の合図をした。

「それでは、始め!」

先に地面を蹴ったのは未来だった。未来は前方ぜんぽう跳躍ちょうやくした。

「ブースト!!」

未来は跳躍しながら背中全体からロケット噴射ふんしゃのように炎を出し跳躍のスピードを上げてヘイゼルとの間合まあいを一気いっきめた。未来は、ブーストで反動はんどう加速かそくを最大限に使いヘイゼルの顔面めがけて、左ストレートをはなった。

「ハッ!」

ヘイゼルは未来の動きを観察し未来の攻撃にそなえていた。ヘイゼルは左ストレートがたる10cm手前で顔の前に右手をかまえて、左ストレートを右手の手甲てっこう部分ぶぶんで受け止めた。


ガチィィィィン!!


あたりに激突音げきとつおんひびいた。“鎧武者岩石“のあまりのかたさに未来はビリビリとしたしびれが左拳ひだりこぶしから体全体からだぜんたいに駆け巡った。

「いってぇぇぇぇー!かってぇぇぇぇー!」

未来は左拳を右手でおさえながら辺りをピョンピョンとねた。それを見ていた炎基は軽く目を閉じ、右手の親指と人差し指で目頭めがしらおさえながらつぶやいた。

「まさか、素手すででいくとは…………」

未来はしゃがんで、左手にフゥーフゥーと息を吹きかけながら。

「ヘイゼル、何が岩石がんせきだ。全然ぜんぜん、岩のかたさじゃないぞ」

「当たり前やないか未来、俺の異能力はさらかたくできるんやからな。いわ程度ていどの硬さなわけがあるかい」

未来は思考しこうめぐらせた。

(“コロナ“を使うか……いや、まだだな。なら“炎帝剣えんていけん“か……でも、あの硬さだと……何かで油断ゆだんさせてすきを作る事ができれば……そうか、“あれ“をやってみるか……)

「ヘイゼル、この技はふせげるかな」

「おっ、何かやるんか未来」

未来はズボンの後ろポケットから左手でサツマイモを取り出した。ヘイゼルは、ハテナ顔で。

「サツマイモ??」

未来はサツマイモを5秒くらい炎に包み込むと、サツマイモが、できたてほやほやの焼きイモになった。未来はヘイゼルに向かって焼きイモを投げた。

「くらえ、タキビヤキイモ!!」

ヘイゼルは投げられた焼きイモを右手でキャッチしたが、できたてほやほやの焼きイモはかなりあつく片手では持っていられなかった。ヘイゼルは焼きイモを右手と左手に交互こうごほうった。

「熱っ!熱っ!」

ヘイゼルの意識が、焼きイモに向いた所を狙って未来がヘイゼルに向かって間合まあいをめた

「今だ!すきあり!!」

「しまった!………ってアホか!!」

ヘイゼルは向かってくる未来の顔面がんめんめがけて焼きイモをげつけた。


バチィィィン!!


ヘイゼルが投げた焼きイモは見事みごとに未来の顔面に直撃ちょくげきした。直撃を受けた未来は、もんどり打って倒れ、顔を押さえて地面を転げ回った。

「あっちぃぃぃぃ!いってぇぇぇぇ!」

炎基はまたもや、軽く目を閉じて親指と人差し指で目頭めがしらを押さえながら未来に質問した。

「未来……今のは何なんだ?」

未来は起き上がり炎基に答えた。

「今のってタキビヤキイモの事か?」

「そうだ」

「タキビヤキイモは、猫だましみたいな技だ。敵だっていきなり焼きイモを投げられたり渡されたら、一瞬ポカーンってなったりして隙ができるだろ炎基」

「……そうなのか?……ヘイゼルに冷静れいせい対処たいしょされたみたいだが……」

「あれは、俺が隙ありって言っちゃったからだ。失敗だった」

「……未来、頼むからもう少し真面目まじめにやってくれ……」

「俺は、いつだって大真面目おおまじめだぞ炎基」

未来は立ち上がると服についたほこりをパンパンとはらった。

「よしっ、ヘイゼルの硬さも大体だいたいわかったし、そろそろやるか」

未来は、目をじ呼吸をととのえると目をけた。

「炎帝モード・コロナ!!」

未来の左手から炎のうすまくが全身にられていった。

「いくぞ、ヘイゼル。怪我してもうらむなよ」

「おっ、未来も本気かそれならば」

ヘイゼルは腰割こしわりの構えをとり左手の手のひらを未来に向けて前に出し右手も手のひらを広げて後ろに引いた。

「いくでぇ~未来。鉄砲てっぽう!!」

ヘイゼルは声と同時に左手を後ろに引きながら右手を前に出した。未来は、見えない何かが自分に向かってくるのを感じ、咄嗟とっさに左にけた。未来が避けた2秒後にフィールドの壁が何かにぶつかり音がひびいた。


