⟬81帖⟭ 綾音「不法侵入?知らねぇよ、そんなん」
屋上からビルの中に入ることになって、私とシャゼラは転移スキルで飛ぶことが出来るが……2人はどうなんだろ?
2人にも転移スキルで屋上に飛ぶことが出来るのか?っていうのを聞いてみたら、2人ともビルの屋上くらいなら普通に座標指定して転移できると仰っていました。
出来ないって言われたら、私とシャゼラがそれぞれ1人ずつ背負うなりお姫様だっこするなりで運搬しようかと考えていた。
自力で飛べるなら、それに越したことは無いね~。
まずは私が先に屋上に転移して、何も無いことを確認してから4人のLINEのグルチャに「かもーんぬ!」って送った。
3人が屋上に来てから、ビルの中へと続く扉を魔術を使って鍵をこじ開ける。ここまで特に侵入までの弊害が無かったとなると、ワンチャン誘い込まれているかもしれない。
不意を突かれないように辺りを警戒しながらビルの中に入る。なるべく音を立てないように素早く降りてエレベーターの方へと向かう。
人が多くいるフロアは結構下の方になるのかな?
流石に階段でずっと降りていくっていうのは時間と体力が大きく削られる。
仮に閉じ込められたとしても、エレベーターの底でも天井でもブッ壊して脱出して適当なフロアに飛び移れば問題無い。
エレベーターのあるフロアまで降りて、エレベーターの昇降スイッチを押して扉があくまで4人でお喋りタイム。
「いやー、意外と簡単に忍び込めたね~。すんなり行き過ぎて怖いくらいだわ~」
「何が起こるか分からないので、必要最低限の警戒心は持っておくのが吉ですねー」
「不意討ち仕掛けてきても、不意討ち対策こそ得意分野だからな。不意討ちで死にかけた事無ぇもん」
「最前線組って不意討ちに対しての演習はメチャクチャやってましたからね。MR空間で兄様も含めた楓組の6人で、1人に対して残りの5人が集団リンチみたいに不意討ちで最大火力の一撃ぶつけるっていう。狙われている1人は索敵使わずに感覚オンリーで5人の動きを感知しつつ、返り討ちにするっていう…………」
「そんなことやってたの!?」
「MR空間なんて死なないだけで、痛覚とか死んだ時の感覚っていうのは、そのまま反映されるらしいじゃん……そんなの繰り返すとか、肉体的にってよりも精神的にイカれそう」
「本当に死ぬ訳じゃないっていう絶対的な安心感があるから何てことない。痛いのは慣れ」
「致命傷スレスレの重傷だと、痛覚遮断されますからね。痛みでショック死しないために脳が痛覚麻痺させるみたいです」
「片腕フッ飛ぶとかまで行くと、「あれ?腕が動かねぇな」って思ったら無くなっていた時もあったな」
「最前線組が敵陣に何の躊躇いも無く突っ込んでいく理由が改めて思い知ったわ」
「てか、不意討ちに対しての演習がエグ過ぎ……そんなのやってたら、確かに不意討ち対策は余裕になるわな」
「全員、何回も肉体消し飛んでいたけどね。あと、その条件で実戦だったとしても存命出来る状態で演習クリアしたのはお兄ちゃんだけよ」
「楓全員の攻撃を同時に処理してカウンターをかます兄様……流石ですよね」
「お兄ちゃんの何が怖いって、私達以上に死ぬことに恐れを抱いていないもんな……生きてるうちが常に反撃する!!っていう意志の強さが常に全身からオーラみたいに溢れてる」
「美紅先輩、やばすぎ」
「楓5人でも平気なのかよ」
「お兄ちゃんには絶対に喧嘩売っちゃ駄目だよ?特に女は」
「ま、回さないよ……!!」
「う、うん……」
「お兄ちゃんは身内であろうと、自分を本気でキレさせた相手にゃ容赦しない。私でも殺すでしょうね。それを分かっているからヘタな喧嘩の売り方はしない」
「負け戦にしかならないのはごめんですよ……確実に死ぬ未来しかない負け戦に身を投じるほど馬鹿じゃないですしね」
「2人がビビるって相当だな」
「明るくてムードメーカーみたいな人なのに……意外だな」




