◈◉【第七十二帖】◉◈ 自由の翼
「いや、別に婚姻届とは誰も言ってなくね?」
「なんか、一蓮托生の契約でパッと出てきたのが婚姻届だった」
「言いたいことは分かるけど、なんか他にあったんじゃないの?」
「でもさ、離婚届出したら終わるじゃん。婚姻関係なんて一蓮托生じゃないよ。世の中、本当に一蓮托生を誓い合えるような夫婦って存在するの?海外はどうかは知らないけど、少なくとも日本じゃそういう夫婦は限りなくゼロに近いような気がするんだけど?」
「なんで、言い返せないようなことをちぃねぇは急に言うかな。「あー、割と事実だよなー」って思っちゃうじゃん。そんなことを言われちゃったらさ……」
「まぁ、別に私達は結婚していないし。彼氏すらも居ないから何だっていいんだけどさ。ねっ?優香」
「ん?なに?スマホいじってて全然聞いてなかったんだけど」
「聞いとけや!!」
「でも、良いんじゃない?人それぞれで。人間関係に正解不正解を言ってる人間が頭悪いじゃん。全員が全員同じ考え方を持っているわけじゃないのに、それをいちいち押し付けてる方がおかしいんだよ。何が世間体だよ、常識だよって話。そしたら、そういうことを言ってくるお前らの方がおかしいだろっつう話だよ」
「優香が言うと、何故か説得力がある不思議………」
「ん?別に思ったことを言っただけだけど………まぁ、ああいう母親のもとで育ったから、何かしらの思いは言葉に乗っかるよねぇ~」
「なんかフワフワと喋っているのと、普段の言動の軽さから、そこまで重くは聞こえない不思議ね。それでも、説得力だけが置き去りにされているような感じ」
「置き去りっていう言い方は何かちょっとトゲがありませんかねぇ~?」
「なんでさっきからヌルヌルとした喋り方しているんだよ。なんか、魔王の側近の参謀の気持ち悪い変なヤツみたいなのに居るじゃん。後は面倒臭い敵キャラみたいな。頭脳派でありながらも、肉弾戦も結構強いっていうハイスペの敵みたいな」
「じみに褒め言葉に聞こえなくもない悪口やな」
「優香ってそんな感じじゃん。正義のヒーロータイプではない人間だよね。どっちかって言ったら、冷酷非道の黒幕タイプの人間じゃないかなって思うわ」
「急にディスり始めるのは何なん?」
「けど、ちぃねぇの言いたいことは凄い分かるな~。優姉ちゃんって「私がこの世界を守るんだ!!」っていうタイプではないじゃん?私達もそうだけど。寧ろ、「この世界を潰して自分の思うがままの世界を作り上げる」みたいな世界征服みたいな感じの言動があるじゃん」
「そこまでは思っちゃいないけど。流石に規模がデカ過ぎやしない?」
「でも、現体制の総督府を潰すっていうことは………あながち、そういうことでも間違いないんじゃないのかな?総督府は長い歴史を使って色々なとこに繋がっているわけだからさ。国家権力とかよりも全然発言力がある組織を潰すって、もはや世界を乗っとるっていうのと何も大差ないんじゃないのかな?」
「そこまで総督府を買い被ってないから、そんな大事だとは思っちゃいないなぁ~」
「意外と一歩引くところは引くからね。優香は」




