◈◉【第九十五帖】◉◈
「姉さん、そっちも終わったっぽいね。殺すまでにラグが出来る術式なんて、滅多なことで使わないのにね」
「楽に一掃したかったからね。さっきの奴の方が都合良いんだよ。特に組むのが難しい術式ってわけでもないからさ」
「姉さんにとっての難しくはないっていうのは信用できないんだよなぁ………平気で一握りしか使えない術式までも簡単に扱えてるから」
「そぉ?そんなことないと思うけど?」
「綾音さんって意外と頑張って物事覚えるタイプですもんね」
「そこまで頑張ってやってるっていう自覚が無いんだよな………」
「意外と謙虚なところもウケる。あんなクソガキみたいなことをやっていた人間の口から出るとは思わない謙遜の言葉」
「本当に無自覚なんだよなぁ………兄さんも「努力家だねぇ~」とか言ってくれるけど、そんな褒められるようなことはしてないような気がする。人殺しの技術を高めたって褒められたもんじゃないでしょうよ。しかも、好きでやっているってなったら……ただの殺戮兵器じゃん。そんなの」
「そんなこと思いながらやってたんだな………あれ」
「思春期だったしね。余計にそういう悩みとかでピリピリしていたのかも。シンプルに忙しかったから。だから、その八つ当たりみたいなのでカルテナさんとか千明さんに当たっちゃっていたのは申し訳ないなって思う」
「八つ当たりであの2人に当たるっていう時点でなかなかだけどね。最前線組だぞ?あの2人。リアル化物とリアル神様に当たり散らせる綾音さんがおかしいわ。あっ、言うて千明さんも神様の部類と言えば神様に入るのかな……?」
「そんな風にあの2人を見たことないからな………昔からずっと一緒に居るっていうのもあるのかもしれないけど、楓を結成した時にも別に神様だからとかっていう変な遠慮とかは無かった。メンバーの一人って感じかな?この5人で楓をやっていこう!!って決めた良き仕事仲間みたいな?家族でもあるし」
「楓のメンバーで、「楓とは?」とかって聞かれたら、全員がそう答えるのが凄い。本当にちゃんと繋がって信頼しあってるんだなって思う」
「信頼してない人間に素を出して感情的になったりしないよ。後々の考えると、本当に信頼できる人じゃないと自分の思ったことなんて話せるわけじゃん。お互いがお互いに腹を割って話せる貴重な人間って感じだから。本当に楓の存在は大きかったよ。あのメンバーを見出だした兄さんには感謝しか無いよ」
「喧嘩もすれば、イチャイチャ仲良しだった時もある。そうやって楓というネームバリューも上がっていったから。年齢を重ねれば喧嘩も無くなるし、そこまでベタベタとした距離感じゃなくても、絶対的な何かの繋がりは強くなっている気がする」
「そうそう。多分、楓が無かったら私も今の優香や千春、祐みたいに総督府から抜けてたかもしれないね。嫌、100%抜けてたって言い切れる」
「私も、かな?美紅さんに楓に選んでもらわなかったら……多分、全部が嫌になって………私は孤独を生きていたかもしれない。それこそ、自分で自分の命を絶っていたかも」
楓って、本当に結束力が強いのがひしひしと伝わるなって思っていたけど……どうやら、周りが思う以上に強い繋がりが出来上がっているみたいで。