ドオォォォン


「ヘイゼル、衝撃波しょうげきはか」

「おっ、気づいて避けよったな未来」

「今の音……当たったら相当そうとうヤバいやつだろ……」

「そうかぁ~?強化クローンやし、未来はコロナ使こうてるし、ある程度は大丈夫やろ。まあフィールドがかったら壁に手形てがたがつくか、あなくかのどっちかだと思うんやけど」

未来は顔の前で左手を左右にりながら。

「イヤイヤイヤ、大丈夫じゃないだろ。思いっきりりにきてるだろ。トレーニングだぞヘイゼル」

「そうや、実践形式じっせんけいしきのトレーニングやぞ未来。まあ、ある程度の怪我けがならJam所長か横田さんがすぐに直してくれると思うで」

未来はヘイゼルの言葉を聞いてさっした。

「……あっ、そういう事かヘイゼル」

「そういう事や未来。次は連続れんぞくでいくでぇ」

「連続か……それなら、このままじゃ駄目だめだな」

未来は気合いを入れた。

「ハァァッ!」

気合いを入れると未来が纏っている炎のまく両腕りょううで部分ぶぶん形状けいじょうが変わっていった。両腕りょううでともひじから手にかけて、物凄ものすごい速さで炎の膜が螺旋状らせんじょうきついていき、瞬時しゅんじに両腕に荒々しい炎をまとった。それを見た炎基が口を開いた。

「ほう、そこまで出来るようになってたのか未来」

「炎の循環じゅんかんのトレーニングしてる時、なんとなく何処どこまで炎を広げて循環できるだろうかと思ってやってみてたんだよ炎基」

「そうか、ということは未来が自分で気付いたって事か」

「うん?何がだ炎基?」

「今、未来がやっているのは循環の応用編おうようへんだ。循環させながら部分的ぶぶんてきに炎の形状を変化へんかさせるという。でも、その両腕の炎のまといかた……俺の剛炎ごうえんてるな」

「まぁ、そうだな。炎基の炎のまといかたをヒントにしたからな」

「なるほど、どうりで似てるわけだ」

「そうだなぁ……もし名前をつけるなら“剛炎ごうえん未来式みらいしき“ってとこかな。まぁ、炎基えんきの剛炎とはくらものにならないくらいにおよばないけどな」

「フッ、それは剛炎だけの話だろ。今の未来はコロナの状態だからな。その両腕、かなりの熱量ねつりょうじゃないか」

ヘイゼルが2人の会話にって入った。

「なんや、未来も炎基も、おたがいの技を使いあって、炎基も俺と組手の時によく未来のブースト使つこうてたで」

「そうなのか炎基?」

「まあな、未来程みらいほど上手うまあつかえないけどな。ブーストもどきってとこだな。使ってみると、何気なにげ使つか勝手がってが良くてな。いろんな場面で応用が効くしあつかかたしだいで多様たように使えるからな」

「だったら循環を教えてもらったお返しに後で炎基にブーストの応用技おうようわざのやり方教えてやるよ」

「ああ、後でお願いするよ未来」

「炎基、まかせとけ」

未来はヘイゼルの方を向いて右手で挑発のポーズをとった。

「よし!準備万端じゅんびばんたんだ。ヘイゼル、いつでも来い!」

「それなら遠慮えんりょなくいくでぇ~未来」

ヘイゼルは腰割こしわりの構えをして、突っ張り鉄砲の姿勢をとり、鼻から大きく息を吸い込んだ。

千手砲せんじゅほう!!」

ヘイゼルは連続れんぞくで手の残像ざんぞうのこほどの速さで右手と左手を交互こうごに突きだしているため、ヘイゼルの手はまるで千手観音せんじゅかんのんの手のように何本なんぼんもあるように見えた。

「フン!フン!フン!フン!」

未来は視覚しかく聴覚ちょうかく神経しんけいを集中させた。視覚で無数むすうにも見えるヘイゼルの手の動きを隈無くまな観察かんさつし、衝撃波しょうげきはが、どの位置にんでくるかを予想よそうし、聴覚では飛んでくる衝撃波の音を聞き、ある程度ていど正確せいかくな位置を知るためである。未来はヘイゼルの千手砲せんじゅほうを、ときにはけ、ときには両腕にまとった剛炎ごうえんで受け止めながらヘイゼルに向かっていった。未来はどんどんヘイゼルとの距離きょりちぢめていき、あと5、6歩の所で両腕だけにまとわせていた剛炎を一瞬で体全体からだぜんたいに広げて、前に跳躍ちょうやくした。

「はぁぁぁぁ!ブースト!!」

未来はブーストで跳躍をさら加速かそくしながら左拳を後ろに引き、左ストレートの構えをとった。それを見たヘイゼルは。

(これは、千手砲やってる場合ばあいやない。両手で受け止めんとヤバいやつや)

ヘイゼルは千手砲をやめて、両手を前に出し、今からるであろう未来の攻撃こうげきめるかまえをとった。未来は跳躍したまま、ヘイゼルに左ストレートを放った。

炎帝打えんていだごう!!」

ヘイゼルは両手で未来の攻撃を受け止めるとあたりに衝突音しょうとつおんひびいた。


ドガァァァン!!


ヘイゼルに攻撃こうげきを受け止められても、未来のいきおいは止まらなかった。受け止められたままヘイゼルをどんどん後ろに押していった。


ズザザザザザザザ


ヘイゼルは土埃つちぼこりをあげながら後ろに押されていく。

(これは、いてられへん。両手がはじかれてまう。ちからを入れてらんと、後ろにフィールドの壁もあるし)

ヘイゼルは押されながら、チラッと後ろを見てフィールドのかべまでの距離きょり確認かくにんした。

(よしっ、壁までまだ距離はある。ほないくか!)

ヘイゼルは雄叫おたけびをあげた。

「うおおぉぉぉぉぉ!!」

ヘイゼルはさら全身ぜんしんに力を入れて両足をった。すると、ヘイゼルの押されていくスピードが徐々にゆるやかになっていき、フィールドの壁2㎝手前てまえで止まった。

「どうや、未来!受け止めきったでぇ~」

未来は笑顔えがおでヘイゼルを見ている。

「なんや、止められたのにニコニコして」

「ヘイゼル、おまえ結構けっこう戦闘バトル好きだろ」

「うん?唐突とうとつになんやねん?」

「だって、たたかってる時のヘイゼルの顔、すっごくたのしそうでニヤニヤしてだぞ」

「そうなんか?戦ってる時なんて表情ひょうじょうなんかあまり気にしてへんしなぁ」

「戦ってる時に無意識むいしきで顔がニヤニヤするってことは戦闘バトルが好きってことだよヘイゼル」

「そうなんやろか?」

「ああ、そうだよ。俺もヘイゼルとの組手くみてたのしいぞ」

「なんやそれ、ハハハハハっ」

ヘイゼルにつられ未来も笑った。

「ハハハハっ」

炎基は笑い合っている2人にちかづき。

「そこまで、一旦いったん休憩きゅうけいしてから、また再開しよう」

ヘイゼルは未来に向かって口を開いた。

「今回は未来に攻められてしもうたけど、次はオレが、ガンガン攻めていくで」

「おう、のぞむところだヘイゼル」




        ~次回予告~

『なちょだよ~。お兄ちゃんもヘイゼルも炎基えんきのトレーニングでレベルアップしてるなぁ~。でも、なちょもすごいんだよ。もう少しで目標もくひょう達成たっせいできるから。なちょはやればできる子なんだよ( ̄^ ̄)エッヘン。あっそうだ、目標達成したらご褒美ほうびにJam所長にケーキをホールで買ってもらおう。大きさは8号にしてもらおう。チョコケーキ、イチゴのショートケーキ、チーズケーキ、う~~~ん、まようなぁ~。うん、全部買って貰おう。あっそうだ予告だった。次回は、なちょのトレーニングのおはなしと他のみんなのトレーニングのお話だよ~。お相手は、なちょでした』





















第7話を最後まで読んでいただき有り難うございます。今回はいろいろありすぎて投稿が送れてしまいました。第8話はもう少し早く投稿したいと思っております。これからも異能力者達の日常をよろしくお願いします。では、第8話の後書きで、またお会いしましょう。以上jamネコがお送りしました。

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